乃木坂春香の秘密

登録日:2009/09/22(火) 22:32:51
更新日:2024/02/25 Sun 00:34:32
所要時間:約 6 分で読めます




電撃文庫から刊行されていたライトノベル

概要

著者は五十嵐雄策、イラストはしゃあが担当している。
2006年から2012年までに全16巻が刊行され、その間に2度の地上波アニメ化、OVA、ゲームの発売など00年代後期の電撃文庫を代表する作品とも言えるだろう。

基本的には王道のラブコメであり、時折シリアスが入ったりはするものの明るいノリで話は進んでいく。
それぞれが独立した短編中心で、長期にわたって展開されるエピソードは多くない。長くてもだいたいは1巻で収まる程度の長さである(終盤をのぞく)。

今でこそ充分に浸透したオタク文化だが、刊行当時(2006年)はまだまだオタクへの偏見も強く、ようやく浸透し始めたかくらいの時期であったため、本作でも描かれているように当時はオタクであることを公言するのは憚られることであった。

2018年に娘世代を主人公にした続編が発行されている。

あらすじ


私立白城学園高校に通う主人公・綾瀬裕人のクラスメイトである乃木坂春香は容姿端麗・才色兼備な深窓の令嬢であり、
「白銀の星屑(ニュイ・エトワーレ)」「鍵盤上の姫君(ルミエール・ドゥ・クラヴィエ)」など数多くの名称を持つ学園のアイドル。

だがある日、裕人が親友の代わりに図書室に本を返却しに行った際に彼女の秘密(アキバ系であること)を知ってしまう。

それがきっかけで裕人と春香の「秘密」の関係が始まる。 

登場人物


  • 綾瀬 裕人(あやせ ゆうと)
声:羽多野渉
主人公。白城学園2年1組。
何の変哲もない普通の高校生だったが、偶然に春香の秘密を知ってしまったことから親しくなっていく。
ぶっきらぼうに見えるが、困っている人間を放って置けない性格。
両親は南米で養蜂を行っているというニッチな設定があり、姉も家ではだらしないので一通りの家事スキルを身に付けている。
本人はアキバ系*1ではないが、幼馴染の信長が絵にかいたようなアキバ系であり、彼の一方的なトークにしょっちゅう付き合わされているため、アキバ系への偏見はあまり持っていない。

作中でもしつこいくらいに「朴念仁」と言われており、実際に多くの女性から好意を寄せられているが本人はあくまで春香一筋。
とはいえ、目の前でのお色気ハプニングには動転することもしばしば(不可抗力ではあるが)。

実は過去に春香と出会っており、アキバ系という趣味を作らせた張本人だが春香は忘れている。


声:能登麻美子
ヒロインで裕人と同じく白城学園2年1組。
世界規模の影響力を誇る乃木坂財閥の令嬢で学園のアイドル。
容姿端麗・才色兼備だが、絵の才能は壊滅的。しかしどこぞの画伯とは違いほんわか系である。
温厚で、誰に対しても「ですます」口調で話す絵にかいたようなお嬢様。
実際はかなりの天然かつドジっ娘だが「乃木坂流古武術」の師範代資格を持っており、同年代の男性なら投げ飛ばすことが出来る。
漫画版では乃木坂流古武術奥技「星屑返し(スターダスト・レヴォリューション)」を披露する。
アニメや漫画をこよなく愛するアキバ系という秘密を持っており、趣味に対して偏見を持たず、何かとフォローしてくれた裕人に好意を抱くようになる。


声:後藤麻衣
春香の妹で、私立双葉女学院中等部2年紫陽花組。
天然ボケな姉とは対照的に天真爛漫なしっかりもの。裕人のことを「おに~さん」と呼んで慕っている。
春香と裕人の関係を応援しているが、お付きのメイドである那波と一緒に2人をからかって楽しむような小悪魔的な一面も。
春香とは対照的に体型の方はペタンとしている。


  • 桜坂 葉月(さくらざか はづき)
声:清水香里
乃木坂家のメイド長。乃木坂家メイド序列隊第1位。
主に春香や美夏の世話を担当しているが、春香お付きのメイドという印象が強いか。
春香にとっては姉にも等しい存在で、葉月もまた誰より春香を大切に思っている。
どこからともなくチェーンソーを持ち出すが、企業秘密との事。
ぬいぐるみや子犬など可愛いものが好きで、自室はそういったもので溢れているとか。

メイドとして訓練を受けているため、音を立てずに裕人の傍に忍び寄り声をかけては驚かれる、という流れは作中で何度も登場する定番の流れとなっている。
書籍の裏表紙に描かれるのがお決まりとなっており、その巻の内容をテーマとした衣装やシチュエーションで描かれている。


  • 七城那波(ななしろ ななみ)
声:植田佳奈
乃木坂家のメイド。序列第3位だが、第2位が欠番になっている関係で実際は葉月に次ぐ立場である。
普段の仕事は葉月の補佐だが、主に美夏と行動を共にしている。
どんな会話であろうと語尾に「~」をつけて話すほどフレンドリーな性格。
笑顔のままで毒舌を吐き、なぜか常時サングラスをつけ、葉月同様にどこからともなく巨大なハンマーを取り出す。

アニメでは超人気美人声優(那波談)植田佳奈の物真似を披露した。


  • アリスティア=レイン
声:釘宮理恵
序列第8位の幼女。見た目や背格好に反して戦闘担当のメイド。実力も当然高い。
いわゆる無口キャラだが、彼女の場合は一般的なソレを上回る無口具合で登場しても「――――(コクコク)」と喋らずに頷くだけの描写も多い。
日本語に不慣れであるが、多少なら喋ることは出来るし、聞き取りに関しては問題ない模様。母国語(?)であるドイツ語がたまに飛び出す。
ある一件から裕人に懐いている。


  • 天宮 椎菜(あまみや しいな)
声:佐藤利奈
ロンドンのピアノコンクールで参加した春香の応援に連れて行かれた裕人が出会った少女。後に同じクラスへ転入してきた。
北海道出身で、イカとピアノをこよなく愛する。ピアノの腕前は確かであり、ロンドンのコンクールでは春香に次ぐ2位に入賞している。
いつも前向きで明るい性格で裕人と座席が隣同士になり、友人として接する中で裕人に惹かれていく。
不遇な扱いで、もう付き合っちゃえば良いじゃんと云いたくなる気もわかります…。
ちなみに裕人に告白したが、その時点で春香が一番大切となっていたために振られる。合唱。


  • 朝倉 信長(あさくら のぶなが)
声:高木礼子
裕人の幼なじみ
明朗快活な性格で成績も優秀な美少年だが、
小1で秋葉原の地理を熟知していた筋金入りのオタクで「皇帝<カイザー」の異名を持つ。
アキバ系界隈に対して絶大な影響力を誇っており、コスプレ店やアニメ系ショップへの提言など、明らかに高校生の範疇を超えた活動を既に行っている。
1年時は裕人とは違うクラスなのだが、裕人のクラスメイトの弱みを使って裕人のクラスの文化祭の出し物をメイド喫茶に決定させた。
「女の子は二次元に限るよね~」など、問題発言をさらっと口にする。

妹がいるが、「方向音痴な上に異常に運が悪い」という呪いとしか思えない個性の持ち主であるため、
作中で兄妹が揃ったためしがない。
(出会う場所がコミケ会場だの秋葉原だのの戦場であるのも大きいが)

  • 永井/竹浪/小川
いつも3人で固まってはアキバ系談義に花を開かせている三馬鹿。
だいたい信長と一緒に登場し、裕人に迫ってはあしらわれるというのが定番になっている。

  • 朝比奈 麻衣
声:豊崎愛生
大人しい性格に反して薙刀部の副部長を務める。
「メガネっ娘なのに薙刀部副部長」というフレーズで親しまれている。

  • 澤村 良子
声:喜多村英梨
緑の髪と泣きボクロが特徴の楽しいこと大好きの暴走キャラ。


  • 天王寺 冬華(てんのうじ とうか)
声:釘宮理恵
「東の乃木坂家」と並び称される「西の天王寺家」の第3位継承権を持つお嬢様で「絶対零度の氷姫(プリンセス・ブリザード)」の名を持つ。
性格は高飛車で傍若無人。
目標は世界征服。
アニメ版では中の人のネタであるツンデレ振りを披露してくれた。


  • 上代 由香里(かみしろ ゆかり)
声:松来未祐
音楽教師で、2年1組の副担任。
常に笑顔を浮かべた、人をからかうのが好きなトラブルメイカー。
自称「永遠の十七歳(エターナル・セブンティーン)」で現在彼氏募集中。なお10年後も独身であることが確定している。
ホームルームに二日酔い状態で現れては裕人にセクハラ発言を飛ばすのがお決まりとなっている。


  • 綾瀬 ルコ
声:生天目仁美
裕人の姉で某一流企業の敏腕社長秘書という非常に優秀な肩書きを持つが、家庭では大酒飲みで家事が一切できない。
非常に大雑把な性格だが空手2段の実力者。


  • 乃木坂 玄冬(のぎさか げんとう)
声:立木文彦
春香・美夏の父。
普段は世界中を飛び回っているかなり忙しい人物。
外見や言動はヤクザのようだが、実際は春香の誕生日パーティーのために島1つ買い取ることも厭わないほどの親バカ。
春香と裕人の交際には猛反対し、春香のアキバ系趣味に否定的。マダオのくせに。
初登場時こそ怖い父親として登場したが、その後はカリスマブレイクが激しく、妻である秋穂は勿論、娘である美夏やメイド達にまでぞんざいに扱われるようになった。
婿として乃木坂家に入ったため、家庭内ヒエラルキーが低いのが原因である模様。

ちなみに名前の「玄冬」は冬を表す季語の一つ(残りは青春・朱夏・白秋)。

中の人が『エヴ○ンゲ〇オン』の碇ゲンドウと同じ人ということでアニメ内において、「あぁ、問題ない」という発言があった。


  • 乃木坂 秋穂(のぎざか あきほ)
声:久川綾
春香・美夏の母。
2児の母とは思えないほど若々しい美人で、裕人も初対面時は春香の姉か従姉妹と間違えた。
料理学校校長で落ち着いた知性的な物腰に、玄冬をも圧する迫力を秘めている。
ボケもツッコミもイケます。

独特の比喩表現を多用した文体が特徴で、どことなく椎名誠作品に通じるものを感じさせる。


乃木坂明日夏の秘密


2018年にまさかの刊行開始となった続編。作者、イラストレーターは変更なしだが、イラストレーターの絵柄の変化もあってぱっと見では別作品の様に見えなくもない。
作中では前作からおよそ28年ほど経っているが、作中の時代設定は刊行当時の2018年を元にしている模様。
現実世界でもそうであるように、時代の移り変わりによってアキバ系文化が広まって一般的になっているため、前作では意外と少なかったアキバ系の登場人物が増えている。

前作では『春香のアキバ系趣味を隠す』のが目的だったのに対し、今作では『明日夏が実はアキバ系ではないことを隠す』という真逆の状態になっているが、やっていることは前作と変わらずヒロインのサポートである。

登場人物


  • 沢村 善人(さわむら よしと)
2代目主人公。AMW*2研究会所属。裕人とは逆に妹が居る。
ライトなアキバ系であり、アニメやラノベも触ってはいるがそこまで入れ込んでいるわけではない。
とある事件で明日夏の事情を知り、すがってくる彼女を無下に出来ないと協力することになる。


  • 乃木坂 明日夏(のぎざか あすか)
2代目ヒロイン。裕人と春香の次女。同じくAMW研究会に所属。
母の春香と同じく成績優秀、容姿端麗なお嬢様として通っているが、実際は天才ではなく、性格もお嬢様らしくない(本人曰く)子供っぽい性格。
天才の姉に追いつくために必死で学業や習い事に熱を入れており、趣味の時間を持てなかったためアニメやゲームといったアキバ系の趣味はサッパリであるが、姉に追いつきたいという目標のため対外的には姉と同じくアキバ系に詳しいお嬢様というキャラクターを演じている。
善人のことを師として仰いでおり「せんせー」と呼んでいる。


  • 乃木坂 美夏
明日夏の「おかーさん」。
仕事で世界を飛び回る明日夏の両親に変わって、幼いころから明日夏の面倒を見ていたという。
大きくなっても相変わらずのツインテ娘。小悪魔系な性格も相変わらず。那波さんがお付きなのも相変わらずである。


  • 乃木坂 未来(のぎざか みらい)
裕人と春香の長女。
1巻時点では登場していないが、明日夏や周りの人物からの評ではかなりの完璧人間である模様。
白城学園在学中は母と同じく『白銀の星屑(ニュイ・エトワーレ)』と呼ばれていた。
AMW研究会の設立者で、個人としてもアキバ系のコンテンツに制作側として携わっていたという。
ちなみに、名前だけは前作の最終巻で既に登場していた。


  • 朝倉 冬姫(あさくら ふゆき)
善人の幼馴染。AMW研究会所属。
見た目だけなら間違いなく美少女なのだが、中身はディープなアキバ系で善人も少なからず影響を受けている。





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最終更新:2024年02月25日 00:34

*1 いわゆるオタクのこと

*2 アニメ、マンガ、ウォッチング