暗殺教室

登録日:2012/07/03 Tue 18:55:00
更新日:2024/04/05 Fri 21:07:16
所要時間:約 9 分で読めます




もっと工夫しましょう。でないと…


最高時速マッハ20の先生は殺せませんよ




魔人探偵脳噛ネウロ』の松井優征氏の娯楽漫画。全21巻。
週刊少年ジャンプにて連載され、2016年16号にて最終回を迎えた。

いわゆる学園モノであるが、生徒たちの目的が担任教師の殺害という、松井先生らしいクセのある内容。
とはいえ、『魔人探偵脳噛ネウロ』よりもブラックコメディは抑えめにされており、
「『暗殺』教室」という物騒な名前に反し、作風は10歳前後の子供でも読める程度にはマイルドに作られている*1*2




◆作品の概要


~あらすじ~

3月のある日。月が突然爆発し、その70%が失われる事件が起こった。
直後、正体不明のタコ型エイリアンが現れ「自分が月を爆破しました」と証言。彼(?)は「来年の三月には月と同じように地球も爆破する」と犯行予告をかます。
しかしどういうわけか、このエイリアンは続けて「自分が地球を爆破するまでの一年間、椚ヶ丘中学校3年E組の担任教師をやりたい」と言い出した。
意味の分からない要望に日本政府は戸惑いつつも、3年E組の生徒に一切の危害を加えない事を条件にこれを承諾。

当然ながら日本政府も「1年後に地球を爆破してやるからな」と言われてそのまま黙っているわけがなく、3年E組の生徒に武器を持たせて「エイリアンを殺せれば成功報酬100億」と吹っ掛け、エイリアンの暗殺を狙う。
「エイリアンは生徒に危害を加えてはならない、もし危害を加えたら先生を続けられなくしてやる」という契約をした上で殺害指示を出しているため、E組の生徒だけは返り討ちのリスクを負うことなくエイリアンに攻撃できるという寸法である。

で、このエイリアンこと「殺せんせー」の担任する椚ヶ丘中学校3年E組の生徒たちは、タイムリミットである1年の間に彼を暗殺出来るのか……?

……突っ込みたい部分は多々あるが、だいたいこんな感じの内容である。
タイトルとあらすじはおっかないが、コメディとシリアスの割合は7:3くらい。見かけに反してほのぼのとした作風である。
まあ作者が怪奇描写で有名な「あの」ネウロを描いた人なので気にしてはイケナイ。


単行本発売前から巻頭表紙を貰ったり、中吊り広告や駅看板が設置されたりと異例の大プッシュを受けている。
これは前作が良くも悪くも癖が強すぎたため、社会人や高大生といった高年齢層の読者からは愛された分、ジャンプのメインターゲットである小中学生の低年齢層からは敬遠されたことへの反省からもっと幅広い層へ読んでもらうためにブラックコメディやユーモアなどといった一部を除いて、前作までのようなハードな描写や異常者のオンパレードを始めとした作者の個性は抑えられ、「みんな綺麗に終わらせる」ことをモットーに下記のアニメと映画版の連携を筆頭としたメディアミックス戦略の強化を図ったため。
そのため、前作のネウロからの愛読者からは物足りなさを感じてしまうこともあるが、そのかいもあってまだ他のメディアが展開されてなかった頃、わずか半年でヒットの指標とされる累計発行部数100万部を超えるという異例の大ヒットを打ち立てるなど作者の望み通り幅広い読者層を獲得し、前作を上回る人気を博すことに成功し、実写との連携と時期合わせといった尺の都合もあってか原作終盤の展開が駆け足になってしまった側面が見られるものの当初から構想していた通りの結末を迎えて、無事に完結した。

2015年にテレビアニメが放送。監督は結城友奈は勇者である人類は衰退しましたなどを手掛けた岸誠二。
世界情勢に配慮して、3話が放映休止となってしまった(1週間後に延期して放映)。
実写映画も公開され、興行収入が20億突破の大ヒットを記録。
その恩恵もあって実写は続編である「卒業編」とテレビアニメ2期、テレビアニメの総集編である劇場版「365日の時間」が2016年に上映・放送された。


◆登場人物

本作の主人公。作中一番のチート。30人が乱射する弾丸を出欠を取りつつマッハ20でよけたり、昼休みに四川省まで往復20分で麻婆食べに行ったり、
音速超過の中でテストの採点したりする。

月を()った張本人。来年の三月には地球も爆破する予定のはずだが、何故か椚ヶ丘中学校3年E組の担任をやっている。
教師としては非常に有能で、科目を教える技量はもとより、人生の様々な課題への向き合い方も適切に教えることができる。
その超絶能力と、教師としての器の大きさとは裏腹に、くだらないことでムキになったり、上司には腰が低いなど、私人としては妙にせせこましい一面がある。
名前の由来は殺せない+先生=殺せんせー。
因みに気分で顔色が変わる体質で、緑のしましまはナメてる時の顔らしい。どんな皮膚だよ。
さらに一ヶ月に一度脱皮する(奥の手)。

本作の語り部兼実質的な主人公。可愛い。だが男だ。
落ちこぼれである事にコンプレックスを持っていて、「認められたい」という動機で強大な力を持つ殺せんせーを暗殺しようとする。
殺せんせーの隙を分析して、二段構えの策で肉迫する等機転は利く模様。

渚の親友。可愛い。殺せんせーの名前を付けた。
泳ぎが苦手でプリンが大好き。

渚に対先生用特殊弾が封入された手榴弾を持たせて自爆テロを教唆したDQN、だった3人組だが…その後は改心し、殺せんせーへの反抗心は薄れてゆく。
ツーブロックが寺坂、ドレッドが吉田、金髪が村松。

防衛省の職員でE組に殺せんせーの暗殺を依頼した人。生徒達の前で説明しながらナイフで殺せんせーを暗殺しようとしたが丁寧に眉毛の手入れをされた。
生徒達に対先生用の武器の支給と成功報酬百億円を提示した。
後にE組の副担任・体育教師となり、生徒に暗殺術を教える。一部の女子からの人気は高く、殺せんせーを嫉妬させた。
防衛省の人間だが、教師としての仕事にも真摯に取り組む好人物。
殺せんせーの過去について何か知っている節があるようだが…?

名前はカルマと読む。
成績は極めて優秀で、現時点でほぼ唯一殺せんせーに手傷を負わせるなど暗殺の能力も高い。
教師に失望していたが暗殺に失敗、同時に自身を身を捨てて救ってくれたため、殺せんせーへの認識を改める。
でもせんせーのお小遣いはちょろまかす。

政府から派遣されたプロの殺し屋。殺リマン。
変装と色仕掛けで標的の懐に入り込んで暗殺することを得意とする暗殺者。
殺せんせーの体質や能力を侮ったため暗殺失敗、触手責めにあった。
なお渚君をディープキスで失神させている。
ビッチねえさん改めビッチ先生。おっぱい。

他のE組の生徒についてはE組をどうぞ。


椚ヶ丘学園理事長。クールで超ハイスペックな独裁者。
意に沿わぬ者には説得という名の洗脳を仕掛けて文字通りの操り人形にするチートじみた能力を持つ。


  • レッドアイ
殺せんせーの暗殺の依頼を受けた殺し屋。
殺しの手法は遠方からの狙撃で、狙った相手は必ず仕留め、スコープの視界が血に染まることから「レッドアイ」の名が付いた。
修学旅行中の殺せんせーを狙うも、ことごとく躱され、しまいに「スコープ越しでない世界も見てみなさい」と諭された。


  • スモッグ、グリップ、ガストロ
南の島で登場した雇われ殺し屋トリオ。
松井優征作品お馴染みの強烈な個性を持つキャラで、スモッグは即死級の毒物から健康薬品までを幅広く扱える毒物使い、グリップは口調こそおかしいが鍛え上げた拳と奇襲で相手を仕留める怪力の暗殺者、ガストロは銃口をスープに浸してしゃぶりその日の味で調子の良い銃を見極めるイカれたスナイパー。


  • クレイグ・ホウジョウ
政府に雇われた「神兵」と呼ばれる最強の傭兵。
傭兵集団「群狼(ぐんろう)」のリーダーを務める男で、ライオンを素手で引きちぎるほどの力があり、烏間から「俺より3倍強い」と評されるなど極めて高い実力を持つ。
殺せんせーもその強さと危険度を初見で見抜き、無用な喧嘩を売ると生徒が命を落とすと危機感を覚え、喧嘩を売ろうとしたカルマを全力で静止して自ら土下座していた。
その後、政府による殺せんせーの最終暗殺計画で部隊を引き連れ学園の裏山を襲撃、改めてE組と交戦する。

しかしE組は視界の悪い夜と動きなれた裏山という地の利を最大限に活かし、数の暴力で物陰から奇襲を掛けては即逃げるヒットアンドアウェイ戦法を仕掛け、群狼のメンバーは反撃する間もなく全滅へと追い込まれた。
そこでホウジョウもようやく本気を出して戦おうとするが、「メガネを外すと本気の戦闘を開始する」というルーティンを妨害される形で行動を阻止され完封負けを喫した。
ルーティンを阻止されて戦いを始められなかったと言い訳をしているが、E組のメンバーはすべての行動を警戒してメガネに手を触れることすら許さず、一切の行動と反撃を封じたため、E組の戦術を成功させてしまった時点で勝機は薄かったと言える。
早い話が舐めて掛かったこと自体が敗因で、ルーティン以前の問題である。
設定上のスペックだけなら殺せんせーや触手持ちだったころのイトナや茅野、二代目殺せんせーやドーピングしたシロを除けば最強なのに、戦果は集団で襲いかかって完封負けという一番の醜態を晒した人物。
E組にダウンさせられても意識は失わなかったため、敗北後は再起できないよう念入りに拘束された。


【余談】

前作ネウロに引き続き、作中において、時事ネタを盛り込むことが多い。代表的なものとして

  • 佐○健による前○敦子お持ち帰り疑惑
  • コンビニの冷凍ケースに入り込みツ○ッターにアップする事件
  • み○も○たが女子アナのケツを触った疑惑

などなど。
ただし前作と違って強烈な社会風刺は少なめ。
これらを効果的に作中に盛り込むことで、シリアスな笑いネタも提供している。





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  • 敵も味方も変な奴

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最終更新:2024年04月05日 21:07

*1 そもそも松井先生が本作を考案したきっかけが、近所の子供が実際に殺害する(できる)わけでもないのに『殺す』という単語を使っていたのを聞いたからだとか。また、後述のジャンプのメインターゲットである小中学生に読んでもらうために、あえて対象年齢を落として書いたのだそう。

*2 ただし、本作は『魔人探偵脳噛ネウロ』との繋がりが示唆されており、前作と同じく風刺描写が取り込まれている