ヒョウ(うしおととら)

登録日:2012/02/09(木) 00:06:29
更新日:2024/01/18 Thu 19:53:13
所要時間:約 6 分で読めます




この項目はネタバレを含みます














帰ればそこに…幸せが待っているはずだった…だけど待っていたのは…

暗黒の淵と… 蒼い目が呼ぶ…

復讐の日々だった…


ヒョウとは、うしおととらの登場人物。
名前は漢字で金偏に票の「鏢」だが、常用漢字ではないので普通は変換候補に出ない。以降はカタカナで表記する。

CV:若本規夫(OVA)、浪川大輔(TVアニメ)


●概要

符(お札)の力を用い、金をもらって妖を退治する符咒士の中国人。
右目に縦三本の傷があり、長髪と左の瞳だけ蒼いオッドアイ、サングラスと帽子が特徴の端正な容姿の青年。
だが手(を含む全身)には数多の古傷があり、どこか近寄り難い怪しげな雰囲気を出している。
服装は初登場時は白い服とコートだったが、再登場以降は黒ずくめのコートに統一されている。

中国の妖怪の中では有名で、獣の槍以上に恐れている者までいる。
本名は捨てており、ヒョウとは(あざな)で、彼の愛用する武器「(ひょう)*1」に由来する。

元は中国出身で幼い娘を持つ普通の父親だった。
しかし十五年前に右眼と妻子を妖怪に奪われており、その復讐のために行方を追っている。
失われた右眼には百年霊土の中にあった青紫水晶を磨いて出来た翠竜晶を埋め込んで、目の代用としている。

ちなみに実年齢は少なく見積もっても40前ぐらいだが、桃源郷で十五年間修業していた影響なのか、外見の年齢は20代のままで止まっている。


●戦闘面

目的を達するためには手段を選ばない殺し屋然とした戦闘が特徴。
精神攻撃にも動じないなど感情を表に出すことは少ない。
しかし、親子…特に子供を殺したり傷つける者に対しては妖怪・人間問わず激しい怒りと憎悪を露わにする。
見逃そうとしていた妖怪が子供を食っていたと知った途端、怒り狂って問答無用で禁じたこともある。

十五雷正法(じゅうごらいしょうほう)


天地より万物に至るまで気をまちて以て生ぜざる者無き也
邪怪禁呪(じゃかいごんじゅ) 悪業を成す精魅(せいみ)
天地万物の正義をもちて微塵とせむ


桃源郷での厳しい修行の果てにヒョウが習得した退魔術。
元々は道教の五雷正法を発展させたもので禁術がベース。名の通り十五種の技から成っている。
禁術により万物に宿る気を禁じることで、剣に斬ることを、鳥に飛ぶことを、妖怪に存在することを禁ずることが出来る術。
また、相手の攻撃を禁じて防いだり、相手の能力を知っていればそれを禁じる符を張ることにより能力を使えなくすることも可能。



◆浄眼

上記の通り、仙人により右目に埋め込まれ義眼として用いていた翠竜晶が変化したもの。
妖怪の姿を見る事が出来、あらゆるまやかしを見破ることも可能な一種の魔眼。
対妖怪戦では霊力による攻撃を吸い込み目の中に蓄えることで無効化する奥の手も有している。
更に一般人相手には一種の暗示をかける事も出来る。*2
十五雷正法と並び、ヒョウの主武装と言える装備。


◆その他の装備

自作の符。攻撃や防御、結界の構築など用途によって様々な種類がある。
禁術により符に念を送り込むことで対象を粉砕する「爆砕符」が有名。

  • ひょう
ヒョウの主武装である、矢じりの形をした中国式の手裏剣。
使用するのは紐で結んだ縄ひょうと呼ばれる物。
縄は女の髪とワイヤーをよりあわせたもので、一度刺さると抜けず、とらでも噛み切れない。

  • 遁甲板
占いにより標的の位置を知るために使う。
獣化したうしおの来る方向を占った時に割れてしまった。

  • 鎖帷子
塩をまぶした縄と女の髪を鋼鉄により合わせた特製で24キロの重量を誇る。
紅煉の強力な霊刀の攻撃を防ぐことが可能。



●劇中の活躍


◆過去

元は中国広東省に住む一般人であったが、ある夜、自分の帰りを待つ妻と娘が妖により無残に食い殺され、自分も右目をえぐられる大けがをする。
仇を探して、まる一昼夜山をさまよい迷いこんだ桃源郷で、仙人に命を助けられ、敵討ちのために仙術を習い、十五年の修行の末、十五雷正法を身につける。*3
その後、自分を最初に見つけ、思いを寄せる桃の精ミンシアの危機を救い、そのまま桃源郷を去る。その際ミンシアに本名を託し、名を捨てた。

◆うしおととらとの出会い

それから十三年間金をもらって、妖怪を退治しながら仇を探していたが、手掛かりすら見つからなかった。

ある時、依頼で妖怪を封じていた際、テレビで仇に良く似た妖怪とらが日本にいることを知り、来日。
遁甲板の占いによりうしおと出会う。とらの裏切りに怒っていたうしおにより、とらが仇だと誤認、交戦し追い詰める。
しかし、嘘に耐えきれなかったうしおにより危ういところで誤解は解かれた。

◆北へ

その後は、依頼で北海道に潜む吸血鬼を退治するため登場。
西洋の妖怪であるためか禁術の効き目が薄く苦戦するが、吸血鬼と同じ獲物を狙っていたとらと共闘する形となり、最終的に吸血鬼の胸に杭を打ち退治する。

そのまま北海道に留まり、仇の情報を得るため、獣化したうしおを元に戻すのに協力する。
そして時逆、時順により、家族が襲われた夜に行き仇である紅煉の姿を確認し、さまざまな情報を得る事に成功した。



◆仇敵

その後はしばらく登場がなかったが、中国からやってきた魏(ギ)、暴(ボ)の退治を依頼され、魏と暴が逃げた先でうしお達と交戦している所に登場。
熟練した動きで暴を瞬殺し、妻子に化けた魏にも動じず、容赦なく倒してしまう。浄眼なんだから、まやかし通用しないじゃないかという突っ込みは無しで

それからうしおの家に行き、精神が未熟なうしおに鍛錬をつけるために、桃源郷に連れて行こうとする。
しかし獣の槍によって字伏が呼び寄せられ、それを追って紅煉が登場。
字伏の成り立ちをうしお達に教えた後、紅煉と交戦、右目に傷を付けるも圧倒されるが、黒炎が到着したことにより見逃される。
紅煉を追うため、うしおに鍛錬を付けられなくなったが、一緒に酒を飲み、また飲む約束をする。

エピソードが省略、再編成されたアニメ版では、記憶を食う婢妖が放たれた後に潮達に合流するというオリジナル展開となった。
浄眼の力で自身に取り憑こうとする婢妖を見抜き、返り討ちにしたらしい。

◆約束の夜へ

そして、紅煉と人知れず三日三晩に渡る激闘を繰り広げ、偶然迷い込んだ家の母親と娘を十五雷正法のすべてを駆使し、身を挺して守り抜く。
そして右目の翠竜晶に紅煉の雷を吸収した後、抉り抜いて右腕ごと喰わせ、完全に致命傷を負ってしまう。


その水晶に……お前は何を叩き込んだ?
全てを破壊する自慢の雷だ……

そして……
今それはどこにある……?


呪符もひょうもすべて使い切り、万事休すかと思われていたが…


天地より万物に至るまで… 気をまちて以って生せざる者無き也。

けっ、ここにきてついに、おかしくなりやがったか…… !

千切れた右腕から、大量の呪符が飛び出ていた。

キッサマァア!
自分の体の中に、符をぬいこんでやがったのかあぁあ!


爆砕符。
天地万物の正義をもちて微塵とせむ。


ちっくしょオ。
死にたくねぇぇぇ。


ハイフォン… レイシャ…

今こそ…





この捨て身の技によって紅煉を葬り、長き復讐の日々に幕を下ろしたのだった。



終わったよ… 終わった…




最期は近くにいた子供とその母親に看取られながら、微笑みを浮かべながら…。


「戦った後は…酒で憎しみを追い出す…のさ…」

「何言ってるの!もう…」

「ふう…旨いな…」

「そう?そう?」

「ああ…でも…あいつとなら…もっと…旨いだろうな…」
「なァ…子供は…いいだろう?」

「な…?」

泣きながら、しかし微笑みながら頷く母親。そんなヒョウの目が、だんだんと虚ろになっていき…

「ちょっとあんた…」
「お…おじちゃ…」

『レイシャ、可哀想に…眠ってしまったろうな…でも珍しいブリキのおもちゃもあるし…許してもらおうか…』
「……よ……」

「え?」

「今…帰ったよ…開けとくれ…」

胸元から取り出した、頭だけになってしまったブリキのおもちゃ。
子供は、涙を浮かべながらそれを受け取る。

『今…帰ったよ…』


『おかえりなさいあなた。』

『おかえりお父ちゃん。』



「おそく…なって…ごめんよ…」
『レイシャさあこい、ほら、おみやげだぞ。』

『わぁいありがとう、お父ちゃーん。』
『あら、よかったわねぇ、レイシャ。』
『うん、あたし、お父ちゃん大好き!』
『あらあら。』




「ママ……おじちゃん・・・死んじゃったの?」
「……ううん…… 自分の家に…帰ったのよ……」


なお、爆砕符を体内に仕込んでいたのは「勝てるとは思ってなかったから」との事。
つまりイザとなったら自爆して紅煉を道連れにするつもりだったという事になる。

白面の者との最終決戦には、上記の死闘の後、冥界の門を通って登場、うしお達を援護した。



うしお… 敵に惑わされるな。冷静にな…


追記・修正お願いします

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • うしおととら
  • 符咒士
  • 中国人
  • 義眼
  • 浄眼
  • 十五雷正法
  • 涙腺崩壊
  • 若本規夫
  • 約束の夜へ
  • 父親
  • ヒョウ
  • 浪川大輔
  • 魔眼
  • 魔眼
  • オッドアイ
  • 退魔師
  • 霊能力者
  • トラウマ持ち
  • 復讐者
  • 復讐鬼
  • 激動の人生

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年01月18日 19:53

*1 中国の投擲武器の一種で、忍者の使うクナイによく似ている。同様に縄を通す穴もある。

*2 なお、「浄眼」となってるのは右目だが、左目も副次作用で同じ色になっており、こちらも擬似的な「浄眼」となっている模様。

*3 桃源郷は時間の流れが違うため、人間界では二年しか経っていない。また、桃源郷では大人は一歳たりとも歳を取らない。