ゼネラル・エレクトリック M61「バルカン」

登録日:2011/06/19(日) 17:56:23
更新日:2022/05/28 Sat 19:01:51
所要時間:約 4 分で読めます




カタログデータ(M61A1)
全長 1,827mm
重量 112kg(本体のみ)
全備重量 298kg
口径 20mm×102
連射速度 4,000 or 6,000発/分
(最大7,200発/分 試験的記録は12,000発/分)
規定発射速度到達時間 約0.3秒
(所謂、スピンアップまでの時間のこと)
銃口初速 1,036m/s
発射形式 フルオート
製造 ゼネラル・エレクトリック(GE社 アメリカ)




GE社が開発したガトリング砲。名前のバルカンはローマ神話に登場する火と鍛冶の神(Vulcan)が由来。
1946年にアメリカ軍の依頼で航空機用機関砲として開発が開始され、1956年に完成。アヴェンジャーより前。アメリカ軍主力戦闘機の機銃として使われているほか、ガンシップのAC-130スペクターやCIWS(艦載用近接防御火器システム)「ファランクス」に搭載されている。

○開発の経緯

開発は1946年から開始されている。ガトリング砲の項目にも書いてあるが、航空機の高速化・高機動化に伴い発射速度増大が必要となり、すでに過去の遺物となっていたが並外れた連射速度を誇るガトリング砲に注目したのである。
勿論、手回し式ではなく電気動作式(後に油圧式)となっている。
元々はリチャード・ジョーダン・ガトリング氏の発明したガトリング砲でこれに改良を加えたのがバルカン等々現代のガトリング砲である。
クランクを回す外部動力が手動から電気や油圧になっただけで、「ぐるぐる回してだだだだだっ!」に変わりはない。


○どんなの?
最初期のM61はリンク式の給弾で給弾不良が相次いだため、M61A1ではコンベアを利用したリンクレスフィードとなっている。
航空機用ではエンジンが空薬莢を吸引しないように弾倉に回収される。

連射速度は毎分4000又は6000発の切り替え式となっている。反動は6000発の場合で約2t。

信頼性が非常に高く、故障は100,000発に1回程度といわれている。砲身の寿命が12,000‾18,000発、システム全体の寿命は150,000発程度なので寿命いっぱいまで使っても1回故障するぐらい。

弾倉は機体にもよるが大体600〜800発で現実離れしたACE COMBATの設定(ハード以上で800発)が現実に即している数少ない点とも言える(ジャンルがジャンルなので100%現実に沿う必要はないのだが)。

○派生
  • M61A2
砲身の肉厚を削り耐久性を犠牲にしつつスピンアップの短縮に成功。
全長変わらずで本体重量が92kg、連射速度が4000発と6600発の選択式となっている。
F-22用。

  • M197
銃身を3本に減らし軽量化したヘリ搭載用。全長は2,100mmと長くなったが、本体重量が60kgとスリムである。反動を抑える為に連射速度は2000発か3000発の選択式。
AH-1コブラシリーズに搭載。

小型簡略化した7.62mm×51弾を使用するモデル。
よくヘリ側面のドアから地面を掃射しているのは主にこれ。
詳しくはワーグナーを聞きながら項目を見て下さい。

  • JM61M
日本で開発された艦載版。ライセンス生産されたJM61A1を元に開発したもの。
海上保安庁の巡視船や海上自衛隊の掃海艇に搭載。
なお発射速度は毎分450〜500発(射撃チャンスの少ない対空用ならまだしも、対地・対艇だとこのくらいの速度が一番扱い易く無駄がないからである)


○主な搭載兵器
JM61A1
F-104(バルカンを初めて搭載)
F-111
F-4E
F-14
F-15
F-16
F/A-18A/B/C/D/ E/F/
F-22:M61A2
F-1・F-2: JM61A1
AC-130スペクター
CIWS(艦載用接近防御火器システム)「ファランクス」
VADS(Vulcan Air Defense System):航空基地防衛用の地対空火器


○バルカン砲とガトリング砲の混同
嘆かわしい事にバルカン砲とガトリング砲が混同されることが多い。リボルバーカノンやチェーンガン等、ガトリング砲ではない機関砲や機関銃全般を「バルカン砲」と称する人もいる。
あくまでもM61ガトリング砲の製品名(愛称)が「バルカン」で固有名詞であり、エロゲ、ギャルゲと違い一般名詞ではない。「バルカン砲」が指すのはM61シリーズのみ。

君たちが「俺の嫁」と言った場合に「特定のお気に入りキャラ」を指すのと同じである。
社名や商標が普通名称として定着する例は枚挙に暇がない*1が、混同するとややこしくなるので注意しよう。

ガンダムシリーズでは「頭部や腕部など、ロボットの内部に搭載可能な比較的小さい砲」をバルカン、
「ロボットの外部に装備する、比較的大きい砲」をガトリングと呼称することが多い。
これは初代ガンダムの頭部に「バルカン」が搭載されていたことからの慣例だと思われる。


○余談
  • 男のロマンとして数ある限り撃ち尽くしたいと思うだろうが、残念かな。砲身の過熱による影響から1回の射撃時間は2秒以内に制限されている

  • F-104に搭載されているバルカン砲は電力駆動の為、射撃時に一瞬コクピットが暗くなる



追記・修正お願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ガトリング
  • ガトリングガン
  • ガトリング砲
  • バルカン
  • 機関銃
  • 兵器
  • 軍事
  • ゼネラル・エレクトリック
  • GE
  • CIWS
  • 艦載用近接防御火器システム
  • ファランクス
  • アメリカ
  • 火と鍛冶の神
  • Vulcan○
  • Balkan×
  • 浪漫
  • YesガトリングYesバルカン
  • ガンシップ

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2022年05月28日 19:01

*1 ステープラーを「ホッチキス」、ポリエステルの布を「テトロン」、ゲーム機ならなんでも「ファミコン」、ロボットアニメなら全て「ガンダム」と呼んでしまうようなもの