アル・アジフ

登録日: 2010/09/19(日) 13:09:14
更新日:2024/03/28 Thu 06:03:39
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アル・アジフ(AL AZIF)とは、ハワード・フィリップス・ラヴクラフトが創始した超巨大複合作品群クトゥルー神話に登場する、最もポピュラーかつ象徴的な魔道書である、『ネクロノミコン』の原題である。

説によっては、「キタヴ=アル・アジフ」や「死霊秘法」「夜の闇の獣の声」「闇の虫」「月の書」などと呼ばれる事もあるが、この項目では「アル・アジフ」と「ネクロノミコン」と呼称する。


『ネクロノミコン』と言う言葉もギリシャ語の「ネクロ(死体)」と「ノモス(掟)」と「イコン(象徴)」の3つの言葉を組み合わせたものであると一般的には言われているが、オーガスト・ダーレスによれば、ローマの占星術研究書『アストロミコン』が元であるとか。


【クトゥルー神話内におけるアル・アジフ】

狂えるアラブ人『アブドゥル・アルハザード』が730年にダマクスクで執筆したとされる禁断の魔道書。
詩集ともいわれ、戯曲という説もある。

そして950年に、コンスタンティノープルのテオドラス・フィレタスによってギリシャ語に翻訳された時に「ネクロノミコン」と名付けられた。

読む者の精神を発狂させるそのおぞましき内容により、ローマの総教主ミカエル・ケルラリウスによって禁書にされた。

しかし、その禁断の知識を求める者達によって秘密裏に閲覧と書写が続けられ、1228年にはオラウス・ウォルテミスによってラテン語に翻訳されるも、教王グレゴリウス9世によって禁書にされている。

その後も、ラテン語の「ネクロノミコン」は15世紀にドイツでスペイン語版が印刷され、16世紀にはイタリアでギリシャ語に印刷された。

現存するものの多くは17世紀のラテン語版で、ハーバード大学のワイドナー図書館、ミスカトニック大学付属図書館、ヴェノスアイレス大学図書館、パリ国立図書館に所属され、15世紀のラテン語版は大英博物館に保管されている。

しかし、現存する全ての「ネクロノミコン」は例外なく一部ないし大部分が欠落しており、完全な写本は存在しないとされている。

個人で所有している「ネクロノミコン」は、エリザベス女王に仕えた17世紀のイギリスの魔術師「ジョン・ディー」の不完全な英語版がアーカム郊外のダンウィチに住む「ウェイトリー一家」に伝わっているものが有名である。

また、「ジョン・ディー」は他にも『ロガエスの書』あるいは『エノクの書』と呼ばれる暗号書も記しているが、これこそが「ネクロノミコン」であるとする説もある。

アル・アジフに記されている代表的な呪文は、「ルルイエの館にて死せるクトゥルー夢見るままに待ちいたり」などと訳される、クトゥルー神話内でおそらく一番有名な呪文


ふんぐるい むぐるなふ
くとぅるぅ るるいえ
うが ふなぐる ふたぐん

である。



作品によってはラヴクラフト自身がこの本を持っているとしている事がよくある。


【TRPG「CALL of CTHULHU」におけるアル・アジフ】

SAN値減少率は判定成功時で1D10。失敗時は2D10に設定されている事が一般的。
研究及び理解の為には平均して約70週間が一般的。
記された呪文は
《アザトースの招来/退散》《クトゥグァの招来/退散》《ハスターの招来/退散》《ニョグダの招来/退散》《シュブ=ニグラスの招来/退散》《ヨグ=ソトースの招来/退散》《食屍鬼との接触》《神格との接触》《Nyarlathothepとの接触》《砂に住むものとの接触》《支配》《アザトースの呪詛》《スレイマンの塵》《古き印》《イブン=グハジの粉》《復活》《萎縮》《ビヤーキーの召喚/従属》《炎の精の召喚/従属》《外なる神の従者の召喚/従属》《ヴールの印》etc

発狂さえしなければ至れり尽くせりの魔道書。発狂さえしなければ。

しかし、完全なものは基本的に登場せず、よく『一部のメモ』や『手書きの不完全な写本』として登場する事が殆どである。


【現実におけるアル・アジフ】

よく、実際存在するとされるが、本物が見つかったという話はまだ無い。
クトゥルー神話は知らないが「アル・アジフ」ないし「ネクロノミコン」の名前は「なんかヤバい本」くらいには世界中に知られており、過去、実際に「ネクロノミコン」のタイトルの本を出版すると、即座に禁書にされた事も。

今、現在ではクトゥルフ神話の“重い”エッセンスとして、カナダ人の「ドナルド・タイスン」の著書『ネクロノミコン アルハザードの放浪』が世界的に高い評価を受けている。

ちなみにこの「ネクロノミコン アルハザードの放浪」が出版されてから暫くしてあの『斬魔大聖デモンベイン』が発売されるという、ある種の運命じみた出来事が発生する。

もし、あなたが本物の「アル・アジフ」を見つけ出したのなら彼女の召喚を試みてみるのもよいだろう。


【日本のオタク文化におけるアル・アジフ】

「アル・アジフ」という名前ではなく「ネクロノミコン」という名前のほうが一般的であり、様々なジャンルに登場する。

前述の斬魔大聖デモンベインにおいては、美少女のアル=アジフが登場したり、テイルズオブシリーズに登場する尻にしかれマンの初期装備が「ネクロノミコン」であったりと、あらゆる作品に登場する『なんかヤバい本』と言えば「ネクロノミコン」である確率が高い。

這いよれ!ニャル子さんにおいては「ネクロノ蜜柑」なる食べ物が登場している。


【アル・アジフが登場するクトゥルー神話作品】

代表的な物のみ紹介する。

「魔宴」
「ダンウィチの怪」
「永劫の探求」
「銀の鍵の門を超えて」
「クトゥルーの呼び声」







以上が私の知る「アル・アジフ」に対する概略である。
私はこの項目を私自身の正気のテストの意味も込めて仕上げた。
この項目を見て私が狂人であるかの判断は私の判断の埒外である。
私は宇宙の秘密を知り過ぎてしまった。
これから先、私はこの世の何もかもに怯えながら、短い生を終えるだろう。

私は「アル・アジフ」はやはり、実在すると考えている。
なぜなら、今まさにこの瞬間も、死せる都の暗黒の深淵にて狂気と狂乱の醜悪なる太古の神々が、正しい星辰の到来を待ち望んでいるからである。

最後にこの項目を作ってしまった事を謝っておく。
私自身、何かに書き記し自分自身の恐怖を少しでも和らげないと狂ってしまいそうなのである。

ゆえにこの項目を見た者は、人の目に触れぬよう慎重に追記・修正をして欲しい。



野良猫の探求者より

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最終更新:2024年03月28日 06:03