ステラーカイギュウ

登録日:2011/11/04 Fri 23:04:37
更新日:2024/01/02 Tue 08:20:35
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  • 名称
 ステラーカイギュウ
  • 分類
 哺乳綱カイギュウ目ジュゴン科
  • 学名
 Hydrodamaris gigas
(仮名転写:ヒドロダマリス・ギガス)

ステラーカイギュウとは北極圏のベーリング海に生息していたカイギュウの一種。ステラーダイカイギュウとも言う。
名前に違わず9m近い巨体を持っている他、歯を持たずに海藻のみをすり潰して食べていたり(海藻だけを食べる哺乳類は本種のみ)、
指の骨が全く無かったり(他のジュゴン科の生物にはある)と他の種類には見られない特徴が多い。
既に絶滅した動物であり、現在のところ再発見はされていない。


〇絶滅までの経緯

1741年、秋…
デンマーク生まれのロシア人冒険家・ベーリングが率いるセント・ピョートル号は最大の危機を迎えていた。
コマンドル諸島沖の無人島(現在のベーリング海)に座礁したのである。
飢えと寒さでベーリングを含めた半数近い船員が死亡
最早全員が諦めかけていたその時…

「みんな、あれを見ろ!」
ベーリング亡き後、隊長となったドイツ人医師・ステラー(シュテラーとも)が海面に浮かぶカイギュウを発見。

「よし、あれを狩って食糧にするぞ!」
「「おー!」」

日持ちが良く、子牛のような味をした肉(1頭につき3トンも取れた)は勿論、ミルクはバターに、脂肪はランプに、皮は船の修繕に使われた。
こうして、無事に無人島を脱出し探検に成功したステラーは、約10年後の1751年に観察記を発表。
「ステラーカイギュウ」と名付けられたカイギュウを含めた様々な動物の生態や生息域が詳細に書かれた。

「ちょwww何この資源の塊www」

…その記述を見て、早速金儲けをしようと企む輩が続々と海域に出発。ステラーカイギュウを捕まえ始める。

人間を恐れず、動きも鈍いステラーカイギュウは次々に銛の餌食になった上、
逃げる事も立ち向かう事もせず(そもそも、体の構造上深い海には潜れなかったようだ)に傷ついた仲間に群がるという方法しか取らなかった。
当然、ハンターにしてみれば「的が増えた」ぐらいにしか思わなく、一網打尽にしたばかりか沈んだステラーカイギュウはそのまま放っておかれた。
またあまりの巨体のため水揚げも難しく、深手を負わせたら放置して失血死を待ち、浜辺に打ち上げられたものを回収するという、今となっては信じ難い方法をとっていたとも。
一説によると、殺したうちの4/5は海の藻屑となったらしい。

当然あっと言う間に数を減らし、姿を見せなくなったため流石に捕獲禁止令が出されたが時既に遅く…

そんな事をしているうちに1768年、ステラーの仲間であるマーチンが「2~3頭いたので殺した」とアバウト極まりない記録を残したのを最後に、
ステラーカイギュウは絶滅。
発見から27年…人間で言うと赤ちゃんが成長して大学を卒業して大学院に入って社会人になり、1年経った辺りに姿を消したという事になる。


〇余談

  • その後も「ステラーカイギュウらしき生き物を見た」という目撃談は何度か聞かれ、
    20世紀に入ると1962年にロシアの捕鯨船がカムチャッカ半島で餌を食べるカイギュウらしき生き物を目撃している他、
    1977年にはやはりカムチャッカ半島沖の漁師がカイギュウらしき生物の背中に触ったという報告をしている。

  • ステラーカイギュウの絶滅の理由は他にもあり、同海域に生息していた毛皮目的でのラッコの乱獲*1、ステラーカイギュウの繁殖サイクルの遅さ*2などがある。
    また根拠は不明ながら、発見当時ですら生息数は1000〜2000頭と推測されており既に絶滅危惧種と言っていい状態だったとも言われている。いずれにせよ、人間の無思慮・無分別な大乱獲の犠牲になったことに違いはないが。

  • ベーリング隊が発見した動物には本種やラッコの他にメガネウという鳥もいるが、ステラーカイギュウと似たような経緯で乱獲され発見から100年程度で絶滅した。

  • 乱獲された割に標本は大英博物館に骨格標本があるのみ。全身が使えるからか剥製はない。


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最終更新:2024年01月02日 08:20

*1 ラッコが激減→餌のウニが大量増殖→ウニが海藻を食べ尽くす→ステラーカイギュウの餌が無くなる→数が激減

*2 妊娠期間が一年程度とされ、一つのつがいから年に1頭しか生まれない