デッキ構築(TCG)

登録日:2012/04/09(月) 03:36:42
更新日:2024/03/01 Fri 16:20:57
所要時間:約 29 分で読めます





デッキ構築とは、その名の通り対戦式トレーディングカードゲームで遊ぶためのデッキを作ること。

当然ながら、対戦を行うためには自分でデッキを用意しなければならない。
集めたカードの中からルールに基づいて規定枚数のカードを選出し、デッキを作るのはプレイヤーとしての第一歩であり、
同時に、カードゲーマーにとって“魂”と言っても過言ではないデッキを作るのは、ゲームをプレイする上で重要な行為である。

己の知識・愛・情熱を注ぎこんだデッキで勝利を掴むことは、カードゲーマーにとって最大の目標の一つと言えるだろう。

デッキそのものについては項目参照。




【概要】

トレーディングカードゲーム(TCG)の楽しみ方、遊び方は様々だが、大きく分ければ次の二つに分類されるだろう。

一つは、集めたカードの鑑賞や、集める行為そのものを楽しむ、所謂コレクション。
対戦式ではないTCGではこちらが基本の楽しみ方である他、対戦要素のあるTCGでもこちらの楽しみ方を好む者も多い。

もう一つは、対戦要素のあるTCGにおいて、設定されたルールに基づいて多人数での対戦ゲームを楽しむというもの。
こちらでは概ね、プレイヤーはゲームを遊ぶために各々が「デッキ」を作り、持ち寄るのが基本であり、
ルールに違反しないのであれば、どのカードを選抜し、どういったコンセプト(戦術)を選ぶかは個々の自由となる。
自分の好きなカードを主力にしたデッキを組むのも、思い通りの戦術を展開するデッキを組むのもプレイヤーの自由であり、
デッキを組む行為自体も、こちらの楽しみ方の醍醐味の一つと言える。

当然ながら、一度対戦を始めると、終了するまで持ち込んだデッキに入ったカードしか使用できない。
ある程度はプレイングや運、相性といった、デッキに因らない要素で勝敗が左右されることはあるが、
概ね、勝敗を決めるのは互いのデッキの完成度であると言っていいだろう。
故に、対戦で勝利を得ようとするならば、なるべく完成度の高いデッキを組む必要があるのだ。


【必要な能力】

デッキ構築に必要な能力は色々挙げられるが、特に重要な要素を挙げるとするならば、
  • カードおよびルールに対する「知識」
  • 対戦シーンにおける流行に都度対応できる「柔軟さ」
  • 過去の戦績等から今のデッキに必要なものを見極められる「分析力」
……といったところだろうか。あと財力。

「デッキを組む」というのは、つまるところ自分が選んだ切り札を活躍させるための工夫を凝らすことである。
そのためには、どのようなカードがプレイするTCGのカードプールに存在するのか、どのようなデッキが人気なのかを知り、
自分が組もうとしているデッキ、あるいは切り札にしたいカードの長所や短所を見極める必要がある。


興味のあるカードやテーマがあるならば、まずは色々と調べていくのがいい。
大抵のTCGでは有志が運営するwikiがあり、カードに関する情報がまとめられていることが多い。
相性のいいカードや、強力なコンボ、意外な使い道を知ることに繋がるので、一通り閲覧してみよう。

他には、すでに組んだプレイヤーのレシピを見せてもらったり、実際に回している様子を確認するのもいい。
アーキタイプが確立されているデッキならば、初心者でも組みやすいだろう。
動画サイトを覗けば対戦動画がいくつも転がっている。


直接ダメージで勝利する「バーン」や、山札を0枚にすることで敗北に追い込む「デッキ破壊」だとまた違ったノウハウが必要となるのだが、基本となる考え方は同じ。
コンセプトに見合ったカードを探し、色々と組み合わせることでデッキを完成させていくことに変わりはない。


【テストプレイと調整】

こうしてデッキを完成させたら、今度は実際にゲームで使ってみよう
何回か回してみると、枚数が足りないカードや多すぎるカードが分かってくるので、それらを調整していこう。


とにかく、デッキ構築に関して言えば先天的なモノより後天的な、すなわち努力の要素が強い。
すなわち、各カードのデータ及びそのTCGにおけるセオリーさえ知っていれば、
対戦で勝ちやすいデッキを作れるようになるのだ。

……いや、ちょっと待ちなさいそこの初心者。喜ぶのはまだ早い。
断っておくが、あくまで勝ちやすくなるだけである。

というのもTCGというゲームは運の要素が強い物が多く、
どれだけ自分の不利な要素を排除できるかで勝率はかなり変わってしまう。

前述の知識の習得という要素だけでは、せいぜい初心者を卒業したというだけで、
プレイヤー、構築者としての道の一歩を踏み出しただけにすぎない。

次のステップに進むとなると話はまた変わり、また別の能力を求められるようになる。


【メタについて】

TCGは対戦型のゲームであり、メーカーの主催で公式大会や公認大会が実施されている。
友人と気軽に楽しむだけでなく、多くのプレイヤーが集まる真剣勝負で勝利を収めこともまた、TCGの楽しみの1つと言えるだろう。

大会で勝つことを目指す場合、当然ながら「高い勝率のデッキ」が求められる。
大抵はカードパワーの高いカードを優先的に投入することで強力なデッキを目指していくわけだが、それだけでは十分ではない



【個性的なデッキを作るには】

多くのTCGには無数のカードが存在し、それらを組み合わせて「自分だけのデッキ」を組むことも、大きな目標と言えるだろう。
自分がやりたい事、例えばそのTCGの販促アニメキャラが行った強力なコンボを再現したい場合などもあるはず。

そうした場合にもまず重要になるのは知識であるが、
それだけでなく、いくつかのコンボやシナジーを繋ぎ合わせて別の動きに繋げるという発想の飛躍も必要となっている。


他にも高度なデッキ構築について必要なる能力はあるのだが、
説明が更に細かくなってしまうので、以上二つのタイプを中心に進めていく事にする。


【得意なデッキ構築】


前記ではデッキ構築に関してデッキチューナーとデッキビルダー、二つのタイプがあるとしたが、それぞれ得意とされているデッキ構築を挙げる。

まずデッキビルダーだが、自分が気に入ったコンボやセオリーを優先させる傾向が強く、
強力なコンボ・強烈なシナジーによる独特な動きをするデッキを好んで構築する場合が多い。

代表的なのは新規カードによって新たに作れるようになったタイプのテーマデッキや、
環境破壊の代名詞1ショットキルの最速成立を優先したものが多い。

デッキチューナーは勝敗を重視した構築を目指す傾向が強く、その時々の環境を席巻しているデッキの妨害(メタ)を優先したものが多い。

しかし、あくまで勝率を重視している為、メタそのものを軸としたデッキも多い一方、
流行のデッキで勝ちに行った方が早いと判断すれば自らそれらを使用したり、またそれらにメタ要素のチューンを施したりした物を使用する事もある。


【アーキタイプ】


デッキの動きそのものの分類。
TCGの勝ち手段は一つではない。また、同じ勝ち手段を持っていてもその過程が全く違うこともある。
それらの方向性を大まかに分類したものがアーキタイプである。

詳細についてはアーキタイプ(TCG)を参照の事。

ただ、最初からアーキタイプを意識してデッキを組むということはあまりない。
使いたいカードやそれを組みこんで完成したデッキが結果的にどのような勝ち筋を持っているかで、その分類が決まるということである。


【デッキの種類】


大まかに分けて

ガチデッキ
ファンデッキ
ネタデッキ
ロマンデッキ

の4種類が存在する。


当然ながら、ファンデッキとガチデッキにはどちらが優れているかといった差はない
TCGには楽しむための遊びとしての面と、真剣勝負を味わうための競技としての面が存在しており、どちらを重視するかはプレイヤー次第である。
自分の好みに合わないデッキを見かけても、頭ごなしに否定するのは控えよう。

自分がTCGに何を求めているかについてはこちらのページを参考にするといいだろう。


【資産】

デッキ構築にはある意味で最も重要なものがある。それはお金
TCGは子供の遊びという印象を持つ人も多い一方で、高年齢層のプレイヤーが多い理由でもある。
どんなカードであれ、入手にはそこそこお金がかかるのは間違いない。
ショーケースに並んだカードの値札を見て驚いた経験は誰にでもあるだろう。

シングル買いを利用するしないに関わらず、必要なカードを必要枚数集めるのは大変である。
身も蓋も無いことだが、強力なカードを入手するには相応の出資が必要となる*5



【余談】

日本のTCG界に多大な影響を与えた漫画『遊戯王』の原作者高橋和希氏は
勝ち負けを度外視してデュエルの楽しさや、好きなカードを使うことを優先させたエンターテイメントなデッキを『プロレスデッキ』
勝利だけをリスペクトしたガチガチのデッキを『アルティメットデッキ』と呼ぶことを提唱し、
この二種類のデッキが共存していくゲームを目指すと語っている(ザ・ヴァリアブルブック1巻でのインタビューより)。

なお、同じインタビューで、和希氏も本音のところでは『アルティメットデッキ』の方が好きだと語り、
アルティメットデッキでも華麗な勝ち方や、使いたいカードにポリシーがあれば十分エンターテイメントなデュエルができるとも語っている。

プロレスデッキ→ファンデッキ、アルティメットデッキ→ガチデッキと読み替えれば、この話にも大いに納得がいくことだろう。
基本的にファンデッキはガチデッキに比べて華やかな内容になりやすいが、
ガチデッキは周りもガチデッキだらけの中で戦うため、例え強カード群で構成されていても、そこには細かい計算や工夫がなされているものである。

また、ファンデッキとガチデッキにどちらが上かという区別はなく、それぞれ独自の魅力がある。
要は住み分けが大切であり、場所や相手を考えて使うことが無難だろう。
やっているゲームは同じでも目指すべき目標が違うので当然と言える。


TCG以外にもデッキ構築を重視したゲームがあり、それが「ドミニオン」に端を発する「デッキ構築型ゲーム」である。
デッキ構築に自信があったり、デッキ構築のセンスを鍛えたいなら、この種のゲームにも手を出して見てよいかもしれない(勿論、TCGのデッキ構築理論とは大きく異なる部分も多いが)。
ボードゲームのものはTCG同様に複数人で遊ぶことを前提とするが、近年は「Slay the Spire」を火付け役とした「デッキ構築型ローグライク(ローグライト)」なるジャンルの一人用ゲームも増えている。


【最後に】

当然ながらTCGプレイヤーが全てこれらのタイプに分類されるわけではない。
これらはあくまで傾向であり、それぞれの趣味趣向や性格によってデッキ構築されている事は言うまでもない。

ただ、これらのタイプに似た傾向の人は少なくない事は事実であり、初心者等に自分のスタイルを見極める参考になれば幸いな事だ。

また、フリーで1ショットキルを使って一方的なゲームを繰り返す人や、
メタデッキを使って自分のしたい事を全くさせてくれない人と試合をする事になっても、相手やそのカードゲームを嫌いにならないで欲しい。

みんな、そのゲームを楽しみたいだけ。ただそれだけだなのだから。

それさえ理解できていれば怒ったりする事も無いはずだ。
自分が不快な思いをしたのならきちんと相手にその旨を伝えよう。相手もちゃんと理解してくれるはずだ。

お互いを理解できれば、相手のデッキが何をしたくて構築されたのかも理解できる。ひいては、自分のデッキを強化する事にも繋がる。



デッキの構築力は、すなわち自分の理解力なのだから



アニオタ「遊戯ぃ、なんで俺が追記した項目、見にくいんだ?教えてくれよ?」

遊戯「アニオタ君、項目見せて」

アニオタ「あいよっ」

遊戯「…………なぁにこれぇ。強引に追記しただけじゃない!」

アニオタ「ああ、前後の文を修正せずに追記したからな」

遊戯「ダメだよそれじゃあ。アニオタwikiは、追記と修正、このコンビネーションが重要なんだよ」

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最終更新:2024年03月01日 16:20

*1 声優の朗読と生演奏の音楽によるシナリオデュエル。

*2 上記の遊星の場合、アニメ本編で使った自分のカードは勿論、他人の物であるが使った事のあるシグナーの龍や、漫画版で使ったカードにも台詞が設けられている。

*3 似た名前や姿のカードで構築したデッキ。

*4 勝利を求めるネタデッキ自体は成立し得る。

*5 ただし、再録や環境の変化が理由で、かつての高額カードが安価で入手できるようになる事もある。