茶碗蒸し

登録日:2010/05/15(土) 19:00:06
更新日:2024/01/09 Tue 16:50:29
所要時間:約 6 分で読めます




茶碗蒸し、それはプリンの真似をして食卓にたまにいるにくいあいつである。
期待を胸に一口食べると、程良い味の出汁ととろける食感に脳髄までとろとろにされてしまう、世にも恐ろしい食べ物よ。

プリンとの決定的な違いは、甘さとそれから中に入る具のバリエーションの豊富さだろう。


★主に茶碗蒸しに入っているもの

これがなければ始まらない。
よく溶いて出汁と合わせよう。

  • 三つ葉
茶碗蒸しの黄色みを帯びたクリーム色に最高にマッチングする美しい緑色。
食感もまたシャキシャキとして素晴らしいのに、香り高さまで添えてくれるニクいやつ。
基本的に茶碗蒸しの一番上にいる、茶碗蒸しの顔である。

  • しいたけ
基本は干し椎茸である。
出汁で作る茶碗蒸しに更にアクセントとして椎茸の旨味まで投入してくるなんて……茶碗蒸し、なんて恐ろしい子!
これもまた卵とは違う食感が堪らない。

  • 銀杏
かなり好き嫌いの分かれる物である。
茶碗蒸しの銀杏は基本的に底の方に沈んでおり、茶碗蒸しの締めに銀杏をぱくり。至福の時である。
卵とは違ったトロリとした濃厚な食感が特徴。

  • ユリ根
これもまた好き嫌いが分かれる物である。
同じく下の方に沈むため、銀杏との共存はあまり見られない。
こちらはシャリシャリとした食感。
やはり茶碗蒸しの締めとして素敵な食感を与えてくれる。

  • かまぼこ
明日が見えるほどに薄く切った板付きかまぼこが入っていることが多い。
こちらは三つ葉と同じく表面にあることもあれば、中程に隠れている場合もあるお茶目さん。
ふちがピンクの場合が多い。映えるからかな?
プリプリするあの感じが最高。
案外出汁が出て良い味をプラスしてくれる。

  • 鶏肉
親子の夢の競演。
だが、親子丼とはまたひと味違う。

  • 焼きアナゴ
とろとろの卵の中に、とろふわの焼きアナゴ。
そのまったりとした食感はまさにキングオブ茶碗蒸し。

  • 小海老
あの、丸っこくなっている小さなエビ。
基本的に浮いている。
茶碗蒸しなのにぷりんぷりんの食感。

ホタテあたりの貝柱は最高。
口の中で卵と溶け合っていく様は芸術的。
つーか小海老とのタッグに勝てる奴いる?いねえよなあ!?

香りでは王様。
シャキシャキした食感がたまらない。

  • 栗の甘露煮
黄色くて甘いあいつ。銀杏、ユリ根と同様に下に沈む食材なので同居はあまり見られない。
お子様にはウケが良い。
ただし、大抵は中国産なので気にする人は気にする。

  • 枝豆
スーパーなどに売っている安いカップ入りの茶碗蒸しに、銀杏やユリ根の代わりに入っていることがある。
万人受けするくせのない味、安い、冷凍品なら年中手に入れやすいと三拍子そろった食材なので、
家庭で作る際に銀杏などの代わりに使うのもいい。



★茶碗蒸しの作り方
温度、蒸す時間、卵と出汁の割合など極めようと思えば簡単ではない。
だが卵液の希釈割合が卵:だし=1:4
(ちなみに卵豆腐が1:1~2、ぷりんが1:2~2.5)
味付けは0.5~0.6%塩分
これさえ守れば案外簡単に美味しく作れるのだ。

基本的な作り方(Wikipediaより)
具材と、溶き卵に薄味の出し汁を合わせたものを入れ、蒸し器で蒸す。
蒸し器の蓋はずらして乾いた布巾を挟んでおく。
※このとき蒸し時間が長いと、卵が凝固し過ぎて『す』と呼ばれる隙間ができてしまう。
あと、マイタケを生のまま入れるとプロテアーゼが卵の凝固を阻止するため、固まらなくなってしまうので注意。

では実際に作ってみよう。
茶碗蒸し(4人分)
  • 卵二個(100ml)
  • 出汁2カップ(400ml)
  • 2gに醤油6g

1.卵を混ぜ少量の出汁を入れて混ぜ残りの出汁に調味料を入れて混ぜ二つを合わせてよく混ぜる。とにかく混ぜるだけである。
2.これを一度越して器に入れる。好みの具も入れると良い。海老や肉は酒と塩や醤油で揉んでおくように。
3.蒸し器で卵が白く濁るまで1~2分強火にかける。
4.濁ったら弱火に落とし、少し蓋をずらして8分。
これだけである。火加減によっては多少すが入るかもしれないが十分美味いものが作れると思う。
蒸し時間や味の濃さは各自研究を重ね極めてもらいたい。
クックパッドあたりにも様々な作り方が掲載されているので、自分に合う茶碗蒸しの作り方をマスターしよう!

★バリエーション
夏場には冷やして上に冷たいダシをはったものが出てくることがある。
食欲がなくてもするりと食べられて、卵や具材でそれなりの栄養もとれる。
そのため江戸時代には精力剤として食べられたこともある。

冬場には熱いままで供される。
茶碗蒸しというとこちらを思い浮かべる人の方が多いかもしれない。
身も心もとろとろにあたたまる。


他にも、茶碗蒸しの具にうどんを加えた、小田巻き(苧環)蒸し(おだまきうどん)、
具に豆腐を使い、蒸しあげた後に上から葛あんをかけた空也蒸しなどがある。
青森県北海道の一部ではクリの甘露煮が入っている。
これ以上俺の心をほくほくにするな!どんどん好きになっちまうだろうが!

某一風堂ではラーメンの具にもなった。
ちなみに茶碗虫ラーメンの値段は1800円だとか。


★そのほか豆知識
正しい食べ方は、最初にかき混ぜてある程度崩してしてから食べる。
一見品がないようにも見えるが、マナー違反にもならない。

鹿児島弁で「ちゃわんむしの唄」が存在する。
この歌は、2009年に鹿児島県地上デジタル放送推進協議会によって作られた地デジPRのCMで推進大使が歌ったCMソングの元歌になった。
※「茶碗蒸し」ではなく「ちゃわんむし」である。
これは本作がちゃわんむしという言葉の意味の取り違えを題材とした歌であるため。
詳しくは鹿児島界隈の人に頼みます。

そしてあの古畑さんの得意料理。
ちなみにフランスパンを浸して食べるのが古畑流。ユニーク。
部下の名前は忘れても、茶碗蒸しは完璧に作り上げるのが古畑任三郎なのである。



★おまけ
簡単に茶碗蒸しっぽい物を作る方法

茶碗蒸しは美味い。
だが、作るのにはなかなかテクニックが必要になってくる。
そこで簡単にそれっぽいものを作る方法を書いておく。


★用意するもの
スープの素(中華スープなど)
卵(一個)
レンジに入れられるカップ
フォーク
電子レンジ


①スープの素をスープにする。
お湯の量は普通に飲めるくらいでおk。

②溶いた卵をスープにぶち込む。
溶くのにわざわざ器を使うのがダルいときは、スープに直接卵を割ってかき混ぜてもおk。
ただしスープが熱いとよく混ざらないので注意。

③ラップはせずに電子レンジで約2分温める。
状況を見て調整されたし。
500wなら2分位のはず。

④出来た物を軽くかき混ぜる。
熱々なので注意。
※混ぜないとより茶碗蒸しっぽいが、なかなか冷めない。

⑤食べられる温度になったら食べる→ウマー


あくまで「それっぽいもの」に過ぎない。
だが、これはこれで旨い。
シーフードスープやワカメスープなども美味い。

おすすめは春雨スープ。
春雨を少し残して暖めるとこれはこれで美味い。
バリエーションも豊富なので飽きがこない。
辛目のスープだとおかずっぽくもなる。

もしかしたら、ラーメンの汁なんかも合うかもしれない。
まあ似たようなものでも食べたいのである。





追記、修正は熱々の茶碗蒸しを食べながらお願いします。
銀杏は残してください。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 食べ物
  • 料理
  • 卵料理
  • 上級者向け
  • 上級者向け←案外簡単
  • 甘くないプリン←ジャパニーズプリン
  • え?茶碗蒸しに栗って普通じゃないの!?(一部道民)
  • 銀杏は賛否両論
  • 古畑任三郎
  • さなだむし
  • 茶碗蒸し
  • 腹が減る項目
  • 蒸し料理

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年01月09日 16:50