ジュブナイル(映画)

登録日:2009/12/07 Mon 23:07:28
更新日:2023/10/26 Thu 04:49:36
所要時間:約 4 分で読めます




テトラ、一緒に、戦う



『ジュブナイル』とは、2000年7月15日に公開された日本の実写SF映画。監督は後に『リターナー』や『ALWAYS 三丁目の夕日』を手がけることになる山崎貴で、本作が彼の監督デビュー作にあたる。

「ジュブナイル(英語で『少年期の』という意味)」のタイトルに違わず、2000年代の日本映画では珍しく低年層の少年少女が主役の青春映画である。

VFX技術が駆使された映像が当時の話題になったほか、
作中に登場するロボットであるテトラ(声:林原めぐみ)が、その愛くるしい動作と言動から女性からも人気を得た。

また、公開前からの宣伝も盛んで、
別冊コロコロコミックでのコミカライズやローソンのからあげ君とのコラボキャンペーンも行われた。


『耳をすませば』などのように観た後に鬱になるのではないかと思う人がいるかもしれないが、
この映画の場合は(小学校時代にかなり嫌な思い出がない限りは)映画版『学校の怪談』のように純粋に面白さや少年時代の懐かしさを思い起こさせ、爽やかな気分にさせてくれる。
アニヲタに限らず、実際の少年期に好きな子の前では素直になれずに突っ張っていた経験のある人には楽しめるはず。
「童貞で許されるのは小学生までだよねぇ」と思っている人も、かつての純朴だった頃に思いを馳せてみてはいかがだろうか。



主題歌は山下達郎が作詞・作曲・編曲・ボーカルを担当する「JUVENILEのテーマ〜瞳の中のRainbow〜」
この作品を楽しめた人なら、EDのスタッフロールで曲が流れる時には思わず口ずさんでしまうかもしれない。
曲自体が良いので、映画を観ずに単体で聞いてみてもいい。

★ストーリー
2000年の夏休み。坂本祐介、木下岬、大野秀隆、松岡俊也の四人はキャンプ場で超高性能ロボット「テトラ」と出会う。近所に住む変人科学者の神崎も巻き込み、4人とテトラの夏休みは過ぎていった。

ちょうどその頃、地球の海を奪うという注文を異星の住民から受けた宇宙の商人「ボイド人」がこの星に迫りつつあった。
地球の情報を集めたボイド人は、仕事の邪魔になるであろうテトラを破壊するために岬を人質に取る。

しかし、こうなる事を知っていたかのようにテトラはひそかにボイド人と戦うための決戦兵器「ガンゲリオン」を作っていたのだ。
岬を助けるために祐介はガンゲリオンに乗り込む。

祐介は岬を救い出せるのか?
そして地球の運命は?
テトラが祐介たちのもとに現れた理由、そしてその正体とは…。


★登場人物

◆坂本祐介
12歳。ロボットが好きな少年。
岬に思いを寄せているが、気持ちを伝えられずにいる。
チビで腹が弱く、乳酸菌入りの袋を持ち歩く。


◆木下岬
3人のマドンナでありヒロイン。可愛い。
終盤でボイド人に捕われるが、弾みで彼らの計画に致命傷を負わせた。


◆大野秀隆
祐介の友人で、彼が岬を好きな事をからかったりしているが、実は自分も岬が好き。
見た目は童顔で幼く見えるが20年後に川平慈英似のIKEMENに変貌する。

◆松岡俊也
岬とは幼馴染。岬と祐介が仲が良くなっていくことにヤキモチを妬く。
ロン毛で茶髪のチャラ男だが見かけに似合わず冷静で頭がよく回り要領がいい。


◆テトラ(CV:林原めぐみ)
祐介達の前に現れた謎の小型ロボット。
なぜか祐介や神崎のことを知っており、現代の知識・技術を集める。
当初は完全な球形だったが、後にジャンクなどを使って自らを改造して、二足歩行の新しい姿になる。
現在の地球の科学力でこれだけ高性能なロボットを作れるとは思えないが……


◆神崎宗一郎(演:香取慎吾)
近所に住む発明家のお兄さん。
まだ、本性を見せていなかったとはいえ、
未知の存在な上に、自分を一度襲ったボイド人をアッサリと受け入れて仲良く酒を飲むほどの変わり者だが、
発明の特許料だけで生活が成り立つほどの天才でもある。
一つの物事に集中すると周りが見えなくなりその癖で失敗することがある。
タイムトラベルの研究をしており、未来から来たと思われるテトラに興味を持つ。


◆木下範子
岬の従姉妹であるお姉さん。
夏休み中に岬の家に居候している。神崎とは知り合い。
ジョギング中にボイド人に映像データを取り込まれ、姿をコピーされる。


◆ボイド人
くじら座タウ星第3惑星ボイド星が母星の宇宙人。
他の星の住民から注文を受けたものを何でも手に入れ、報酬を得ることを生業としている宇宙の商人。
今回は地球から「生態系の完備された海」を奪うためにやってきた。
地球とは桁違いの科学力に加え、彼ら自身も相手の姿をコピーする能力、素早く動く2本の触手、科学力に見合った高い学習能力を持つ。
嘘ではあったが酔っ払って神埼と語りあったり、ジョークやミスを犯し悔しがるなど人間味のある宇宙人。
乳酸菌を恐れている描写があるが、小説版では言語学習中に見た映画の影響とされており、本当に弱点なのかは不明。


◆ガンゲリオン
テトラが廃工場に残された産業用ロボットアームなどのジャンクや(製作途中で部品が足りなくなったので)RNMX社の研究所から拝借した大量のサーボモーター、電子機器、ロボットアーム、金属板などを使って作り上げた人型決戦兵器。

名前は祐介がガンダムとエヴァから拝借して命名した。

全高4m。人型のボディの背中にコクピットを持ち、プレステ2のコントローラーで操縦する。

左右の肩から2本のV字型のアームが伸び、右はバリア発生装置、左はレールガン(という名のビームキャノン)が取り付けられている。また、アームの付け根付近には1基ずつ投光機を装備している。
浮上ノズルは肩に2つ、背中に2つあり、基本的に低空を滑空して移動し、ブースターを噴かして大ジャンプも出来るため、機動性がかなり高い。また、小さな手足だがかなりのパワーを持つ。

そして、テトラが持ち込んだ「祐介宛のメッセージ」が組み込まれている。














以下ネタバレあり
























実はテトラは未来の世界で技術者となった祐介が作ったロボットであり、
過去の自分達を救うために、神崎が完成させたタイムマシーンで送ったもの。
子供時代の祐介達やこれから起こる出来事を知っていたのはそのため。
ラストには大人になった祐介達(また祐介と岬は監督によると2020年に結婚したとのこと)がテトラを過去に送るシーンがあるが…

また監督が書き下ろした小説版が存在しており、映画の話がさらに少年少女の夏休みぽさを出している。


ちなみにテトラの中の人である林原めぐみ氏も、
現在ではガンゲリオンの材料を拝借した大学の職員、未来では助手としても出演している。

別冊コロコロコミックで連載された漫画版も存在するが、映画との相違点がかなり多い。

例:
テトラを見つけたのは祐介1人のみ。
祐介の家がレストランでなく、普通の家庭。

岬は転校生。

シースナッチャーが雑誌・新聞・テレビなどの各メディアで「太平洋上の謎の大ピラミッド」として大きく取り上げられている(なお、シースナッチャーは三角錐であり、ピラミッドは四角錐である)。

ボイド人が変身するのは岬(木下範子は登場しない)。

神崎は物理学者兼電気屋ではなく、物理学者兼廃品置場の地主。

テトラに放電を放つための武装が内蔵されている。

ガンゲリオンはテトラに内蔵されているゲームのロボットでなく、ロボット対戦ゲーム『ラストレジェンド』のロボット。
神崎の廃品置場のジャンクを使って作られているほか、バリアは装備されていない。
あと何故かコマごとにガンゲリオンの姿が違う。

ボイド人が海を狙うのは宇宙旅行で不足した水資源の補給のため。

オーバーテクノロジー調査破壊班のボイド人が1人のみ。映画では3人。

シースナッチャーの出現がテトラの出現より前。

岬が一児の母となっている。

マザーシップに帰還出来た上陸部隊はオーバーテクノロジー調査破壊班のみ(シースナッチャーは映画と異なり、すぐに崩壊したため、脱出したボイド人はいない)。

……等。





実は都市伝説で語られる「ドラえもんの最終回」の1つ*1がアイデアの元となっており、エンドクレジットでは藤子・F・不二雄に感謝を示す文章が記されている。


2020年パートで登場する主人公の少年達の大人になった姿を、将来的に2000年パートと同一のキャストで再撮影し「完全版」を制作する構想が存在していたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり頓挫した。
しかし、山崎貴が監督した2022年公開の映画『ゴーストブック おばけずかん』にて本作に出演した遠藤雄弥と鈴木杏が主人公の両親役かつ同一の役名で出演している。
また、テトラも小道具として登場しており、遠藤氏は「撮影現場でテトラをみたときはこみ上げるものがあって、自分が思っている以上に『ジュブナイル』は特別な作品だと改めて思いました」とインタビューで語っている。


昔に観ただけでうろ覚えなので追記修正頼む。

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最終更新:2023年10月26日 04:49