GUNSLINGER GIRL

登録日:2010/05/22(土) 23:21:02
更新日:2024/01/22 Mon 16:04:06
所要時間:約 7 分で読めます




―少女に与えられたのは、__________
__________大きな銃と小さな幸せ。―


GUNSLINGER GIRL(ガンスリンガー・ガール)は月刊コミック電撃大王にて連載されていた漫画。
作者は相田裕。
元は作者自身の同人活動だったが、商業誌に移籍という形で連載がスタート。

萌え・エンタメ特化の雑誌である電撃大王での連載だが、その内容は幼女が銃を振り回すだけの萌え漫画とは程遠く、人によっては胸糞悪くなる内容も含まれる。
なにしろ主役陣営自体が「行き場のない傷ついた少女に寿命が削れる程の改造&洗脳を施し、戦闘員として前線に出す」という、別な作品なら悪の組織として追及されそうなエゲツナイ所業を行っているので…。
某新聞の書評欄に載った際には、「問題作である。(中略)この物語は私たちを試す。」とかなりドぎついことを書かれた。

イタリアの社会問題、少女の苦悩などシリアスな展開がストーリーをより深いものにした。
複雑な内容の割に読みやすく、引き込まれやすい設定なので、ぜひご一読してみては。


2回アニメ化されている。
GUNSLINGER GIRL(第一期)
GUNSLINGER GIRL-IL TEATRINO-(第二期)

一期は作画が少し微妙だが、音楽が深く、心に染みる。
伏線の回収などもすばらしく、監督たちのこだわりが随所に見られる良作。

二期は作画が少ないが、OP曲ED曲の両方が良曲。
しかし資金不足だったのか、銃声などの効果音の類がチープになってしまったのが残念。また、絵が萌え絵っぽくなっておりファンの間では黒歴史。(ここ重要)
またスタッフや声優が一新された。
これらの変化は一期が好みに合わなかった作者が直接制作に関わった故のもの。
ちなみに作者のインタビューでは開始時に一期の作り上げた物を否定した上で「これが本来のガンスリ」と語っている。
世間的には良作だからといってもそれが必ずしも正しいわけではない典型例である。

◆ストーリー


現代イタリアを中心としたヨーロッパが舞台。
イタリアは国内で地域対立、思想対立を抱えていて、テロ、暗殺などの暴力活動が絶えずおこなわれていた。
政府が運営する公益法人『社会福祉公社』は障害者への様々な支援が目的…
しかしその実態は、身体に重度の障害を持つ少女を集め義体(サイボーグ)化し、反社会勢力の暗殺など非合法活動をしていた。
少女は自由に動く身体を得る引き換えに、自らの危険を顧みることなく、銃を持って戦わさせられる運命を背負う。

~用語~

◆クローチェ事件
当時五共和国派が起こした事件の裁判を担当していたクローチェ検事が殺害されたテロであり、本作に於ける全ての始まりとなる事件。
クリスティアーノ・サヴォナローラの依頼を受けたジャコモ=ダンテが、タオルミーナの別荘へバカンスに向かう途上のクローチェ一家4人が乗っていた車を狙い道路上に爆弾を仕掛け、当時護衛作戦の指揮を取っていたロレンツォ(後の社会福祉公社作戦2課課長)や内務省を嘲笑うかのように護衛の網を掻い潜り爆発。
道路がえぐれる程の威力の爆発によりジョヴァンニ・クローチェ検事と妻で弁護士のカーラ、更に後部座席にいた長女のエンリカは即死。長男の婚約者でありエンリカの隣に座っていたソフィア・ドゥランテは辛うじて息をしていたが搬送先の病院で死亡が確認された。
長男ジャンと次男ジョゼッフォは軍警察の上官に面会を申し込んでおり後から合流する予定だったため難を逃れるものの、この事件への関与を疑われる事になった。
この事件の後、国内で狂騒的な右翼狩りと公職追放が起こったことで多くの無実の人間が職を失うなどの被害を被り、人生を台無しにされた亡霊達が多く集ったのが現在の社会福祉公社である。


◆五共和国派
イタリア北部独立運動の極右テログループ。通称パダーニャ。
イタリアを五つの共和国に分離独立させるのが目的。イタリアの伝統的な地域主義と南北の経済格差問題、欧州に広まる反グローバル主義を背景に持つ。
その根幹から各地域毎の派閥争いが顕著であり、また急速に膨張した弊害かアナーキストや単にテロを愉しむだけの輩も参入しているなど、非常に危うい組織基盤となっている。
現実世界のイタリアでも北部同盟という政党が「三分割、自治権拡大、北部の独立」という主張をしている。
イタリア北部独立運動=五共和国派ではないが、最終的な目標ではある。


◆社会福祉公社
物語の中心メンバーが所属している国家機関。
表向きは義体から得られた技術、データで障害者の福祉を行う公社。実体は国内で頻発する五共和国派によるテロに対抗するための秘密諜報機関。
誕生した切っ掛けは五共和国派が引き起こした上述のクローチェ事件であり、構成員はその余波で公職を追われた者が多い。
その為か物語が進んだ終盤では「打倒五共和国派」という目的を明確化させている。
子供を暗殺者に仕立て上げ、五共和国派のメンバー、それに協力する議員、軍人を暗殺する。
公安部、作戦一課、作戦二課があり、義体の運用は二課が行う。物語の中心も二課である。


◆義体
本作の根幹を為す技術及びその産物
表向きは怪我等で障害を負った人々への治療として開発が進むサイボーグ技術だが、社会福祉公社は「義体技術の実験」と「対五共和国派対策」という理由から、裏でその技術を流用。
事故や事件等で障害を負い心も傷つき、かついなくなっても誤魔化すのに手間が掛からない少女達を「福祉」という名目で引き取り*1、戦闘用の改造を施し暗殺・都市戦闘用兵士とし、
かつ大義名分としては「少女の心を救うため」、実質的には「戦闘員として組織に忠誠を誓わせるため」に「条件付け」と言われる洗脳・記憶封鎖処置を施す事で、公社への反逆を事前阻止することに成功。
但し「条件付け」の副作用による脳への負荷や実験段階にある大規模改造により義体化した少女達の寿命は削られており、作中に登場する義体達は戦闘で死ななくても皆余命数年を運命づけられている。
また、素体となった少女そのものの性格や条件付けの強度次第で精神的に不安定になりやすい場合も多く、スタッフによるメンタルケアは必須となっている。
社会福祉公社そのものが政府直轄の組織とはいえ、義体の改造/メンテナンスコストも非常に高く上層部の悩みの種となっており、当初は負傷した部位の皮膚と筋肉を手作業でまるごと取り替える必要があり、労力と時間の負担が大きかった。
そのため、作中では臓器や骨格の人工物への全置換から補強程度に抑えるなどの改造の工程の簡略化やメンテナンスに於けるマンパワーの削減という点からコストダウンを模索していた。
ぶっちゃけ公社上層部から見ると「消耗品」扱いらしいが、一方で任務の無い時は専用の寮(24時間監視カメラ付き)でそれなりにのんびりとした日常を過ごせ、たまにだが担当官が外に連れ出すこともある。
なお、彼女達の改造および運用の過程で得られたデータは民生の義体化技術へときちんとフィードバックされており、劇中では片足が義足となって間もない少年がサッカーが出来るほど義肢のクオリティが引き上げられている。

義体は総じて身体能力が非常に高く、銃撃を受けても少し怯む程度で一番小柄な義体でも倒されたタンスを片手で支えながら射撃し、高低差のある地形であれば屋根伝いに追跡も目標の可能。改造コスト低減のため、性能が多少抑えられている二期生でもそれは健在。
しかしその頑強さにも限界があり、対物ライフルを始めとした大口径弾による銃撃や至近距離で対人地雷が爆発するなどのオーバーキル級のダメージには無力。また、剥き出しの臓器である眼球への射撃は脳へ直撃してしまうため致命傷となってしまう。


◆条件付け
公社が義体に施す特殊な処置…というより洗脳・記憶封印処置本作の根幹を為すもう一つの技術にして、義体の寿命が短い最大の理由でもある。
義体の脳に薬物・催眠等によって「対となる『兄弟』(フラテッロ)への信愛」・「戦闘に関する躊躇いのなさ」等正の動機を刷り込み、一方で戦闘に必要なく公社に反逆する芽にもなりかねない「過去の記憶」や「余計な感情」等を封印・抑圧。
結果義体達は程度の差はあれ初期設定された『兄弟』こと公社担当官に忠誠と親愛を誓い、『兄弟』のためならどんな死地をも厭わず殺しをも躊躇わず、『兄弟』のために生きることが人生の目的となる。
なお、一度条件付けで設定された『兄弟』の変更は不可能であり、何らかの事情で『兄弟』が死亡し、義体のみが生存してしまった場合は条件付けを書き換えて『兄弟』の記憶を削除する措置が取られる。

だがその副作用は大きく、時間が経過するにつれ以前の事が思い出せない記憶障害や味覚障害等が発生。「条件付け」を強くすればそうした症状への恐れすらも抑圧出来てしまうが、中には薬物自体への依存症になるケースも。
特に初期の義体は条件付けそのものを手探り状態で運用せざるを得なかったため、本編開始時点で他の一期生よりも寿命が短くなっている。
また改造後も負傷の修理やメンテナンス等で「条件付け」用の薬物を使用するため、怪我をすればする程に脳への負荷も増しより寿命が削れることに…。
このリスクを軽減するため、二期生からは条件付けを敢えて軽くフレキシブルなものに変更し、脳への負荷を軽減する方針に切り替えられたが、それでも寿命は10年も持たないとされる。
ただ義体に設定された動機が「担当官への愛情」であるゆえに、そこまで人情を抑圧出来ない一部担当官と義体間では「条件付けによる感情は本心か」なんて疑問も浮上し、1巻ラストでは愛情が暴走したゆえの悲劇が起こったことが判明
また終盤では余命少ない義体の一部に、封印されたはずの過去の記憶がフラッシュバックするという予想外の症状が発生している。

+ そして終盤…
「条件付け」を担当しているベリサリオの発言から、実験段階ではあるが「条件付け」による記憶封鎖を解除するバックドアが設けられていることが判明。
義体の深層心理の中に「ドア」が設けられており、そこに記された複数桁の数字を義体が確認する事で解除されるようで、記憶を文字通り「ドア」の向こう側へ「押し込んでいた」模様。

最終盤、五共和国派との戦いも終結しそれぞれの行く先を模索していた最中、ペトルーシュカの白血病が判明。
彼女の希望もあって実験を兼ねて彼女の記憶封鎖が解除される事となり、嘗て「エリザヴェータ・バラノフスカヤ」だった事、アレクセイという待ち人が故郷のロシアにいること、前向きな性格と高い身長を望んでいたことを思い出し、涙を流した。


~主な登場人物~


◆義体


ヘンリエッタ
主な装備 FN P90
本作のヒロイン。初期は主人公兼ヒロインであったが、中盤からは作品全体が群像劇的側面を強くした為、メインキャラの一人という感じに収まる。
連続殺人犯の一家殺害事件の被害者で、一晩中暴行や強姦を受けて瀕死の状態で入院していたところをジョゼに見初められ義体化。
右目を抉られ、左手の肘から下を欠損し、右足の膝から下も欠損。子宮も摘出されるなど壮絶な一夜を過ごした絶望から自殺を望んでいた。
優秀な義体だがジョゼの方針により『条件付け』を軽めに設定されており、また先の事件の影響と思しき情緒不安定さに加えてジョゼへの愛情交じりの依存心などから暴走しやすい一面を持つ。
全義体中最も耳がいい。また義体になる前はロングヘアーであった。


リコ
主な装備 ドラグノフ CZ75
生まれつき慢性疲労症候群による全身麻痺患者で、11歳の誕生日に義体化され自由を得る。
義体の中で最も強く『条件付け』を受けているが、それが逆に現状に疑問を持たなくて済み、ストレスを感じずに精神的矛盾を抱えて寿命を短くする事を防いでいる。
(命令を厳に遂行する為に作戦時の損耗が少ない=薬物投与も少なく済む、という相乗効果も生んでいる)
明るく好奇心旺盛だが、感情の起伏が少なく作戦中はそれが特に顕著。
狙撃の名手。


トリエラ
主な装備 M1897 P230
金髪ツインテールでややツンデレ気味。
精神年齢が高く聡明で、知識、教養に優れ、義体のまとめ役。
イタリア語、ドイツ語、フランス語とマルチリンガル。高身長で成人女性に変装して任務にあたる事もある。
近接戦闘に長け、散弾銃やサブマシンガン、ナイフや銃剣などを扱う。
アンジェリカと同様、最初期の義体であるが、ヒルシャーの方針と自身の安定した能力から薬物依存は軽度に済んでいる。
義体化以前はチュニジア出身という事はヒルシャーの調査で判明しており、スナッフ・ビデオの被写体として誘拐された被害少女だった。
スナッフ・ビデオの撮影現場に潜入したヒルシャーと当時の同僚、そしてヒルシャーの協力者によって半死半生状態のところを発見され救出、片手足を切断され瀕死の状態だったがツテを辿って公社に担ぎ込まれ義体となった。


クラエス
主な装備 VP70
メガネをかけている黒髪の少女。
読書や家庭菜園等の多彩な趣味を持ちトリエラ以上の知識と教養がある。
トリエラとは相部屋で彼女の愚痴や悩みを聞く機会が多く、女房役のようなものかもしれない。
とある事件が原因でほぼ戦闘行為が出来なくなっており、義体のデータ取りのための実験役になっている。そのため、厳密には一課所属というよりは技術部所属の義体である。


アンジェリカ
主な装備 AUG
黒髪ロングヘアーと小さなリボンが特徴の少女。本名はアンジェリーナで、穏やかな性格。
経営する工場が経営難に陥った両親に保険金目当てに殺されかけるが、一命を取り留め義体となる。
最初に作られた義体で条件付けなどを含めた運用が手探りだったため、薬物中毒や記憶障害などの副作用が強く出て入退院を繰り返している。
末妹的ポジションで、特に発足当初の課員の多くからも愛されていたが、現在は当時の事の多くを忘れてしまっている。


エルザ・デ・シーカ
(CV能登麻美子)
漫画では既に死亡してから登場した。
映像での描写を見る限り、戦闘力ではトリエラやヘンリエッタに匹敵する程だが、担当官との相性が悪過ぎた。
他の義体達との交流は無いに等しく、作戦の前日に話をしに来たヘンリエッタも追い払われた。
担当官を一方的に溺愛するあまり、社会福祉公社を揺るがす悲劇を起こす。


ベアトリーチェ
主な装備 マイクロウージー
担当官はおしゃべりだが反対にほとんど話さない。
かなりの無口だが、アニメ版では腹ペコ属性が追加された。
しかし、全義体中最も鼻が利く。


ペトルーシュカ
主な装備 スペクトラ
物語中盤より搭乗する義体2期生の一人。
ロシアの有名なバレエ学校の生徒だったが、チェルノブイリ原発事故の胎内被曝で骨肉腫になる。
治療のためにイタリアに渡ったが、すでに手遅れで、転移を防ぐために両足切断を余儀無くされ、絶望から投身自殺を図るものの失敗。
意識不明の重体に陥るが実家が彼女の医療費を賄う経済的余裕がなく*2、社会福祉公社が引き取り義体化。2期生最初の義体となる。
地方のテレビ番組で取り上げられた過去がある背景から外見的特徴を大幅に変更せざるを得なくなり、
担当官の意向もあってヘンリエッタ達1期生と違い意図的に高身長かつハイティーンの外見にデザインされたため、変装をはじめとした様々な任務をソツなくこなす。
またバレリーナだった事もあり非常に身体能力も高い。

◇ガットローネ ソニー フレッチャ
ぺトラと同じ二期生の義体。部屋も同室。
ガットローネは黒髪でボーイッシュ、ソニーはブラウンヘアーにそばかすで少しおっとり、フレッチャは金髪で若干キツめな性格。
ペトラとサンドロの恋バナに盛り上がる賑やかし要員といった感じだったが、最終決戦では義体相応の戦闘力で活躍する。

◆担当官


ジョゼッフォ・クローチェ
ヘンリエッタの担当官。通称ジョゼ。
主な装備FN Five-seveN
元軍警察で、作中に発生したテロ「クローチェ事件」の遺族。
疎んでいた家族を一度に喪ったショックとテロへの加担というあらぬ嫌疑を掛けられた事で一時は廃人状態となっていたが、兄のジャンに焚き付けられる形で公社に所属するようになった。
ヘンリエッタに死んだ妹を重ね溺愛しているが、あくまで義体とそれを利用する担当官であり、兄妹もどきでしかないという微妙な関係に苦悩することも多い。


ジャン・クローチェ
リコの担当官。ジョゼの兄。
元軍警察で、第一パラシュート連隊所属の本部付き情報参謀だった。
ジョゼ以外の家族と婚約者をクローチェ事件で失っており、復讐のためジョゼを伴い公社に入った。
義体との関係に悩む担当官が多い中で、完全に道具としてリコを扱う。が、精神安定のためとはいえ彼女を抱き締める、ジョゼとヘンリエッタと共にタオルミーナの別荘で休暇を過ごすなど、不器用ながら完全に突き放す事はしていない。
婚約者を理不尽に奪われた事に起因するテロリストへの憎悪は相当なものであり、暴行や薬物による自白の強制なども辞さない程である。


◇ヴィクトル・ヒルシャー
トリエラの担当官。本名はハルトマン。
元欧州刑事警察機構(ユーロポール)。トリエラ救出の過程で殉職した同僚の遺志を継ぎ、公社に脅迫された事もあってトリエラを見守るために公社に入った。
微妙なお年頃のトリエラとの距離の取り方に苦心しており、任務が完了した際のご褒美にテディベアをプレゼントしているのも「無難なプレゼントだから」という何とも言えない理由故。
同じくお年頃なヘンリエッタとの仲が良好なジョゼに相談することもある。


◇クラウディオ・ラバロ
クラエスの担当官。
ジャンの元上官で、事故による負傷で杖をつく身となり、やむなく退役した軍警察に戻るためにジャンに勧誘され、『3年間勤め上げる代わりに軍警察復帰の口添えをしてもらう』という条件で公社に入った。
趣味は釣りと読書で、これがクラエスにも影響を与えた。
公社のやり方に疑問を抱き事実をリークしようとしたが、“偶然にも”事故死した。


◇マルコー・トーニ
アンジェリカの担当官。
元警察の特殊部隊員だったが目を負傷し退職。
その技術をアンジェに叩き込むが、条件付けの副作用で教えた内容や思い出を忘れていくことを受け入れられず無力感とそれに起因する苛立ちとに苛まれており、現在はアンジェリカの仲は良好とは言い難くなっている。
しかしアンジェが寿命を迎えた時は彼女のために奔走。看取る際に自身のやった事が全てアンジェの中で生きていた事に涙し、謝罪する。


◇ラウーロ
エルザの担当官。原作では死体が映るのみ。ジョゼ曰くエルザには「仕事以外ではまともに取り合わなかった」らしい。
アニメ1期ではその詳細が描かれ、パートナーであるエルザにはひたすらに冷淡・無関心な態度を取っていた。
だがその性格はむしろ陽気で、一見軽薄そうだが、人付き合いを重んじる思慮深い人間。
エルザへの態度は彼女を仕事の道具と割り切るためのもので、義体たちを気の毒がっていたら仕事はできないと語っている。
ある意味で至って「まとも」な感性を持った人物と言えるのだが、それが思わぬ結末に繋がることになる。


◇アレッサンドロ・リッチ
ペトルーシュカの担当官。
元公安の諜報員で、人間観察とナンパの達人。その独特な考え方や技能に2期生のコンセプトが噛み合い、ペトラとは1期生のフラテッロとはまた違った関係を築いている。
師であり伝説的な諜報員の存在が心の「しこり」となっており、ペトルーシュカの外見を注文する際に「赤髪禁止」としたが無視されてしまった。
元諜報員故か、最終盤では他の第一課の課員が重武装を着こなす一方で、サンドロのみボディアーマーと拳銃のみのため、大規模な戦闘を伴う作戦行動そのものには不慣れな様子。




◆五共和国派

ピノッキオ
天才的な殺し屋。生身で唯一義体に土をつけた青年。商品としてある家にとらわれていたが五共和国派のクリスティアーノによって助けられる。彼からは実子のように育てられ忠誠を誓うようになり公社と戦うようになる。
初仕事でやむを得ず少女を殺めたことがトラウマとして残っており、気絶させたトリエラに銃を突きつけるも止めを刺せずに、逃走。後にトリエラと再戦することとなる。


◇クリスティアーノ
五共和国派の一勢力、ミラノ派の中堅幹部。ピノッキオの育て親。ピノッキオを使い派閥の幹部に上り詰める。
自身のミスにより派閥の内ゲバに巻き込まれ公社へ自首を決心するが、損得勘定以上の愛情を注いだピノッキオを想い国外脱出を図る。


フランカとフランコ
主に五共和国派に協力しているフリーの活動家。男女ペアではあるが、恋人でも兄弟でもなく、師弟関係に近い。
極めて有能であるが、自身の美学に沿わない無差別テロや、五共和国派の理念から外れた活動には協力しない一匹狼。


ジャコモ・ダンテ
所属こそ五共和国派だが、実態は闘争それのみを悦びとする危険な活動家。
物語の根幹となる『クローチェ事件』の主犯であり、物語の実質的ラスボス。
単なる戦闘能力だけでも指折りのエリート軍人と真っ向からやり合える能力を持ちながら、
カリスマ・スピーチ・戦術眼・人脈、どれを取っても超一流の才を持ち、闘争においてその才能を発揮する事を生きがいとしている。


イブラフム・アシク
ジャコモの右腕を務める黒人男性。
欧米への留学経験で得た知識と思慮深い性格はジャコモとは正反対で、彼からも「小器用で役に立つ」と評されている。
曰く「中東の地図にすら載らないような小国」の出身で、民族紛争の絶えない祖国を変えるため、自分の祖国の名を知らしめるために比較的大規模な第五共和国運動に参加している。
同時にジャコモから彼の手管を学ぶことも目的としており、彼の影響を受けているのか原発警備司令の家族を誘拐して防衛システムのパスワードを聞き出すなどえげつない事をサラっとやってのけている。




◆民間人


◇エンリカ・クローチェ
ジョゼ・ジャンの妹。作中内ではテロに巻き込まれて故人。
家族愛の強い13歳の少女。サッカー・ハープ・勉学と様々な分野に才を見せ、思考も同世代の少年少女より幾分大人びた才媛であるが、
一方で仕事最優先で自身に構ってくれない家族に対しての愛に飢えている年相応の少女でもある。
家族の中では何かと気に掛けてくれたジョゼの事を特に慕っており、クラスメートからはサッカー選手、ハーピスト、弁護士の何れかの道を進むのだろうと期待されていたが、エンリカ自身はジョゼの影響で軍警察を志していた。
しかし、ある夏に家族とジャンの婚約者のソフィアと共にバカンスへ向かう途上で発生したクローチェ事件に巻き込まれ、首の骨を折って即死した。
回想以外でもジョゼ・ジャンの前にあたかも意志を持った亡霊のように罪の意識として登場している。


◇ソフィア・ドゥランテ
シチリア出身のジャンの婚約者で元軍人。
パラシュート連隊の補給隊として勤務していた所でジャンと遭遇し一目惚れをした。
当初はジャンもまともに取り合わなかったが、持ち前の闊達さを持ってジャンの心を氷解させ、隊内公認の仲となる(その後隊内恋愛は不味いという事で退役)。
同じく気難しいエンリカとも最初は険悪であったが打ち解ける。が、クローチェ一家と共にバカンスへと向かう途中、クローチェ事件のテロに遭い死亡する。


◇ジュリア・アプレア
生前のエンリカの友人。中学生時代はクラスメートだった。
エンリカと同じサッカークラブに所属しており才能もあったが、サッカー一筋の自分に対して諸々の片手間で州選抜に抜擢されているエンリカの才能を見せつけられた事で、エンリカに八つ当たり気味に腐った言動をしてしまう。
その翌日、エンリカが家族とバカンスへ向かった当日に「謝らなければ」と思い直した矢先、両親からの電話でテロが起きたことを知り、謝る事も出来ないままエンリカを喪ってしまう。


◇ロベルタ・グエルフィ
ローマ地検の若手女性検事でクローチェ事件の現担当者。
プライベートではやや気弱だが、検事としては毅然とした態度で悪に立ち向かえる人物。
同事件の担当検事は恫喝と脅しの為に前任者が次々と暗殺されており、彼女もまた標的とされるが、トリエラらの尽力によって暗殺は阻止され、検事として一定の成果を上げる事に成功した。
その後検事としての態度に感銘を受けたヒルシャーと個人的な関係を持つ事となり、ある"秘密"を託される事になる。


◇ラシェル・ペロー
ヒルシャーのユーロポール時代の同僚。
トリエラの素体となった少女が巻き込まれた「カモッラの虐殺」と呼ばれるスナッフ・ビデオ事件で司法解剖を担当しており、児童が犠牲になっている事に心を痛めていた。
ヒルシャーと意気投合して独自に調査し、カモッラの元幹部であるマリオに被害者の救出依頼を受けてアムステルダムの撮影現場に潜入するが、その最中に発生した銃撃戦で腹部を撃たれて重傷を負ってしまう。
医師としての経験から「自分は助からない」と確信したのか、発見した瀕死の被害少女(後のトリエラ)に決死の救命処置を行い、力尽きて昏倒。殉職した。
その直後に現場に踏み込んだマリオの援護を受けてヒルシャー達は脱出出来たが、切迫した状況故にラシェルを抱えて脱出する余裕が無く、遺体すら行方不明となっている。


◇マリオ・ボッシ
カモッラの元幹部。トリエラの愛用するM1897の元の持ち主。
元々所属していたファミリーがスナッフ・ビデオの「被写体」として誘拐した子供を人身売買して資金稼ぎをしていたが、娘のマリアが成長するにつれて罪悪感が増していき改心。
地元警察に通報するが無視されるも、スナッフ・ビデオの事件を独自に追っていたヒルシャー達に逮捕されかけるが、身の上を語った上で彼らにアムステルダムの撮影現場から子供を救出することを依頼し、ラシェルが命を託した被害少女を救出した。
しかし地元警察は昏睡状態から目覚めない少女を証拠品としてしか見ておらず回復も期待していない事を知ったヒルシャーと共に口八丁手八丁で少女を奪取。ツテを頼って社会福祉公社に担ぎ込んだ。
現在はカモッラの裁判で証人となる事を条件にこれまでの容疑を免責されているが、その件でカモッラに狙われているためヨーロッパ各地を転々としている。
また、ヒルシャーにとってはトリエラの命の恩人であると同時にスナッフ・ビデオ事件に加担していた加害者の1人であるため複雑な感情を抱かれている。



―追記・修正をしてくれるのが、私の願いです。―

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • GUNSLINGER_GIRL
  • ガンスリンガー・ガール
  • 相田裕
  • 兵器
  • 漫画
  • アニメ
  • ガンスリ
  • イタリア
  • パスタの国
  • ガンガル
  • テロ
  • 義体
  • 名作
  • シリアス
  • 問題作
  • 神アニメ
  • 03年秋アニメ
  • 08年冬アニメ
  • 鬱展開
  • 涙腺崩壊

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年01月22日 16:04

*1 この時点で少女達は公には「死亡」扱いされており、殆どの場合名前も生身の時とは違うものにされてしまう。義体化以前にテレビで取り上げられた等の理由である程度世間に顔が知れている場合、外見の大幅な改造が行われる。

*2 母親が病床に伏せっていた上、ペトルーシュカの素体となった少女の学費で金銭面が切迫した状態だった