鋼殻のレギオス

登録日:2009/07/31(金) 23:41:49
更新日:2023/05/24 Wed 09:23:50
所要時間:約 7 分で読めます




レーベル:富士見ファンタジア文庫
著者:雨木シュウスケ
イラスト:深遊
全25巻


荒廃して人が住めなくなった大地に無数の移動する都市が行き交う遥か未来の世界を舞台に、
都市を守るために戦う「武芸者」としての道に挫折した主人公の少年レイフォンが、
仲間との交流や様々な事件を通じて自身の進むべき道を模索する姿を描く。

レイフォンをはじめとする学園都市に生きる少年少女たちが自らの道を模索する姿と、
徐々に明らかにされる荒廃した世界のルーツを物語の主軸として、
超人的な能力を持った武芸者同士や巨大な怪物「汚染獣」とのアクションシーンや、レイフォンと彼を取り巻く少女たちとの恋愛模様が物語に華を添えていく。

外伝として本作の過去世界を描いた『レジェンド・オブ・レギオス』と裏事情を描いた『聖戦のレギオス』があり、本編でも終盤にて2作のキャラががっつり登場している。



【あらすじ】
槍殻都市グレンダン出身の武芸者の少年、レイフォンは、とある出来事がきっかけで故郷の都市を追放される。
武芸を捨て、新たな道を探すために学園都市ツェルニの一般教養科に入学したレイフォンは、
入学式で起きた騒動に係わったことで武芸科への転科を余儀無くされる。

レイフォンは当初、一般教養科に戻りたいがために手を抜いていたが、
所属することになった自衛小隊「第17小隊」の隊長ニーナの強い意志に惹かれ、新しい道を探す場所を守るために戦うことを決意する。




【用語】
◆学園都市ツェルニ
学園都市連盟に加盟する学園都市の1つ。
6年制で、普通の勉学を学ぶ一般教養科や武芸者を育成する武芸科を始めとした様々な学科があり、約6万人の学生が住んでいる。
武芸大会や汚染獣の襲撃に対する戦力の中核となる存在として、武芸科の中でも特に優秀な生徒を集めた「小隊」が組織されている。


◆槍殻都市グレンダン
世界で最初の自律型移動都市。主人公レイフォンの故郷。
移動半径内に大量の汚染獣が生息しており、本来汚染獣を回避して移動する自律型移動都市としては異常なほど汚染獣との遭遇率が高い。
その環境のために武芸が発達しており、武芸の本場としても名高い。
また、天剣授受者と呼ばれる超絶的な実力を持った武芸者が最大で12人存在する。


◆武芸者と剄
武芸者は通常の人間と身体構造が異なり、腰の辺りに剄を大量に発生させる「剄脈」と呼ばれる器官を持ち、
そこから剄の通り道になる「剄路」と言う管が神経と並行するように全身に伸びている。
汚染獣に対抗するほぼ唯一の力である剄は「汚染された大地で人間が生きるために授けられた天の恩寵」として神聖視されており、
武芸者には強さのほかにも神聖な力を扱うに相応しい「品行方正さ」が求められる。
以上のことから、武芸者には比較的裕福な者や、プライドが高く潔癖な者が多い。

剄脈で発生した剄は剄路を通ることで肉体のあらゆる能力を強化する力へと変化し、体外へ放出されると破壊力を持った衝撃波へと転ずる。
前者は「内力系活剄(ないりきけいかっけい)」、後者は「外力系衝剄(がいりきけいしょうけい)」と言う技術として体系化されており、様々な派生技術がある。
このほか、気配を消す「殺剄」や、剄に特殊な変化を加える高等技術「化錬剄」などの技術があり、武芸者はこれらの技術を駆使して戦う。

◆錬金鋼
多くの武芸者は「錬金鋼(ダイト)」と呼ばれる特殊合金を武器とする。
錬金鋼を武器に復元する際の音声信号には専ら「レストレーション」と言う語句が用いられる。


◆汚染獣
汚染獣はほとんどの生物にとって害である汚染物質を栄養として取り込むことができ、繁殖を繰り返して世界中に大量に生息している。
汚染物質よりも効率的な栄養源として人間を喰らうために都市を襲撃することがあり、都市が汚染獣を回避し切れないときは武芸者が撃退する役割を担う。

しかし、汚染獣は個体ごとの力が非常に強く、武芸者が単独で汚染獣を撃退するのは不可能に近いため、襲撃を受けた都市は基本的に総力を上げての対処が迫られる。



【登場人物】
※声優はアニメ、ドラマCDの順番





◇シャーニッド・エリプトン
CV:谷山紀章 / 小野大輔
第17小隊の狙撃手を務める武芸科の4年生。長身と後ろでまとめた長髪が特徴の青年。
外力系衝剄による銃撃と殺剄が得意で、狙撃手としての腕前はツェルニでもトップクラス。


◇ハーレイ・サットン
CV:阪口大助 / 喜安浩平
第17小隊の錬金鋼の整備を担当する錬金科の3年生。ニーナとは幼馴染。
彼の開発した複数の錬金鋼の長所を併せ持った武器を復元できる「複合錬金鋼(アダマンダイト)」は、
レイフォンが汚染獣と戦う際の主力武器となる。


◇メイシェン・トリンデン
CV:大亀あすか / 後藤沙緒里
一般教養科の1年生。人見知りで引っ込み思案な少女。菓子職人が将来の夢で、料理とお菓子作りが得意。
入学式で武芸科の新入生が騒動を起こしたときに助けられたことから、
レイフォンに好意を抱いているが、その性格が災いしてなかなか気持ちを表せずにいる。
後半では謎の転校生少女「ヴァティ・レン」が彼女の恋模様を観察しており、意図せずしてメイシェンの行動とその結果は、「叶わぬ思いと遠い日の責務」に捕われ続けるヴァティの心を密に揺らす事になる。
作中屈指の巨乳の持ち主。
ちなみにアニメ版の声の人はその後レイフォンの声の人と結ばれたと分かったが、結婚判明の理由がかなりアレだったのは別の話。

◇ナルキ・ゲルニ
CV:大浦冬華 / 甲斐田裕子
武芸科の1年生。色黒で長身の少女。将来の夢は警察官で都市警察に所属している。

◇ミィフィ・ロッテン
CV:仙台エリ / 新谷良子
一般教養科の1年生。新聞記者になるのが夢。
ナルキ・メイシェンともどもレイフォンのことを「レイとん」と呼ぶが、その命名者は彼女。

◇カリアン・ロス
CV:子安武人 / 平川大輔
ツェルニの生徒会長。司法研究科の6年生
フェリの兄で、彼女とは対照的に常に愛想笑いを浮かべている美青年。
レイフォンの素性を知っており、次の武芸大会で後が無いツェルニの現状を打破するために、
フェリやレイフォンを武芸科に転科させ小隊へ入隊させた。
そのためフェリに恨まれているが、彼なりにフェリに対する愛情は持っている。

都市の最高責任者として都市の存続を第一に考える冷徹さと狡猾さを持つ一方、教育機関の最高責任者として生徒を守ることも忘れない。
……実はジャイアン級の音痴。

◇リーリン・マーフェス
CV:高橋美佳子 / 浅野真澄
レイフォンと同じ孤児院で育った幼馴染。活発で社交的な性格でスタイルも良い美人。
レイフォンにただの幼馴染以上の感情を持っており、レイフォンがツェルニに行った後も頻繁に手紙のやり取りをしている。
…が、中盤にて実はグレンダン王家の血を引く一人にしてそこに流れる「ある力」の継承者と判明。
その力のせいで「グレンダンで世界の危機に立ち向かう」ことを義務付けられた事から、「関係ない」レイフォンを突き放して遠ざけてしまうが…。
なお全てが終わった後でちゃんと仲直りしているが、結局恋心的な何かはなくなり普通の幼馴染関係に戻っている。

◇アルシェイラ・アルモニス
CV:渡辺明乃
グレンダンの女王。
女王としての日々に退屈を感じており、たびたび執政権を天剣授受者の1人であるカナリスに預け、
「シノーラ・アレイスラ」と言う偽名を名乗り、リーリンの通う学校の学院に通っている。
リーリンを非常に気に入っており、たびたびセクハラを仕掛ける。


◇クラリーベル・ノイエラン・ロンスマイア
天剣授受者ティグリス・ノイエラン・ロンスマイアを祖父に持つアルシェイラの従妹であり、ナンパ師な化練剄使いの天剣授受者トロイアット・ギャバネスト・フィランディンの弟子でもある少女。
中盤である事情から戦いになったレイフォンに重傷を負わされ、その後その屈辱を晴らすため(激戦で他界した祖父の跡を継ぐをはそっちのけで)ツェルニに編入し、
ノリが良すぎる登場を飾ったけど四六時中はしない小隊入りしたり、謎の少女ヴァティ・レンとの遭遇で世界の危機の闇を知ったり、レイフォンにあわや決着以上の何かを覚えかけてストップしたりと青春を謳歌。
そして終盤にて決戦が迫る中、アルシェイラから勢いで次代の天剣授受者に認定され、ヴァティ・レンがグレンダンに仕掛けて来た戦いに臨む事になる。

◇サヴァリス・クォルラフィン・ルッケンス
CV:諏訪部順一
天剣授受者の1人。


◇リンテンス・サーヴォレイド・ハーデン
CV:桐井大介
現天剣授受者最強と目される壮年の武芸者。


◇ハイア・サリンバン・ライア
CV:寺島拓篤
サリンバン教導傭兵団の三代目団長。
赤い髪と顔の左半分に刺青を持つ青年。語尾に「~さ」とつける喋り方をする。
剣術に関しては天剣授受者にも比肩する実力を持ち、鋼鉄錬金鋼の刀とサイハーデン流の刀技を駆使して戦う。



富士見ファンタジア文庫としてはこの作品にはかなり期待をかけていたらしく、
コミカライズ4作品・ラジオドラマ・ドラマCDといったメディアミックスが活発に行われていた。
中でも本編イラスト担当・深遊が手がけたコミカライズは、
絵が原作イメージそのままなのに(ギャグ的な意味で)本編からの逸脱が著しい「公式が病気」と呼べる代物であり、ファン必見である。
(他作品で例えるならちょいシリアス込みの「フルメタル・パニック? ふもっふ」と言ったところか)。


2009年1月からテレビアニメ化された。
毎回のシナリオ会議にファンタジア文庫の編集者が出席し監修を行っていたり、
原作者から放送開始当時は発売されていなかった文庫本第12巻や、アニメ用のアイディアが提出されたり、
この番組のためにバンドを結成し、ボーカルが1人で歌うオリジナルバージョンと、
ヒロインとのデュエットバージョンとを本編の内容に応じて使い分けたりと制作には力が入っていたが、
同時期に放映されていた本作と同じく学園都市を舞台としたライトノベルを原作にしたアニメが好調だったためか、脚光を浴びることは少なかった。


回によっては、本編中に本作より過去の世界を描いた『レジェンド・オブ・レギオス』の1シーンが短時間流される。
このシーンの台詞はハードボイルドな雰囲気を出すために全て英語でアフレコされ、映像はモノクロで字幕はなく、エンドロールでもキャストが発表されない。




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最終更新:2023年05月24日 09:23