大罪武装(境界線上のホライゾン)

登録日:2011/08/31(水) 07:04:21
更新日:2024/03/14 Thu 16:07:37
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大罪武装(ロイズモイ・オプロ)とは、川上稔著〈GENESISシリーズ〉『境界線上のホライゾン』に登場する兵器である。
単身で都市制圧が可能な威力を持つ“個人携行出来る”兵器であり、カラーリングはいずれも黒と白。人体の一部を模したかのような造形の物もある。

四世紀にエウリアグリオスがエジプトにて警告した八つの想念――後に『七つの大罪』としてまとめ上げられる八想念をモチーフとしており、十年前三河がP.A.Odaとの暫定同盟を正式同盟にする際に松平・元信が聖連へ『中立性』を示すためP.A.Oda以外の国へ送った。

なお、大規模破壊と言っているがむしろ致命的なステータス異常を引き起こすか味方を強化するサポート的な武装が多い。

7下での考察によると、この大罪武装の発動条件は「司る大罪に対する嫌悪・拒絶の情」であり、
「大罪は悪である・恐ろしいものである」と敵に教え込む「説教武装」というのが本質らしい。



○所有国/能力/所持者


悲嘆の怠惰(リピ・カタスリプシ)



全長1m強の黒と白の金属で出来た剣。剣の尻に砲門があり、両者の結合部に燃料メーターがある。
能力は通常駆動として『蜻蛉切』と同じく『刃に映った相手を削ぐ』能力、超過駆動は有効射程3キロの“掻き毟り”。
直撃すれば空中戦艦をも殴り砕く、正に大規模破壊武装として相応しい威力を持つ。
ただ鳴り物入りでデビューしといて二巻以降は不遇。やたら相殺されたり全く通じなかったりで、しまいにはホラ子に『これ、あんまり使えませんね』とまで毒を吐かれ立花・宗茂は“悲嘆”にくれた。
一応5下で宗茂による竜砲の切断・6下で生き埋め阻止・7下で航空艦3機撃破と効果を発揮しているが。
通称「宗茂砲」

「いや、地域制圧用としては優秀なんです。そうなんです。相手が悪いというか」


淫蕩の御身(ステイソス・ポルネイア)


所有国:K.P.A.Italia
所持者:教皇総長
    ガリレオ(一時貸与)→ホライゾン・アリアダスト

肋骨をかたどった黒の鉄槌。
攻撃力を持たない代わりに、通常駆動では与えられた力を“遊ばせ”、ろくなダメージを与えられないほどに弱体化させ、超過駆動に至っては半径3キロ圏内の敵対陣営の武装を“骨抜き”にする。
超過駆動を喰らえば武器は留め金・ネジ・接合すら剥がされて元に戻らず、刃は単なる薄い金属の塊になってしまう。さらに『攻撃の意図』があるならば徒手空拳すら衝突の直前で威力がなくなる。
ただし、劇中では『蜻蛉切』によって効果を割断・無効化されたので、対抗策がない訳ではない。

厳島にて行方不明になった教皇総長ごとこれも行方知れずになっていたが、8下にて謎の二人組から輸送艦から落とされることによってホライゾンの手に渡った。

「力を司るものがその力を放棄し、遊ぶ。――とろけるようであるだろう?」


嫌気の怠惰(アーケディア・カタスリプシ)


所有国:三征西班牙
所持者:フアナ→ホライゾン・アリアダスト

白と黒の骨にも似た装飾を持つ2mの長剣。
超過駆動は“自分にとって悪である”と思う箇所が光の輪で拘束され、粘るような“嫌気の荷重”がかかる。
ちなみにコンプレックスが駄々漏れになるため別の意味で精神的ダメージを負う可能性あり。
通常駆動は劇中未登場。
8下にてフアナ使用後、弾かれたところを成実がキャッチ。ホライゾンの手元に来る。

「感情を奪われた自動人形の身。……何もかも“足りない”と思っているのですね」


拒絶の強欲(アスピザ・フィラルジア)


所有国:英国→極東“武蔵”
所持者:トマス・シェイクスピア→ホライゾン・アリアダスト

腕甲にも似た、白と黒の立体に構成された盾。
通常駆動は単純な盾としての効果、超過駆動は“受けた痛みや傷を持ち主の力とする”こと。
簡単に言えばダメージを負うごとにMPが回復する。“痛み”がともなうならば誹謗中傷批判といった“口撃”でも効果を発揮する。
ただし初撃以降回数を重ねると“慣れ”が生じて回復力がガクッと下がる。
容量は他の大罪武装の超過駆動全力一発分のため「他の大罪武装の予備電源」なのではないかと推察されている。

「君の攻撃は僕に力を与え、――君の文章は僕に届かない」


傲慢の光臨(フオス・ハイペリニア)


所有国:六護式仏蘭西→極東“武蔵”
所持者:ルイ・エクシヴ→ホライゾン・アリアダスト

白と黒の色を伸ばして捻って千切って固めたような対の打撃武器。
使用者が誇りを持ち続ける限り、その力を無敵化するという能力を持つが、無敵化するのは所持者限定。そのため個人戦闘はともかく、戦局を覆すことは出来ない。
ルイ・エクシヴはこれに聖譜顕装“聖骸の賢明・旧代”と自らの加護を合わせて超威力の範囲攻撃を放つ。例によって燃費は悪い。
小田原征伐などを終えた後、毛利・輝元がホライゾン・アリアダストに返還する。返還したのは聖譜記述にもう勝ちの記述しかないことや、武蔵に
ヴェストファーレン会議で味方につけという意図があるため。

扇ぎ見賜え!
見上げ賜え……!
崇め賜えよ我が未来の大国……!

朕は国家なり……!


虚栄の光臨(フオス・ケノドクシア)


所有国:六護式仏蘭西→極東“武蔵”
所持者:毛利・輝元→ホライゾン・アリアダスト

白と黒の、骨を練り上げたような反りの浅い刀。
“傲慢の光臨”とセット。
所持者が虚栄を持ち続ける限り、所持者を守る力を無敵化する。
高慢と同じ理由でホライゾン・アリアダストに返還される。

『情けねぇ。――表見ばかりの女だって、バレちまわ』


飽食の一撃(フイオゴス・ガストリマルジア)


所有国:M.H.R.R.(神聖ローマ帝国)
所持者:マティアス→ホライゾン・アリアダスト

白と黒の骨にも見える大石弓。
通常駆動か超過駆動かは不明だが、攻撃が命中した敵の武器を出力過剰にして砕くことが出来る。
『Ⅲ下』ではこの攻撃で“蜻蛉切”が破壊された。
『Ⅶ下』にてマティアスが使おうとしたのだが、テロのように現れた本多・二代によって奪還される。

「すまない勝家君。――試し撃ちのつもりだったんだが、タイミングが悪かった」


憤怒の閃撃(マスカ・オルジィ)


所有国:上越露西亜→極東“武蔵”
所有者:マルファ・ボレツカヤ→ホライゾン・アリアダスト

見た目は白と黒の大弓。
能力は総長の景勝曰く、「怒りを向けた対象を見るだけで、度合いに応じた矢の一撃を叩き込む」とのこと。
『Ⅳ下』で“手付け”として上越露西亜から武蔵に譲渡される。
それにより“怒り”の感情を得たホライゾンが怒りに任せ羽柴・藤吉郎に向かってブッぱなすが、案の定羽柴によって打ち消され、早くも宗茂砲こと悲嘆の怠惰と同等の扱いになってしまった。
その後5下ではうっかり覗きに走ってしまった真田・信之への梅組女子陣一斉攻撃時に使用されたが、軽い怒りだったせいか、あるいは一応真田総長として訓練してきたせいか信之は何とか気絶で済んでいる。
通称「宗茂砲第二」「宗茂弓」

「お前は私を怒らせているぞ、繁長」























配られた大罪武装だがあるとき、配った松平・元信は言った。

大罪武装は人の感情を元にして作られた武装であると。

全てを手に入れればその者は末世を左右できる力を持つと。

そして。

八つしか無いと思われていた大罪武装は実は九つ目が存在していると言うことを。





セイフティ解除“魂の起動”:認識

―ようこそ、感情の創世へ―

―Go the middle of nowhere―


焦がれの全域(オロス・フトーノス)


所有国:極東“武蔵”
所持者:ホライゾン・アリアダスト

松平・元信が密かに造り、武蔵へと送った“嫉妬”―全竜(レヴァイアサン)―を司る大罪武装。
自動人形P-01s/ホライゾン・アリアダストの魂そのものが大罪武装。
攻撃力を一切持たず、代わりに他の大罪武装全てを統括制御する。

これにより大罪武装は彼女の“感情”となり、超過駆動『魂の起動』を彼女が認可する事により適性の有無に関わらず大罪武装の全力を引き出せる。このためか2以降では大罪武装専用位相空間がホライゾンに追加されている。
但しこの武装自体は最新刊である10下時点で未だ超過駆動をしていない(9上では「今の生活では嫉妬を抱かない」とホライゾンにぶっちゃけられている)。
ちなみに初接続時には「感情の創世にようこそ」なる謎の文章が出てきており、3つ目までは詳細な接続時手続きが描写されていたが、4つ目以降はなぜか省略されている。

また接続後最適化のためスリープモードに入るが、ホライゾンが感情を取り戻していくにつれ大罪武装とのリンクを再構築していくような独自の進化をしていき、
「彼女の両腕が意志を持つサポートロボ化する」・「武装の射程が伸びる」・「スリープ・最適化工程が効率・短縮化される」等効果を発揮。
ただ「ホライゾンが武蔵で楽しくやりながら武装を自ら集めるのは元信の想定外だったのでは?」「というか大罪武装の真の意味が不明」等の疑問から、
7下・9上では「自分ら(武蔵勢)元信の『教科書』から外れてね?」なんて可能性も考えてしまっている。



10下では何と、元信の遺した資材によって再リニューアルされた“武蔵”と大罪武装をリンクさせることに成功
これにより“武蔵”の出力はさらにアップした。
ホライゾン曰く、「自分が皆と一緒に楽しくしている方がいい」という心境の投影だそうな。
だが、なぜかリンク後は大罪武装の全力起動が不可能になっている。


○余談

鳴り物入りで登場した本作のキーアイテムであり、要所要所で物語を動かしているが、表向きの存在理由である「兵器」としては…
  • エネルギー消費が激しく燃費も悪いため、連射がしづらい
  • 攻撃用に関しては威力がデカすぎ、撃ち方を考えないとフレンドリーファイアになりかねない
  • 通常の戦場ならわざわざ大罪武装を使わなくても襲名者・役職者や軍勢を動かせば事足り、武力の低い武蔵にも4下以降主砲が追加されたためそっちを発射した方が楽
  • 一番有効活用できるホライゾンは戦闘訓練を受けていない一般人のため戦闘要員として前に出ることは滅多になく、軍団ならともかく個人の敵相手なら回避される可能性が高め
  • 武蔵とのリンクをフルで活用していると単体での使用が不可能
  • 後半の主要な対立組織である羽柴勢は「ある武装」によって大罪武装を相殺出来るため、羽柴勢への決定打にすることが出来ない
  • そもそも大罪武装持ちの相手と直接対決した例が少ない
等の理由により、後半では武蔵の武力充実もありあまり戦場で使用されなかった。

作者の前作では「全て集め使用する事で世界を救える」アイテム「概念核」とそれを内包した武装「概念核兵器」、
さらに前の『装甲都市 伯林』では「人の肉体を材料とした武装」であり2段階の発動モードを持つ「強臓式機械」が登場していたが、
これらが割りと多用され発見時点である程度仕組みが解明されていたのに対し、大罪武装は積極的に使用されずその存在意義の謎を調べないといけないという相違点が存在している。





さらにネタバレ





実は、大罪武装には試作版改良版が存在する。




●大罪武装試作版

五大項の一人羽柴・藤吉郎が所持するもので、大罪武装本体を創る前準備として作られたもの。10中で判明した。
“憤怒の閃撃”等を打ち消したのもこれであり、羽柴は試作版携帯用のコンテナをしょっている。
羽柴自身は感情の薄い自動人形だが、P-01sの系列機「P-02m」として作られたせいか普通に使用する事が可能である。



●断罪武装

ホライゾンの遺骸と記憶から創られた自動人形「P-01m」こと織田・信長が所持するもので、
「生前のホライゾンの記憶を夢見続けて感情を得た」信長から創られた大罪武装2型。

…そもそも大罪武装本来の製造目的とは、創世計画時「運命」の人格に「大罪とは悪である」という説教をすることで運命の人格を否定するためのものだった。
だがある事情で「大罪武装による『説教』では、『そりゃそうだよね』と「運命」も納得してしまい人格を殺すほどの衝撃を与えられない」という未来を知った元信は、
「「運命」の人格を確実に罰し殺すための力」を求め、“焦がれの全域”を中心に大罪武装を再製造し、
8つの武装を完全展開することで全長400mの巨人と化す真の説教武装を信長をコアとして開発。
そして運命とリンクした断罪武装装備の信長が自害、または運命の器となった断罪武装装備の信長を倒すという改定型創世計画を企画し、信長や羽柴にそれを託した。

ちなみに10中によると信長のOS自体にも名前があり、五大頂専用武装5つ(第二天~第六天)の筆頭となる第一天「理想郷(アルファーデラ)だそうな。









以下、11中・下のネタバレ




●赦罪武装

全ての感情を取り戻し、「悲しみ(負の感情、大罪)をも幸いと思えるようになった」ホライゾンが進化させた、大罪武装の新たなる姿。
「大罪を諭す(説教)」では届かないものを、「大罪を大罪のまま昇華させる(ものの捉え方を新しく付け加える)」ことで届かせるようになっており、
試作型版「悲嘆の怠惰」に試し打ちしてみたら、「大罪が自身を受け入れた」事により一時的に暴走し、停まった後「大罪を表に出せなくなった」…要するに武装として使いものにならなくなっている。
但し燃費は大幅に悪化した。
11下での最終決戦時にはこれと“武蔵”の主砲大兼定を連動させ(そして松永・久秀が遺した「芯弾」を併用し)、第二の月と運命にフィニッシュヒットを決める作戦が実行されている。




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最終更新:2024年03月14日 16:07