ハム

登録日:2011/11/14(月) 01:18:02
更新日:2024/03/22 Fri 11:15:41
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ハム太郎
画・草なぎ剛



ハム(英:ham)とは、主に豚のもも肉を塩漬加工したものを指す。
塩漬けにしたうえでさらに燻煙を施して燻製にしたものが多いが、パルマハムなど必ずしも燻煙するとは限らない。
ベーコンと同じく保存食として作られていたが、現在は味わいの為の加工である。

ソーセージ、ベーコンと並ぶ便利な豚肉加工食品として食卓に上ることが多い。 
雲南火腿のように調味料として使われることもある。

骨付き肉を使ったものは「骨付きハム」、骨が無いものは「ボンレスハム」と呼ばれる。
現代日本でも、スーパーで安価に手に入る食品であり、見かける機会も多い。
屑肉を寄せ集めて成形し卵タンパクや大豆タンパク等を注射器のようなもので注入して作られたカマボコプレスハム等も多く出回っている。
この手の製法では、100gの肉塊から130gのハムが作れるそうな。錬金術ならぬ錬肉術である。
とある界隈では、低品質・低価格なハムを指して、プリンハム、水増しハム、雑巾ハムといった蔑称呼称も存在する。
逆に言えば、まともな工程を経て作られたハムは相応にお高い食品であるということでもある。
そもそも手間がかかるはずの燻製を安価で大量に作っている時点で、何かおかしい気がしないでもない。

+ 添加物として使われる発色剤(亜硝酸Na)について
添加物として使われる発色剤(亜硝酸Na)の発がん性がしばしば指摘されることがある。
発色剤という名称になってはいるが、目的・用途からすると要は防腐剤である。
亜硝酸Naには、フグ毒の数千倍から数万倍とも言われる強力な毒素を発生させるボツリヌス菌をはじめとする細菌類の繁殖を抑制する効果がある。
そのほか、加熱・酸化による色の変化や獣臭さを抑える働きがあり、これがハム(ベーコンやウインナー等も同様)特有の色味と風味を生み出している。
発色剤としての作用はこちらの効果のほうが"らしい"かも知れない。
添加する最大の理由は食中毒の防止が第一で、特に非加熱の食肉製品にはむしろ添加が義務づけられているほど。

使用基準は1kgあたり0.07g以下とされていて、この値は摂取しても人体に影響がないとされる無作用量の1/100の値がベースとなっている。
毒性が出るほどの量を食べるほうがむしろ困難なレベルである。
硝酸化合物・硝酸塩自体は野菜など他の食品にも含まれており、取り込まれた硝酸化合物が体内で硝酸塩に変化することもある。
そして日常的な摂取量で特に健康被害が起こらないのはアニヲタ諸氏もご存じの通りである。

ロース肉を使ったものはロースハムと呼ばれる。
現在の日本ではハムといえばロースハムを指すというほど普及している。

実を言うとロースハムとは日本特有のハムで、欧米にはロースハムという食肉製品どころか名前すらも存在しない。
本来、ロース肉はハムに加工される部位ではない。だってハム(もも)だもん。

ロースハムは、第一次世界大戦にて捕虜となったドイツ人*1、アウグスト・ローマイヤーという人物の手によって日本国内で発明された。
つまるところ made in Japan だが実は made by german である。
余談だが、バウムクーヘンやマロングラッセで知られる菓子職人カール・ユーハイムも大戦時のドイツ人捕虜である。

ローマイヤーはベルサイユ条約により大戦が終結し自由の身となった際、ドイツに帰国せず日本への残留を希望し、かの帝国ホテルに勤務する。
そこで試作したハムやソーセージが好評を博したことから独立・起業を考えるようになる。
彼は当時の中華街で安く売られていた余り物と思しきロース肉に着目し、これを使った食肉製品の研究開発に着手、やがてヒット商品ロースハムが誕生することになる。
もともと安価な製品であり、本来のもも肉を使ったハムよりもさっぱりしていて日本人好みの味だったなどの要因が重なり、彼が作ったハムは人々の間で広く受け入れられていった。

たらればの話になってしまうが、先の大戦がなければ、輸入物の高価なハムしか出回らない時代になっていたのかも知れない。


■主なハム料理

◆ハムエッグ
 フライパンで焼いたハムの上に卵を落とす。要は目玉焼き+ハム。日本の朝食でもよく見かける。
 ケチャップにするかソースにするかマヨネーズにするかは貴方次第。

◆インスタントラーメン
 チャーシューの雰囲気を出す為に乗せられるが、テンションは少し下がる…。
 が、お歳暮やお中元で貰った高価なハムでやった方もいるのでは無かろうか?
 ポニョも大好き。

◆サラダ
 味よりも彩りの意味で入れられる。特にポテトサラダ

◆ハムサンド
 名前の通り、ハムを挟んだサンドイッチ
 欧米では、何枚も何枚もハムを挟む。パンはあくまで持つ部分だと言わんばかりの存在感しかなく、むしろハムが本体まである。
 彼らは日本に来ると、ハムサンドの貧相さに驚くらしい。

◆ハムカツ
 お肉屋さん、惣菜コーナー、庶民派居酒屋の定番メニュー。
 豚カツメンチカツに比べるとチープなポジションだが、そこがいい。
 分厚いハムはもちろん、重ねたハム、チーズやマッシュポテトを挟んでもいい。

◆ハムとほうれん草のソテー
 この2つの組み合わせは相性も彩りもよい。
 ほうれん草を茹でて和え物にしてみたり、と合わせて3色炒めにするもよし。

炒飯
 具の一つとして使われることも多いが、基本的にチャーシューの代用品

◆冷やし中華
 定番の具材として親しまれている。彩りを整える意味合いもある。
 キュウリや卵焼きなど他の具材と同様に細切りにしたものを添えるケースが多い。
 ハムをうっかり買い忘れた場合、カニカマで妥協代用することも。
 とはいえ、ハムとカニカマの両方を入れるレシピもごく一般的。


■生ハム
まさかの火を通さない生の豚肉のハム。
これは、表面に念入りに刷り込まれたと、冷たい煙で燻した影響である(冷燻)。
イタリアのプロシュートやクラテッロ、スペインの波紋ッ!ハモン・セラーノと呼ばれる生ハム達はまさに絶品の味わい。
豚の脚1本分の生ハムの塊を原木と呼ばれる。目の前で原木から削がれた生ハムを出されるとなんとも贅沢な気分を味わえる。
自作した時に火加減を間違えてただのハムになってしまった時はトラウマもの。
とはいえ「加熱せずに乾燥と熟成をさせることで旨味を増す」というのが生ハムの醍醐味なので
スペインなどの本場では熟成させた生ハムを食べる前に火を通して食べることは珍しいことではないし美味しいよ。
なお、先に挙げたスペインの「ハモン・セラーノ」と、イタリア・パルマ産のプロシュート「プロシュート・ディ・パルマ(通称:パルマハム)」、
そして中国の「金華火腿(通称:金華ハム)」は「世界三大ハム(世界三大生ハム)」と称されるほどの高級品である。

◆生ハムメロン
 イタリア料理及びスペイン料理のオードブルとして有名。
 生ハムの塩味とメロンの甘味が絶妙なハーモニー。またメロンの青臭さも生ハムの風味で相殺してくれる。
 今すぐ俺を殺して燻して生ハムにしてくれと言いたくなる味わい。
 メロンは、実はマスクメロンより夕張メロンがお勧め。夕張の方が甘い分、生ハムと相性が良いのだ。
 生ハムも、出来るだけ上等なものを選びたい。

 但し、日本の生ハムはイタリアの物に比べ塩気が少なく、メロンは甘味と香りが強いので風味のバランスが崩れてちぐはぐな料理になってしまうので注意が必要。

 余談ではあるが『DEATH NOTE』でお馴染み名探偵Lは生ハムを剥がしてメロンだけ食べている。なんて奴だ。

 なおメロン以外にも桃、梨、イチジク、キウイフルーツ、水ナス、長芋、チーズなどと合わせても美味。


■鶏ハム
インターネットで広まった鶏の胸肉で作ったハムっぽいもの。
鶏の胸肉に塩胡椒をすりこみ、ラップなどで密封して冷蔵庫で寝かせた後茹でれば完成。
レシピによってはハーブもすりこんだり寝かさなくてもよかったり余熱で加熱したりする。
簡単・安い・ヘルシー・そして美味い。


■ハムの人
丸大食品のCMで有名なフレーズ。
同CMに出演する別所哲也の事。
ULTRAMANでは彼が主演の為、ウルトラマン・ザ・ネクストをハムトラマンとも呼ぶ人もいる。

余談になるが、英米では大根役者の事をハムと呼ぶ。語源はハムレットに由来するなど諸説ある。


◾️アマチュア無線
趣味や研究などの私的な理由で無線を使う行為のことだがアマチュア無線のことをスラングでハムと呼ぶ。
由来はよくわかっていないが前述のハムレット(アマチュア→素人役者)などが仮説として上がっている。
こちらのハムも突き詰めると面白いのだが食べることはできない。



追記、修正は、ベーコンもいいけどハムもいいよねと言う人お願いします( ^ω^)

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最終更新:2024年03月22日 11:15

*1 大戦当時、中国国内のドイツの租借地だった青島にて日本軍に降伏し、日本国内に収容されたドイツ帝国兵またはオーストリア=ハンガリー帝国兵。