青/Blue(MtG)

登録日:2012/07/25 Wed 14:38:24
更新日:2024/04/07 Sun 22:19:18
所要時間:約 22 分で読めます




マジック:ザ・ギャザリングの項目へようこそ!


貴方は勉強が好きであろうか?
学業や仕事、趣味でもいい。興味ある分野への探求なら誰しも苦にはならないのでは無いだろうか。

知識を重ねて、それを元に更なる知恵を生み出す。その行為に至上の喜びを見出し、遂には狂気の領域まで突入する者たちがいる。

──マジック:ザ・ギャザリングの、青の項目へようこそ。




のイメージ

MtGのデザイナー達はカラーパイという理念の下、
「色が設定上持つイメージと、その色がゲーム内で持つ機能との合致」
を鉄則としてカードをデザインしている。

マンガやアニメに例えれば、
「キャラ設定と、そのキャラの作品内での行動の合致」と言える。
かなり重要なポイントだということが分かってもらえるだろうか。

現在、MtGデザイナー達はの性格をこう定義している。

「強さとは即ち知恵である。冷静に現象を観察し、それを理解し、知識を蓄える。そこから新たな理論を構築し、謀略を練り、効率的に相手を陥れる。これこそが正しい」

青の根幹に根ざすのは知識に対する欲求と、そこから生み出される計略・技術である。

青は他の色と比較して感情を露にせず、表面上は冷静に行動し柔和に見えるが、その裏では数多の策謀を積み重ね、相手を欺く策略を常に練っている。
他者と協力する際も融和ではなく、あくまで利用する為であり、それはギブアンドテイクのドライな関係を築く。

また、皮肉屋で他人の失敗や、効率的でないやり方を嘲笑し、侮蔑する。
常に安全に事が運ぶよう慎重に行動する一方で、好奇心の為に危険な実験や冒険を行うといった面もある。
緑や赤と違い自由を嫌い激しい感情を嫌悪し、常に物事が計算し尽くされた"完璧なもの"であることを望んでいる。
予想外の事態や失敗も知識の糧とする一方で、それに対応できなかったり他者に擦り付けるといった狭量さも時折見せてしまう。

実験や知識の探求の果てに狂気に陥り、世界の根底を捻じ曲げてしまうようなものも居る。


以上の青の性格をゲーム内での特性に定義し直すと、以下のようになる。

1.「常に新たな知識を求め蓄積する」
知識を得るため物事を観察し、それを記録する。
深く探求すればするほど、知らなくてはならないことが見つかる。 ─アインシュタイン

2.「得た知識を活用し、それを技術に変える」
青は常に新たな技術の開発と改良を行っている。
あまりにも多くのアイディアが頭を通過したので、ほんのわずかしか捕まえられなかった。 ─テスラ

3.「計略を練り、策謀で相手を無力化する」
策による勝利こそが青の美学。戦闘能力より、戦わせないことを重視する。
戦わずして人の兵を屈するが、善の善なるものなり。 ─孫子

4.「自己や他者の精神を操作し、果ては幻を生み出す」
青は精神や感情を制御し、それは現実だけに留まらない。
結局のところ、つねに剣は精神によって打ち負かされる ─ナポレオン

5.「水や空、時間など"流れるもの"を味方にする」
青は水や空などの象徴でもあり、時には時間の流れすらも捻じ曲げる。
ヒャッハー!水だー! ─モヒカン


さて、この辺で性格的に青のイメージが強い方々を挙げてみよう。

  • トーマス・エジソン、アルベルト・アインシュタイン
発明や知識の追求を目指した偉大な学者達。飽くなき知識欲は青に属すると言えるだろう。
エジソンは研究が高じて霊界交信機なんてものを考案したりしている。もしかしたら既にプレインズウォーカーになっているのかもしれない。

手段を選ばぬ狡猾な計略で相手を確実に葬ることを至上とする柱の男。
彼の仲間のエシディシが孫子から引用した「兵は詭道なり!」は第2部全体のテーマにも通じている。

その知能で犯人を追い詰める探偵たち。皮肉めいた態度、掴みどころの無さ、発明器具を活用するなど、それぞれ別の青らしさを持っている。
力を使わず、知恵と発想で解決するというのは「青」が求めるところの一つでもあるのだ。

あらゆる道具を用いて無茶を解決する猫・アーティファクト・クリーチャー、もとい猫型ロボット。工匠とは言えないがほら、色も青いし(適当)。のび太(金属細工師)もいるし
貪欲なるネズミなんて見た日には ラスゲドンも真っ青のリセット効果 を繰り出すけど。

当初はこけおどしの変身しか出来ない落ちこぼれの弱虫であったが、自身の力の本質が「敵を騙す」事だと気付いてからは擬態・幻術などの攪乱で仲間を的確にサポートした。
最終的には相手の五感全てを幻術で支配できる作中屈指の強キャラとなる。
割とふてぶてしい性格や意外と頭の回転が速いなど、性格面でも青っぽい。


青の機能

以上の性格付けから、青にはゲーム上では以下のような機能が与えられる。
()内は、その機能に対応する性格の番号。

  • 島からマナを生み出す(5)
  • ライブラリーから知識を引き出す/ドローする(1)
  • 相手の呪文を打ち消す/カウンター(3、4)
  • 場に出ているカードを手札に戻す/バウンス(5)
  • 相手のカードのコントロールを奪う(4)
  • タップ、或いはアンタップを行う(3、5)
  • 時間を操作し、追加ターンを得る(5)
  • 水生生物や空を飛ぶ生物を使役する(5)
  • アーティファクトの扱いに長ける(2)
  • インスタント・ソーサリーの扱いに長ける(3)
  • 相手ライブラリーを破壊する(4)
  • カードのタイプや色を書き換える(2、4)
  • カードをコピーする(4)
  • パワーのみを弱体化させる(3、5)
  • 直接的な破壊やダメージを与える手段を持たない(3)
  • インテリばっかなのでクリーチャーが貧弱、または扱いづらい(3)


代表的なデッキ

インスタントや瞬速を持つカード群、ドローによるリソース補充を活かし、以下のようなデッキが組まれる。
  • コントロール(パーミッション)
相手の呪文を戦場に出させずに打ち消し、場が膠着したころにフィニッシャーを呼んで畳み掛ける青の基本デッキ。
しかしかつてよりクリーチャーの質が向上したものの打ち消し呪文の質が悪くなってきており、従来型のヘビーコントロールデッキは弱体化しつつある。

  • ビートダウン(アグロ)
クリーチャーが貧弱な(はずの)青ではあるが、マーフォークなどの優秀なクリーチャーも存在しており、それらでビートする。
小型ながら優秀なクリーチャー(≒クロック)を打ち消しで守りながら戦うクロック・パーミッション(クロパ)という形を取ることが多く、現在の青デッキの基本形になっている。

  • ライブラリー破壊
勝ち手段としてライフではなくライブラリーアウト(LO)を狙うデッキタイプ。バーンのように一気に削っていくタイプと、ロックを決めて相手のライブラリーをじわじわと削っていくタイプがある。

  • ロックデッキ
相手の行動を制限し、究極的には何もさせないことを目指す。ズアーロックやステイシスが有名。

  • コンボデッキ
青の真骨頂。ルール上複雑なカードを多く持つ青は、瞬殺コンボデッキを生み出すことが稀によくある。
MoMa、ティンカー、デザイア、ドネイトバベル、……等々、枚挙に暇が無い。


このように非常に多くの要素を備えており、それ故にリアルな知識や心理戦能力を試される場合が多い。
また、相手を自分のペースに引きずり込み、「したいことをさせずやりたいことをやる」といった一方的な戦いが得意。
反面、大逆転につながるようなカードが少なくスピードも緩慢なため、先にペースを握られると非常にキツい。

打ち消しやバウンスなどのやる気デストラクションカードが多く、初心者は元より青使い以外から嫌われることも少なくない。
それを危惧してか打ち消しの弱体化とその分のクリーチャーの強化(≒アグロ志向の強化)が行われており、新たな方向性が模索されている。

なのです

タルキール・ブロック期に公式サイトでマーク・ローズウォーター*1が執筆した楔3色の解説記事ではそれぞれの色が擬人化されて対話形式で各色の特徴や関係性を語っていた。
青は青らしく知的で冷静・探究心が強いキャラ付けがされていたのだが、何故か日本語訳の際に開口一番「青なのです」と自己紹介。その後も語尾に「なのです」と付けるという謎のキャラ付けがされてしまった。
ちょいワル・ダーティ紳士な黒に懐きつつフリーダムな赤に突っかかる姿を脳内で「気が強い秀才ロリ」に変換してしまったプレイヤーもいるとかいないとか……。

他の色との関係

  • は、忍耐力と知性の大切さを認識し、技術と文明を重んじる青と手を結ぶ。
青も理性的で諍いを避ける白を理解する。
一方個の可能性と危険性を軽視する、滅私奉公の姿勢を危惧してもいる。
が、それはそれとして呪文に好きに触れる青と盤面に好きに触れる白によって、非常にねちっこいデッキが多い。
アゾリウスツンデレツンドラ、オジュタイカウンターポストカウブレ

  • は、万物の弱さや愚かさから目を背けず、卑劣な知謀を辞さない青に親近感を持つ。
青も、自己研磨と智略を疎かにしない黒に協力する。しかしどこまでも自分第一な黒と関係が続く保証はない。
が、それはそれとしてサーチに長けた色同士な上に、それぞれハンデスとカウンターを構えられるせいで時折アカンコンボを生み出しており、クリーチャーに触れることも合わせたコントロールも多い。
LO狙いのデッキの大体はこの組み合わせ(を含んでいる)。
ディミーアシルムガル、アンダーグランドシー、サイカカラー、メグリムジャードネイト

  • は、衝動的で本能のままに目先の悦びを愛する。ゆえに理屈っぽく嫌味ったらしい青を嫌う。
青は、理性的で長期的な利益を目指すために耐え忍ぶ。ゆえに本能的で粗野な赤を馬鹿にしている。
共通してるのは他者を愛せた時くらい。
が、場に出たクリーチャーを処理できる火力呪文で青の弱点を補完できるからか環境を支配したデッキも複数輩出している。
イゼット、ボルカニックアイランド、スニーク・ショー

  • は、文明を持ち自然的でない青を蔑む。
青は、文明を嫌悪し野生に根ざす緑を理解できない。
「あるがままでいい」に対する、両者の考えは対極である。
が、それはそれとしてネタ的な組み合わせだったのも今は昔、デザイン方針の変更からか3オコとかウーロとか、雑強なカードが時々生まれるように。デッキ単位でも強力な組み合わせであり、かつての面影はもうどこにも無い。
シミック、トロピカルアイランド、アミュレットコンボ


代表的なカード

青の代名詞とも言える打ち消し呪文の代表格。旧枠時代末期の再録を最後にスタンダードを離れ、長らくエターナルにしか居場所が無かった。
しかしそのエターナルでの居場所が《意志の力》とか《マナ吸収》、レガシーでは更に《呪文貫き》とかのせいでパウパーぐらいしか無いことを哀れまれたのか2021年6月、モダンホライゾン2で再録。モダンリーガルとなり、久々の非エターナルでの活躍が期待されている。
ちなみに現在のスタンダードでの確定カウンターカードの基準は「(1)(U)(U)の3マナだがメリット効果が1つ付いてくる」か「2マナだが『打ち消せるカード・タイプの制限』や『マナを指定量支払われると打ち消し無効』が付いてくる」。
「2マナかつカード・タイプ不問の確定カウンターカード」は果たしてモダンを安住の地と出来るのだろうか?

  • 意志の力/Force of Will
MTGのエターナル環境を青ゲーたらしめている元凶。マナの代わりに「手札の青のカードを1枚とライフ1点」を支払うことで、0マナで唱えることができる打ち消し呪文。
青はこれがあるので相手の理不尽な動きに対して非常に強い。カードゲームにおける先攻コンボゲーに対し一石を投じた偉大なカードでもある。
腐る場面というものは存在しないが、代替コストで唱えるとアド損、普通に唱えるには重すぎるので、金太郎飴みたいなビートダウンとかを相手にする場合は相対的に弱く、サイドチェンジで自然と抜けていくことが多い。
分かりやすい上に人気のあるカードゆえに亜種も多く、他のカードゲームにもそのモチーフが輸入されることもある。

ある意味対抗呪文より打ち消しらしいカード。打ち消しは呪文を操るという行為の一側面にすぎない。

  • 思案、定業
1マナ1ドローのソーサリー。思案はその前に「デッキトップを3枚見て、好きな順番に並び替えるかシャッフルする。」、定業は「デッキトップを2枚見て、その2枚をデッキの上か下に任意の順番で置く」。
一見地味なカードだが、デッキを見る枚数が多く目当てのカードが手に入りやすい。そのため青系のデッキならまず複数枚入る。
実は神ジェイスの禁止にも一役買ったカードであり、モダンでは禁止、ヴィンテージでも思案が制限カードになっている。レガシーでも多用されている。禁止になるような派手なカードだけではなく、こういう脇を固めるカードまで、上から下まできっちりヤバいのが青の本当の強みである。

  • 渦まく知識
1マナで3ドロー、その後手札2枚をデッキトップに戻すというインスタント。英語名Brainstormから通称「ブレスト」。単体で使うと「次のドロー2枚の質が非常に悪くなる」という弱点を持つ。
しかし他のカードと組み合わせれば、たとえば「手札のカードをライブラリーに戻す」ことを始めとして様々な使い方ができる。
《意志の力》とともにレガシーの青ゲー化を強烈に推し進めており、モダン以上では使用できず、ヒストリックでは禁止、ヴィンテージでは制限。レガシーの魅力を語る際に「ブレストが4枚使える」という話が必ず出てくるほどに環境を定義するカード。
こういう事情もあってレガシーの禁止改訂においても絶対にノータッチ。MTGの禁止は何もバランスだけが優先されているわけではないのだ。

いろいろおかしいドロー呪文。でも『 嘘か真か 』。
一定の層からは人気の高いカードだが、初心者に対する分からん殺し性能が高すぎるせいで別の層からは非常に不人気という結構面倒なカード。

  • リバイアサン
元祖MtG巨大クリーチャーで、初のP/T二桁クリーチャー。維持するだけならタダだが、まともに使おうとすると毎ターン2個島を喰らい、攻撃するのにも島を喰らう。最近のリバイアサンは大きさも使いやすさもマイルドになりつつある。

通称「青い悪魔」。過去暴れまくった強力クリーチャーだが、ルール改正により弱体化。かなC。

  • 修繕
アーティファクト1つを生け贄に、別のアーティファクトを出すというカード。技術・知識の象徴であるアーティファクトを好きに作り変えるのなんて造作もない……のはいいが、「元手0マナのカードから11マナのカードを出す」「禁止級のアーティファクトをサーチする」といった行為が横行して大変なことになった。
元々は「マナ・コストの差分を支払わなかったら、出したそのカードを生け贄に捧げる」というテキストを持った別のカードだったのだが、これがルール的にものすごくめんどくさいということで簡略化されたカード。なんでヤバいって思わなかったんだろうね?

時間を操作して1ターンを得るというとんでもカード。ずっと俺のターンも夢では無い。実際このカードを始めとした追加ターンを得るカードを使いまくる「エターナルブルー」なんてデッキもある。
ただし追加ターンを得られるといっても、このゲームではそれだけではさして強くならない。詳細は個別項目にて。

  • 精神的つまづき
マナ総量が1マナのカードを打ち消すことができる、1マナの青のカード。……ここまでならいいのだが、ライフ2点を支払うと0マナで唱えることができる。
元々はレガシーのコンボデッキに対して《意志の力》を握ることができない青以外の色でも使える妨害手段として作られたカードだった……のだが、レガシーは1マナのカードを多用するフォーマットなので結果「このカードに適性・耐性があるか」→「《精神的つまづき》に対処するには《精神的つまづき》をこちらも4枚フル投入するのが最適」となってしまい、自分の趣味やメタに対応して入れ替えられる部分、所謂「フリースロット」を持っていないデッキを駆逐。さらには使い所が無くても《意志の力》のコストにできる青が一番使いやすいという超やらかしカード。
一時期はFoil版が7500円*2で取引されており、禁止されるまでの5ヶ月間にレガシーに真冬をもたらした。
さらには《Ancestral Recall》を筆頭とする1マナ呪文凶悪呪文に対する抑止力とまで言われていたヴィンテージですら、ついに上の「つまづきをつまづかせる為にどのデッキにもフル搭載」を咎めるために制限リスト入りしてしまった。

青を代表するプレインズウォーカー。お互い非常に強力で青の持つ正負の二面性を表している。他にはタミヨウとか。
最近だと《覆いを割く者、ナーセット》*3ヴィンテージで制限を受ける程のカードパワーで下環境の一角に居座っている。あと日本語版限定イラストのこれがアンコモンのくせにめっちゃ高い

  • 秘密を掘り下げる者/昆虫の逸脱者
青はクリーチャー最弱という風潮を派手にぶっ壊したチートクリーチャー。「デルバー」というとこいつや軽い飛行クリーチャーを軸にしたデッキを指す。
条件こそあるが実質1マナ3/2飛行とかいう訳のわからないスペックで、その条件も環境次第では無いに等しい。
現在の青のビートダウン系デッキがクロック・パーミッション中心になったすべての元凶と言える。
強力さゆえにモダン以下でしか存在は許されない……と思われてきたが、イニストラード:真夜中の狩りで再録され、まさかのスタン復帰とパイオニア参戦を果たす。
というかクリーチャーのインフレによりモダン以下でも他クリーチャーに枠を奪われて採用されないことも少なくない。うーん魔境だ。

  • 瞬唱の魔道士
2マナ2/1、瞬速。墓地の非パーマネントにフラッシュバックを与える能力を持つ。非常に様々な使い方ができるカードであり、下環境の青いデッキではほぼ間違いなく使われた。
一時期「2マナ四天王」という言葉が流行ったが、青の固定枠として君臨している。スタンダードでもやりすぎた奴。
ポルトガルのプレイヤー、ティアゴ・チャン氏によってデザインされたインビテーショナルカードなのだが、このせいで「ファッキンポルトガル人」というあんまりなあだ名をもらってしまった。

  • 分かち合う運命
「対戦相手1人とデッキを交換する」ようなエンチャント。実際には「オーナーが自分ではないカードを手札に加えることはできない」というルールがあるので、裏向きに追放することで手札の代用品とする。
手札ではないので「サイクリング」などは使えず、使った後のカードはオーナーの墓地に落ちるので「フラッシュバック」などは使えない、とうまくデッキを組めばこちらだけが旨味をしゃぶりつくすことができる。
電波デッカーにとって非常にやりがいのある課題なので昔から妙な人気があるのだが、自分のデッキを奪われてゴミを押し付けられるような挙動になるので嫌う人はマジで嫌う。特に統率者戦で使うと即座に投了する人もいる。

  • 真の名の宿敵
3マナ3/1という青らしいサイズだが、戦場に出る際に対戦相手を1人指定し、その相手からのプロテクションを得るというもの。
つまりその対戦相手の使う呪文の対象にならず、クリーチャー戦や呪文でダメージを受けず、ブロックされないというほぼ無敵のカードと化す。
つまり打ち消せなかったら全体除去に巻き込むか布告で相手に選ばせるしか無いと対処が恐ろしく難しいカードであり、この時期に出ていたやらかしカードたちとともに「青はクリーチャーの色」という皮肉にも使われた。
元々多人数戦用にデザインされたカードだが、その肝心の多人数戦では「1人にしか無敵になれない」ため弱く、「多人数戦用のカードデザイン」の失敗例の代表として扱われる。
ただ、その性能が十全に機能するエターナルでもインフレで相対的に重くなってきており、3マナ使って3/1アンブロッカブルな無敵クリーチャーを出したところで、盤面への影響が薄いか大勢は決していることが多いという有様で、ほとんど採用されなくなっている。

  • 怒り狂う島嶼、キャリクス
ゼンディカーの夜明けで登場した、伝説のリバイアサン・カニクリーチャー。カニとしては初の伝説。(2)(U)(U)の4マナだが、ここまでは伝説でリバイアサンとはいえ心もとない。
が、そのタフネスはそれまで黒枠1位だった《動じない大ワーム》の16をも超え、なんと 17 。これより上は銀枠の《B.F.M. (Big Furry Monster)》しかいない。
そしてレアとあってか島の数だけタフネスをパワーに回す起動型能力や自身への相手の呪文を重くする常在型能力もあり、カードデザイン方針がアグロ志向となってきていることを感じさせる。
とはいえこいつは青。その基本タフネスから想像できたかもしれないが、基本パワーは対照的に0である。
まあ、裏を返せば何らかの手段でダメージをタフネスで割り振れるようにすれば途端に超強力なクリーチャーと化すのだが。実際、下環境では《逃亡者、梅澤哲子》*4などとも組み合わせるデッキも登場しており、時折分からん殺ししているそうな。


余談

  • 禁止・制限カードがやたらと多い色でもある。アーティファクト6枚と青のカード3枚で構成されるパワー9に加えて意外な授かりもの、閃光、神ジェイス探査ドロー2種、等々……。修繕や精神の願望など、強烈なコンボのキーカードとなったものも多い。レガシーやPauperでは特に青の禁止傾向が目立つ。
    ただしモダン以上の環境ではあながちそうとも言えず、特にモダンでは青と打って変わって赤の禁止カードが目立つようになっている。

  • 《意志の力》という1枚のカードによって、MTGでは「(《意志の力》の手札コストにできるので)青であることはメリットだ」としばしば言われる。
    これが実際に環境を荒らしてしまった例が《精神的つまづき》《ギタクシア派の調査》《海門修復》であり、本来白単のカードに青が増えて唱えにくくなったはずの《至高の評決》が逆にメリットであると見做す人がいるほど。青絡みの力線や大長*5が非常にニッチに設計されているのはひとえに「有用なカードだった場合環境が取り返しがつかないほど歪んでしまうから」というデザイン上の懸念だったりもする。
    一方で、モダンホライゾンで各色に《○○の力》サイクルなどの手札コストを要求するピッチスペルが配られたことで、一概に青だから強いとは言えなくなっている。《至高の評決》は《否定の力》と《孤独》の両方のピッチコストにできるから強い

  • かつてはパワー9や《意志の力》をはじめとした強力なカードの存在、カードゲームという文化が人気になってきた時期にやたら悪名を轟かせていたことなどから「MTGは青ゲー」と言われることがある。
    これは厳密には間違っておらず、全てのカードが使えるエターナルという分類のフォーマットは未だに青ゲーである。
    しかし開発側も青ゲーから脱却しようと様々なことを試みており、たとえば第8版で《対抗呪文》の再録を取りやめたり、色の役割の抜本的な見直しの際に青は大体「役割を奪われる側」に回ったり、モダンでは青よりも赤の禁止カードの方が多かったりと、青ゲーからの脱却はかなり試されている。
    とはいえ青が得意とするインスタント・カードによる行動は他のTCGではタブー化しているかタイミングを限定していることがほとんどであり、他のゲームと比較した際にMTGというゲームを強烈に個性化するものになってしまっている。開発にとっては頭の痛い話だろう。

  • 「弱かった時代がない」と言われやすい色であるが、実は青が歴史上もっとも弱かったと言える時期がある。それが「アラーラの断片~ゼンディカー」期のスタンダード。
    「時のらせん~ローウィン」で青系のデッキがやらかしすぎたこと、当時のMTGは禁止カードを絶対に出さないという方針だったことから青を徹底的に弱体化し、対青に特化したカードを何枚も印刷した。
    ローウィン・ブロックがローテーションで使えなくなると、青は単色でデッキを組むのが不可能なくらいに弱い色に成り果てたのである。
    4ヶ月ほど経って登場したワールドウェイクで《精神を刻む者、ジェイス》が登場したことで何とか持ち直したが、裏を返せば当時の青はそれと《思案》くらいしか取り柄のない色でもあった。

  • 青はいわゆる「力まない勝ち方」をするカラーパイであり、知識や工夫をつかさどる色なので、マーク・ローズウォーター氏の語るところの「曲げ」がフレーバー的な理屈やバランス調整というお題目によって許容されがち色であった*6
    さらに「青は理性の色なのでランダム性を絡めるべきではない」という考えから、電波カードは赤に押し付け、実用的なカードばかりが青に渡されるという時代もあった。基本セット2011~2014の頃はマローが「カラーパイを折っている」と赤や緑にお気持ち表明をする横で、青のこれらのカードが環境をぶっ壊していたということで色の愛好家同士の対立がひどい時代でもあった。「一人去るとき」が流行したのもこういった背景がある。
    ただし最近はこれらの問題もだいぶ片付いており、特にドミナリア期は青らしくもパワーのある青単アグロからリソース補充で長期戦を得意とする鋭感コントロールまで様々なデッキを生み出し、当時非常に多かった新規プレイヤーにMTGのデッキの多様性を伝えてくれた。


青使いに求められるのは知識と冷静さ、駆け引きの巧みさ、そして相手を欺くちょっぴりの卑劣さである。
「MoMaだなんて君は本当に卑怯だな……」とたまねぎ頭に罵られようと、天才のひらめきをX=200でねじ込むくらいの冷徹さを見せよう。

「青は詭道なり」なのだ。


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最終更新:2024年04月07日 22:19

*1 MtGの主席デザイナーで、愛称はマロー(Maro)。カラーパイ及び色の役割への厳格さから「カラーパイ・グル」ともあだ名されている。

*2 デュアルランド《Tundra》が当時約8000円。

*3 サイクルの都合で青だが、ナーセットは本来青赤白のプレインズウォーカーである。とはいえ白青で収録されたこともあるが。

*4 パワーかタフネスが1以下のクリーチャーを対戦相手にブロックさせない、青の伝説のクリーチャー。

*5 ゲームの開始時、マリガン後の手札にある場合にコストを支払わずに手札から使うことができるカード。白、黒、緑などのものが活躍している。

*6 ほとんどリアニメイトと変わらない挙動をする《影武者》や《永遠の刻》、他色の生物と遜色ないどころか性能が上回ってしまう《変異種》《秘密を掘り下げる者》《聖トラフトの霊》《真の名の宿敵》など