浦和良

登録日:2012/09/13(木) 02:57:27
更新日:2024/04/14 Sun 05:23:36
所要時間:約 10 分で読めます




美少女戦士セーラームーン』の登場人物。アニメオリジナルキャラクターで、原作漫画には登場しない。
旧アニメ版で最も賛否の分かれるゲストキャラである。

CV.太田真一郎


アニメ無印27話、41話、45話に登場する中学生男子。

何の間違いか、初登場でイキナリ学校の学力テストで、あの水野亜美を抜くという暴挙をかました。

だからと言って優れた人物と言うワケではなく、彼本人はあまりにも凡庸な容姿であり性格も暗い。

亜美ちゃんを抜いたのも、とある仕掛けがあったがためで実は本人の頭が亜美以上に優れているとか努力しているとか言うわけでもなかった。

そんなキャラが当時主に男性視聴者に人気No.1であった水野亜美に片思いしていた事が反感を買ったアニメオリジナルキャラクター。
















(☆以下ネタバレ☆)
(亜美ファン要注意)






改めて彼を紹介する。






浦和 良(うらわ りょう)
CV:太田真一郎



十番中学校に転校してきた男子。
水野亜美のクラスメート。
父親は転勤族。


そしてダーク・キングダムの最強妖魔七人衆・妖魔ブンボウの転生体であり幻の銀水晶のカケラのひとつである黄色の虹水晶の保持者。

ちなみにブンボウは肉体が文房具の形で、両手がコンパスとハサミになっており、爬虫類っぽい顔のロボットじみた外見の怪物であり、普通の人相をしている風貌の浦和とは似ても似つかない。ブンボウと同系統の妖魔にゲーセーンとリコウケイダーがいる。

前世の影響から強力な予知能力を持っており、これが原因で自らの正体悲壮な宿命を知る。
どこか暗く影のある性格はこれに起因しており、本来の彼は心優しく勇敢な性格である。

彼の予知能力は強力だが万能という訳ではなく、未来に起こる事のタイミングまでは読めず彼がうさぎに「今日は水に気をつけた方がいい」と言った直後にうさぎがバケツの水を被ってしまうというミスもやらかしている。

自らの能力により亜美=マーキュリーという事実を知っており、幼い頃から予知夢に見た彼女に心惹かれていた。
そして塾のテストで実際に亜美を目にし、彼女に落とし物を拾ってもらい、その想いは徐々に確信へと変わっていったのである。

しかし、彼の見る予知の中では、亜美は最後にブンボウに負けてしまう運命にあるのだった。

そして彼は自らの運命に些細な抵抗を試みる。
それが……。



【無印27話『亜美ちゃんへの恋!? 未来予知の少年』】

なのである。


ここで彼はまず亜美に自分への注意を向けさせるため予知能力でテスト問題を先読みしてテストの順位で亜美を抜く

さらに偶発的な事故を予知して、亜美を呼び止める事で彼女を無傷で救う。
もしかしたら、この事故での傷が予知の未来での亜美の敗北に繋がるのかもしれないから。


しかし運命は止まらない。


ついに浦和の前に前世よりの悪夢の使者であるゾイサイトが立ちはだかったのだ。彼は予知によりゾイサイトの名も知っていた。
ゾイサイトに抵抗する浦和だったが人間状態では所詮、幹部たるゾイサイトの前には無力。
あわや虹水晶を抜かれそうになる寸前でセーラー戦士たちに助けられる。


しかし不吉な予知は止まらない。


目が覚めた浦和は予知した未来の回避のため、ついにネタばらしと予知の暴露を行い、
セーラーマーキュリーとなっている亜美に自分を殺してほしいと請う。

だが亜美から返ってきた言葉は「未来は自分の手で作っていくもの」、
そして「あなたはその力で予知では怪我をしていたハズの者を助けた」という事実だった。


予知は予知。未来は変えられる


亜美の言葉で改めてそれに気づいた浦和は運命と戦う決意を新たにする。


しかし再び現れるゾイサイト。虹水晶はアッサリ抜き取られ妖魔ブンボウは覚醒。

浦和の努力も空しく予知は現実のものになった---かに見えた



なんと浦和の心が残っていたブンボウはマーキュリーをかばいゾイサイトを攻撃した



ゾイサイトを攻撃したのである!!!


大事な事なので二度言いました


いや浦和の亜美への想いが妖魔の邪悪を凌駕したのか。

ちなみに歴代妖魔の中で明確な意志をもって幹部に反旗を翻したのはコイツだけ。

しかし抵抗もここまで。さらにゾイサイトによって浦和の意識は消滅し、ブンボウは完全に凶暴な妖魔となった。
結局はセーラームーンのムーンヒリングエスカレーションでブンボウは浄化され浦和に戻った。



「なーんだ、結局、セーラー戦士がすげえんじゃん。所詮、浦和だな」とか言ってる奴。

ちょっと待て

そもそもブンボウに浦和の心が残ってなければ、それ以前に物語冒頭で亜美が怪我をしていたら


セーラーマーキュリーは確実に死んでたと思わんかね?
セーラー戦士たちの集合が間に合わず無惨な事になっていたと思わんかね?


浦和の時間稼ぎがあればこそ戦士たちは間に合ったといえる。


それを考えれば、この話でのセーラー戦士たちの勝利は彼女たちの力ではなく、なんてことないただの少年の決断と努力によってもたらされたのである。


亜美もそれが解ればこそ全てが終わり再び転校する良に自らの写真を渡した。



あなたは自分の「運命」に勝ったのよ。それは、どんな成績を取るよりも素敵な事---



亜美のこの言葉にこそ浦和良という人間の真価が見えるのである。


(彼の所持していた黄色の虹水晶は唯一セーラー戦士の手に渡るが、32話で大阪なるちゃんを含む大量の人質を取られたセーラームーンがゾイサイトに奪われてしまう。無念。)


そして二人は41話で再会する。


ダーク・キングダムが画策していた、黒水晶と最強妖魔七人衆を使った合体最強妖魔計画
このために火野レイの祖父(妖魔態は狛犬みたいな風貌のジジ)と浦和以外は全員捕まってしまっていた。
浦和はこの事実を亜美に伝え、レイの祖父を守るよう言い残して電話を切る。
『美少女戦士セーラームーン』でこのように作戦自体に関与した民間人は彼くらいのものである。
亜美は当初、言われた通りレイの祖父を守ろうとしていたが、
まことに「自分の気持ちに正直になれ」と諭されて、浦和を救いに行くのだった。


浦和は、洗脳されて追手と化したエンディミオンに人ごみの中捕まりかけるが、亜美の言う通り自分の運命を切り開こうと浦和は抵抗する


「うわーっ! 人殺しだーっ! 助けてくれーっ!」


この機転で浦和はこの状況を切り抜け、一時的に逃げることに成功する。


マーキュリーと合流した浦和。ふたりで一緒に遊園地に行き、つかの間の邂逅を楽しんだ彼は、ダーク・キングダムと差し違える覚悟をする。
またか! そこまで自分が嫌いか!


強いて言うなら、浦和はこの際何か素晴らしい思い出が欲しかったのかも知れない。
強力な予知能力を持つがゆえに悩みと孤独を抱えていた良は、亜美との出会いによりわずかながら自分を肯定できるようになっていた。
人生の締めくくりに、大事な思い出となるような出来事が一つあれば、自分の人生に悔いはない。死地にだって赴ける。
これを単純に後ろ向きな思考と切り捨てることはできない。
彼は自分の少ない選択肢の中で、精いっぱい戦って敵に損害を与え、その上で精いっぱい幸せにもなろうとしていたのだ。人間らしく。


だが、マーキュリーは浦和を諭し、恋人同士として絆を深め共に未来に向かう決意をする。
死の未来に直面して再び生を諦めようとしていた浦和に、マーキュリーは再び生を示したのだ。それも、今度は、共に生きる、そのために戦う、という道を。
浦和はついにエンディミオンに捕まってしまうが、戦うことを決意したマーキュリーは、
エンディミオンから黒水晶を奪って破壊し、浦和たちを解放するという快挙を遂げる



45話では亜美が見た「愛しい者の幻」は浦和のものだった。
実は、浦和との交流は、うさぎに出会うまで友情も恋愛も遠い世界のことだと思っていた亜美にとってもかけがえのないものだったのではないだろうか…。



そして第2期---登場しなくなる


もう一度言おう。


R以降、登場しなくなるのだ。(総集編であるR43話、通算89話「うさぎ達の決意!新しき戦いの序曲」で亜美は彼に言った言葉を「ためになる名台詞」として思い出しているが。)


原因は当時のアニヲタたちからの凄絶なる亜美人気による。

彼の存在が、かなりのアニヲタを怒らせ、なんと某地方では「浦和良討伐隊」なる暴走族まで結成されたとか。
ぉいぉい(滝汗



しかし彼の魅力は上記の通り。
アンチも多く生み出したが、やはりファンも多いのである。
そのためSFC版ゲームの『Another Story』ではまさかの再登場。亜美&良の支持者の溜飲を下した。



【担当声優のその後】
浦和の担当声優である太田真一郎は、後の『S』にてイギリスからの留学生・ネッド(単なるモブだが)を演じ、『SuperS』29話「夢を見失わないで!真実を映す鏡」にてゲストキャラクターである路上画家のカモイを演じている。
このカモイという青年は浦和くんよりずっとハンサムで、空腹であったとはいえうさぎが作ったであろう不格好なチャーハンを完食した猛者なのだが、『SuperS』29話は恋愛絡みのエピソードではなく「夢だけでは食べていけない」「美しい夢を持ち続ける事は難しい」というセーラームーンらしからぬ「夢と現実」というシビアなテーマの話である。
カモイは貧しくとも自分の絵に誇りを持っていたが、「食べ物もろくにない貧しい生活の中で、芸術が育ちまして?」というアマゾネスカルテットのセレセレの言葉によって信念を失い美しい夢を見失ってしまう悩める青年である。
浦和良という悩める人物を演じた太田真一郎ならではの抜擢であろう。
なお、このカモイは亜美ちゃんとは一切絡まない



【メタ的な視点において】
浦和良が『R』以降登場しなくなったのにはおそらくもう一つの理由がある。同じ様なセーラー戦士に思いを寄せるアニメオリジナルキャラクターである熊田雄一郎はあくまで何の特殊能力も持たない一般人であり、セーラー戦士に守られる存在の枠を出なかった。

対して浦和良の持つ「予知能力」は非常に強力な能力である

彼が『R』以降登場していたらどうなっていたであろうか?

エイルとアン、ちびうさ、天王はるかと海王みちる、スリーライツの正体が速攻で見抜かれていたであろう。

自身の強力な能力が原因で出番を失った彼は『ジョジョの奇妙な冒険』のパンナコッタ・フーゴにも近いかもしれない。

かくして、彼の出番と引き換えに視聴者にバレバレな謎のキャラクターの正体に気づかないセーラー戦士の図というご都合主義は守られたのであった…。



【2次創作では】
予知能力の所持者(時を見る禁忌に触れる者)であるため、冥王せつな=セーラープルートとは天敵どうしないしは犬猿の仲として描かれる事が多い*1
どんな立場であろうと亜美にはベタ惚れで彼女のためにあらゆる手段を講じる。

また亜美たちセーラー戦士のような「真っ直ぐな頭の使い方」をせず彼女たちが思いつかないような奇策やイカサマを用いる描写がなされる場合もある。
その場合は亜美のために非常にド汚く卑劣かつ非常識な手段・取引も平然とこなし、あとでソレが亜美にバレて叱られるという事も。
作品によっては地場衛や熊田雄一郎とトリオ、さらに浅沼一等や怪盗Aまで加わりカルテット、クインテットとなる事もある。



追記・修正は運命に立ち向かい勝利してからお願いします。

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最終更新:2024年04月14日 05:23

*1 「世界を守る者」として運命の予定調和を守ろうとするプルートと「人間として」運命に立ち向かい調和を崩してでも人々(正確には亜美)にとってベストの道を探ろうとする良