湘南新宿ライン

登録日:2010/01/22(金) 19:43:13
更新日:2024/02/26 Mon 22:49:49
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湘南新宿ライン(しょうなんしんじゅくらいん)とは大宮駅から池袋駅・新宿駅・渋谷駅を経由して大船駅へと向かうJR東日本の運行系統のことである。

ラインカラーは赤で、路線記号はJS

*1


概要

「湘南新宿ライン」専用の線路は存在せず、他の路線のダイヤの合間を縫い、線路を借りて運行される形を取っている。
線路容量がいっぱいいっぱいなため、湘南新宿ライン系統だけを見ると運行本数は1時間に4本程度。

大宮~田端信号場間は東北本線
田端(信)~大崎間は山手線
大崎~旧・蛇窪信号場は大崎支線
旧・蛇窪(信)~鶴見間は品鶴線
鶴見~大船間は東海道線

要するに埼京線横須賀線の線路を使用している。

形式上は大宮~大船間の路線だが、大宮からは宇都宮線or高崎線に、大船からは東海道線or横須賀線と直通する。
この為、事実上の運転距離はかなり長く、寝過ごすととんでもないことになるのも御愛嬌。

沿革

山手貨物線への旅客列車乗り入れは1986年3月の埼京線新宿乗り入れが最初で、1988年から宇都宮線・高崎線の池袋延長が開始され、1995年から新宿まで延長された。一方、東海道線・横須賀線では特急踊り子やライナーなどに一部新宿発着列車が設定されるようになった。

その後、2001年12月から宇都宮・高崎系統←→東海道・横須賀系統での直通運転が発表され、名称も湘南新宿ラインと発表。これに伴い湘南新宿ライナーは列車名がおはようライナー新宿/ホームライナー小田原に変更された。
当初は車両が5形式も使用され運行時間帯は昼間のみ、毎時3本の運行だった。

運行開始当時、埼玉県から神奈川県まで通しで運行される一般列車は京浜東北線埼玉高速鉄道東京メトロ南北線東急目黒線ぐらいしかなく、しかも副都心である渋谷・新宿・池袋から横浜・湘南エリアに直通できるという地理の良さもあって次第に利用者が増加するようになった。

その後、2004年の池袋駅立体交差化工事完了に伴い毎時4本の運転、運行時間帯を終日に拡大、車両も120km/hの運転が可能なE231系に統一され、全列車にグリーン車が連結された(のちにE233系も投入)。

この状況に同業他社も黙って見ていたわけではなく、特に渋谷-横浜間*2で競合する東急電鉄は東横線に特急、新宿-藤沢・小田原間で競合する小田急電鉄は小田原線江ノ島線に湘南急行(→快速急行)と速達種別を新たに設定するほどの影響を与えた。両社とも競合駅では本数の多さや運賃の安さをアピールする看板が掲示されるなど、関西ほどではないものの誘致合戦が見られるようになった。

その後、2010年3月13日に横須賀線武蔵小杉駅が開業、2013年3月16日に浦和駅の高架化工事が完成し、それぞれ湘南新宿ラインの停車駅となった。

2015年3月14日には南北を上野・東京経由で繋げる上野東京ラインが開通。行先も車両も被っているが上野東京ラインの方向幕に「東京経由」、湘南新宿ラインは「新宿経由」と表記しているので区別は可能。後に大宮駅・浦和駅・赤羽駅のコンコースには横浜駅への先着列車を案内する発車標が、横浜駅には大宮駅へのそれが設置された。

2019年11月30日から埼京線と相鉄線の直通運転が開始。これにより相鉄の車両が新宿-新鶴見信号場付近まで同じ線路を走行するようになった。


●使用車両

  • E231系近郊タイプ
  • E233系3000番台
小山車両センター(以下:小山車)と国府津車両センター(以下:国府津車)に分けられる。
グリーン車付き基本編成10両と付属編成5両。当初はグリーン車のない編成が使用されていた。
小山車はグリーン車と付属車両以外、全てロングシートである。上野東京ライン開業に伴う車両運用共通化によりE233系3000番台も加わった。
なお、基本編成+付属編成の15両編成での組み合わせはE231系+E233系という別形式同士でも運用されることは結構ある。
  • E259系
特急「成田エクスプレス」で使用。
  • E233系7000番台
埼京線用の車両で相鉄・JR直通線用として使用される。
ダイヤ乱れなどで大崎以北に入線出来ない場合、横須賀線品川駅まで運転されることがある。
  • 相鉄12000系
相鉄・JR直通線用として使用される。YOKOHAMA NAVYBLUEの車体が非常に目立つ。
こちらもダイヤ乱れなどで大崎以北に入線出来ない場合、横須賀線品川(ry
全車に半自動ドアスイッチが付いている。


●過去の車両

  • 253系0番台
特急「成田エクスプレス」で使用されていた。
全車両がE259系に置き換えられたため、現在は後述の1000番台のみが使用されている。
  • 211系
高崎車両センター(以下高崎車)所属の車両。
当時はグリーン車がついてない車両しかなかったため、やはりグリーン車無しで運用していた。
  • 115系
最初期のみ充当されていた。
東海道線区間では113系との共演が見られた。
  • E217系
横須賀線用のものでグリーン車付き。このため新宿までの運用だった。撤退後も東海道線・横須賀線の工事で新宿まで入線することがあった。
  • 215系
オール二階建て電車でグリーン車付き。
こちらも新宿までの運用だった。二階建て車両で車内はボックスシートと観光客や家族連れに人気の車両だったが、2004年に撤退した。
  • 113系
グリーン車付き。
工事の時の臨時で新宿まで入った事がある。


●種別

  • 普通
宇都宮線横須賀線での運転。
基本は宇都宮・小金井~逗子間で運転するが、一部の列車は大船止まり。
全線で各駅に停車するものと、大宮~小山間が快速になる2種類が運転される*3

  • 快速
高崎線~東海道線での運転。
日中は籠原~平塚間での運転で、朝夕ラッシュ時に高崎~国府津・小田原発着列車が運転される他、朝の南行きに前橋・深谷始発が各1本、夜に前橋着が1本ある。
運行が東海道線基準のため、西大井・新川崎・保土ヶ谷・東戸塚は通過する。
大宮以遠と大船以遠は各駅に停車する。
ちなみに運行開始当初は大崎駅はホーム自体がなかったため、埼京線大崎駅が開業する2002年11月30日まで快速は恵比寿~横浜間をノンストップで走行していた。

  • 特別快速
高崎線~東海道線での運転。
日中のみ高崎~小田原間での運転で、快速の通過する4駅に加えて恵比寿も通過する。
大宮以遠は快速アーバンの停車駅に北本が追加され、大船以遠は廃止された快速アクティーと同じ停車駅。


●駅一覧<凡例>

●…停車
┃…通過

駅番号 駅名






直通先路線 宇都宮線 高崎線
JS24 大宮
JS23 浦和
JS22 赤羽
JS21 池袋
JS20 新宿
JS19 渋谷
JS18 恵比寿
JS17 大崎
JS16 西大井
JS15 武蔵小杉
JS14 新川崎
JS13 横浜
JS12 保土ヶ谷
JS11 東戸塚
JS10 戸塚
JS09 大船
JS08 北鎌倉 東海道線直通
JS07 鎌倉
JS06 逗子

※北鎌倉~逗子間は湘南新宿ライン専用の駅番号が設定されているため記載*4

なお、埼京線を含む直通する路線が運転見合せになった場合、併せて運転中止される場合が多い。
状況にもよるが、池袋以北・大崎以南での折り返しになることもある。
また、成田エクスプレスや西大井以南がきっかけで横須賀線・総武快速線にも遅れ(平均3~5分、最大10分)が発生、
成田エクスプレスの影響では市川・千葉・たまに津田沼・稀に東京で抜かれるはずの快速に変更や待避遅延が出たりもする。

また、横須賀線遅延時は普通列車から運休になることもある。
東海道線は……何故か湘南新宿ライン遅延→東海道線遅延のパターンが少ない(湘南新宿ライン直通電車のみ遅延で東京発着は定時、というケースのが多い)。
反対に東海道線がトラブると、当然直撃。


●特急湘南

湘南新宿ライン・東海道貨物線経由で平日朝夕に運転される、新宿~小田原間の通勤特急。
元々はライナー列車の「おはようライナー新宿/ホームライナー小田原」であったが、2021年3月に特急に格上げ。
湘南新宿ラインの営業開始前は「湘南新宿ライナー」だったが、紛らわしくなるので変更した。

◇使用車両

  • E257系2000番台
「あずさ」「かいじ」から「踊り子」に転用された車両。
新宿発着列車は21-26号の番号が振り分けられている。
過去には0番台がライナー時代に2008年3月14日まで旧23・旧26号で使われていた。

◇過去の車両

  • E351系
2008年3月14日まで旧22・27号で使われていた。スーパーあずさの人。
担当だった『おはようライナー新宿24号』は、新宿到着後に即車内清掃、休む間も無く『スーパーあずさ5号』として8時丁度に新宿を出発していた。
12両で運転、藤沢・茅ヶ崎の貨物線には10両分のホームしかないので、1~3号車ドアカットで対応していた。
中央ライナーから183/189系の運用を無くすために中央ライナーに転身した。
  • 183系
湘南新宿ライナーを担当していた。
  • 185系
23・24号担当。
  • 215系
前述した全車二階建て車両。
21・26号担当。
  • 251系
特急『スーパービュー踊り子』でお馴染みの車両。
全車指定席特急の車両でも、ライナー運用時は全車着席整理券で乗れる、ちょっぴり贅沢仕様?
25・22号担当。

◇停車駅

新宿・渋谷・大崎・藤沢・茅ヶ崎・(平塚)・(二宮)・(国府津)・小田原

()は22・26号通過。
貨物線経由の為、大船と辻堂は全便通過。

●東武鉄道直通列車

かつて東京~日光間は旧国鉄と東武鉄道で熾烈な競争を行っていたが、東武鉄道が1720系DRCを投入後は国鉄も勝てないと判断したのか、東武鉄道の一人勝ち状態だった。
しかし、バブル崩壊後は日光観光客も減ってきていた。そこで両社が客を奪い合うよりも協力したほうがいいという判断があり、両社の相互直通案が出てきた。

JR:日光の他、JRが乗り入れていない鬼怒川温泉への観光にも参入できる。宇都宮駅のスイッチバック解消、単線区間が減ることによる時間短縮。
東武:従来運転区間には山手線接続駅がないため、新宿や池袋へ乗り入れることで東京都心や多摩地域、神奈川県方面や埼玉県西部からの利用客確保ができる。

これにより、栗橋駅にて宇都宮線東武日光線を繋ぐ短絡線が作られ、直通運転が開始されることになった。

◇使用車両

  • 253系1000番台
東武鉄道に直通する特急「きぬがわ」「日光」で使用。
新宿~大宮間で同路線と同じ線路を走り、宇都宮線栗橋駅から東武日光線に乗り入れる。
臨時で大船・千葉・八王子まで運転されることもあり、八王子発着列車は「はちおうじ日光」となる。
1000番台に改造前は「成田エクスプレス」で使用されていた。
東武鉄道の看板特急車両で「スペーシア(SPACIA)」という愛称を持つ。
253系1000番台と同じ「きぬがわ」「日光」で使用されるが、こちらの場合は特急名の前に「スペーシア」が付くため区別されている。
基本的には新宿までの乗り入れだが、臨時で品川まで来ることもある。

◇過去の使用車両

  • 485系
国鉄時代は全国の電化区間を走っていた交直流特急電車。
青森運転所→仙台車両センター→小山車両センターと転々とし、東武直通特急に使用された。1本しかいなかった為、故障や検査などの場合は東武100系で代走された。
老朽化で故障も多かったため、現在は253系1000番台に置き換えられている。
その後は仙台車両センターへと戻って磐越西線の快速「あいづライナー」に使用されていたが、2016年のダイヤ改正で「あいづライナー」が廃止されたため廃車された。
  • 189系「彩野」
横浜や八王子発着の臨時列車用に使用されていた、大宮車両センター所属のジョイフルトレイン。
253系1000番台に置き換えられた後は廃車となった。

◇停車駅

詳細は各路線参照。

新宿・池袋・浦和・大宮・栗橋(乗務員交代による運転停車)・栃木・新鹿沼・下今市(分岐駅)・東武日光(日光)・鬼怒川温泉(きぬがわ)

余談

  • 池袋駅構内は立体交差化されたが、横須賀線と合流・分岐する大崎支線は平面交差のままで、西大井→大崎と品川→西大井が同時に走行できない。
    そのため西大井→大崎への短絡線を建設して立体交差化する構想がある*5のだが、その建設予定地にマンションが建っていたり、大崎駅のホーム位置や配線を変更しなければならないなど課題が山積みでほとんど進展していない。
    一応JR東日本は可能な限り用地を確保しているようだが…
  • 湘南新宿ラインは品川駅を経由することなく大崎駅と西大井駅を直結しているが、運賃計算上は品川駅を経由したとみなして営業キロを算出する。
    よって大崎~西大井~品川という経路は西大井~品川を往復乗車していることになるので注意。


追記・修正は新宿で降りようとして宇都宮線まで寝過ごした方がお願いします。

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最終更新:2024年02月26日 22:49
添付ファイル

*1 出典:日本の旅・鉄道見聞録 URL: http://www.uraken.net/rail/alltrain/ec/231tokaido.jpg 日時:2016/01/21

*2 その後東京メトロ副都心線への直通運転を開始したため、競合区間は池袋まで拡大している。

*3 北行きのみ大崎以北で快速表示となる。

*4 両系統の共通する区間以外で設定があるのは横須賀線の該当区間のみ。東海道線、高崎線、宇都宮線には湘南新宿ライン専用の駅番号設定がない。

*5 短絡線は貨物列車が走行出来ないほどの急勾配・急カーブが想定されるため、既存の平面交差ルートも残存する予定。