グローブ事件(ガンダムUC)

登録日:2012/05/04 Fri 13:13:03
更新日:2024/04/24 Wed 01:16:14NEW!
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グローブ事件とは、一年戦争終結直後の占領軍によるグローブの民への虐殺。
表向きには、抵抗運動鎮圧作戦となっている。

ただし、一年戦争直後を描いた作品などで設定されたものではなく(これに限らず後付け設定は多いが)、
それからかなりの年月の経っている『機動戦士ガンダムUC』で設定された事件。
原作小説六巻にて描写されている。



【概要】
宇宙世紀0080年〜
地球連邦軍が一年戦争に勝利

上層部が平和の話し合いを進める一方で
末端の兵士たちはコロニー落としなどの数十億人単位の大量虐殺を実行してきたジオンに対する恨みは到底消えず
特にジオン本国に進駐してきた連邦軍の一部である占領軍は不満を溜め込んでおり、暴動が起きかねない雰囲気にまで達していた。
そして占領軍が暴走し、人口約千人のグローブの町で虐殺が行われた。

まだ出征兵士の引き上げが十分ではない時期のことであり
グローブには老人や女性や子供しかおらず
数少ない男は嬲り殺しにされ、女は犯され、町は一方的に蹂躙された。

後に連邦軍はマスコミや共和国政府に対して
『抵抗運動を取り締まった際に、グローブの住人が暴徒と化したために、やむなく実力を行使した』
と経緯を発表、本件を隠蔽。
共和国政府の目にも真相は明らかだったが
この犠牲をもって占領軍の感情が収まるなら、それは容認すべきと受け入れた。


【事件の後】
兵士達は、女性を凌辱する場面をビデオに収めていた。
そのビデオはポルノビデオとほぼ同じ扱いでグローブビデオと呼ばれ、闇ルートで世に出回っていた。
スベロア・ジンネマンがグローブの出身であり、そこで家族を失った。
この事で更に連邦軍を憎んだジンネマン達は収容所を脱走し、グローブビデオを販売する業者等を片っ端から潰して回った。

フル・フロンタル親衛隊の隊長であるアンジェロ・ザウパーもグローブ出身であり、
この事件で父親は嬲り殺しにされ、母親は連邦兵に強姦されたことで精神崩壊し、後に自殺した。
アンジェロ自身は殺されずに済んだものの、この事件によって彼の人生が狂ったのは間違いない。

勿論、この事件の真相は闇に葬られた。
この様な事件を起こしながらも、連邦はスペースノイドの弾圧を続けた。


【アニメでの描写】
当然の如く、「マリーダ・クルスの過去」の様にアニメでグローブ事件の描写は抑えられている。

作中では、フラストがバナージ・リンクスに対して事件の事を話す程度になっている。
占領軍が行った虐殺や凌辱については語られていない。

その後、砂漠を歩くバナージの脳裏に「燃え盛るグローブの街」が浮かぶ描写がある。




なおこの設定は、現実で起こったベルリンの戦いがモチーフになっていると思われる。
これらの設定ガンダムに必要?などの話はともかくとして。




この事件は連邦は無能な者ばかりとか、スペースノイドを弾圧しているとかで酷いだとか色々な作品の中でよく主張されているが、
その後のグリプス戦役やジオン抗争等戦争の繰り返しやジオンなどの凶行でとてつもなく荒廃しているのに急速に復興させることに成功しているため、
連邦は統治面においてはむしろかなり有能ということになってしまうのを是正し、勢力間のバランスを取るためだけに作られた設定ではないかとも言われている。
そしてそれだけならばまだ良かったのだが…

コロニーの一部ならともかくコロニー全体という大規模すぎる点や、異常過ぎる共和国の対応*1などの設定の違和感が凄まじい点、肝心のグローブのその後が全く語られてない点や
30バンチ事件すら発覚する一方で、こちらは生存者が多く、しかも連邦兵の蛮行がポルノビデオ同然の物として闇ルートで出回っているのに隠蔽され続けている不自然さなど、疑問点が余りにも多く、
同作を批判する理由の一つになってしまいがちな事件になっている。
そもそも「資料が闇ルートで流通している」ならそれはすでに隠蔽されていないので、「隠蔽され続けている」という扱いとは矛盾している。

もう一つツッコミどころを挙げると、宇宙世紀のコロニーは一基で最大 1000万人以上、少なくとも100万人以上居住している前提 のためクローブの街の人口1000人では 桁が3つ以上足りない。
(30バンチコロニーは反ティターンズの集会をしていたので他所からの来訪者もいたと思われるが犠牲者数1500万人、同じサイド3にあったコロニー「マハル」はソーラ・レイに改装するために150万人を強制疎開させており
コロニー全体で1000人程度しか住んでいないコロニーは農業や工業プラントなどの特殊なものか、色んな意味で特別すぎる「ムーン・ムーン」くらいしかない)
つまりグローブの街を襲撃するためには事前に残り 99万9千人以上 の他所の住民を事前に強制疎開させるか、隔離・監視してグローブの街の様子を見たり連絡をしないように手配する必要があり
それをやられた他地域の人間や、周囲と隔離されたグローブ住民が不審に思わずに完全に証拠を隠滅するのは無理がある。
少なくともジオン共和国側がやむを得ない追認ではなく事前の準備段階から積極的に協力しないと不可能だろう。


なお、こんな事件が戦後に起こってしまうほどジオン国外がジオンに対する怒りに満ちていたという観点に着目し、
「ジオンに対する怒りが渦巻く戦時中の地球で、北米の地元住民と友好関係を築けたガルマ・ザビやオーストラリア方面担当のヴィッシュ・ドナヒュー中尉やウォルター・カーティス大佐*2は凄い*3」と、ガルマやヴィッシュ、カーティスの実力を再評価する者もいる。


余談ながら、バナージは「燃え盛るグローブの街」をイメージしたようだが、
宇宙に浮かんで密閉されているコロニー内部で炎が燃えさかると、一瞬で内部の酸素が失われてしまい、敵味方もなく全滅してしまう。
(それもあって、コロニー内部で使われる車はエレカ=電気自動車が普及しており、ガソリンを使う内燃自動車はほとんど使われていないという設定がある)
彼のイメージ映像だから現実に即する必要はないのだが、実際のグローブ事件では街への放火は行われなかっただろう。




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最終更新:2024年04月24日 01:16

*1 連邦や他サイドにバレようものならまず、連邦&他サイドから大バッシング&国際社会から孤立、最悪経済制裁や連邦から自治権剥奪されてもおかしくないレベルである

*2 両者「機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…」の登場人物

*3 ただ、こちらの場合、現地住民が生活のためにジオン軍の物資に頼らざるを得ないという事情もある。尤も、町の住民が暴走しなかったのは彼らが良識的な人物だったのも大きいが。