ワンダと巨像

登録日:2010/11/17(水) 23:23:08
更新日:2023/08/10 Thu 16:30:12
所要時間:約 13 分で読めます






最後の一撃は、せつない。




ワンダと巨像』(Shadow of the Colossus)は、2005年にSCE(ソニー・コンピューター・エンターテインメント)から発売されたPS2用ソフト。
開発は名作『ICO』を作り上げた上田文人のチームで、両者には世界観や様式美等に共通している部分も見受けられる。


【概要】

ジャンルはアクション・アドベンチャー。
……なのだが、一概に“それ”だけとは言えない様々な要素を含んだ深いゲーム性を持つのが特徴で、人によっては別の意見も出されるであろう。

基本となる物語は存在するものの、作中で多くは語られず、プレイヤーは自らの感覚で世界を“感じる”事が求められる。
付属のブックレットでも「剣を掲げ、放たれる光を辿り巨像を探す」事と、「巨像の弱点を探り、急所を貫く事」…そして記録の録り方……位の必要最低限の説明しかされておらず、プレイヤーは「古えの地」を自らの知恵と勇気で探索しなければならない。

本作のファンの一人である松本人志曰く、「ノミの気持ちが分かるゲーム」。


※以下、ネタバレ注意。







【用語・システム解説】

◇古えの地
物語の舞台となる(ある者の為に)封印されていた禁忌の地。
ワンダが訪れる事により、永い眠りから醒める。

◇握力・体力
ワンダのパラメーターとして存在するのはこの2つのみ。
体力はそのままHPの事だが、巨像の攻撃は基本的に致命傷となり、ハードモードでは一撃死となる攻撃が多い事に注意。

握力は高所への移動……殊に巨像の弱点に到達する為に必要となるポイント。
共に巨像を倒す事で強化される他、体力は果実で、握力は各所「祠(セーブポイント)」近くに棲息するトカゲの“光る尻尾”で強化出来る。

◇いにしえの剣
ワンダが集落から持ち出した宝剣。
翳す事で光を放ち、それが一直線に集まる方向が、求める「巨像」の居所である。
また、巨像と対峙した際には同様の方法で弱点と紋章(急所)を探る事が出来る(後述)。



【登場人物】

◆ワンダ(CV:野島健児)
本作の主人公。
失われた少女の魂を呼び戻すべく宝剣を盗み、禁断の地を踏む。
そして、少女の蘇生という望みを胸に巨像に挑んでいく。摂理を破る戦いの果てに彼を待つものは……。

剣と弓矢を使える他、呼び声や口笛で巨像の誘導が可能。


◆モノ(CV:生天目仁美
ワンダの最愛の存在……らしい。
魂を失い眠りに付いた少女で、禁断の地の祭壇らしき場所にワンダによって身体を安置されている。
ワンダとの関係は不明で、ゲーム中では名前すら明かされないどころか、何があって魂を失ったかの説明もほぼ無し。
巨像を倒した後、黒い影に貫かれ倒れ伏したワンダに闇の中から語りかけているのはモノであり、彼女自身はワンダを止めようとしている


◆アグロ
ワンダの愛馬たる黒毛の駿馬。アグローッ!
常に主人に付き従う。古えの地を走る姿は美しくも勇壮だが、実は性別は♀。
彼女に乗ったまま戦える様になるとかなり格好良い。

3段階目で×ボタンを押しっ放しにする事で最高速を維持したまま走る事が可能。


◆エモン(CV:坂東尚樹)
部族の呪術者。
禁忌を侵そうとするワンダを止めるべく、精鋭を率いて古えの地を目指す。


◆天の声(CV:中多和宏・氷上恭子)
「古えの祠」へとやって来たワンダを迎え、彼に願いを適える方法=「巨像」を倒す事を伝えて来た謎の存在。
またの名を、生と死を超越せし者『ドルミン』。「巨像」戦で手こずっているとヒントもくれる。



【巨像】

「古えの地」の各所に散らばる本作のキーパーソンとなる大いなる存在。
毛の生えた獣の身体に古代遺跡の様な外骨格を纏った人工物とも生物とも付かぬ姿をしており、その名の通り一部を除いては非常に巨大。

本来なら、とても人の力が及ぶ存在では無いのだが、ワンダの持つ宝剣の前には紋章(急所)が浮かび、その紋章を宝剣により貫く事によってのみ〝倒す〟事が出来る。
「古えの祠」に飾られている「偶像」と対になっており、巨像を倒す事により「偶像」を崩す=儀式を進めた事になる。

立ち位置的には「このゲームにおいて倒すべき敵」なのは間違いないのだが、ワンダによってトドメを刺され、崩れ落ちるように倒れていく巨像達の最期は、印象的なBGMも合わさってどこか物悲しい。
まさに、本作のキャッチコピーの通り「最後の一撃は、せつない」のである。

全部で16体が存在する。
正式な名称は存在しないが、開発陣による通称を参考までに明記する。




◇攻略法

それぞれの巨像は弱点(紋章)と急所を持つ。共に剣の光を当てるか、近付く事で位置が特定できる。

急所は殆どダメージにならない物の、攻撃をする事で体勢や姿勢を変える事が可能。光っている箇所=急所でもあるので、取り敢えず矢を打ち込んでみる事も攻略の基本。
弱点(紋章)は突き刺し攻撃を行う事で大ダメージを与える事が出来る箇所で、この方法で無ければ巨像を倒す事は不可能である。紋章の位置や数は巨像により違い、更にハードモードでは紋章の数が増える巨像も居る。

突き刺しは基本的に巨像に掴まったまま行うが、ジャンプ中にR1と□(デフォルト操作時)を同時押しするとジャンプ刺しを繰り出す。通常の突き刺しの最大溜めと同等のダメージを与えられるので、狙える巨像には積極的に仕掛けていきたい。
弓か口笛で誘導するのが基本だが、弓だとパターンが狂う巨像も居る。

弱点を刺そうとすると巨像は抵抗し、ワンダを振り落とそうとしてくるが、紋章の特定の位置を掴んでいると振り落とし動作の影響を一切受けず、一方的に攻撃できる。


【余談】

  • 前作『ICO』と共にPS3版が発売される。
    PS3版はICO共々PSNowでもプレイ可能。タイムアタックの苦難にぜひ挑戦してみよう

  • 2周目以降はハードモードが出現する他、「古えの祠」にてタイムアタックに挑める。
    規定時間内に巨像を倒す事でご褒美アイテムが入手可能だが条件が厳しく、体力・腕力は各巨像に挑める最低量で固定で制限時間は鬼畜。
    特に第3の巨像が難しく、ハードモードでは弱点が一つ増えているにもかかわらず制限時間がノーマルモードより1分短い
    その制限時間、わずか5分。巨体を登るために必要な工程がやや複雑で振り落とす動作も激しい第3の巨像の3つの弱点を素早く渡る技量を要求され、公式ガイドブックにも堂々と最難関と記されている。
    体へしがみつくための攻撃の誘発にまごついたり、しがみついた後も一度でも地面に落ちたりしてしまうとまず間に合わない。

    尚、ハードとノーマルではゲームその物のデータを共有出来ず、タイムアタックで入手出来るアイテムも違っている。

  • タイムアタックをクリアし、全アイテムを入手する事でアグロをそれぞれ鹿毛(ノーマル)白毛(ハード)に変更可能。
    スタート時に□ボタンを押しながらスタートすると鹿毛。△ボタンを押しながらスタートすると白毛。
    また『ICO』のデータがあった場合、額の模様が変わると云う地味なオマケがある。

  • 握力が最大値だと、「古の祠」の北側壁面からエンディングに出て来る「禁断の地」へと到達可能。しかし、そこに生っている果実を食べると……。

  • 2018年にPS4専用としてリメイク版が発売。グラフィックの大幅強化はもちろん、イージーモードの追加の他全難易度を同じセーブデータでプレイできるようになった。
    微妙に分かりづらかった握力ゲージも形を変え、最初は黄色い円で最大値が増えるごとに温度計のように横に伸びていく仕様。
    また、データの一本化に伴い、タイムアタックで得られるアイテムも共有できるようになった。
    ノーマル・ハード両方で手に入った果樹の地図とトカゲの感知石はノーマルで手に入り、ハードでは新規にアイテムが用意されている。
    ちなみにイージーモードにはタイムアタックは用意されていない。
    • タイムアタックの目標タイムにも調整が加えられている。微妙に長くなったり短くなったりと様々だが、最たる変更点は第3の巨像のハードモードの目標タイムで、かつての5分から6分30秒へと伸びていることだろう。
      5分以内のクリアを目指して血反吐を吐いていたプレイヤー達にとっては1分30秒もの延長はまさしくボーナスタイムであり、難度が激減したと言える。
    • 隠し要素として通称『コイン』が追加。コントローラーから何やらキラキラした音が聞こえたらその近くに光るものがあるのでそれを拾っていく。取得数は地図に記録される。
      古えの地の至る所にあり、その総数なんと79。ハードモードのタイムアタックをクリアしておかないと取れない箇所さえある。
      なお、全てを集めるとちょっとしたご褒美が。

  • 他にもリメイク版にはファンサービスとして『人喰いの大鷲トリコ』に出てくる「あるもの」が隠されている。探してみよう。





“次の相手は……実態の無い波に浮かぶ虚ろな無数の顔……追記修正望む声……”

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最終更新:2023年08月10日 16:30