巨大魚(絶滅種)

登録日:2012/05/11 Fri 01:17:34
更新日:2024/01/06 Sat 14:34:01
所要時間:約 3 分で読めます




―巨大魚、それは男のロマン―




この項目では、現代では既に海から姿を消してしまったデカい魚について説明していきたい。
もっとも、シーラカンスの例もあるので、絶滅を断定するのは難しいのだが…

現存する巨大魚については、巨大魚巨大淡水魚の項目を参照。


●ダンクルオステウス(ダンクレオステウス・ディニクチス)

学名:Dunkleosteus
最大サイズ:(推定)体長6-9m
生息年代:約3億9000万年前

デボン紀末のに現れた巨大魚。生息年代を考えるに史上最古の巨大魚である。
俗に甲冑魚といわれる魚であり、ヤツメウナギなんかの親戚にあたる。
鋭い牙により当時の食物連鎖の頂点に君臨していたと考えられている。

原始的な魚類「板皮類」の最大種であり、板皮類の歴史の最後に登場した巨大魚。
以前は10mとされていたが、近年は6 - 8.79m近くだと推測されている。

化石は殆どが頭部のみしか保存されておらず、体型は謎に包まれている。
鰭が小さく、尾びれが横に長い復元が一般的であったが、
最近の研究では「遊泳が得意でサメのような鰭を持っていたのではないか」とも考えられている。

顎の力は7000Nにも達し、魚類として史上最強の噛む力であったのではないかと言われている。

ダンクルオステウスを代表とする板皮類はデボン紀(約4億年前)に栄華を誇ったが、顎と骨が一体化しているため代わりの歯を持てなかった。
そのため歯と顎とが独立し歯が生え変わる後世の魚類との生存競争に負け、やがて絶滅した…と考えられている。


●ティタニクティス

学名:Titanichthys
最大サイズ:体長5-6m
生息年代:約3億7000万年前
ダンクルオステウスの陰に隠れがちだが、同じくらい大型の甲冑魚として知られる。
姿こそダンクルオステウスに似るが、歯が鋭くないという違いがある。
研究によれば、どうもティタニクティスは現在のヒゲクジラのような濾過食動物で、小さなプランクトンなどを吸い込んで食べていたらしい。


●リゾドゥス

学名:Rhizodus
最大サイズ:体長6m
生息年代:約3億3000万年前
石炭紀に出現した大型の肉鰭類、すなわちシーラカンスや肺魚に近い魚。
淡水に生息した硬骨魚類として史上最大で、22cmにもなる巨大な牙を持ち、全長は最大6-7mに達したと考えられている。
水辺に近づいた両生類などを捕食していたのかもしれない。


●パラヘリコプリオン

学名:Parahelicoprion
最大サイズ:体長12-13m
生息年代:約2億9500万年前
渦巻き状の歯を持つ非常に風変りな軟骨魚類、ヘリコプリオンの近縁種。
発見されているのは歯の一部だけであるものの、歯の直径は1mほどにもなり、全長は12mにもなったのではないかと考えられている。
ただしヘリコプリオンの仲間は多くが歯のみの発見であり、近年は頭蓋骨の形状が分かってきてはいるものの、
体型の推定は少し離れたグループから推定しなければならないため、不正確な可能性も高いということを付け加えておく。


●シファクティヌス

学名:Xiphactinus
最大サイズ:体長6m
生息年代:約1億1200万年前~6600万年前
白亜紀後期の間に栄えた巨大な海水魚で、ブルドッグのような顔つきに鋭い牙が生えた硬骨魚。
非常に獰猛であったようで、なんと自分より少し小さい程度の他の魚を丸呑みにして死んだと思われる化石まで発見されている。


●クレトキシリナ

学名:Cretoxyrhina
最大サイズ:体長8m
生息年代:約1億700万年前~7300万年前
現在のホホジロザメより大きなサメで、白亜紀の海における恐ろしい捕食者として知られる。
サメ類の化石としては珍しく体の化石もそこそこ発見されており、現在のサメに比べて大きな眼を持ち、視力が良かったと考えられている。
遊泳速度も凄まじく、時速70kmで泳ぐことが可能で、獲物に突進するようにして狩りをしていたという説もある。
その獰猛さは、クレトキシリナの歯型がモササウルス類や首長竜類、シファクティヌスなどの化石から確認されていることから分かるだろう。
当時猛威を振るっていたモササウルス類にも劣らないほどの捕食者だったが、白亜紀の終わりを見ることなく滅んでしまった。
モササウルスやティロサウルスといった、大型のモササウルス類の競争に負けたのではないかと思われるが不明。


●プチコドゥス

学名:Ptychodus
最大サイズ:体長10m
生息年代:約1億1200万年前~7000万年前
白亜紀のサメとして最大級で、全長10mに達したが、歯の形態がとても変わっていることで知られる。
プチコドゥスの歯は平たい板状になっており、その歯を使って固い殻を持つ大型の二枚貝やアンモナイトを噛み砕いていたようだ。
詳しい姿についてはよく分かっていないが、遊泳は得意であったらしい。


●マウソニア

学名:Mawsonia
最大サイズ:体長3.5-6.3m
生息年代:約1億1000万年前~9300万年前
史上最大のシーラカンス。現在のシーラカンスは2m前後のサイズであるが、マウソニアはその3倍近いサイズにまでなったらしい。
しかし、化石が部分的であるため、実際にどれくらいのサイズだったかはよく分かっていない。
日本でよく知られているのはマウソニア・ラヴォカティ(Mawsonia lavocati)という3.8mの種であるが、
最近の研究ではこの種はアクセルロディクティス(Axelrodichthys)属に入る可能性が高いとされる。
他にも白亜紀には、現在のシーラカンスに近い仲間で、メガロコエラカントゥス(Megalocoelacanthus)という4m前後のシーラカンスがいたようだ。


●メガロドン(ムカシオオホホジロザメ)

学名:Otodus megalodon*1
最大サイズ:(推定)体長10 - 15m
生息年代:約2000万~約200万年前

太古の海に生きたとされる、巨大ホホジロザメ。体長比でホホジロザメの1.5倍以上に達したとされる。
体長については10m、13m、18m、30mなどの説があったが、近年は最大10 - 15.3mとの推測が主流。
ただし、これほどまでのサイズに達したのは極稀なのではないかとも言われる。
というか、学者によって全く主張が異なっており、15m以上のサイズを支持する学者もいれば、約10mが限度と考える学者もいる。
これは、現在と当時の海洋生態系や重力や気温・水温などの違いなどの可能性を考慮しても、
なぜ最大の捕食鮫のニッチが15m以上のサイズから6m前後のホホジロザメにまで小型化しているのか、という説明が難しいため。

ちなみに、祖先「Otodus obliqqus」は9.1m~最大12m以上と推測されており、こちらもまた最大級のプレデターシャークと言えるだろう。

レヴィアタン(古代生物)よりも遙かに長く生きていたが、どっちが強いのかは不明。*2
『ジュラシック・ファイト・クラブ』において、日本の沿岸という設定で、
マッコウクジラの祖先・ブリグモフィゼター、またはシガマッコウクジラ*3と戦う動画がある。

海の捕食者の一角だったが、環境と生態系の変化やクジラ類の進化・大型化、
より適応性にすぐれたシャチ*4やホホジロザメの出現により絶滅したと考えられている。
ちなみに、日本にもいたシャチの古代種「Orcinus paleorca」は、現在のシャチよりも大きかった可能性もある。

また、寒冷化そのものはメガロドンに大して影響を与えなかったが、
クジラ類が大型化・高速化・水中性の強化等を経た事が大きかったかもしれない。

なお、約1万年の地層から歯が見つかっており、もし鑑定が事実ならば現在でも生存している可能性がある
ただこの鑑定には異論も多く、近代において牙の化石がほとんど見つかっていない。

巨大なホホジロザメというビジュアルや生存説の存在から、モンスターパニック映画などにお呼びがかかる事もある。

ちなみに、軟骨魚類であるため非常に化石になりづらく、歯以外の化石は殆ど見つかっていない。
一方で、その歯の化石は数多く見つかるため、生息数は非常に多かったのでは、という指摘もある。

海原番長。





●リードシクティス・プロブレマティカス

学名:Leedsichthys problematicus
最大サイズ:(推定)体長14m以上
生息年代:約1億5500万年前

ジュラ紀の海に突然現れた超巨大魚。史上最大の魚類だと考えられている。大型魚の例にもれずプランクトン食の可能性が高い。
現れたのが突然なら消えたのも突然であり、絶滅した理由などは全く不明である。

骨が脆く全身骨格が見つかっていないが、各々のパーツでさえ規格外のサイズを誇る(全長3mに達する尾ビレの化石など)。
推定サイズの違いは復元する際のパーツの違いに由来する。
過去には28m説もあった。
その想像出来ないくらいのサイズからプロブレマティカス(問題である)という名前がついている





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最終更新:2024年01月06日 14:34

*1 以前はCarcharodon megalodonが広く使われていたが、近年ではCarcharocles megalodonという学名の方が学術的に広く受け入れられる傾向にあった。その後にCarchearocles属はOtodus属に含まれるという説があり、現在はOtodus megalodonという学名が使われている。しかし学名に関しては現在も議論が絶えない。

*2 鮫は呼吸のために水面に上がる必要はないが、大型化するほど泳ぎが遅くなり、軟骨魚であるために防御力が決して高くなかった。

*3 通称「カミツキマッコウ」

*4 タイミング的に、シャチの出現とメガロドンの絶滅は被っている