精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(MTG)

登録日:2010/09/22 Wed 17:20:06
更新日:2024/04/19 Fri 22:56:25NEW!
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精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptorは、マジックザギャザリングのワールドウェイクに収録されたカード。レアリティは神話レア。


テキスト

精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor (2)(青)(青)
伝説のプレインズウォーカー-ジェイス(Jace)
[+2]:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーのライブラリーの一番上のカードを見る。あなたはそのカードを、そのプレイヤーのライブラリーの一番下に置いてもよい。
[0]:カードを3枚引く。その後、あなたの手札のカード2枚をあなたのライブラリーの一番上に望む順番で置く。
[-1]:クリーチャー1体を対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
[-12]:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーのライブラリーからすべてのカードを追放する。その後、そのプレイヤーは自分の手札を自分のライブラリーに加えて切り直す。
初期忠誠度:3

概要

頭蓋骨絞め以来のぶっ壊れたカード」と言われる程のカードパワーを持つ凶悪なカード。スタンダードで割りと冷遇されていた青をトップメタに引き上げた張本人。

一言で申し上げれば青のドロー&コントロール能力を体現したお方。
プレインズウォーカー初4つの能力持ちであり、その一つ一つが非常に優秀。


解説

一番目の能力は《消術》または《占術》のようなソフトロック&ドロー補助。
基本的には場に出た直後に使用して忠誠度カウンター5にする他、盤面の優位を得た後に対戦相手を対象に連打し、相手の有効牌を弾いて行動をある程度管理するのに使う。
劣勢側はもしもボードにも手札にも対処できるカードがない状況に陥った場合はデッキから引いてくるしかないが、この能力によりそれも難しくなる。
能力起動、トップデッキ確認からの「そのままで」は人の精神をへし折るには十分な威力。
もちろん必要に応じて自分を対象にし、自分のライブラリートップを確認し、要らないカードを底に送るデッキトップ操作でドローを有利にするという使い方もできる。
得られる忠誠度カウンターが「+2」と、初期忠誠度が3と低いことを加味しても「-1」能力に対して妙に多いのもポイント。


二番目の能力は《渦まく知識》による手札増強。
このカードがいかに優秀であったかはマジックの歴史を紐解けばすぐにわかるだろう。
それがインスタントタイミングでは使えなくなったとは言え、複数回使用できるのは多大なアドバンテージを得る事ができるのは言うまでもない。
単純に自分の手札の質と量が増えるし、3枚も引けるので劣勢の時に出して解決策を探しに行くことも出来る。
これが忠誠度カウンターを減らさずに毎ターン使用できるのはいささかやり過ぎ感が否めない。
デッキトップに無駄カードが貯まってしまうというささやかな欠点も、同時に収録された超お手軽ライブラリシャッフル手段《フェッチランド》で即座に解決可能。
仮にシャッフル手段がなくてもこの能力で実質2枚まで探しに行ける。仮に1度で見つからなくても毎ターンタダで発動できるのでそのうち見つかるだろう。
デッキからのサーチやリクルートを始めとする、特定のカードがデッキ内にあることでシナジーを見出すカードとの相性もいい。
なによりこの能力のおかげで神ジェイスがダブってデッキの回転率が落ちるのを防げるので4積みしやすいのも見逃せない。


三番目の能力は《送還》によるバウンス。
前の二つの能力と噛み合ってこそないが、インスタント抜きにしてそもそもお手軽バウンス自体の使い勝手が良い。
相手のクリーチャーを足止めするのは勿論、自軍クリーチャーのCIP能力*1を使い回したりできる。
なにより盤面に触れる能力は場に居座り続ける事で効果を発揮する類のカードにとってあると無いとでは大違いであり、ジェイス自体に疑似的な除去耐性を与え、盤面に元々いたものや何かの間違いでうっかり着地しちゃった物の処理もこれでできる。
また、破壊を伴わなず呪文ではない除去故に下の環境でよく用いられる荒廃鋼の巨像やエムラクールの耐性を貫通できる他、何らかの理由で呪文を唱えられない場合でも着実に盤面を支配できる。
これだけの性能で忠誠度カウンターが「-1」と少ないのも強み。


四番目の能力である奥義はライブラリーと手札を全破壊。
対象プレイヤーのライブラリーを根こそぎ追放し、代わりに手札がライブラリーになる。
一撃必殺でこそないが、ぶっちゃけ起動したら一撃必勝。
最後の対抗手段である手札を奪い1ターンに1枚ずつしか手に入らない状況に陥れた挙句、仮にそれでも上手く持ち応える事ができたとしても数ターン後のライブラリーアウトが確約される。
そもそもそれまでの手札に対抗手段があったのならば使われていただろうし。
これだけの効果とあって[-12]とコストは非常に高いが、青だけに時間稼ぎ自体は難しくない。
ジェイスのドロー補助とコントロール能力もそれを支えるため、下手すれば戦場から出て最短で起動できてしまったりする。実にとんでもない。


活躍

一枚で相手のドロー妨害、自分のドローサポート、戦場のバウンスコントロールができるだけでも強いのに、そこへフィニッシャーまで兼ねるという強力さ。
このカードの登場で、スタンダードの情勢はまさに一変した。

スタンダードのみではない。エクステンデッド以下の環境ですらこのカードは大暴れし、青の中核となっていった。
広大なカードプールを誇るエターナルでもこのカードを採用したデッキが大規模な大会で幾度となく上位入賞を果たすなど、その存在感を示している。

あまりの活躍っぷりにシングル販売の価格も高騰。高価レアの代名詞である悪斬の天使原始のタイタンを遥かに上回る値段になっている。
下環境でも需要が高いため、スタンダード落ちした現在の方がスタンダード当時よりも高額になるという現象が起こっている*2
当時の値段故に「1万円=1ジェイス」と呼ぶようになっていたのは有名なお話。Foilにおいては日本語版で15万円を超える額となっている。

その後From the Vault:Twentyとエターナルマスターズで再録。さらにレガシーでこのカードを使う代表デッキである「青白奇跡コントロール」が禁止改訂により大幅に力を落としたこともあり、6000~7000円ほどに落ち着いて…………いた。
そう思っていたのもつかのま環境がより高速化した結果モダンにてまさかの解禁。
解禁直後こそモダン環境により適しているとされた同じくコントロールデッキの代表格であるプレインズウォーカー「ドミナリアの英雄、テフェリー」が優先されたため目立った活躍はなかったが、
「終末」*3との相性の良さが知られるやいなや第一線カードに返り咲く。
流石に禁止カード級の影響力はなかったが、テフェリーとはライバルどころか時に同居する程の存在であった。

そのプレイヤーの精神とゲーム環境と財布ポイントを支配し、徹底的に刻む様からついたあだ名はまさに「神」「神ジェイス」であった。


一応、初期の忠誠度が「3」と低い為、低コスト除去でも破壊を狙うことはできるのだが、それはカウンターをすり抜けた時の話である。
それに即+2されたら火力で落とすのも難しくなる。
ルール上、能力起動に対応しても忠誠度カウンターの増減はコストであるため、能力発動の有無に関わらず既に乗ってしまっているからだ。
なので場に出た後の実質的なカウンターの数は「5」だと考えてよい。

例え、MtGをやっていないカードゲーマーでもマスティコアを発掘したセファリッドみたいに「これって、壊れてる」と言いたくなる。


マジックは常に環境を見据えたカードデザインが行われている。次のミラディンの傷痕に果たしてこのカードを抑止するカードが含まれているのか、注目が集まる。

が、

エルズペス、青白ヴェンセール、カウンターを増やす【増殖】……そしてプロツアー2011パリでその力を見せ付けた【Caw-Blade】……

等々、ジェイス率いる青白コンの悪夢はまだ続きそうだったが、大会のトップ8のデッキのジェイス総数が32枚*4という状況を受けて、遂に禁止カード候補に上がり、6/20の発表にて7月以後のスタンダードで禁止指定された。
プレインズウォーカーが禁止カードとなるのは初。

エクステンデッドでも禁止カードに指定され、モダンでも制定時から禁止カードに指定されている。
…が、2018年2月よりついにモダン解禁。モダンの多様性の進化、ゲームスピードの向上が禁止解除に到った主な要因。
青系コントロールが強化されるのは目に見えているが、【デスシャドウ】やら【親和】をくぐり抜けて4ターン目まで生き残れるか、また4ターン目以降に生き残れるかは確かに謎。
とはいっても神ジェイスが弱いというよりモデンという環境の特殊性故と言うべきだが。
ランタンコントロール】がPT「イクサランの相克」で優勝したので、青系コントロールのガードが上がるのは目に見えてるしね*5

その後、灯争大戦という名のプレインズウォーカー大戦隊の登場により、2マナの「レンと六番」や「時を解すもの、テフェリー」を代表とする3マナの軽量プレインズウォーカーの台頭、
さらにあるプロプレイヤーに「神ジェイスを越えた」と言わしめる、3マナでありながら神同様に場に出た瞬間ゲームエンドに至らしめる性能の「王冠泥棒、オーコ」という怪物により、「4マナの神ジェイスすら遅い」と言われる魔境がモダン、レガシーに到来するのであった…。*6

余談だが、本来+2能力は直接的な影響力の少ない「デッキトップから2枚墓地に送る」類の効果になる予定だった模様。
それが最後の最後でテストプレイをすり抜ける形で変更されてしまった結果がご覧の有様である。

と、「神ジェイス使いたいならエターナルやれ」という状況が長らく続いていたのだが、とうとう精神を刻む者、ジェイスが使える環境が新しく誕生した。それは




である。
普通なら何を言ってるんだと言う話だが、なんとあちらとのコラボ企画としてこのカードのDM版が作成されてしまったのだ。(ちなみにボーラス様も一緒にDMのカードになった。)
具体的な性能はここを参照。簡単にまとめるとcipで0、攻撃時に-1の能力が使えるクリーチャーで、こちらでの反省を活かした無難なカードに仕上がっている。




アニヲタは最強の追記と修正で猛攻を仕掛けた。冥殿は興味深そうなふりをした。

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最終更新:2024年04月19日 22:56

*1 Comes Into Play、条件「場に出たとき」の意。転じてその条件で発動する能力を指すこともある

*2 スタンダード時が10000円、2013年5月現在13000円

*3 奇跡を持った全クリーチャーデッキバウンス除去。「デッキトップに置くことで効果を発揮する」奇跡のシステムとの相性の良さを見出された

*4 MTGではデッキに同じカードは4枚まで入れられるので、つまり・・・

*5 PT2日目進出293人中使用者6人で優勝だったので、完全に地雷として炸裂した形

*6 補足すると当時のプレインズウォーカーは4マナ以上が普通、3マナなんて例外である