緑/Green(MtG)

登録日:2012/07/24(火) 21:38:44
更新日:2024/02/13 Tue 18:22:56
所要時間:約 7 分で読めます




マジック:ザ・ギャザリングの項目へようこそ!

君は自然を美しいと思うだろうか。
森林の雄大さに息を呑み、獣の雄雄しさや機能的な美しさに目を奪われ、日々成長を繰り返し進化を続ける生命を愛おしく思ったことは無いだろうか。

自然は自己を飾らない。一切の虚飾は無く、ただそこに存在し、時には文明に牙を剥く。
その雄大なサイクルには抗うのではなく受け入れ、共に行き、調和することで自然そのものと化すことがもし出来るとしたなら─

──マジック:ザ・ギャザリングの、緑の項目へようこそ。



○緑のイメージ

MtGのデザイナー達は、カラーパイという理念の下に、
「色が設定上持つイメージと、その色がゲーム内で持つ機能との合致」
を鉄則としてカードをデザインしている。

マンガやアニメに例えれば、
「キャラ設定と、そのキャラの作品内での行動の合致」と言える。
かなり重要なポイントだということが分かってもらえるだろうか。


現在、MtGデザイナー達は緑の性格をこう定義している。

「全ては自然との調和と融和だ。自然を理解し育むことで自己も成長し、相互に高みへと昇れる。例え、巨大な獣に捕食されることがあろうとも、それは大いなる自然の淘汰なのだ」

緑とは自然そのもの、そしてそれと共に生きる全ての生物である。

緑は赤と違い、建設的に物事を見据え、順序立てて基礎から作り上げていく。また、他者との共存を重視し群れを作り、仲間を守り、時には全体主義的な構造を作り出す。
その一方で赤と同じく、時には細かいことを考えず致命的な激情で行動し、あたかも自然災害であるかの如く他者に襲い掛かる、といった相反する性質を持つ。

緑は生命を慈しむが、平和を愛している訳では無い。弱肉強食は美しい自然のサイクルであり、弱きものが強きものの糧となることを哀れんだりはしない。捕食され、別の生命の血肉となる――そこに善悪などは存在しないのだから。


緑の性格からゲーム内での性格を定義すると、以下のようになる。

1.「生命を育み、収穫し、利用する」
大地や生命を成長させ、大きく育て、それを刈り取り恵みに変え、時には毒に変える。
ミスミのじいさん「今日より、明日なんじゃ……!」

2.「皆と調和し、共同で分かち合い、集団で戦う」
収穫した利益を独占せず分かち合う。また一つの利益のため皆が助け合う。
ダルタニャン「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために」

3.「文明は、これを拒否する」
緑は自然を愛すると同時に、文明社会を忌避し大地に根ざす。
シータ「どんなに恐ろしい武器を持っても、たくさんのかわいそうなロボットを操っても、土から離れては生きられないのよ!」

4.「獲物だ!食い殺せ!踏み潰せ!」
いきなり自然は牙を剥く。本性を現した緑の本質は自然淘汰なのだ。
野生語りのガラク「弱肉強食は世の定めだ」

5.「力こそがパワー」
自然は搦め手や計略を持たない。大いなる敵が現れたら、それを超える更なる戦力で正面から粉砕する。脳筋とかいうな。
戸愚呂・弟「技を超えた純粋な強さ、それがパワーだ!!」


さて、この辺で性格的に緑のイメージが強いヤツらを挙げてみよう。

美食の追及のために獲物を追い求める美食家。食うために戦い、捕食する、という緑の一面をよく表している。

  • サン(もののけ姫)
山犬に育てられた野生少女。自然を守るために人間、そして文明と敵対する。自然主義的な作品が多いジブリは、緑に属するキャラが多い気がする。

  • 佐々木のじいさん(ちびまる子ちゃん)
30年間毎日町内の草木を手入れしている自然のプロで、自宅には「天国」とも称される庭園を持つ。
一方で普段は温厚な性格であるのに、植物を傷つける者には激怒する、という緑の例として相応しすぎる存在。

  • ガチャピン
器用に何でもこなせる一方で子供を捕食……、おや、誰か来たようだ。


○色の機能

以上の性格付けから、緑にはゲーム上では以下のような機能が与えられる。
()内は、その機能に対応する性格の番号。

  • 生命を育む森からマナを生み出す(1)
  • 土地やマナを育み、増やす魔法(1)
  • 巨大で強大な生物=コストパフォーマンスの良いクリーチャー(4、5)
  • 弱きものを意に介さず踏み越えるトランプル能力(4、5)
  • トークンの大量生成(2)
  • 土地、エンチャント、アーティファクトの破壊(1、3)
  • クリーチャーとプレインズウォーカーの直接破壊はできない(5)
  • 相手のカード(≠パーマネント)には殆ど干渉できない(3、5)
  • パワーやタフネスの一時的で大幅な強化(1、2、4)
  • 複雑な呪文を跳ね除ける被覆、呪禁能力(1、3)
  • 毒を表す接死能力(1)
  • 疲労回復を表すアンタップ(1)
  • 自然の生命力を表すライフの回復(1)
  • 生と死の循環を表す墓地のカードの回収(1)
  • クリーチャーのサーチ(2)
  • 大地に根ざし空を飛ばないが、飛行生物に罠を張る(3)


これらの機能を駆使して、以下のようなデッキが組まれる。

  • アグロ
クリーチャーの色とあって小型から大型クリーチャーまで非常に優れたものが多く、それだけで十分強いが、多くは更にマナ加速や強化呪文で後押しする。
また、単体の性能でなく数で攻めるタイプのデッキも組め、こちらもまた強力。

  • ビッグマナ系のコントロール
土地操作によるマナ加速を重視し、7マナを越えるような重たいが強力な呪文を連打するデッキ。

  • 土地利用デッキ
土地操作が得意なことを活かし、土地そのものをアドバンテージ源にすることもできる。レガシーの土地単はある種の緑単ベースのデッキだし、アミュレットタイタンや風景の変容など、土地をベースとして爆発力を生み出すことすらできてしまう。

  • コンボデッキ
細かな謀略が不得手な緑では、殆どコンボデッキ等は組まれない。
但し、マナ加速やトークンの大量生成、クリーチャーのサーチなどコンボの補助として必要な要素を多く備える為、他の色と組んでコンボの補助として使われることが多々ある(大地の知識女魔術師など)。


このように緑の出来ることは非常に多岐に渡り、器用貧乏どころか器用万能とも言えるほど。
また、土地の扱いに長けるため、高額な二色地形を回避して貧乏デッキにする手段としても非常に優秀。
「クリーチャーが絡めばなんでもできる」とはよく言ったものである。

弱点は何よりも戦闘以外のクリーチャーやプレインズウォーカーを除去する手段を殆ど持たないこと。できても格闘や噛みつきなど、(別途)自分のクリーチャーを要するか対飛行限定。
クリーチャーが強く、かつ緑以外の除去も強い環境だと相手クリーチャーを対処できる手段がなくなってしまう。2023年のスタンダード環境など、それが原因で緑単デッキが一人去るとき状態になってしまうこともあった。
また、その他の相手を妨害できる手段も少ないため、瞬殺コンボデッキなどとの相性は最悪そのもの。
クリーチャーの色な手前、クリーチャーを動かせないとほとんど身動きできず、ランプデッキに向いてるとあってマナスクリューの影響を一番受けやすい色でもある。

それでもいい……。闘志と信念だけでただ前に、肉体猛々しく、気力雄々しく、前へ前へ。
わかってても止められない突進こそ緑の真骨頂。


○他の色との関係

  • は、調和を重んじる緑と友好関係を持つ。
緑も仲間を守り、規律を正す白と手を結ぶ。但し、法や文明については相容れない部分も。セレズニア、ドロモカ、メロン
トークンや+1/+1カウンターを使い倒すデッキの大体はこの組み合わせ(を含む)。

  • は、野蛮人である緑を軽んじる。
緑は文明や謀略を用いる青を嫌う。まさに柔と剛の関係。シミック
多色の禁止・制限はしばしばこの組み合わせを含んでいる。
かつてはこの組み合わせの色のカードのパワーが低かったりしたためネタ扱いの組み合わせだったが、デザイン傾向がアグロ偏重になりだしてからは飛行やドロー、キャントリップが高いスタッツや土地加速と次々結合。
それまでとは一転、トップメタの一角を(時折スゥルタイやバント、ティムールに振れながらも)担うまでの強力カラーと化した。
だが強くなりすぎてスタンダードでも禁止カードを出すようにもなってしまい、一時期はその禁止カードの7割が青か緑を含んでいた。
特に《王冠泥棒、オーコ》は2021年10月頃まで収録セットがスタンダードリーガルな中、同年2月までにスタンダード、ブロール、ヒストリック、パイオニア、モダン、レガシーで禁止されている。
次いで《自然の怒りのタイタン、ウーロ》もほぼ同等の環境下だがスタンダード、ヒストリック、パイオニア、モダンで禁止され、レガシーでの禁止を検討中。と、どちらもそのカードパワーでMtGに一波乱を起こしている。やばいですね☆

  • は、自利を己の命すら真っ当に鑑みない緑を蔑む。
緑は生と死の循環を踏みにじる黒を憎む。ゴルガリ
しかしゲーム内だと緑と黒は互いの弱点を見事にカバーしあっている為、ゲーム中の相性は恐ろしいほど良いだが《死儀礼のシャーマン》はやりすぎだ
ちなみに、マジックでもミラディンの傷跡だと仲良し。やっぱりの真の友好色はじゃないか!

  • は、野生的で粗野な緑に親近感を持つ。
緑は自由を愛し奔放な赤を好ましく思う。夕陽の河原で殴り合って友情を育むような間柄。グルール、ステロイド、アタルカ
赤の早さと火力で緑の強力クリーチャーとマナ加速を補えば弱いはずもそう無く、気が付くとトップメタに食らいついている。


○代表的なカード

緑の序盤をかつてはスタンダード、現在は下環境で支えている1マナのマナ・クリーチャー2体。環境にいるか居ないかで緑の貢献度が変わる。
同型再販を含め最近ではすっかり再録されなくなってしまい、「ドミナリア」で再録された時は大きな話題となった。そして当時の緑を文字通り根から支える大活躍を見せた。

スタンダードを最後に去ったブーンズ。長らく皆勤賞であり、リミテッドや初心者デッキのお供だった。
しかし灯争大戦での再録を最後に、それまで入れ代わり立ち代わりの関係だった《剛力化》と完全に入れ替わった。現在でもPauperの感染デッキで使われている。

  • 不屈の自然
ライブラリーから基本土地を直接出すソーサリー。タップインだが2マナと軽く、緑の基本戦略を強烈に支えてくれる。ガチガチな競技環境だとさほど使われるカードではないが、それでもたまに採用されて話題を呼ぶ。
マナ加速系の戦略が「ランプ」、ライブラリーから(基本)土地を直接出すカードが「ランパン」と俗称されるのは、このカードの英語名《Rampant Growth》が由来。
一時期は亜種を含めそこそこ環境で見たカードだったが、最近はすっかり再録されなくなってしまった。

  • アーナム・ジン
かつての緑の中堅クリーチャー代表。「デメリットはあるがスタッツが優秀」というカードの走り。
昔は片っ端から農場送りにされていたが現在ではストレージ送りに。

  • ブラストダーム
MtGの黄金期の象徴。4マナ5/5という当時としては破格のスタッツに、一切の呪文や能力の対象にならない被覆能力、ほっとくと4ターン後の開始時ターンに死ぬ消散能力を持ったクリーチャー。
要は使用時間に制限があるカードなのだが、当時の環境では止めることが難しく緑系のデッキで採用され、多くのプレイヤーに愛好された。これでレアリティがコモンなんだから嬉しいところ。

  • 原始のタイタン
基本セット2011で登場したインフレの象徴。6マナ6/6トランプルに加え、ETBおよび攻撃誘発でライブラリーから土地を2枚戦場に出すことができる。
スタンダードではヴァラクート、レガシーでは12post、挙句モダンではまったく新しいデッキ「アミュレットコンボ」を成立させてしまうなど、登場当時からあらゆる環境で存在感を発揮しているタイタンサイクルの王者。

  • クルフィックスの狩猟者、ムル・ダヤの巫女
ライブラリーの一番上から土地を出すことができるカード。前者は土地を出すごとにライフを回復して3マナ2/4というそこそこのスタッツ、後者は土地のプレイ回数を1回増やせるというマナ加速能力を持つ。
ライブラリートップが土地なら疑似的なドローが可能ということで、どちらも相性のいいカードに恵まれて大活躍した。

緑を代表するプレインズウォーカーなんだゾ☆
現在はビビアン、次いでニッサが代表格となっており、ガラクは一歩引いた位置にいる。一時期闇堕ちしてたしね

  • 帰化
白から移籍した、エンチャント1つかアーティファクト1つを破壊する呪文。人工的に捻じ曲げられたものを生命の力で覆い尽くし、風化させ破壊する、というフレーバー的にも緑らしいカード。
やたらとカードイラストとフレイバーテキストのバリエーションが多いことでも有名。
最近のスタンダードにはエンチャント1つの破壊、アーティファクト1つの破壊、墓地のカード1枚の追放のうち1つを選んで行う《自然への回帰》が相当ポジションに居座っている。
ブロック固有の亜種も多い。なお、呪文のコピーもするデッキだと帰化の方がコピーしてもコピーがエンチャントとアーティファクトのどちらも対象とできて採用しやすいが、余談である。

  • 新たな芽吹き
緑の墓地回収カードの元祖。2マナで何でもサルベージできる。
初代制限カードになるほどのパワーカードだが、近年は使える環境が増えてきている。

  • カルニのハイドラ
緑マナ8点のみ という衝撃的なマナ・コストの持ち主。不特定マナ・コストなんて最初からいらなかったんだ
このオクタプルシンボル以上の一色での色拘束は未だにおらず、さすがは緑の象徴的クリーチャー。……と言いたいがその性能は緑であるクリーチャーのコントロール数分軽減できるとあってか悲しきかなロマン枠止まり。
当時のスタンダードではむしろアンコモンの《ペラッカのワーム》の方が使われていた。一応、モダン以下の緑単信心がたまに採用している。

  • 原初の飢え、ガルタ
12マナダブルシンボルの12/12トランプルな伝説のエルダー・恐竜・クリーチャー。緑らしくコストもスタッツもべらぼうに高いが、最大の特徴は「 コントロールしているクリーチャーのパワーで不特定マナ・コストを軽減できる 」という事。要は緑マナ2点まで軽くできる。
そのためRIX期~M20期のスタンダードでも最速3ターン目で場に出てきては4ターン目にそのまま相手を轢いてGG、という展開が割とあった。
ラノエルと巨大化、《鉄葉のチャンピオン》さまさま。

  • ギガントサウルス
基本セット2019で登場した、5マナ10/10という圧倒的なスタッツのバニラ。「小学生が作ったオリカのようなカード」とまで評された。
バニラかつ色拘束が厳しすぎるのでうまい使い道がないのだが、こんなカードを電波デッキに用いようとする奴までいたり、この圧倒的なマナレシオからとりあえずデッキに入れて試したりとティミーもジョニーもスパイクも大満足。
実際にはまったく強いカードではないのだが、小学生が作ったようなシンプルさから老若男女を魅了した割とすごいカード。基本セット2019の誇るリーサルウェポンであり、まさに「クリーチャーの緑」を体現するすごいカードである。

  • 動じない大ワーム
ラヴニカのギルドの特典カード。10マナトリプルシンボルの16/16という黒枠史上最大のスタッツの持ち主。デカ過ぎんだろ……。
召集*1持ちで初のマナレシオ1超えでもあり、おまけに破壊不能も持つ。プレイヤーからは投げ飛ばされる事がほとんどだが、たまに《異形化》などでコストを踏み倒され、さっさと登場してくる。
これ以前にも「ラヴニカへの回帰」には11マナトリプルシンボル15/15トランプル+死ぬと分裂持ちの《世界棘のワーム》、
さらには「ラヴニカ・ギルドの都」には15マナ緑トリプル白ダブル9/14トランプル召集の《土着のワーム》が存在した。
エムラクールに匹敵するレベルのクリーチャーが伝説ではない=複数体闊歩するラヴニカ次元はまさに魔境である。
一応小さいのだと7マナダブルシンボル5/5トランプル召集の《包囲ワーム》も居たりする。こいつもラヴニカ産…ラヴニカとはワーム天国だった?
ちなみに黒枠タフネス1位はゼンディカーの夜明けにて《怒り狂う島嶼、キャリクス》の17に追い抜かれている。

  • ドライアドの東屋
「最初から土地でもクリーチャーでもある」という新機軸のカード。クリーチャーとしても扱われる土地、と考えると分かりやすいかもしれない。一見面白いカードなのだがルール面が非常に複雑怪奇。さらにマナー面で問題を引き起こすことも多い。
こちらは下環境での使用率がかなり高いカードで、揉め事の種にもなってしまう。カードを置く位置についてはほとんど言及されないMtGにおいて明確にカードを置く位置が決められているというところからも察してほしい。
開発者が直々に「ルール・マネージャーが、マジックから永遠に取り除くカードのリストを作っていいとすれば、このカードはかなり上位に名を連ねるだろう」と断言するほどの問題児。色々使えて面白いカードだが、一度「土地ゾーンに隠すように東屋を置かれる」ということをされると二度と好きになれなくなる、そんなカード*2

  • むかしむかし
ぶっ壊れセットエルドレインの王権で登場したインスタント。2マナでライブラリの上から5枚を見てそこからクリーチャーか土地1枚を手札に加え、残りをライブラリボトムに置く。
……だけでも中々だが、 ゲーム中最初に唱える呪文であるなら0マナ という点で緑入りデッキからマリガンの必要性を大きく削ぎ落とし、安定した展開に貢献しまくる問題児カードと化してしまった。マリガン基準について毎日のようにお気持ち表明が行われていたようなゲームにおいて「初手が安定するワイルドカード」はそれだけでヤバいのだ。
おまけに素のコストの軽さから2枚目以降も腐りにくいとあり、登場からあっという間にスタンダードやパイオニアはおろか、モダンでも禁止されてしまった。レガシーでそこそこ採用されている、という辺りでそのパワーはお察しいただきたい。

  • 探索する獣
これまたエルドレインの王権で登場した伝説のクリーチャー。通称「たんけも」、「(Questing Beast→クエスティング・ビースト→)クエビ」「オリカ」
4マナダブルシンボル4/4に警戒、接死、速攻、パワー2以下でのブロック不可、自クリーチャーからの戦闘ダメージ軽減不可、対戦相手に自身から戦闘ダメージ通ればそのPWにも同等ダメージ、と6つも能力を持っている。せめてクァドラプルシンボルだよね
能力盛り盛りの反動による緑にしてはちょっと控え目なスタッツと合わさり、伝説なのに雑に4積みされては雑にブロックしたりされたりして死んでいく光景がスタンダード中心に時折みられる。
フードデッキ相手だと《意地悪な狼》の食物・トークン食って4/4破壊不能となってからのETB格闘で一方的に倒される事も。伝説って?

  • 氷河跨ぎのワーム
緑では比較的珍しい「わけのわからない挙動をするカード」。「ライブラリーを探している最中なら、ライブラリーの中から唱えることができる」というすさまじいカード。
このカード自体が重すぎて実用性がないのだが、呪文を唱えることに関するルールがものすごい勢いでこんがらがっていく。これをうまく制御すると、cEDHのデッキなどで悪用できるんだそうな。

  • ムラガンダの印刻
「能力を持たないクリーチャー」に+2/+2の修整を与える4マナのカード。強化効率自体は非常によく、バニラを強化するという点から知名度だけは妙に高い。サイズ自慢のバニラがさらにサイズをあげて殴ってくる。
しかし能力を得てしまうと修整が受けられなくなるため相性のいいカードがかなり限られてしまう点に加え、MtGにおいて「能力を持たない」を定義するのはかなり難しいという結構な問題児。
ちなみに実際に運用する場合は《ギガントサウルス》のようにでかいバニラを使うのではなく、能力を持たないトークンを生産する手段を用意した方が効率がよかったりする。

  • 生命と枝
かつてMtGにおけるルールがこんがらがるカードは謙虚(MtG)だったが、ルール・グルはこのカードが登場してからはこっちの方がヤバいと戦慄している問題児。
とりあえず《血染めの月》を横に置くだけで意味不明な世界が繰り広げられる。
具体的に言うと「《血染めの月》→《生命と枝》」の順に出た場合、《苗木》を持つカードは基本でない森が出てなければ「山・苗木」になるが、基本でない森が出ると《苗木》は「森・苗木」で基本でない森は《山》になるというのは正直理解不能。
実用性と知名度が極めて低いのが救い。今のMtGで一番触れてはならないカードを挙げる際にこのカードを出す人は結構なルールマニア。


伝説の象徴。我らが甲鱗様。今日もその御尊顔がマジックの世界を照らしている。ありがたやありがたや。


余談

実は緑は非常に定義が難しい色であり、ウィザーズのMtG部門の入社試験で出題された時も緑絡みの理解度の平均点はかなり低いものだったという。
自然を愛するといえば、特に日本では上述のようにトリコやシータ、ガチャピンといったキャラクターが仮託されやすい。
しかし実際の緑はというと「あるがまま、なすがまま」という要素がある。つまり目の前で女の人がトラに食い殺されそうになっていても助けるタイプというわけではない。「トラだって生きてるんだし……」と黙って見過ごすタイプも多いということだ。
明確な社会構造を否定して弱肉強食を秩序と見做すキャラクター、人間の農耕生活すら自然への介入と憤るキャラクターなどその度合いはその時々によってかなり違っている。中には伝説のクリーチャーの解説記事と背景小説での動きがまったく異なるというものもある始末。
全体主義的というわけでもなく、完全な野蛮人というわけでもなく、現状維持を重んじておきながら成長を否定するわけでもないし、死を受け入れる姿勢もまた異なっている。つまり色の哲学が非常に難しいものである。

さらに色の役割もかなり難しい。緑はクリーチャーに対する直接除去を非常に苦手としており、除去ゲーであるMtGにおいてはどうしても不利を被りやすい色である。
そのため様々な方法で除去を与えることが試されており、特に基本セット2011~2014あたりまではこういった「緑の除去」が積極的に試されていた。緑の雰囲気を崩さずに除去を取り入れようという試みである。
しかしカラーパイの守護者を自称する開発者マーク・ローズウォーター氏はことあるごとにこの「緑の除去」を批判し、自分のコラムで「これは色の役割から逸脱している」とあるべき美学を語る。
《スズメバチの一刺し》《女王スズメバチ》《アラクナスの蜘蛛の巣》などが有名な例で、特に《スズメバチの一刺し》は「マローが嫌いなカード」として有名である*3
そのため緑の愛好家には「マローに歪んだ愛を向けられている」「緑の最大の敵はマロー*4」とみなされることすらあった。「エルドレインの王権」期の禁止ラッシュは緑絡みのカードが非常に多かったが、これは緑のできることを広げようとして大やけどした結果とも言える。

つまり割とキャラが定まってない色ということ。むしろラヴニカやタルキール、ストリクスヘイヴンのように二色である方がキャラがはっきりしているくらい。
白は正義、黒は利己、赤は直情といった分かりやすい行動理念があるが、緑にはそれがない。どちらかというと良くも悪くも「マイペース」という感じであり、人間の文明的な生活にブチギレる奴もいれば、理解は示すが自然で暮らしたいと距離を置くだけの奴もいるし、逆に自分の考えで人間を守るという奴もいる。
黒はリリアナ、青はジェイス、赤はチャンドラと単色一筋で14年のキャラがいる。白にはギデオンやエルズペスがその枠組みに入る。しかし緑はそれくらい息の長いキャラクターで緑単色を貫いた者はおらず、最近登場したビビアン・リードがようやくその役割を果たせそうだという域。
なんかキャラがぶれてんなぁと思った時は、「この次元の緑はそういう奴なんだな」程度に見ておくといいだろう。



緑で大事なことは調和――つまりシナジーである。他の色とも手を取り合い、強力なデッキを構築してみてはいかがだろうか。

面倒だったらそんな難しいこと考えずヴァッとマナ加速してドガーンとファッティで殴りゃいいんだよ!(豪腕)
それもまたなのだ。


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最終更新:2024年02月13日 18:22

*1 唱える時に他の自分のクリーチャーを望む数タップでき、すれば1体当たり1点支払った事になるキーワード能力。

*2 ルール適用度が競技またはプロで行われている場合は罰則の対象になるが、これが取りざたされるようになったのは比較的最近のことである。そもそもショップ大会程度ではジャッジも口頭注意で済ますことの方が多い。これは単なるルールの問題では終わらず、この辺を話せるかどうかでどれくらいプレイしているかが分かってくるというイヤな副次効果もある。

*3 しかし彼が作ったカードが、0マナで打てる《はらわた撃ち》で環境が激烈に歪んだことを考えると……といっても初心者には「《稲妻》があんなに強いのに緑は1マナ1点とかいう弱いカードしかもらえない」という風にうつったようなので、彼が間違っているとは言えないのだが。

*4 上述の入社試験において「MtGの進歩における最大の敵は何か?」という問題があり、その回答の選択肢の中にネタとして彼の名前があったというものに引っかけているジョーク。