エンバーミング(漫画)

登録日:2011/06/16 Thu 23:17:35
更新日:2023/10/22 Sun 07:54:42
所要時間:約 8 分で読めます





この復讐は




 俺 の も の だ 







正式タイトルは『エンバーミング -THE ANOTHER TALE OF FRANKENSTEIN-』

ジャンプSQ.創刊から7年間連載された漫画。作者は『るろうに剣心』『武装錬金』の和月伸宏。
全10巻。



~ストーリー~

19世紀のイギリス。
英国貴族のワイズ卿の屋敷で狩場番として働くヒューリー=フラットライナーは、五年前に自身の家族を殺した化物と対峙していた。
親友であるレイスと共に、激戦の末に化物も倒すが、相討ちとなり自分は喉を切られて、レイスは化物とともに死亡する。
次に目覚めた時、ヒューリーはDr.ピーベリーと名乗る女に助けられていた。そして自分が倒した化物の正体が人造人間(フランケンシュタイン)である事を知る。
その後、ワイズ卿の屋敷に戻ると、死んだはずのレイスがヒューリーを出迎える。その肉体はフランケンシュタインと化していた……

"エンタテイメントの基本は笑顔とハッピーエンド"を信条とする和月氏であるが、
作中における台詞「人造人間に進んで関わるのは悪人か狂人のどちらかだけ」に代表されるように、
他の和月作品と違い全体的に雰囲気が暗く、内容もヘビーかつダークなものとなっている。
これはフランケンシュタインというホラーテイストな題材を扱っていること、主人公達の主な目的が、「復讐」や「破壊」であることなどが要因である。
最終的に皆が「笑顔になれる」結末にはなっているが、決してハッピーエンドと言えない終わり方となっている。


登場人物

◇ヒューリー=フラットライナー
本作の主人公。
顔は恐いが気さくで情に厚い青年。
実は第一話冒頭の戦闘で死亡しており、Dr.ピーベリーによって人造人間として創造される。
人造人間に対する憎しみが尋常ではなく、全ての人造人間を殺すことを使命としている。
憎しみの余り暴走することもあるが、いちおう人間としての理性は残っているため、
アバーラインが理性的な言葉でなだめた際には落ち着きを取り戻した。
狂ったヤツだらけの劇中では、おそらく一番まとも。


◇ヒルデガルド=ピーベリー
ヒューリーの創造主である女性。
Dr.リヒターへの復讐のため、彼が創造した機能特化型の人造人間究極の8体を破壊する事を目的とする。
現在はくつろぎスタイルが下着姿というやさぐれっぷりだが、昔は…


◇アシュヒト=リヒター
Dr.リヒターの息子で、人造人間の調整を行いながら、エルムと共に旅をしている。
父の助手だったピーベリーとは幼少の頃からの知り合い。冷静で何事も無表情で処理する。本作における「狂人」。
右足が義足であり、アイゼン・アルムという対人造人間用の銃が武器。ピーベリー同様に目的のために手段は選ばない。
もしかして:再筆版四乃森蒼紫


◇エルム=L=レゲネイド
「究極の8体」の一体である人造人間の少女。快活で食いしん坊。つーかアホの子。
その正体はかつてアシュヒトが恋していた少女エルムその人。だが人造人間になった事で、性格が激変し生前の記憶を失った。人格的には別人である。
アシュヒトの目的は彼女を再び人間に戻すことであり、成功すれば、現在の人格は消滅するらしい。


◇レイス=アレン
ヒューリーの相棒だったが、ヒューリーと共に戦闘で死亡し、フランケンシュタインとして蘇った。
生前の記憶は残っているが、ヤンデレな方向に性格が崩壊し、
ヒューリーを独占するためならば邪魔者は容赦なく排除しようとする。
死体卿の傘下に入り、「究極の8体」のうちの一体「エグゾスケルトン」を与えられたが、
死体卿を裏切ろうとしたため、エグゾスケルトンの精神を再構築するための素材にされてしまい、
会話も含めた全機能を自らの意志で操作出来ない状態にされてしまう。
最期はエグゾスケルトン諸共倒されて死亡した。


◇フレデリック=ジョージ=アバーライン
ロンドンで出会って以後、アシュヒトらに同行する元警官のオッサン。
最も常識的な人物だが、周囲が非常識人ばかりということもあり、あまりマトモな見せ場はない。
毎度激しく空回りするギャグ担当の熱血オヤジ。
人間離れしたタフさがあり、瓦礫に潰されかけても間一髪セーフで命拾いしたり、
暴走しかけたヒューリーに殴られながらもそれに耐えて彼をなだめたり、
フランケンシュタインの戦場を生身で切り抜け続けている。
タイガーリリィとの戦いでは服と鉄柵でデコイを量産しては誤射を誘発して奮戦するが、
ワイシャツやズボンすら犠牲にしてしまい、結果的にパン一ネクタイと言う姿になった。
活躍してもやっぱりギャグ担当。


◇ジョン=ドゥ
人造人間専門の壊し屋。
彼自身も「究極の8体」の一人で、その中でも最強と言われる。
両手の傷から血液をウォータージェットの要領で噴き出して相手を攻撃し、切り裂くことが出来る。
血液は体内で増産されるため、ちょっとやそっとで尽きることはない。
自分の存在に関わる記憶を持っておらず、今は人生を楽しめればよいと考えている。


◇死体卿
「フランケンシュタインの怪物の魂と遺志を受け継ぐ夜会(ブリッツ=ブルーダー)」の統率であり、死体愛好家。
「死」の文字を刻んだ帽子が特徴。人間の感情を理解せず、死体、とりわけフランケンシュタインを愛している。
実は彼自身もフランケンシュタインであり、フランケンシュタインとなった過程で人格が崩壊している。


究極の8体
リヒター家にのみ伝わる技術を使って生み出された機能特化型フランケンシュタインのことを指す。
特定の機能を極端に特化しており、そこら辺のフランケンシュタインとはケタ違いの戦闘能力を持つ。
特化された能力だけであらゆる局面を切り抜けられるほど汎用性を高められており、
単純に特定の能力を強化して武器にするタイプとは根本的な発想から異なっている。

1(アイン)骨格機能特化型人造人間「エグゾスケルトン」
2(ツヴァイ)呼吸機能特化型人造人間「リッパー=ホッパー」
3(ドライ)消化機能特化型人造人間「スカベンジャー=ベービ」
4(フィーア)筋肉機能特化型人造人間「ムスケル=ウンゲホイヤー」
5(フュンフ)感覚機能特化型人造人間「タイガーリリィ=コフィン」
6(ゼクス)循環機能特化型人造人間「ジョン=ドゥ」
7(ズィーベン)皮膚機能特化型人造人間「エルム=レゲネイド」
8(アハト)再生機能特化型人造人間「トート=シャッテン」(死体卿)
9(ノイン)運動神経機能特化型人造人間「ヒューリー=フラットライナー」





和月氏の体調によるものか、スケジュールの都合か地味に休載率が高い。
るろうに剣心キネマ版の連載のために2012年から丸1年程休載した事もあり、
2014年には同じくるろ剣の志々雄真実のスピンオフの連載で2ヶ月ほど休載された。
クライマックスに来てもなお度々休載を挟んだため、一時はちゃんと完結するのかどうか不安だった読者もいたかと思われたが、2015年の5月号を以て約7年半の連載の連載に幕を下ろした。

また、るろ剣キネマ版のコミックスのライナーノートにて、るろ剣とは同じ世界の出来事である事が判明した。
という事は『GUN BLAZE WEST』とも同じ世界である可能性が高い。

さらに最終回では盟友である藤田和日郎の「黒博物館スプリンガルド」からキュレーターが登場した。



武装錬金』第10巻にこのパイロット版と言える同名の漫画が掲載されており、主役はジョン=ドゥ。
敵役の死体卿もここが初登場だが、ここではとんでもない小物だったのが連載に当たって名実ともに悪役へと進化している。


追記・修正しようとするのは、悪人か狂人だけだ

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最終更新:2023年10月22日 07:54