ウルトラマン80(作品)

登録日:2012/09/25 Tue 15:53:26
更新日:2024/02/10 Sat 22:36:59
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桜ケ丘中学校の先生とUGM隊員をかけ持ちする矢的猛。

彼こそ”一生懸命&一生懸命”のウルトラマン80だ!



『ウルトラマン80』とは、1980年から1981年に放送された円谷プロダクション制作の特撮テレビドラマである。

OP曲
前期「ウルトラマン80」(第1話~第39話)
後期「がんばれウルトラマン80」(第40話~第50話)

ED曲
前期「レッツ・ゴー・UGM」(第1話~第39話)
後期「地球人だよ」(第40話~第50話)


【あらすじ】

ウルトラマンレオの活躍により怪獣が出現しなくなって5年が過ぎた。平和となった日本で怪獣出現の予兆を感じる2人の男がいた。
1人は防衛チームUGMのオオヤマ隊長、もう1人は中学校の新任教師・矢的猛である。
矢的は怪獣は人の心から生まれると考え、教育の必要性を感じ教師となったのである。

そして、予兆は現実となり怪獣クレッセントが登場した。UGMが応戦する中、矢的はウルトラマンに変身した。
矢的こそ新しく地球に派遣された新しいウルトラ戦士、ウルトラマン80だったのだ。

怪獣を倒したウルトラマン80。その後矢的はオオヤマからUGMへとスカウトされ、中学教師とUGM、そしてウルトラマン80としての日々を過ごすこととなった。


【概要】

本作は1980年代初にして唯一となったテレビシリーズのウルトラマンであり、タイトルも「80年代の新しいウルトラマン」というストレートな狙いから付けられた。

前作『ザ☆ウルトラマン』が平成シリーズに繋がるシリーズのエポックメイキング作でシリーズの集大成に対し、本作は完全的にシリーズ初期作(第一期ウルトラシリーズ)の原点回帰を目指したのである。

本作の大きな特徴として、ウルトラマンが教師であるというものがある。
これは前々から企画案の1つとしてあったものが、局プロデューサーの橋本氏が80年代に新しいウルトラマン像に必要と推したのと、
3年B組金八先生』に代表される教師物ドラマがブームになったのが後押しとなって実現したものである。

従来のフォーマットに教師物をプラスした新しいドラマは、佳作も生み出した。
しかし、役者の数やスケジュール、ロケ地といった制作コストがかかってしまい、また視聴率も伸び悩んだことから学園ドラマは途中から無かったことになってしまった。

その後、従来のフォーマットによる『セブン』回帰といえるSF調ドラマと、『タロウ』回帰といえる子供ゲストを中心にしたドラマを経てもう1つの特徴であるユリアン登場へ繋がっていく。

ユリアンというもう1人のウルトラマンであり、しかも女性という新キャラを出した終盤では、ユリアン=星涼子に矢的が地球の事を教えながら進行する新しい物語が作られた。
子供ゲストも多く、一部分ではあるが教師篇への回帰が見られたともいえる。

製作に関してはドラマ部分は国際放映が手掛け、ガメラシリーズの湯浅監督を中心に新しいスタッフも多く集められた。
特撮では他作品で技術を磨いた旧来のスタッフが力を奮い昭和テレビ作品最高峰と言える特撮映像を作り上げた(後述)。

しかし、ウルトラマンの活躍を第一に描きたい特撮班と、UGMの活躍も含めて多様に描きたいドラマ班では対立もあったらしい。

作品としては前述のテコ入れや設定変更による迷走が目立ち、一話一話のクオリティは高いものの、通して見るとキャラクターにブレがあったり一貫性が無いものとなった面があるのは否定出来なくなってしまった。


【特撮】

本作は実写テレビ作品としては、特撮のレベルが非常に高いのが有名である。

スター・ウォーズ』に始まるSFブームの最中に製作されたのが大きく、海外SFを意識したようなデザインや演出も多数見られる。
それを支えたのはウルトラシリーズ休止中も恐竜シリーズや『スター・ウルフ』『メガロマン』といった作品で腕を磨いたスタッフである。

メカニック描写では離陸シーンに見られる一連の演出と基地の造型、スペースマミーの巨大感、スピード感溢れる戦闘機の飛行シーン等が素晴らしい。

また殺陣においても、トランポリンを利用した軽やかでダイナミックなアクションが多数見られた。

これら特撮シーンはアナログ特撮の最高峰ともいわれている。


【登場人物】


◆矢的猛
ウルトラマン80の人間体であり、中学教師でUGM隊員である。
教師としては「一所懸命」をモットーに生徒と体当たりで向き合う熱血教師である。
この姿勢は学校篇が無くなった後も後半の子供がゲストの話でも見られている。
UGM隊員としても熱血漢ではあるものの、ウルトラマンとしての視点からの意見や考えも多く見られていた。
終盤では本来宇宙人である自分が地球ではどう過ごすかといった事も考えており、初めて地球で過ごす事となったユリアンを導くことも多々見られた。
好物はオレンジジュースオムライス

●桜ヶ丘中学校
矢的が赴任した中学校。
矢的は1年E組の担任と理科系の科目を担当している。

◆校長
穏やかで飄々としてはいるが気配りはしっかりとしている。中学校で矢的がUGMも兼任していることを唯一知っている。

◆教頭
女性の教頭で、口うるさいややステレオタイプな人物だが悪い人物でもない。

◆相原京子
美人な体育教師で矢的の想い人である。緩やかな進展も期待できたが、学校篇終了でそのままになってしまった。

◆ノンちゃん
中学の事務員で、誰とでも仲良くなれる人気者。
地球防衛軍にそっくりさんがいる。呼び名は演者のものをそのまま使用している。

●1年E組の生徒
レギュラー4人組は通称があり、ほとんどそれで呼ばれる。

◆博士
その名の通り、インテリで理屈っぽい。矢的を狙って転校してきたビブロス星人のミリーと交流したことも。

◆スーパー
父がスーパーの店長だからスーパーで、本名は中野ススム。
母を亡くし父と姉との3人暮らしだったが、姉を結婚出来るように父が嘘の再婚話をした時に問題が起きた時も。

◆ファッション
おしゃれに関心が強い4人組の紅一点。4人の中ではツッコミ役が多いが主役篇が無かったままだった。

◆落語
落語が好きで何か発表する時は落語調で話すことも。4人の中ではボケ役が多い。

UGM
UGMで矢的と共に戦う仲間達。詳しくは項目参照。

◆星涼子
ウルトラの星の王女ユリアンで、ガルタン大王の地球来襲を伝えるために地球に来訪したが、宇宙船が墜落し記憶喪失となってしまった。
その際に城野隊員に世話になり、仮の名前として星涼子という名をもらった。

記憶は戻るが城野隊員は死んでしまったため、そのまま地球に城野隊員の代わりにUGMに入った。

地球での暮らしにはなれてないため、矢的が地球で過ごすための知識や心構えを教えていった。また、自分が倒れた際は代わりに地球を守って欲しいとも言われていた。

また、80には好意があったらしく、地球で矢的が女性と絡むとやきもちをやくことも。

後に演者はスーパー戦隊シリーズダイナピンクや敵幹部のレー・ネフェルになった。


【余談】

  • 『ザ☆ウルトラマン』と同様、やたらとナレーションの挿入頻度が高く、作品全体の特徴となっている。

  • 放送局も取り扱っている題材も同じであるせいか、「学園ドラマ」編で生徒役として出演していた子役に、その後『3年B組金八先生』の生徒役としても出演していた者が2人存在する。
    第3話でゲスト生徒として出演していた子役もまた、金八先生の次番組『1年B組新八先生』にレギュラー出演している。

  • 再放送の回数が少なかったことや劇中でウルトラ兄弟に入らなかったことからか、後の扱いが微妙に悪い。
    シリーズ休眠期に製作されていた総集編的作品や雑誌展開では殆どウルトラ兄弟の一員として見なされていたが、映像作品で正式にウルトラ兄弟九男と明言されたのは『ウルトラマンメビウス』客演以降から。
    • なお、初期設定ではウルトラ兄弟に加わるまでの過程が描かれる予定だったらしく、それを示すかのように当時の番宣ポスターにもゾフィーからレオまでの姿が掲載されていた。ここでもハブられるアストラ……
    • ちなみに、漫画こちら葛飾区亀有公園前派出所』第50巻の「クイズDEお金もち」にて、クイズマニアの家で「ウルトラ兄弟の名を全部いいなさい!」と問題を出された両津勘吉が正解を出す場面でも80の名は含まれていなかった。
    • その『メビウス』での客演回「思い出の先生」はその内容から実質的な本作の第51話にあたり、本作の路線変更さえプラスに活かしてストーリーを補完した理想的な後日談として、ファンからの評価は非常に高い。

  • 最終回サブタイトル「あっ!キリンも象も氷になった!!」であることは特撮ファンにはあまりにも有名だが、本作終盤は笑ってしまうようなサブタイトルがこれ以外にも結構あったりする。
    なお、最終回のタイトル自体は緩すぎるものが、エピソード自体はUGMに身を置いた矢的猛の物語として見れば熱い展開で大団円を迎えている(マーゴドンの項目も参照されたし)。

  • ウルトラシリーズの映像ソフトでお馴染みEMOTIONからVHSがリリースされたのは、そろそろDVDの時代も近づこうという1998年ごろ(一応、他社でソフト化されたことが過去にある)。
    必然的にDVD化も遅く、しかもボックスセットとしての発売からスタートしたり、FEシリーズでも当初は隠しキャラとして登場したり、実写テレビシリーズの主役としてはゲームや玩具でのラインナップも登場回数が少なかったりする。

  • 5年間怪獣が現れなかった期間は1975年3月に『ウルトラマンレオ』が「さようならレオ!太陽への出発」で円盤生物ブラックエンドを倒してからの月日である。
    キャッシーが『帰ってきたウルトラマン』に登場した爆弾怪獣ゴーストロンに似ていると指摘される(ゆーてほとんど似てないけど)など過去作との繋がりが間接的に明示されている。

  • 最終回で「2人は地球での思い出を胸に焼き付けるため 地球最後の1日を思い切り楽しむことにした。ウルトラマン80の物語は今、終わろうとしている。だが、我々のために新しいウルトラマンが きっとやって来るに違いない。ウルトラの星がいつまでも輝き続ける限り」とナレーションされた通り、テレビシリーズは『ウルトラマンティガ』まで16年間の休止に入り、80の後を継いでM78星雲・光の国から来たウルトラマンはウルトラマンメビウスまで25年待つことになった。


  • 当時PTAに嫌われていた作品でもある。会報誌にまで書かれた。論文付きで。「教師のくせに防衛隊にいるとはけしからん」だのなんだの……
    具体例がすごい。ある回は何分後に怪獣出現、どれくらいで防衛隊出撃、怪獣が何発殴ったか、何発80が殴り返したか、どんな必殺技で倒したのかも克明に書いた。
    どこの同人誌? いいえPTA会誌です。



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最終更新:2024年02月10日 22:36