自己強制証明(セルフギアス・スクロール)

登録日:2012/07/15 Sun 05:32:08
更新日:2024/01/27 Sat 05:00:38
所要時間:約 5 分で読めます





自己強制証明(セルフギアス・スクロール)』とは、TYPE-MOON作品に登場するアイテムの一つ。

権謀術数の入り乱れる魔術師の世界において、決して違約不可能な取り決めをする時にのみ使用される、最も容赦のない呪術契約の一つ。
自らの魔術刻印の機能を用いて術者本人に掛けられる強制の呪いは、如何なる手段を用いても解除不可能であり、
たとえ命を差し出したとしても、次代に継承された魔術刻印がある限り、死後の魂すらも束縛される。

制約が破られるなどした場合は魔術刻印が自動的に反応し、違反した魔術師の体を内側から蝕む。
たとえ契約者本人に抵触する意思がなかったとしても、「契約違反である」と見做された時点で問答無用で呪いは発動する。
その行為が中止されない限り呪いは持続し続け、最終的には目や口から血を溢れさせた苦悶の表情で死に至る。

この証文を用いての交渉は魔術師にとって最大限の譲歩を意味し、魔術師の間では滅多に見ることのできない代物である。








以下、ネタバレ注意。








【劇中での使用】


Fate/Zero

衛宮切嗣が使用。
ランサーを確実に排除する為、この術式文書を用いてケイネスとの取引を行った。

以下、その文面の抜粋。


束縛術式 

対象:
衛宮切嗣

衛宮の刻印が命ず。
各条件の成就を前提とし、制約は戒律となりて、例外無く対象を縛るものなり。

制約:
衛宮家五代継承者、矩賢の息子たる切嗣に対し、
ケイネス・エルメロイ・アーチボルト、並びにソラウ・ヌァザレ・ソフィアリの両人を対象とした殺害・傷害の意図、及び行為を永久に禁則とする。

条件:
残る令呪の全てを費やし、サーヴァントを自決させる。


切嗣にソラウを人質にとられていたケイネスは、自身の戦いが終わってしまうことに苦悩しつつも、彼女を救う為にやむを得ずこれを受諾。
自決を命じられたランサーはその運命を呪いながら消滅し、令呪サーヴァントを失ったケイネスもまた第四次聖杯戦争からの脱落が決定した。


「…これで、お前には強制(ギアス)が?」


切嗣に問うケイネス。先の戦闘で体内の魔術回路を破壊されてしまった彼と、片腕を失ったソラウ。
2人は消えない傷を負い、これまで積み上げてきた誇りを失いながらも、存命のまま祖国への帰還が約束された―――かに思えた。


「ああ、成立だ。もう僕にはおまえたちを殺せない」
「…僕には、な」


瞬間、ケイネスとソラウの身体を貫く久宇舞弥の銃撃。
そう、文書には確かに切嗣の攻撃を禁ずる制約が記されてはいたが、切嗣以外の人間による攻撃についての制約は記されていなかった。
文書自体に仕掛けがあるのではとばかり疑っていたケイネスは、文面に仕掛けられたトリックに気づくことができなかったのである。*1

しかも、なまじ『切嗣には殺せない』という制約はしっかり有効であったために、銃撃の後まだ息のあったケイネスが苦痛のあまり「殺してくれ」と嘆願しても、

「悪いが、それはできない契約だ」

と吐き捨てる始末。まさに外道。
直後に見かねたセイバーが止めを刺したが、
この悪辣なやり口は(ランサーとの決闘を邪魔されたことも含めて)セイバーの我慢の限界を超えており、切嗣とセイバーの間に決定的な溝を生むこととなる…

…かに思われたが、その後、アイリと切嗣のやりとりを聞かされたセイバーは(最後まで切嗣本人から直接セイバーに向けた言葉はなかったが)、
切嗣こそが聖杯を得るに最も相応しいマスターであると認めざるを得なくなった。
そしてこのランサー陣営の脱落を機に、物語は一気に凄惨な結末へと向かっていく……


とまあ、それまでにも作中で(特にケイネスに対して)数々の非道な行為を行ってきた切嗣ではあったが、
この『自己強制証明』を巡っての一件はその最たる例であると視聴者に強く印象付けられ、彼へのイメージを決定づける大きな要因となったのだった。



Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ

玲瓏館惟慧と伊勢三玄莉によって「最後の2騎となるまで共闘関係を構築する」との契約が交わされた。
しかし惟慧と契約していたキャスターが裏切って沙条愛歌の配下となり、玄莉のサーヴァントであるライダーと敵対したため契約違反となる。

Fate/Apocrypha

獅子劫界離が敵対していた黒の陣営と組む際に、これを使っても構わないが?と持ち掛けている。
陣営ボスのフィオレがあえて求めなかったため流れたが、作者によれば本当にやらされそうになったら文章に罠を作るなどして逃げただろうとのこと。



【本編外での登場】


スマートフォンアプリ『Fate/Grand Order』にて、レアリティ☆3の概念礼装として登場。
実装されたのは『Zero』とのコラボイベント「Fate/Accel Zero Order」開始と同じタイミング。

持つ効果は「自身のスタン付与成功率を12%アップ(最大解放で15%アップ)」という局所的なものだが、
同イベントにおいてはアイテムドロップ数を増やす効果も持っていた。
現在はフレンドポイントによる召喚によって入手可能。


以下、解説文章抜粋。『Zero』の内容をどこか意識したものになっている。


魔術師にとって絶対順守の法であり、
その魂さえ縛る非常に強力な術式。

この書に記された契約に同意した場合、
それを破ることは如何なる者にも叶わず、
効力から逃れる術はない。

あくまで署名した本人は、であるが。







追記・修正はしっかり署名と文面を確認してからお願いします。

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最終更新:2024年01月27日 05:00

*1 「他人にそう促す(指示する)こと」も「殺害の意図及び行為」に該当するのではないか?という疑問は残るが、これについては『契約以前の行動にまでは効力が適用されない』とも解釈が可能なため、一応説明はつく。