コムギ(HUNTER×HUNTER)

登録日:2012/02/04 Sat 23:17:24
更新日:2023/09/19 Tue 11:35:16
所要時間:約 7 分で読めます





メルエム様

ワダす…今…とっても幸せです

不束者ですが お供させてください


週刊少年ジャンプで絶賛連載中の漫画『HUNTER×HUNTER』に登場するキャラクター。


概要

出身地である東ゴルトー発祥の盤上遊戯『軍儀(グンギ)』の世界チャンピオンに君臨する盲目*1の少女。
チャンピオンとしては3代目であり、現在5連覇中。

ボサボサ頭に太眉毛、常に鼻水が垂れている*2というお世辞にも美少女とはいえない容姿で訛りのあるしゃべり方をする。
学は無いが、軍儀に関してのみ類まれなる頭脳と記憶力・集中力を発揮する*3

そしてキメラアント編において、誰も予想も出来なかった完全なる異分子(イレギュラー)であり
王や護衛軍はおろか、ゴン達も彼女に振り回されてしまったと言える。

※以下ネタバレ含む




キメラアントの王が選別まで暇をつぶすために招かれた。
他にも将棋チェス、囲碁などのプロも招かれていたが、王は彼らを持ち前の卓越した頭脳で次々と打ち負かしてしまう。

王は他のプロのようにコムギにもすぐに勝てると踏んでいたが、何十局と打っても勝ち目が出てこない。
そればかりか王が新手を考えついてもその手は彼女が10年以上前に考え付いて大流行に至り、そしてコムギ自身の手でトドメを刺して死路(既に検討が成されて勝ち目が無いことが判明しているダメな戦法)になっていた*4...など、王が軍儀打ちとしての著しい成長を見せてもなお隔絶した実力差があったのだった。

王は何とかしてコムギに勝とうと思い、ある賭けをしようと提案した。

それは
「お前が勝てばお前の望みを叶える。自分が勝てばお前の左腕を貰う。」
というムチャクチャな内容だった。

王はこの賭けによってコムギの欲望と恐怖心をかき立てさせ、彼女の判断力を鈍らせようと考えたのだ。

だが、彼女は王の予想もしていなかった返答をする。
「左腕ではなく、私がいつも軍儀で賭けてる物でよいですか?」


彼女がいつも軍儀に賭けていたもの…


それは自らの『命』―


彼女の家は貧しい大家族で、軍儀チャンピオンである自分が家族の稼ぎ頭だった。
だが、家族を養う程の賞金は国内予選を勝ち抜き、世界中の強豪を打ち負かしてチャンピオンにならなければ手には入らない。
もし一度でも負けてしまえば、盲目の自分にはまともに農業もできない。
自分は一家の足手まといになる。
そうなってしまった自らを彼女は『ゴミ』と称した。
家族の為に金を稼げず、足手まといなだけの『ゴミ』…
だから、自分が軍儀で負けたときに失うのは左腕ではなく命。
軍儀で負けたら死ぬといつしか心に決めていた。

しかし、彼女にとって軍儀で負けた自分の命はただのゴミ。
「ゴミを王に渡してしまうのは大変失礼なことだ。」と検討違いなところで迷ってしまう。
だが、そんな彼女を見た王は
「自分は命を賭ける覚悟もないくせに、彼女につまらない提案をしてしまった。」
と自らを恥じ、自分の左腕を千切ってしまう(王の左腕の治療に専念するため一時的にピトーの円は消えた。)。
が、このことがきっかけとなり、二人の距離は近づいていく。


ある日、いつものように軍儀を終え、自室に戻ろうとするコムギを王が呼び止めた。
彼女は名前を尋ねられた。
コムギが自分の名前を告げ、逆に王の名前を問うて来た。

しかし、ここで王は気づいてしまった。

『自分の名前を知らない…。』

『自分の名前は何という?』

それに気づいた王は自分を見失い始め、

『自分は何のために生まれてきたのか?』
と疑問を抱くようになる(この疑問は、後々まで尾を引くことになる)。


日が変わり選別の直前、宮殿内にあるコムギの部屋にカラスが侵入し、彼女を激しくつつきまわる。
しかし、目の見えない彼女には避けることができず、早朝なので迷惑をかけてはいけないとじっと堪えていた。

そこに王がやってきて、カラスを駆除する。
実はこのとき王はコムギを用済み*5と思い、殺そうとしていたのだが、襲われている彼女を見て助けてしまう。
そして傷だらけの彼女の手を握り、大事な客人だから困ったときはすぐに話せと言ってしまう。
ついさっきまで殺そうとしていた人間に対し、真逆の対応をとってしまった自分に王は戸惑う。

しかしそんなことを知らないコムギは、その言葉に号泣する。
軍儀のためだけに生き、家族には『負ければゴミ』と言われ続けた彼女にとって、そんなに優しい言葉をかけてもらったのは生まれて初めてだった…


しかし、そんなコムギに悲劇が訪れる。

王を殺害するためにネテロと共にやって来たゼノの『龍星群(ドラゴンダイブ)』による無差別攻撃の巻き添えを喰らい、腹を貫かれる重傷を負ってしまうのだ。
ピトーの『玩具修理者(ドクターブライス)』により一命を取り留めるが、
キメラアント討伐隊に人質にされ、討伐隊がキメラアントに捕らえられてしまった際の交換材料にされてしまう。
一方でシャウアプフからは貧者の薔薇の衝撃で記憶喪失になり冷酷無比な性格に戻った王が以前の状態に戻るのを良しとせず、記憶復活のトリガーと成りうる彼女を殺すべく命を狙われる事になる。
コムギは両陣営にとってのキーパーソンとして否応にもなく戦いの渦に飲み込まれていく...




そして終戦後、ネテロからメルエムという自らの名を聞き出した王がパームから聞いたコムギの居場所を訪れ、彼女をたたき起こす。

久しぶりにメルエムとの軍儀を楽しむコムギだったが、彼から残酷な真実を告げられる。
メルエムは敵との戦いで受けた毒により、数時間で命が尽きてしまう状態だった。

死ぬ前の時間をコムギと過ごすことを望んだメルエムだが、自分の受けた毒は周りにも伝染してしまうため、彼女に逃げるように促す―


しかし彼女は逃げなかった。

最期の瞬間まで彼のそばに居ることを望んだのだった。

そこでメルエムは悟った。

自分の生まれてきた意味を。

彼女に出逢うこと―

それこそ彼の生まれた理由だったと。


そして彼女もまた...


ワダすは きっと この日のために生まれて来ますた・・・!




彼女は、もう目も見えなくなった彼の手を握りながら最期を看取った*6
明確な死亡描写は無いが、恐らく彼女も直後に死亡したと思われる。




軍儀を打つ中で王の内面を激しく揺さぶり、彼を変え、護衛軍を変え、最後には物語の結末を誰も予想しなかったものに変えた、
キメラアント編のキーキャラクターと言えよう。
彼女との対戦によって、王はただでさえ高かった読み合いのレベルを更なる次元に引き上げてしまい
ネテロが繰り出す百式観音の無限に等しい攻撃の組み合わせから正解を導き出してしまったので
もしも彼女が存在しなければ、ネテロは王を完封し続けて持久戦で勝利するといったifもあり得たかも知れない。*7



追記・修正は軍儀王になってからお願いすます。

へば。

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最終更新:2023年09月19日 11:35

*1 対局中のみ開眼する。当然目は見えないので読み駒をしてもらう必要がある

*2 重篤で口を閉じると息が出来なくて失神してしまう。王との初対面で黙れと言われていきなりやらかした

*3 軍儀の実力は今なお成長途中である。更に作中では「覚醒」とも評される、限定的ながら念能力に目覚めているような描写もある

*4 この一件での「ノータイムで打てる手であるのに何故手を止めて考えた」との王の殺意混じりの問いに「王が全く同じ手を考え出した事に感動した、まるで一度殺した我が子が蘇ったような気がした(意訳)」「もう一度命を消すのが忍びなくて少し迷った」と返し、結果王は矛を収めた。彼女が「孤孤狸固(ココリコ)」と名付け王が「離隠(ハナレガクシ)」として復活させたこの手は最後に再び重要な役目を果たす事になる。結末については本編を読むことを推奨する

*5 そもそもコムギを呼んだのは選別までの暇つぶしだった

*6 このときコムギは初めてメルエムの身体に触れ、彼が異形の者であることに気づいているはずだが、最後まで彼の傍に居続けた

*7 コムギとの出会いがなければメルエムは人間を見下した暴虐の王のままなので、その下等生物に羽虫が叩き潰されるようにやられるといった状況が続いたのならば、怒りでオーラの流れが乱れ、その瞬間に致命打をくらって敗北する結末も絶対にないとは言えないだろう。