謎解きはディナーのあとで

登録日:2011/10/28 Fri 21:52:04
更新日:2023/11/14 Tue 18:41:20
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失礼ながらお嬢様、

この程度の真相がお判りにならないとは、お嬢様はアホでいらっしゃいますか。

クビよ、クビ! 絶対クビ! クビクビッ、クビクビクビクッ、ビクビクビクビクッ。


謎解(なぞと)きはディナーのあとで』は、東川篤哉原作のミステリー小説及および、2011年10月18日からフジテレビ系列火曜9時枠で放送されていたテレビドラマである。

●目次

【概要】

世界的な大企業「宝生グループ」の令嬢にして新米刑事の宝生麗子と、宝生邸に雇われた執事・影山が難事件を(というかほとんど影山が)解決していく物語である。
題材はミステリーながら、登場人物のやりとりはコミカルチックに描かれており、コメディ作としての面も見所。
ドラマのストーリーの合間にはアメコミを彷彿とさせる演出があり、よりユーモラス感を際立たたせている。
原作本はなんと420万部を突破し、『2』以降の続編も多数制作されている。

ちなみに『名探偵コナン』とコラボした短編が文庫版3巻に収録されている他、コナン単行本のカバー折り返しコラム「名探偵図鑑」82回にて影山が取り上げられている。イラストがただの櫻井翔。
その他、『VSこち亀』にも麗子繋がりで参加している。


【主な登場人物】

「演」の項はドラマ版 / 舞台版、「CV」は初期CM / CM・ラジオドラマ版 / 朗読劇 / オーディオブック版のキャスト。

  • 宝生麗子(ほうしょう れいこ)
演 - 北川景子(幼少期:伊東心愛) / 西山茉希
CV:山崎和佳奈 / 竹達彩奈 / 香里有佐、高木美佑茜屋日海夏久保田未夢山北早紀、田中あいみ、南早紀、田中美海山下七海奥野香耶上田麗奈 / 松井恵理子

シリーズの主人公。世界トップクラスの財閥「宝生グループ」のひとり娘という超がつくほどのお嬢様にして、表向きは警視庁国立警察署に勤務する新人刑事。採用区分や階級は明言されていない。
蝶よ花よと育てられ、優秀な大学を優秀な成績で卒業するも、父親の意向に沿った花嫁修業や、グループ企業での腰掛け就職を潔しとせず、警察官を志す。もっとも、彼女が「宝生グループ」の令嬢であることを知っているのは上層部の一部のみで、バーバリー銀座店で買ったウン10万円相当の限定品であるシンプルなパンツスーツを地味に着こなし、最初の事件を影山が解決した際に「知性と眼鏡の関係」を考えて以降はアルマーニの黒縁伊達眼鏡をかけるなど刑事らしい堅実な印象の維持に努めている*1
当然ながら風祭のようにリムジンで堂々と事件現場に乗りつけることはなく、現場の少し手前で乗り降りすることを心がけている。

軽薄な男性全般(とタバコの煙)に苦手意識を持ち、中でも風祭のことは特に苦手。幾度となくかけられる食事やドライブなどのアプローチを徹底的に断るだけでなく、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の理屈で彼の愛車であるジャガーまで生理的に嫌っており、「乗ったら負け」「発情したオスのような気がしてならない」というよく分からない理屈を持つ。
ただし、ある事件で犯人から身を挺してかばってくれた風祭をジャガーに乗せて病院に送ったことがある*2。また、食事に関しても「この人とのディナーは、食事だけでは終わりそうにない」という考えから拒んでいたが、彼が捜査一課に栄転することを告げられた際には一緒に焼き鳥を食べに行ったことがある。

プライベートでは主にワンピースを基調とした服装で、休みの日はしばしばパーティや買い物に出かける。おしゃれ欲求が強く、ファッションでは特に帽子に目がない。衣装選びの長さで影山を呆れさせることもしばしば。買い物に没頭するあまり、最長で8時間も影山を車で待機させたこともある。
本人曰く学生時代はモテていたようだが、現在恋人はいない。後輩が先に結婚した際には密かに嫉妬し、卒業後の進路に問題があったかと悩んだこともある。

お嬢様らしく庶民に関する知識には疎く、何かと影山に任せようとする場面が見られる。
事件のことを影山に話した時は決まって毒舌や暴言で散々にコキおろされ、そのたびに激怒して初期はクビを宣告し、以降も怒りのあまり物に八つ当たりすることもしばしばだが*3、彼の推理の腕だけは信頼しており、刑事として事件が迷宮入りになることは避けたいのでお流れに。
激昂すると一人称が「あたし」に変わり、「~だっつーの!」が口癖になる。

名探偵コナン』とのコラボでは間違って眠らされた影山(のふりをするコナン)に毒舌を言われなかったことで逆に動揺した挙句、困ったコナンに「お嬢様の推理力はまさに小学生レベルでございますね!」と言われた際は過去に「幼稚園児レベル」と呼ばれたことを引き合いに逆に喜ぶ始末。

ドラマではヒロインで、第8話のパーティ参加者名簿から24歳であることが言及されている。基本的な人物像は同じだが、その生い立ちから誰よりも純粋な性格で育っているため、心情の機微や人間の心の闇が理解できない面がクローズアップされており、毎回のように影山から「お忘れなきよう」と忠告を受けている。
また、影山が事件を推理した後はお嬢様としての姿のまま自ら現場や犯人の元に赴くが、事件関係者や風祭は刑事の麗子と同一人物ということに気づいていない。特に風祭に対しては第4話以降、影山の機転で香港の令嬢「ホウ・ショウレイ」なる人物を装う。
この時の口癖は「だまらっしゃい!」。


  • 影山(かげやま)
演 - 櫻井翔() / DAIGO
CV:櫻井孝宏 / 同左 / 植木慎英、米内佑希、伊東健人、駒田航、ランズベリー・アーサー、神尾晋一郎、比留間俊哉、西山宏太朗、中島ヨシキ / 浪川大輔

麗子の執事兼運転手。下の名前は不明。ダークスーツと銀縁眼鏡の似合うイケメン執事で本作の象徴的なキャラ。年の頃30代半ば。
表向きは謹厳実直を絵に描いたような性格で、常に感情を表に出さない。日々の給仕やエスコートから人間目覚まし時計・ボディガード・荷物持ち・宅配便の伝票書きなど何でもこなし、基本的には執事の鑑と呼べるほど実直かつ有能な人物。
護身用として特殊警棒を常に携帯している。

推理力に長けており、麗子が頭を抱える難事件を話を聞いただけで鮮やかに解決する「安楽椅子探偵」で、彼自身もそのことに少なからずプライドを持っており、自ら事件現場に赴くことを「ルール違反」としている。
昼はワイドショーを見て過ごしており、そこから麗子が捜査している事件を見つけて首を突っ込むことから呆れ気味に見られている。
しかし、事件の推理時にはいつも麗子のことをこき下ろしており、口調こそ丁寧ながら「アホでいらっしゃいますか」「ひょっとしてお嬢様の目は節穴でございますか」「チャンチャラおかしくて横っ腹が痛うございます」など、執事にあるまじき暴言を吐いては麗子の逆鱗に触れるのがお約束だが*4彼が暴言を吐いた時は頭の中で推理が確信に変わった瞬間でもある。
そのため、麗子には執事としてはインチキくさい人物と評されており、推理力以外の信頼が底値同然となっている。
ただし、証拠を見つけることは「それこそ警察の仕事」と立場を弁えており、基本的に推理以上のことはしない。本人曰く「プロ野球選手かプロの探偵になりたかった」といい、執事の仕事はともかくとして推理と野球には自信があると語る。
また、清太郎をさりげなく侮辱するシーンもある。

『コナン』とのコラボでは麗子の目の前で小五郎と間違って眠らされてしまったことに珍しく狼狽していたが、それでも背後にいた少年の関与を察する辺りはさすがである。

ドラマでは主人公として強調されており、前任執事・唐沢(演 - 伊東四朗)の後任として宝生邸で働くことになった設定。
出番確保のためか「お嬢様を陰からお守りするのが執事の最も重要な務め」と称し、唐沢のように常にさまざまな職業に変装し、捜査中の麗子をストーキン……もとい陰ながら潜伏・追跡して見守っている。
その際にさまざまな特技を披露することもあるが、ドラマでは漫画や特撮にミステリーなど多趣味な人物として描かれており、仕事や麗子そっちのけで耽ったり、どんな時でも「執事の権利」としてティータイムを優先させたりすることもある。また、原作以上に野球好きが強調されており、血が騒いだ時はティータイムをも放り出すことがある。
現場から興味を惹かれた物を持ち帰るというマイペースな一面もあるが、あくまで執事としての仕事は抜かりなくこなしており、本心で麗子を気にかける一面もある。

毎回のように麗子に顔を近づけて屈辱的な暴言を浴びせては彼女の逆鱗に触れた後、言葉巧みに屈服・従属・降伏させて密かに笑みを浮かべてから、タイトル名の「謎解きはディナーのあとにいたしましょう」とディナーの続きを勧めるのがお約束。
ドラマでは麗子が暴言に意地を張ると突き放すような態度を示し、彼女が降参して初めて推理を語り出すため、「ドS執事」と言われる。逆に麗子が暴言を警戒して事件の概要を話そうとしない場合は、真相への興味や良心、刑事としての正義感や責任感を天秤にかける言葉で巧みに刺激し、「自分にも分かるように話してほしい」というようなことを言わせて屈服させるというドSぶりを遺憾なく発揮する。
潜伏先で自ら情報収集したり事件に関連するものを見つけたりすることはあっても、原作通り基本的には自分で捜査を行わないため、麗子の情報伝達に不備があると真相に辿り着けない場面も見られた。


  • 風祭(かざまつり)
演 - 椎名桔平 / ウエンツ瑛士
CV:馬場惇平、米内佑希、伊東健人、駒田航、ランズベリー・アーサー、神尾晋一郎、比留間俊哉、西山宏太朗、中島ヨシキ(以上朗読劇) / 白井悠介

麗子の直属の上司で階級は警部。32歳。下の名前は不明。
「カネとコネで警部の肩書を手に入れた」「愛車である銀のジャガーにパトランプを乗っけて街を走りたいという素朴な夢をかなえるために警察官になった」という噂がまことしやかに語られる、国立署きっての変人エリート警部。
元々はプロ野球選手を目指していたらしく、実際に高校野球では有名な存在だった模様。主に白いスーツを着ており、しばしばヤクザの若頭のようだと形容される。
中小企業「風祭モータース」の御曹司でもあるが、愛車とするのはシルバーメタリックのジャガーで、基本的に悪天候の日以外は常に乗り回して事件現場に駆けつける。「貧乏くさい」という理由で国産車には乗らないという自己矛盾。
麗子とは違って上流階級であることを隠そうともしない成金趣味で、言動の端々に自慢話やジョークが見え隠れしており、彼女をうんざりさせている。
少年少女に「おじさん」「おじちゃん」と言われると大人気なく怒って「お兄さん」と呼ぶよう訂正させる半面、老人を「じいさん」「ばあさん」と呼んで怒らせては慌てて低姿勢になるなど、上に弱く下に強い。自分への陰口には恐ろしく地獄耳かつ粘着質で、気に食わない一般人相手にも恫喝するような言動を示すことがある。
麗子のことをやたら気に入っており、何かにつけて食事に誘ったり家まで送ろうとしたり、移動時にジャガーに乗せたりしようとするが、いずれも頑なに拒否されている。しかし玉砕にめげる様子は全くない。

毎回のように捜査の指揮をとるが、何事にも自分本位で部下の話に謙虚に耳を傾けず、協調性や慎重さにも欠ける。
誰でも分かるようなことや誰でも思いつくような推理を、さも自分だけの発見や名推理のごとく得意げに述べるのがお約束で、自分で麗子に「何か気づくことは?」と問いかけて「判らないなら教えてあげよう」と自分で答える。派手好きな性格ゆえ地道な捜査は好まないが、警察手帳をスマートに出す努力は怠らない。
推理の的中率は恐ろしく低く、否定されると人目もはばからずにムキになって怒る。影山にすらやることなすことを不安視されるほどのバグ要素で、「風祭警部が冴えているのはむしろ危険な兆候」と警戒されるほどである*5
そのため、麗子は「風祭警部の裏を行くことが真相への近道」と称するが、当たり前のように捜査方針を二転三転させるため、毎回のように混乱させている。
以上のような性格や麗子を「お嬢さん」呼びするといったセクハラ同然の発言から、内心では「苦手な上司」と思われており、警部としての素質も疑問視されているが当然ながら全く気づいていない。
『3』のラストにて、将来の警視総監候補とも言われるエリート警視正からの推薦で捜査一課に栄転するが、パーティでの毒殺事件に際して地元の政治家の息子を犯人扱いしたことを咎められ、国立署に出戻りになった。

ドラマでは40歳で、風祭京一郎というフルネームが設定された。愛用の高級品を誇示し、自分の推理に酔いしれたり事件解決時には「最初から真相が分かっていた」とうそぶいたりするなど、原作以上に迷惑でナルシストかつ見栄っ張りな性格。美人に弱く、何かとアプローチする場面も多い。
椎名氏自身のアイデアで、現場検証時の「はいはいはいはいはい!」・捜査終了時の「お疲れちゃん」・事情聴取の際の「~でしたか?」といった疑問形の語尾を強める口癖がある。
刑事としての麗子には相棒として非常に気に入っている一方、原作とは違って女性としては見ていないらしく、ほとんどモーションはかけないが、お嬢様としての麗子に何度も出会っていながら自分の部下だとは気づかないまま惚れており、「ホウ・ショウレイ」だと思い込んでフィアンセという体の影山にライバル心を燃やしている。
推理力は麗子が「小学生レベル以下」と評するほど乏しいが、ごく稀に彼のどうでもいいような言動が影山に閃きを与えて事件解決の糸口につながることもあり、「ミラクルなお方」と好意的に評価されている。作中では何かしらの料理やお菓子を頬張っており、特に甘い物やマルチパンなど子ども向けの食べ物を好む傾向が見られる。

スピンオフ『風祭警部の事件簿』では風祭家に使える熟年メイド・光川(演 - 余貴美子)が登場。名前の通り影山とは正反対の性格で、「褒めて伸ばす」タイプで風祭の適当な推理を軌道修正し、真相にたどり着くのが特徴。
彼女との絆の深さは必見である。

ちなみに、作中ではさらっとしか説明されていないが32歳の若さで警部に昇任しているのは相当なエリートである。警部はそもそも定員自体が警察官全体の5~6%程度という狭き門で*6、この階級から逮捕状の請求が可能になるなど、現場指揮を統括する管理職としての側面が濃くなっている。所轄署では刑事課長(代理)に当たるが、彼が何らかの役職を持っているかについては特に言及されていない。
ノンキャリア警察官は巡査として入庁後、基本的に大卒者で2年・短大卒者で3年・高卒者などその他の区分では4年以上で巡査部長への昇任資格を得る。そこから大卒者は1年・短大卒者は2年・高卒者は3年以上で警部補への道が開け、さらに警部補として4年以上勤務することで警部昇任試験が受けられる仕組みである*7
理論上はストレート合格の場合30代で昇任できるが、実務上は極めてレアケースである。そもそも、上記のように警察官の大半が警部補以下で占められているため、警部に昇任すること自体が優秀であることの証左であり、ましてや32歳で警部の地位にある風祭はコネ合格でもない限りとび抜けたエリート刑事に他ならない。


  • 若宮愛里(わかみや あいり)
『新』に登場する新米刑事。少々天然ボケ。


  • 宝生清太郎(ほうしょう せいたろう)
演 - 高橋英樹

「宝生グループ」総帥(創業者・会長)で麗子の父。一代で世界的な巨大複合企業に成長させた稀代の実業家。立場上各界にも顔が利き、麗子の多少のルール違反なら揉み消せる権威を持つ。
極めて多忙だからか原作では直接の登場はないが、麗子たちの会話にたびたび現れる。
影山によれば麗子が凶悪犯と銃撃戦になっていないか、身代金の入ったカバンを手に市街地を駆け回ってはいないか、カーチェイスの真っ最中ではないかと仕事が手につかないほど心配している模様。
また、自分以外のセレブのゴシップが非常に好きな悪趣味を持ち、影山に吹き込むこともあるなど麗子は極度に恥じている。

ドラマでは最終話に登場。原作とは違って妻(麗子の母)とともに世界中を飛び回っているようで、純粋な麗子を可愛がる子煩悩でありつつも、その成長を認めている。留置所に入れられた影山を「宝生グループ」の力で早期に釈放させるとともに、麗子の「重大な秘密」を教える。
スペシャルでも回想でわずかながら登場。


  • 三浦(みうら)
演 - 窪田正孝

港区を管轄する警察署の警部。具体的な署や下の名前は不明。真面目で堅実そうな雰囲気を持つ中年男性で、何かとエキセントリックな風祭とは違って性格も捜査手法も落ち着いている。
ゲストキャラとしては珍しく複数のエピソードで登場する人物で、いずれも麗子が影山とともに私用で参加した港区のパーティの席で発生した傷害事件の指揮をとる*8。国立署の管轄外ゆえに登場しない風祭に代わって捜査を進める役回りで、彼とは違って令嬢姿の麗子と対面していることから、影山の存在も含めて少なくとも彼女が富豪令嬢であることは認識しているが、「宝生グループ」の娘であることまでは気づいていない。

ドラマでは交番勤務の巡査。現場の状況から麗子を犯人扱いする点は同じだが、原作とは違って令嬢姿の麗子と風祭が共演することから捜査を主導する立場にはなく、『2』に相当する第8話にも登場しない。


【作風】

基本的には麗子と風祭が事件の捜査を行い、その概要を聞いた影山が麗子への暴言の後に推理を語るというのが物語の展開である。影山の推理が終わって事件の真相が明かされるのと同時に物語が終了するため、後の捜査で証拠を発見したり、犯人を逮捕したりするシーンは基本的にない。
一方で、事件のヒントは余すことなく作中で全て言及され、本筋とは関係なさそうな日常の描写や時にギャグにまで伏線が張り巡らされており、影山の暴言が飛び出した時は謎を解くために全ての手がかりが提示されたことを示す「読者への挑戦状」の役割を担っている。そのため、読者自身も影山の暴言が出た時点で全ての情報を精査し、理詰めで考えれば必ず真相にたどり着けるようになっている。
作中でも「影山が麗子に対して丁寧かつ無礼な暴言を吐くときは、彼の頭の中で推理が確信に変わったときだ」という一文がある。

作中で登場するのはもっぱら殺人で、稀に傷害や窃盗事件が展開される程度。事件そのものよりも遺体や現場の奇妙さを重視する傾向にあり、強盗・誘拐・放火といったその他の凶悪事件や詐欺・横領などの経済犯罪は扱われない。
また、作中では基本的に警視庁が登場せず、国立署単独で捜査しているような描写になっているが、実際には殺人などの重大事件では捜査一課の指揮する特別捜査本部が必ず設置され、所轄署が単独で捜査することはない。


【用語解説】

  • 宝生グループ
金融・不動産・鉄道・食品・医薬品・鉄鋼・造船・電気・精密機械・釣り用品・新聞・雑誌・航空機産業・音楽・情報通信・百貨店・製紙・ペット用品・ガス・流通・映画演劇・本格ミステリなどありとあらゆる業種を手がけ、世界にその名をとどろかせる巨大複合企業。
国立市の某所に西洋風の屋敷があり、建物は本館と別館、離れの東屋以外にも両手で数え切れないほどあり、敷地面積も東京競馬場を除けば国立市郊外で凌駕する建物はない。麗子の部屋からは街並みを一望でき、夜にもなると蝋燭をともしたような景色が広がる。
部屋の数も膨大で、中には麗子が「アートの墓場」と呼ぶ、清太郎が買い漁った古今東西の美術品・工芸品・骨董品が納められている部屋があるが、あくまで彼があり余る財力にモノを言わせて意味も分からず買いあさったにすぎないため、それらは一度納められるとよほどのことなければ日の目を見ることはなく、影山は「死蔵」と形容している。
ごくごく軽い一日の夕食として、エビとレンズ豆のサラダ・魚介のスープ・チキンのトマト煮込み・ラム肉のローズマリーグリルなどが登場。宝生家に伝わるオリジナルメニューとして子羊の鉄板焼き、合鴨の蒸し焼き、白身魚の香草焼きからなる「焼きもの三連打」が存在する。
ガレージには全長7mの巨大なキャデラックのリムジンやフェラーリなどが置いてあるがジャガーは1台もない模様。
ドラマでのロケ地は上野公園の隣にある旧岩崎邸庭園。

  • 風祭モータース
風祭の実家である、「最高のデザイン」と「最悪の燃費」を特徴とした時代遅れの貧乏くさいスポーツカーで国内外にその名を馳せる中堅自動車会社。
しかし、企業の規模は「宝生グループ」に比ぶべくもなく*9、その気になれば買収して「宝生モータース」にすることなどたやすいらしい。
上記の特徴通り故障率もダントツで*10、自動車整備工場の仕事にも貢献している模様。一応「あの壊れやすさがいい」と語るファンはいるようだが。

  • 国立警察署
麗子や風祭が所属する、本作の舞台となる警察署。具体的な署の規模は不明だが、国立市をはじめ国分寺市や立川市も管内に置いている。所属課はエピソードによって「捜査一課」「刑事課」とまちまち*11
なお、実際には国立署は実在せず、国立市は立川市とともに立川警察署(立川市のごく一部は東大和警察署)、国分寺市は小金井警察署の管轄である。


【原作とドラマの違い】

  • 原作では基本的に麗子の視点で進行するが、ドラマでは影山が主人公という形になっており、「執事として主のことを常に見守る」という部分を強調している。
  • ストーリーやセリフは概ね原作を踏襲しているが、第2話以降は登場人物の設定が変更されることも多く、ドラマオリジナルのキャラクターや結末・どんでん返しが登場する回もある。随所にアメコミ風の演出が入る点も特徴で、北川氏はナレーションも担当。
  • 原作では麗子と風祭(三浦)以外の捜査員はモブキャラだが、ドラマでは並木誠一(演 - 野間口徹)・山繁悟(演 - 中村靖日)・宗森あずみ(演 - 岡本杏理)・江尻由香(演 - 田中こなつ)といったオリジナルキャラクターがレギュラーで登場。
  • 原作では影山が宝生邸で働き始めてから1か月ほど経っており、前任者の存在も語られていないが、ドラマでは唐沢という老執事から交代したばかりの設定。
  • 原作ではメインキャラ3人の中で唯一麗子の年齢が明言されていないが、ドラマでは24歳(第8話)。一方で、影山は原作では30代半ばだが、ドラマでは逆に3人の中で唯一言及されていない*12
  • 原作では風祭の年齢が32歳だが、ドラマでは40歳。
  • 原作では最初の事件を影山が解決した際、麗子は「知性と眼鏡の関係」を考えて次の事件から伊達眼鏡をかけるようになっているが、ドラマでは特段の説明もなく最初から着用している。
  • 原作では影山の暴言を受けた麗子は「○○だっつーの!」などと一応の反論をした後、「そこまでいうってことは、あなたには真相が見えているっていうのね」などと高飛車な態度を崩さないことがほとんどだが、ドラマでは麗子が暴言に意地を張ると影山は突き放すような姿勢を見せており、麗子は葛藤の末に「自分にも分かるように話してほしい」などと屈服することがほとんどである。
  • 原作では上記の通り、影山の推理で真相が明かされた後に事件現場に赴くことはほとんどないが、ドラマでは麗子は令嬢の格好のまま毎回のように影山と現場を訪れており、遭遇した事件関係者や風祭に対して「ホウ・ショウレイ」というドラマオリジナルの偽名を名乗っている。
  • 最終話は「聖夜に死者からの伝言をどうぞ」という2週連続のドラマオリジナルストーリー。登場人物こそ一新されているが、展開は「死者からの伝言をどうぞ」をベースに「聖なる夜に密室はいかが」の一部要素が織り込まれたもので、「完全な密室などございません」を意識した場面もある。


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最終更新:2023年11月14日 18:41

*1 周囲には「丸井国分寺店で勝った吊るしの安物」「メガネスーパーでサンキュッパ」と説明しているが、無粋で迂闊な男性刑事たちは疑うこともしない。

*2 ただし、麗子自身は黒歴史としており、風祭は彼女をかばった際に寝てしまったのでその時の記憶がない。

*3 『2』では椅子から転がり落ちたり美術品を割ったりするなど、リアクションが大きくなっている。

*4 一応、口に出す前に本当に言っていいのか麗子に何度も確認してはいるが。

*5 影山も彼と同レベル扱いされるのは屈辱的なようで、麗子に「風祭警部と同じレベルねぇ」と言われた際は頬が一瞬ピクリと引きつった。

*6 巡査~警部補はそれぞれ約30%ずつを占めるため、これだけでも全体の9割を占めており、警部以上がいかに少ないかがうかがえる。

*7 警部補までとは違って昇任試験に学歴の差はない。警視以降はポストに限りがあるため、昇任試験はなく勤務経歴や成績を総合的に勘案して選考される。

*8 しかしながら忘れっぽい性格のためか、『2』で再会した際は麗子のことを忘れてしまっていた。

*9 宝生家の薔薇園やガレージは風祭家の3倍以上はあると麗子は語る。

*10 ドラマでは風祭本人が具体的な数字を明かしている有様。

*11 実際に「捜査一課」があるのは警察本部であり、所轄署では基本的に「刑事課」として設置される。大規模署では犯罪の種類によって「刑事第一課」「刑事第二課」などと分割される場合もあり、警視庁管内では「刑事組織犯罪対策課」の名称で置かれることが多い。

*12 一応、第8話では麗子と世代が違うほどの年齢差があることは示されている。