クィディッチ

登録日:2009/08/09 Sun 13:48:11
更新日:2024/02/17 Sat 21:22:04
所要時間:約 7 分で読めます




『クィディッチ』とは『ハリー・ポッターシリーズ』に登場するスポーツである。

1チーム7名(キーパー1・シーカー1・ビーター2・チェイサー3)で2チームによる球技で、3種類・計4個のボールを用いて得点を競う。
試合は箒に乗って空中で行われ、選手が着地できるのはタイムをとった時に限る。
主人公ハリー・ポッターいわく、「6つゴールがあって箒に乗ってプレイするバスケットボールのようなもの」。


【ボール】

○クアッフル

1個使用。最も基本的な革のボール。バスケットなどのボールと考えてもらえばわかりやすい。
チェイサー(後述)はこのボールを用いて攻撃を行う。
相手チームの3つのゴール(輪っか)に入れると10点が加えられる。
他のボールと違って自ら動くことはないが、これでも「握りやすくなる呪文」「ゆっくり落下する呪文」などがかけられていたりする。

昔はゴールはバスケットだったが、自チームと相手チームのゴールで網目が不均等という不公正な事をやらかすチームが多発したため、現行の輪っかになった。


○ブラッジャー

2個使用。クアッフルより少し小さい鉄製の暴れ玉。決して下着ではない。
魔法で縦横無尽に飛び回り、近くにいる選手を箒の上から叩き落としにかかる。
ビーター(後述)はこのブラッジャーをバットで打ち返す。


○スニッチ

1個使用。とにかく小さく、すばやく飛び回る金色のボール。時折「金のスニッチ」と称される。
シーカー(後述)はこのスニッチを探して飛び回り、捕まえるのが役目。
スニッチの確保を以て試合は終了、捕まえたチームには150点が加えられる。
学生チーム同士の試合では、両チーム共のシーカーの実力不足によりいつまで経ってもスニッチが捕まえられず、試合が数ヶ月に渡って行われたこともあると言う。
7巻では重要な役目に。

昔は「スニジェット」という鳥を使用していたが、乱獲されて絶滅危惧種になったため、よく似たスニッチが鋳造されるようになった。




【選手・ポジション】

○シーカー(Seeker)

スニッチを捕まえる役割をもつ。シーカーに選ばれる選手は小回りが効いて、上手く飛べる人物が多い。
クィディッチの花形ポジションであるが、同時にもっとも重傷を負いやすいポジションでもある。

主な選手


○チェイサー(Chaser)

クアッフルを用いて攻撃をする。

主な選手
  • マーカス・フリント
  • アリシア・スピネット
  • アンジェリーナ・ジョンソン
  • ケイティ・ベル
  • ジニー・ウィーズリー
  • ジェームズ・ポッター(原作のみ、映画ではシーカー)


○キーパー(Keeper)

自分のチームのゴールを守る。また、クアッフルを持って得点することもできる。

主な選手


○ビーター(Beater)

ブラッジャーを打ち返し、相手チームの邪魔をする。また、同時に味方チームをブラッジャーから守る役割も担う。
なので、体力的に相当厳しいポジションである。

主な選手


【ルール】

どちらかのシーカーがスニッチを捕まえるまでひたすらクアッフルを奪い合いゴールに投げ入れる。
点数の多いチームの勝ちだが、スニッチを獲ると150点入るので、実質スニッチを獲った側の勝ち。
ただし、当然ながら得点が相手チームより160点以上低いとスニッチを捕ったのに負けになってしまう。
劇中では点差が付き過ぎて最早逆転は不可能という判断から敢えて逆転不可能な状態でスニッチを捕り自ら敗北を選ぶという場面が描かれた事がある。

なお、選手交代は認められておらず、シーカー以外はスニッチを獲れないルール上、両チームのシーカーがリタイアすると実質試合が終わらなくなってしまう。その場合は両チームのキャプテンが合意すれば試合終了とすることもできる。

『クィディッチ今昔』によると反則規定は700ほどあるが、
完全なリストは、そこから選手たちが「ヒントを得る(=反則ギリギリのラフプレイを実行する)」可能性を考慮し、一般には公表されていない。
(尤も、90%は「選手・箒・審判・観客・ボールに対して杖を使ってはならない」というルールに引っ掛かり、残りも「箒に火をつける」「斧で相手を攻撃する」など、普通は思い付きもしないものばかりだが。ちなみに万が一の護身目的でのみ杖携帯は可能)
また、劇中本編のおよそ500年前のクィディッチ・ワールドカップで、この約700の反則全てが一度の試合で発生した事がある。
この試合記録が詳細に残っているなら上記の反則リストが公開されていない事が問題にならないはずだが、
何らかの理由で詳細が散逸したか、上記の問題を避けるため意図的に詳細を破棄して「そのような事があった」事だけを記録に残したか、
或いはここでいう反則規定とは「どこまでが許容されるか」という基準を指しているとも考えられる。
実際劇中描写でも、反則とされる衝突目的の飛行についても側面からの体当たり程度は多くの場合許容されており、
コビングに対して「あれは過度な肘の使用には至らないはずだ」と審判に文句を付ける場面も描かれている。


○代表的な反則


  • ブラッギング
相手の箒の尾を掴んでの妨害。

  • ブラッチング
わざと衝突目的で飛ぶ。

  • ブラーティング
相手をコースアウトさせるために箒の柄を掴んで固定させる。

  • バンフィング
ブラッジャーを観客に打ち込む。

  • コビング
相手に過度に肘打ちを行う。

  • フラッキング
ゴールの輪の中に身体の一部を入れてゴールを守る。

  • ハバーサッキング
クアッフルを持ったままゴールの輪に手を入れる。

  • クアッフル・ポッキング
クアッフルに何らかの加工(穴をあけて不規則に動くようにするなど)を施す。

  • スニッチニップ
シーカー以外がスニッチに触れる。

  • スツージング
スコアエリアに2人以上のチェイサーが同時に突っ込む。
かつてはチェイサーが2人で相手キーパーを打ちのめし、その間に3人目が得点することが割とあった。


ブラッキングは3巻で実際にマルフォイがハリーに対して実行。
これを目の当たりにした審判担当のマダム・フーチが激高し、実況担当のジョーダンもマルフォイを「ゲス野郎、カス、卑怯者」と散々に罵倒。
普段は彼を諫めるミネルバ・マクゴナガルまでもが怒りの絶叫を挙げたほどだった。
(なおマクゴナガルは、その少し前のスリザリンのファウル(相手選手の髪を掴んで引っ張る)に対してジョーダンが罵倒した際には「公平中立な実況をしろ!」とジョーダンを叱りつけている。そんな彼女が怒りに我を忘れるレベルだということである)
観客席もスリザリン寮以外の全生徒たちが大ブーイングを轟かせているが、スリザリンだけはかえって意気軒高になった。



【世界での流行】

チーム名は一部の例外を除き、略称が特定の単語を二つ使って韻を含ませたものとなっている。

○ヨーロッパ

14世紀ごろにはアイルランドやノルウェーで定着していた。1473年からワールドカップが行われているほか、3年ごとにヨーロッパ杯も開催されている。

代表的チーム
  • アップルビー・アローズ(イングランド)
  • バリキャッスル・バッツ(北アイルランド)
  • ケアフィリー・カタパルツ(ウェールズ)
  • チャドリー・キャノンズ(イングランド)
ロン・ウィーズリーがファンのチーム。リーグ優勝は21回だが、1892年を最後に100年以上優勝を逃している。
  • ファルマス・ファルコンズ(イングランド)
  • ホリヘッド・ハーピーズ(ウェールズ)
魔女のみのチーム。ジニー・ウィーズリーはホグワーツ卒業後、このチームの選手となった。
  • ケンメアー・ケストレルズ(アイルランド)
  • モントローズ・マグパイズ(スコットランド)
  • プライド・オブ・ポーツリー(スコットランド)
  • パドルミア・ユナイテッド(イングランド)
  • タッツヒル・トルネードーズ(イングランド)
  • ウィグタウン・ワンダラーズ(スコットランド)
  • ウイムボーン・ワスプス(イングランド)
  • ヴラトサ・ヴァルチャーズ(ブルガリア)
  • クィベロン・クアッフルパンチャーズ(フランス)
  • ハイデルベルグ・ハリヤーズ(ドイツ)
  • ビゴンビル・ボンバーズ(ルクセンブルク)
  • ブラガ・ブルームフリート(ポルトガル)
  • グロジスク・ゴブリンズ(ポーランド)
  • カラシオック・カイツ(ノルウェー)
  • ゴロドグ・ガーゴイルズ(リトアニア)

○オセアニア

17世紀の調査遠征時に伝わった。
無人の土地が多く、クィディッチには理想の環境。

代表的チーム
  • モウトホーラ・マカウズ(ニュージーランド)
  • サンデララ・サンダラーズ(オーストラリア)
  • ウロンゴング・ワリヤーズ(オーストラリア)

○アフリカ

ヨーロッパほどではないが普及しつつある。
特にウガンダはクィディッチ熱が高い。

代表的チーム
  • パトンガ・プラウドスティックス(ウガンダ)
  • チャンバ・チャーマーズ(トーゴ)
  • ジンビ・ジャイアント・スレイアーズ(エチオピア)
  • サンバワンガ・サンレイズ(タンザニア)

○北アメリカ

偏見を逃れてやって来た新世界では、何事にも慎重でありクィディッチ普及に歯止めがかかった。
派生スポーツ「クォドポット」の影響で合衆国の国際級チームは少ない。

代表的チーム
  • ムース・ジョー・メテオライツ(カナダ)
  • ヘイリベリ・ハンマーズ(カナダ)
  • ストーンウォール・ストーマーズ(カナダ)
  • スィートウォーター・オールスターズ(アメリカ)
  • フィッチバーグ・フィンチズ(アメリカ)

○南アメリカ

全域に広がっているが、北と同じくクォドポットと競争せざるを得ない。
現在の注目株はペルー。

代表的チーム
  • タラポト・ツリースキマーズ(ペルー)

○アジア

飛行手段は空飛ぶ絨毯が一般的なので、各国魔法省は普及を疑問視している(個人レベルではファンも多い)。
諸外国にはまだ及ばないレベルだが例外的に、魔法使いかマグルかを抜きにして海外文化を積極的に取り入れ続けてきた日本では着実に人気を上げている。

代表的チーム
  • トヨハシ・テング(豊橋天狗)(日本)
本拠地は愛知県の豊橋市。原作の約100年前が舞台の『ホグワーツ・レガシー』で日本人の職員が言及している事から少なくとも1800年代には存在した模様。
切腹を表現しているのか、負ける度に使用した箒を焼却処分する変な習わしがあるが、傍から見れば木材の無駄遣いでしかないため国際魔法使い連盟クィディッチ委員会からは睨まれている。
選手はマホウトコロの、近くにマグルの飛行場がある事から人目から隠れなければならない事や、嵐の中でも練習を行うハードな環境で鍛えられた事で、
2014年ワールドカップ第3位、2016年チャンピオンリーグ優勝という優秀な成績を収めたアジアの強豪チームとなっている。

ちなみに豊橋の吉田神社は手筒花火発祥の地とされ、豊橋市では1996年より毎年炎の祭典というお祭りが開かれている。



【余談】

実はファン考案の「現実のスポーツ」としてのクィディッチこと「クアッドボール」(Quadball)という競技が存在する*1
当然ながら魔法を前提としたルールや道具などはラグビーなど様々なスポーツを参考にマグル向けに変更・簡略化されているが、箒はちゃんと股に挟んでプレーする
元ネタが有名なためかマイナースポーツとしては結構普及しており、日本でも大会が開かれる程度には競技人口がある。




追記・修正は腰に小さいボールをつけて走る人を両足の間に箒を挟んで追いかけながらお願いします。

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最終更新:2024年02月17日 21:22

*1 名称が原典と違うのは「クィディッチ」がワーナーの登録商標になっていた影響(スポンサーや放映権に制約があった)。2022年7月に改称、諸問題も解消された。