グローランサーⅡ

登録日:2012/11/16(金) 15:08:49
更新日:2024/04/01 Mon 21:58:09
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ドラマチックが加速する





グローランサー2とは、アトラスから 販売されたノンストップドラマチックRPGの第二弾であり、グローランサーシリーズの第2作にあたる。対応機種はPS2。
本作より、作画がセルからCGに変更された。


◇概要
1作目の直接的な続編であり、前作から1年後の三国大陸が舞台である(但しランザック王国は空気)。
本作では自身の夢のために奔走する人間たちのドラマが展開されており、引き続き高評価を得ている一方、

  • フィールド画面が廃止され、地図上のポイントを移動する。
  • 主人公が台詞を喋る。
  • マルチシナリオである。
  • シリーズ恒例となる使い魔(妖精)の不在。

など、シリーズの中でも独自色が強い。シナリオの短さもあってゲームそのものの評価はやや低いが、キャラ自体の人気は高い。

なお、周回要素ややりこみ要素もあり、短いながらもしっかりと作られているゲームなので余り時間の取れない人でもプレイしやすいという評価もある。



◇戦闘システム
基本的には前作と同じだが、本作では敵と遭遇すると戦闘画面に切り替わる。
また前作ではランダムで発動していた範囲攻撃などのスキルが特技として任意に使用できるようになった。
一方、敵を倒したキャラクターに多くの経験値が入る仕様となっており、パーティー間でのレベル差が開きやすい。道具も廃止されているため、難易度は高めになっている。


◇リング=ウェポン
本作でパーティーメンバーが使用する武器。念を込めることで使用者に適した武器を作り出すことができる。店で販売されておらず敵を倒した際に入手できる。
これに聖霊石と呼ばれるアイテムをはめ込むことで、属性の付与やステータスの強化ができる。中にはゲームバランスを崩しかねない聖霊石も存在する。
リング自体はバーンシュタイン王国で開発され試験運用中だが、前作に登場したある人物がその筋から入手した横流し品が流通してしまっているらしい。
このシステムはPSP版1を除く以降のシリーズでも用いられている。

◇あらすじ
バーンシュタイン王国最強の近衛騎士インペリアルナイトを目指す少年ウェイン・クルーズは、親友であり政治家のマクシミリアン・シュナイダーから国境で起きた略奪の調査を依頼される。
部下と共に難なく任務を終えたウェインだったが、マクシミリアンの副官から「マクシミリアンが会いたいと言っている」とある場所へ連れて行かれ、その場でマクシミリアンが河川の関を破壊する現場を目撃。
それによって発生した濁流と鉄砲水で下流の村は甚大な被害を受け、その場をローランディアの兵士に目撃されてしまい、関破壊の濡れ衣を着せられた上懸賞金まで掛けられてしまう。
どうにかして無罪を証明する為にもバーシュタイン王国に帰還するが、時を同じくして「帰る場所のない傭兵達に帰る場所を作ってやりたい」
と傭兵国家樹立を掲げるウォルフガングが建国宣言と同時に三国に宣戦布告。更にグランシルがウォルフガングによって占拠されてしまう。
再び戦火が三国大陸を襲うのだった。


◇パーティーキャラクター
ウェイン・クルーズ
CV:今井由香
現インペリアルナイトのリーヴス卿に憧れ、ナイツになることを目指す本作の主人公。
正義感が強く時には命がけで仲間を守る熱血漢だが、一方で他者の理想に感化されて国を裏切るなど若い一面もある。
リング=ウェポンは身の丈ほどある大鎌。大鎌になった理由はリーヴス卿に憧れているからだが、小説版ではある理由でその事を苦々しく思っている。
シリーズ主人公中唯一喋る主人公で、主人公の代弁者でもあるホムンクルスも連れていない。

マクシミリアン・シュナイダー
CV:藤原啓治
ウェインの親友で士官学校の同期だが、卒業を契機に政治家に転向。現在は手腕を評価され、若くして重役を任されている。
両親を戦争で失っており、真面目で争いを好まず、誰よりも戦争を憎んでいる。
序盤のみ仲間となる。リング=ウェポンは片手剣。

ハンス・バート
CV:坂口大助
ウェインの部下で孤児の少年。かつて命を救われたことからウェインを師匠と呼び、彼を追いかけて軍に入隊した。
リング=ウェポンは投げナイフ。攻撃力は低いが遠距離から攻撃出来、硬直時間も短い。
攻撃サイクルが短い分シャルローネより射程は短いが「転移の翼」という聖霊石を装備すると固定砲台化する。
上述した経験値の仕様により、このせいでハンスばかりに経験値が集中するという罠もある。

シャルローネ・クラウディウス
CV:川上とも子
ウェインの部下。インペリアルナイトのダグラス卿に憧れており、自身もある理由からインペリアルナイトを目指している。
貴族の出身で高飛車の気があり、気も強く怒りっぽいが根は繊細で脆い面もある。砂糖を入れないとコーヒーを飲めない。
病弱な弟がおり、弟の治療と彼女自身の夢の為にも無罪の証明に奔走する事になる。
リング=ウェポンは弓。また回復と補助の魔法を得意としている。弓は随一の長射程だが硬直時間が非常に長いので注意。

ゼノス・ラングレー
CV:遠近孝一
前作のパーティーメンバーの1人。現在は傭兵家業からは足を洗い、グランシルを拠点に剣闘士として活躍している。
前作でバーンシュタインにとんでもない損害を与えているが、妹であるカレンが人質に取られ脅されていたなど状況が状況だったせいか、カーマインと並ぶパワーストーン生成の功労者という事で帳消しにされているのか、特に咎められる事はない。
頼れる兄貴分として未熟なウェインたちをフォローする。ウェイン一行の料理当番でもあり、舌が肥えている筈のシャロも絶賛するほどの腕前。
元傭兵という経歴上、ウォルフガングの考えを否定出来ない立場であり、「帰る場所がなく家族もいない傭兵が多い中、帰る場所も待ってくれている人間もいた自分は恵まれている」としている。
リング=ウェポンは両手剣。唯一、自力で魔法を習得できないが聖霊石で多少は扱える(但し魔力の値がべらぼうに低いので期待出来ない)。

リビエラ・マリウス
CV:松井菜桜子
濡れ衣を着せられたウェインたちが、魔物に襲撃されている村で出会った謎の女性。
情報通で獣道にも詳しいが不可解な行動が多い。誰かを待つことにトラウマがある様子。家事が壊滅的に下手。
リング=ウェポンは杖。魔法使いだが、ある程度物理攻撃もこなせる。

カーマイン・フォルスマイヤー
CV:千葉進歩
前作の主人公。ローランディア王国の騎士で、前作の活躍により「光の救世主(グローランサー)」の称号を得ている。
エリオットの要請によりウェイン達一行に加わる事になった。傭兵国ルートでは加入どころか登場もしない。
リング=ウェポンは片手剣で癖のない万能型。序盤で名前を変える事ができ、ティピはいない。

アーネスト・ライエル
CV:置鮎龍太郎
国外追放中の元インペリアルナイト。冷徹ながらも鋼の忠誠心の持ち主。なぜか裸ジャケット。
前作でラスボス側に加担した重罪でインペリアルナイトの地位剥奪と国外追放を言い渡されており、現在は国境付近の森で隠居している。本来死刑でもおかしくないが、エリオットの温情によって今の措置になった。
ウェインとカーマインの説得により仲間になるが、フラグを見落としがち。傭兵国ルートでは戦況が著しくバーンシュタイン劣勢となった為かナイトに復帰した模様。
リング=ウェポンは二本の剣。カーマインと比べてややリーチが長いが硬直時間もカーマインに比べて長め。

ウォーマー・ブルース
CV:岡野浩介
アーネストを仲間にしなかった場合に仲間になるローランディアの警備兵で独特の訛りで話す純朴な青年。
時空制御塔の警備をしていたが、占拠された際に仲間に置いていかれ食料も食べ尽くしてしまい空腹で倒れていたところをウェイン達に助けられる。
ブローニュ村で育った孤児で、アリオストとは同郷で村の出世頭でもある彼にあこがれている。
リング=ウェポンは槍。ダッシュが習得出来ないので足は遅いが打たれ強く力持ち。初期装備の聖霊石が状態異常付与・HP吸収・HP消費で攻撃力上昇と地味にいやらしいラインナップ。

アリエータ・リュイス
CV:笠原弘子
心優しい人格と冷酷な人格が同居したグローシアンの少女。ウェインとは彼が幼い頃に面識があるようだが、その頃から年を取っていない。
ストーリー冒頭でウェインが演奏していた曲は彼女が演奏していた曲で、オカリナも彼女の所有物だった。
複雑な手順を踏まねば仲間にならず死亡する。男臭い傭兵ルートの清涼剤。
リング=ウェポンはオーブ(浮遊ビット)。攻撃魔法を中心に習得する。

セレブ
CV:小杉十郎太
アリエータに付き従う妖狐。何よりもアリエータの安全と平穏を考えており、ある時「アリエータを助けて欲しい」とウェインに助力を要請する。
アリエータが死亡した場合のみ仲間になる。彼女には劣るものの魔法を多く習得し、足も早い。
シリーズで唯一の非人間型の仲間キャラクター。


サブキャラクター
ウォルフガング
CV:志村知幸
帰る宛のない傭兵たちに故郷を作るため、三国に宣戦布告した傭兵団「グランシェンシュトゥルム(輝ける嵐)」の団長。
粗野ながら優れた軍略家としての面も持ち、部下を駒と扱わず、家族同然に接する事もあって部下からも慕われているカリスマ性の持ち主。
ウェインとは彼がハンスを助けた戦闘で共闘しており、ウェインとウォルフガングの間には浅からぬ因縁がある。
+ ネタバレ
本名はレオナルド・ザウアーで、ウェインの生き別れの兄
二人の父、ウィリアムは豪商クルーズ家から名門貴族ザウアー家に婿養子入りした男だが、元々相思相愛の女性が居り、正妻との間にレオナルドを作った後も関係を続け、遂には長男を見捨てて愛人と駆け落ちして次男であるウェインを作ってしまう。
ザウアー家とレオナルドの母はウィリアムの裏切りに怒り狂い、クルーズ家を潰すと同時に、新しく婿養子にとった男にレオナルドを殺させようとするが、間一髪命を拾ったレオナルドはある傭兵に保護されて彼等の息子『ウォルフガング』として生きていく事となった。
義親は彼に武術と戦術を仕込むと同時に、仕事への責任感や仲間達への思いやりなど出来得る限り最善の教育を施すが、なまじ義親が立派な人間だった事からレオナルドに「傭兵を不当に蔑む人間への憤激」まで植え付けてしまうという結果を招いてしまった。
ウェインとの初対面で父の旧名である「クルーズ」の名と父に似た容姿を有するウェインを見て正体に気付いて仲間に彼の素性を調べさせ、遂にウィリアムを見つけ出して復讐を遂げる。
その直前に戦後の混乱に紛れて、母と其の再婚相手も抹殺している。
レオナルドとしては両親に恨みこそあれ、弟に直接の非が無い事は理解しており、兄と言う素性を隠して自分の仲間になるよう勧誘するのだが……

オスカー・リーヴス
CV:うえだゆうじ
現在2人だけになってしまったインペリアルナイトの1人。ウェインの憧れの人物で、その羨望ぶりはリングウェポンの形状に影響を及ぼすほど。
温厚な性格で笑みを絶やさないが、時折腹黒い。
前王のリシャール、元ナイトのライエルとは士官学校以来の友人。競売に出されたライエル所有の別荘を競り落とし、いつ彼が帰って来てもいいようにほぼそのままの状態で残している。

◇登場各国
  • ローランディア王国
前作から引き続きカーマインが士官する国家。前作主要キャラのルイセとウォレスは要職に就いている。
なんと前作国王があの後急逝した*1らしく、年若い後継者によって統治されているが経験不足から悪い意味で血気盛んなので将軍となったウォレスは頭を抱えている。
戦争のノウハウがない事が露骨に悪影響を齎しており、各ルートにおける勢力図で散々な目に遭うことになる。
  • バーンシュタイン王国
本作の主要国家。現在はエリオットによって統治されている。
インペリアル・ナイトがたった2人しかいなくなったこととリング・ウェポンが横流しされ出回ってしまっている等、内政面でかなり苦境に立たされており、戦力補給が急務となっている。
  • ランザック王国
ほぼ登場しない。前作で国がそのまま空中分解してもおかしくない大損害を被ってそれどころではないからか、勃発した戦争にも国として不干渉。
前作で将軍を務めていたウェーバーが傭兵出身という事で思うところがあるのか、それとも国として辛うじて体裁を成しているという状態故に攻め込んだところで旨味がないと判断したのか、傭兵国ルートに於いても目立った損害は被っていない模様。
前作のヴェンツェルによる攻撃時、祝賀パーティーに国の代表として出席していたため、要職で数少ない生存者となってしまったウェーバーが暫定的な国王職に就任したらしい。
  • 魔法学院
前作から引き続き中立機関だったが、傭兵国建国後はグランシル直近の重要施設だったからか真っ先に戦火に巻き込まれてしまう。傭兵国の参加者の中には学生もいる。
  • 傭兵国
ウォルフガングがグランシルを首都として一方的に建国宣言をした国家。帰る場所がない傭兵たちのための国を標榜しており、ウォルフガングがそのまま国王となっている。
前述のように、パーティーメンバーではゼノスだけはその考えを否定してはいないものの、ローランディアにとっては喉元にいきなり敵対国家が生まれたようなものなのでたまったものではない。
士気は高いものの、急拵えの勢力故か小説版での描写では物資の枯渇が尋常ではなく、ウェイン達が決戦に踏み込んだ際にはまともな装備すら行き渡っておらず、傭兵の多くがウェイン達へ特攻を仕掛ける有様であった。

◇各ルートについて

一定の条件を満たすとルートが分岐し、本筋とは異なる結末を迎える事ができる。少なからず仲間と袂を分かつことになるので難易度が高くなっている要因といえる。

正規ルート
ウォルフガングを打ち破り、ラスボスの目論見を阻止するメインシナリオ。
仲間からの告白イベントがあり、ウェインが唯一インペリアルナイトになることができるルート。
男キャラとエンディングを迎えるには女性キャラを全員攻略していることが必須条件。

傭兵王国ルート
ウォルフガングの思想に賛同した場合のルート。分岐条件は正規ルートでインペリアルナイトになれる条件を満たしていること。
国を裏切り、傭兵国のために仲間の大半と敵対することになる。仲間になる女性キャラはアリエータのみという非常に男臭いルート。
展開によってはウォルフガングを蹴落とすこともできる。また、カーマインが登場しない。
このルートでないと分からない真実もあり、また悪ルートというわけでもないのだが、
これまで一緒に戦ってきた仲間の大半と敵対するハメになる為、心情的に選びにくいものがあるルートである。

洗脳ルート
ラスボスの企みを容認した場合のルート。
世界中の人間が洗脳されるというバッドエンドと、途中で誤っていたと思い直しレジスタンスとなったかつての仲間と合流する内容に分かれる。
ハンスのみ復帰せず、ライエルもしくはウォーマーは見落とすと復帰しない。
ハンスの恐ろしさを身をもって味わえます。




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最終更新:2024年04月01日 21:58

*1 前作ラストでカーマインの寿命の問題をパワーストーンで解決した際、その反動を一身に受けたからではないかという説もある