PUMPKIN SCISSORS(漫画)

登録日:2011/07/25(月) 21:15:22
更新日:2024/01/09 Tue 20:00:29
所要時間:約 6 分で読めます





戦争があった…


永きにわたる戦乱は社会を腐敗させ、あらゆる悪を蔓延させた


─だが─それら“戦災”を討つための部隊がここに存在する…

部隊の名は



─陸軍情報部第3課─

『パンプキン・シザーズ』!!




『パンプキン・シザーズ(PUMPKIN SCISSORS)』とは、月刊少年マガジンにて連載中の漫画である。
作者は岩永亮太郎。
アニメ化もされており、制作はイズミプロダクション。
作中で起きた戦争の残した負の面を扱う漫画であるため、一度戦闘に入れば容赦ない描写が展開される(腕が千切れる位は序の口)ので耐性の無い人は読むのに覚悟が要ると思われる。
一方でギャグや燃える展開も多く、一辺倒というわけではない。


◆あらすじ

戦争が、あった。フロスト共和国と帝国の間で生じた永きにわたる戦争は、「薄氷の条約」と呼ばれる条約により停戦したものの、
その永い永い戦争により、帝国各地には飢餓、疫病、兵隊の野盗化といった──“戦災”という名のもう一つの戦争があった。
現状を憂慮した帝国は「戦災復興」を掲げた陸軍情報部第3課を設立する。しかしその実、第3課は戦災復興とは名ばかりの言い訳(プロパガンダ)であった。
そのような立場でありながらも、社会を覆う“戦災”というブ厚い皮を切り裂くことを真に実践する彼らは、自らを誇りを持って呼ぶ。「パンプキン・シザーズ」と。

(一部巻頭より抜粋)



◆主な登場人物

陸軍情報部第3課(パンプキン・シザーズ)
〇ハンクス(CV.チョー)
階級:大尉
3課課長。のどかな印象を受ける人物だが、ときおり見せる鋭い眼がただ者ではないことを物語っている。
「八つ裂きハンクス」なる異名を持っており、平時と戦場どちらでも人間を血の海に浸した経験を持つ。
過去に深い負い目を抱く何かをやらかしたらしく、彼から真実を聞いたらしいオレルドも苦言を少し漏らしていた。


▽実動第1小隊
〇アリス・L・マルヴィン(CV.伊藤静)
階級:少尉
本作品の主人公。第1小隊の隊長であり、拝命十三貴族の一つ「マルヴィン家」の第3公女。
性格はよく言えば誠実、言い方を変えればかなりの堅物で、一度口にした言葉を撤回することすら「不誠実」と拒む程。
事あるごとに突っ走るので「吶喊(とっかん)少尉」と呼ばれることも。
皇帝印入りの短刀(継承器)を肌身離さず持っており、様々な騎士戦術に長けている。
ガチで戦場に出る際は自身の身長より長い双身剣「メーネ」を用いるが、いずれにせよ体格には恵まれないため相手や乗り物の力を利用する戦い方をする。
多くの出来事にかかわる中で、自分の持っていた正義と現実の間で苦悶していたが伍長とのやりとりである種の振っ切りを得ていく。


ランデル・オーランド(CV.三宅健太)
階級:伍長
本作品におけるもう一人の主人公。ヒロイン。
元901ATT所属の身長230cm、顔に大きなサンマ傷をもつ大男。
性格はかなりの臆病者で、作中で銃すら持たない農民相手に尻込みをしていた。
だが根はとても優しいので、3課の面々からは大切な仲間と認識されている。
戦闘時は「901ATT」に所属していた頃に配給された青いブルースチールのランタンと、13mm対戦車拳銃「ドア・ノッカー」及び三式装甲剥離鋏を使用し、
普段からは想像もつかない文字通り“異常”な戦闘能力を発揮する。
戦法が戦法なため(後述)度々入院する。


〇オレルド(CV.鳥海浩輔)
階級:准尉
ひょうひょうとした振る舞いをする「懲罰房からの脱獄魔」なる呼び名を持つ問題隊員。「個人的な」交友関係が広く、度々その広さを利用した情報収集を行っている。
その軽い言動とは裏腹に根は意外と真面目で責任感も強く、マーチスを諭したり、ランデルを叱ったりしていた。
他のメンバーが一般人からは割とかけ離れた視点で物事を考える一方、
彼は情報部としての考えを理解しつつも、あくまでも一般市民的な考えが前面に出ているためもっとも3課の理念に合致している人物と言える。
戦闘においては正面切っていくのは苦手なものの不意打ちや細工を使用した搦め手を得意とし、「路地裏喧嘩なら無敗」と言っている。


〇マーチス(CV.鈴木千尋)
階級:准尉
眼鏡をかけた大人しそうな青年。手先が器用でよく兵器局のお手伝いをしている。
作中で唯一の常識人なのだが、オレルドとつるんでいたりするため、そうと言い切れない。体術が苦手。
官民のバランスを考えた視点で考えることが多く、そういった面もオレルドと良いコンビになっている。
印象が薄そうなイメージだが、9歳児をホテルに連れ込みナニかを反応させるなど、なかなか印象深いことをしている。
皮をかなり気にしている様子。でも地獄極楽鉄砲の持ち主らしい。


〇リリ・ステッキン(CV.植田佳奈)
階級:曹長
子供の様な印象を受ける女性…だと思っていたら案の定まだ子供だったことが判明。
磨きがかかった天然で、よくオレルドの頭にコーヒーカップを立ててサディスティックな気持ちにさせる。
計算能力が非常に高く、経済管理庁が管理している膨大な数字を一目見ただけで計算してのけた。
でも天然。萌えないデコ。


〇マーキュリー号(CV.小川一樹)
階級:上等伝令兵待遇
3課に所属する伝令犬。空中でナイフを受け止めるなど、軍用犬としての能力は高い。
しかし性欲をあまりにあましているため、外にでると大概わふんわふんなことになる。
ステッキン曹長からの愛称は「マー君」。


▼陸軍情報部
〇ケルビム
階級:中佐
情報部部長。頭部全体が火傷に覆われており、一切の毛髪が失われている。
見た目はおっかなく情報部の長だが部下に対しても『ですます』口調を崩さず、上手くも下手でもない落書きを描くのが大好きなお茶目な性格。
同時に国を守るためならば手段を選ばず冷酷な判断、物言いを行うことも。
たまにピッコロ大魔王みたいな顔になるが、狙ってやっている模様。
元々幼少期は裏表のない人物だったようだが帝国の知識を司る「ケルビム」を継ぐにあたり、交渉事でアドバンテージを得るため自ら頭部を薬品で灼いた。
自身を凡人と自認しており、その凡庸なセンスと情報を司る立場と非凡な部下を駆使して事に当たる。

〇シューリット
階級:補佐官
部長の補佐官。ショタ。
作中で提言されている「統合見解者(スクリプター)」。もっぱら作中では質問役、お茶汲み係の役回りが多い。
部長によく普通の意味でいじられている。


陸軍情報部第1課
〇コネリー(CV.志村知幸)
階級:少佐
1課課長。益があれば汚いことも平然とする冷徹な男だが、実は部下の面倒みが良いなどの面もある。
また、作品が進んで他の面子が分かってくるに従って、汚過ぎることもしうることを除けば組織人として至極全うな思考をしていることがうかがえるようになってきた。
ハンクス大尉とは昔からの付き合いでよくもめている。
当然ハンクスの過去を知っているらしく、度々ハンクスが贖罪のために3課で活動していることに言及している。


陸軍情報部第2課
〇ラインベルカ
階級:少佐
2課課長。独特な感性を持つ女傑。眉毛がない。1課に妹がいる。
レズ疑惑。と思いきやバイっぽい。逆境が大好物。


▼回転草の兄弟団(タンブル・ウィード)
〇ウルスラ
ツンデレなランデルの妹分。ランデルに好意を寄せるが本人は気付いていない。
化粧で隠しているが、そばかすがある。
幼女。


カウプラン機関
〇ミュゼ・カウプラン
冷酷な印象をうける女性。極秘の研究などを行っている。
「不可視の9番」、そしてその名の通りカウプランについて何か知っている様子。
連載が進むにつれて冷酷な仮面が剥がれ、いつのまにやら伍長にイニシアチブをすっかり握られている。

▼銀の車輪
〇JACK
銀の車輪の幹部。冷静沈着で常に仮面を付けている。
よく「お前に何ができるのか?」と問いかけるので挑発的に受け取られることが多いが、本人としては他意のない質問である。
その矜持から自分に多少は不利になることでも『何かする気のある』者のことを見届ける場面がある。
後述の908HTTとの対話からインビジブルナインに何かしらの思い入れがある様にも思えるが、実情は不明。

〇ビロゥズ
非常に好戦的な女性。JACKと同様仮面を付けているが、彼とは対照的で嫉妬深く激情的な人物。
「統合見解者(スクリプター)」の可能性が強く、他人の劣等感に対して凄まじい嗅覚を持つ。
読者からするとブーメランに感じる発言も多いものの、その能力を活かし自分の意のままに他者を動かすことに長けている。

〇レオニール・テイラー
貴族。アリスの婚約者。
端正な顔立ちに引き締まった大柄な肉体。洗練された佇まいに政財界で活躍する才覚。およそ人がうらやむ全てを持つ完璧超人。
だが『そうだった』からここまで持ちえたのか、それとも全てを持つが故に『そうなった』のかどちらが先かはわからないが自身を含むあらゆるものに無関心で退屈しきっている。
銀の車輪のメンバーに加入しているのも、単に退屈しのぎなだけ。精神性は幼児の時点で止まっており、素が出ると一人称が「ボク」になる。
そんな彼だがアリスへの愛情は歪んでいるもののマジ惚れしており、伍長とアリスのライブ中継告白の後半で大ショックを受けるハメに。


▼その他
〇ウェブナー
階級:三等文官
面倒見のいい姐御肌の女性。貴族出だが喧嘩が強く、「門限7時の紅夜叉」なるあだ名まである。
現在では整備士として戦車や部隊で使用する自動車を代表とした機材を整備している。

セッティエーム・ローデリア
ローデリア王国の第7公女。驚異的な記憶力を持つ幼女で、子供とは思えない戦略も行う。

〇ハーケンマイヤー
階級:三等武官
チェストォォォォオ!!ホァアアァア!!
オープンファイヤァァァァアァアアア!!
ジャスティス!!!
と元気の良い少女。アリスを尊敬している。
……が、その崇拝した『英雄』の現実を目にし、一度は完膚なきまでに心が折れた。

〇アベル
ランデルの義兄弟。物事を冷静な眼でみることができる。
仕事はボルモンの帳簿係。

〇コルトゥ博士
「戦車の父」と呼ばれている人物。
銀の車輪結社と何かしらの繋がりがあるようで、新技術を搭載した戦車の破壊などを依頼したことも。
カウプランとの因縁が深く、この人が生み出した兵器もまた伍長に関わっている。

〇ロンダリオ
実業家。「0番地区編」のボス的人物。
徹底した利益主義にして現実主義者。建前や面子ばかりを気にして国としての本懐を全うできない帝国の現状に不満を持っている。
目的のためなら血も涙もない計画を立てて実行するが、根本の目的が経済的成功なのでそれに反しない提案ならば受け入れるし、部下に対しても真剣に接する度量の深さも持つ。

〇バーニー・スプリューウェル
「赤帽子事件」を出版したリーゼントヘアーの若い記者。マーウィン少尉の依頼でランデルを調査をしている。
その一件から後述の不可視の9番の真相を知ることになった。
メタ的な視点で言えば、読者にわかりやすく世界観設定を教えてくれる人。
弾除けにしちゃおうぜ。

〇ハリィ・ハミルトン
娯楽作家。「もし世界が○○だったら」「もし世界が△△になっていけば」というような作風の小説家。
だがその作風がお上の逆鱗に触れるものだったらしく、現在投獄中――と長く思われていたが、情報部部長のケルビム中佐と取引して自ら獄中入りした。
いくつかの作中用語を生み出している。
というより、劇中が進むにつれ、過去作には「MSもどきが登場し、その背景を語った宇宙戦争もの」「インターネットのようなあらゆる情報が電気でやりとりさせる世界における人の葛藤」といった、ついこの間まで騎士の時代とは思えないほど時代錯誤すぎる小説を多数生み出していることが判明し、カウプラン同様に異常といえる未来的発想がうかがえる。


◆用語解説
不可視の9番(インヴィジブル・ナイン)
帝国軍にとって戦場では不吉とされる“9”の番号を頭に持つ非公式部隊の通称。
非公式でありながら戦場では頻繁に情報が飛び交っていた。しかし信憑性はあまり無く、その実態を知るものはほぼいない。
↓で紹介している901ATTの他にも、903CTT「死灰を撒く病兵(クランクハイト・イェーガー)」や、908HTT「単眼の火葬兵(アルト・シュミート・イェーガー)」などがある。

901ATT(Anti Tank Trooper)
ランデルが元所属していた対戦車猟兵部隊。
戦車との戦闘を主眼に置いた部隊で、零距離射撃で真価を発揮する13mm対戦車拳銃「ドア・ノッカー」を装備している。
青い鬼火を纏い、一切の保身行為をせず、自身がどれだけ傷ついてもただただ相手を肉薄し零距離射撃を敢行するその姿から、「命を無視された兵隊(ゲシュペンスト・イェーガー)」と呼ばれ、戦車乗りの間で畏怖されている。


カウプラン機関
カウプラン博士が設立した、正式名称「帝立科学研究所」。
様々な技術の特許権利を持っており、帝国の発展に貢献した。
機関のもつ特許を取得しない限り自由に開発が行えないため、特許が各国家の技術革新の歯止めとなっている。*1
劇中の後半になると、このカウプランの技術があまりにも世界に幅を利かせていることを「カウプラン文明」などと称した人もいる。

〇統合見解者(スクリプター)
ハリィ・ハミルトンが提唱した概念。
ざっくり言えば「情報全体を俯瞰して穴空き情報をズバリ言い当てられる人」。
決して正しい正解ではないこともあるが、概ね当たっていることが『多い』。
個人個人で情報全体を「どう感じる」か「どう見る」かは変わるが、結果として大体正解に『近い』結果を当てる。
極端に言ってしまえば、"感覚"で現代の高性能コンピューターが行う機械学習における「数理最適化による誤差が少ない答」を出すようなもの。
三課のステッキン曹長が単純な計算ミスはするのに高度な暗号を読み取れるのは、暗号や文面全体を「音楽」として感じそこに隠された「音」を見出すことができるため。
実のところ人外めいた能力ではなく、「極めて普通の人」「凡人の中の凡人」みたいな感じで、いわば空気を読んだり多数派・少数派を読み取るなどが得意な人のこと。


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最終更新:2024年01月09日 20:00

*1 劇中の一例だと、ライフル実包一つに対して「弾丸と火薬を一体化させた金属薬莢という概念」「打撃のみで発火させる雷管」「排莢、抽出用のひっかりであるリム」「薬莢を絞ることで口径に比して多めの炸薬を詰められるネック(くびれ)の概念」「(フリーではあるが)無煙火薬」と、実包に使われている技術全てがカウプラン技術というレベル。