漆黒のシャルノス -What a beautiful tomorrow-

登録日:2009/06/20(土) 08:51:54
更新日:2022/09/30 Fri 15:55:31
所要時間:約 8 分で読めます




「お前が、俺に誓うのであれば。
 お前は、多くを知ることになるだろう」
「そして、お前は友を取り戻す。
 俺に誓うのであれば」
「……あたしは……」
「……あたしは、あなた、に……」


「誓うわ。あなたに誓う。
 だからお願い、シャーリィを助けて」


【概要】

「漆黒のシャルノス」は2008年11月12日に発売されたライアーソフト第24弾目、
スチームパンクシリーズとしては第3弾にあたる作品。
ジャンルは「スチームパンク・ホラーADV」。全10幕。

スチパンシリーズではお馴染みのスチームパンクとクトゥルフ神話を織り交ぜた世界観に加えて、
今作はシャーロック・ホームズシリーズを始めとしたイギリス文学の影響が強い。
というかホームズに関しちゃご本人と作者がどちらも登場する。
あとクトゥルフ神話の成立には欠かせない存在であるラヴクラフトとダーレスが数あるクトゥルフ物でも類を見ない関係になっている。

エロゲでありながらエロシーンが壊滅的。モザイク処理されたCGは0。
エロゲとしては異例の事態だが、ぶっちゃけスチパンシリーズではよくあることである。

濃い心情描写と思わず引き込まれてしまう独特の雰囲気からプレイヤーからの評価はかなり高い。2008年度のエロゲを代表する作品の一つである。
ただ、エロシーンが本当に壊滅的&エロがあって欲しいふたりに最後までにゃんにゃんナシという展開なのでプレイするならそっちを期待してはいけない。
また、これはスチパンシリーズ全体に言えることだが、かなり人を選ぶ作風なので購入を検討する際は注意。

2011年12月に新規CGを追加したフルボイス新装版「漆黒のシャルノス Full voice ReBORN」が発売された。


【スタッフ】

企画原案・シナリオ:桜井光
原画・キャラクターデザイン:AKIRA


【ストーリー】

比類なき蒸気都市と謳われる大英帝国首都、ロンドン。

そこは、我々の知るロンドンとはいささか違う。
機関革命によって、世界は一変していたのだ。異常なまでに発達した蒸気式の機関(エンジン)は、
今やエネルギー発生装置としての役割だけでなく、
超高度な演算を果たす情報機械や飛空挺、巨大飛行船までをも生み出すに至った。

そして20世紀初頭。現在の人類は繁栄をきわめている。

けれども人々は失っていた。無数の蒸気機関群の生み出す灰色雲によって、
かつて空に広がっていた青色は消え去り、人々は青の意味するものを忘れてしまった。

それでも、霧と蒸気の満ちるロンドンは美しい──
訪れた旅人は、皆そう言う。

テムズのほとりのコンドミニアムに暮らす女学生、メアリ・クラリッサ・クリスティ。
彼女もそう、ロンドンのすべてを愛していたし、
第2次産業革命こと機関革命によってもたらされるであろう人類の発展を、他の皆と同じように信じて疑っていなかった。
あの日、あの時までは……


【登場人物】


メアリ・クラリッサ・クリスティ
声:かわしまりの
主人公。「王立碩学院」で史学を学ぶ女学生。
右目が黄金瞳になっており、≪怪異≫たちはこれを求めてメアリを付け狙う。
昏睡したシャーリィを目覚めさせる為にMと取引し、≪怪異≫の彷徨う黒い街を駆け回ることになる。
強メンタルと漢な言動で最終的にはヒロインという立場を投げ捨てた。
サービスシーンはあって無いようなもの。正直特典テレカが一番エロい。
本人は恋愛に興味を持っており、気品ある立ち居振る舞いとルックスから男子の間でも密かな人気を得ているようだが…。
元ネタは「ABC殺人事件」「そして誰もいなくなった」等で有名なアガサ・メアリ・クラリッサ・クリスティ。


The M
声 : 越雪光
闇と知識とを支配する《西インド会社》の最上級エージェント。
スチームパンクシリーズ各作品に必ず一人いるチート野郎の中でも飛びぬけて規格外なお方。
彼の名前は訳あって複数ある。
引きこもりツンデレヒロインかつマグロ。作者公認のスチームパンクシリーズのマスコットキャラクター。


シャーロット・ブロンテ
声:野月まひる
メアリの友人にして幼なじみ。
愛称はシャーリィ。メアリが駆け回る理由を作った。
物語後半で遂に目覚めるが…?
「メアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリ
 メアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリメアリ(ry」
会報紙ではメアリのことをのろけている。
元ネタは英文学「ジェーン・エア」を執筆した作家、シャーロット・ブロンテ。


アーシェリカ・ダレス
声:金田まひる
メアリの友人にして今作の清涼剤。
愛称はアーシェ。兄が二人ほどいる。恋人のハワードとはラブラブである。
BugBugに掲載された嘘発信機ではハワードとアーシェの愛に「もしも」はないとのこと。
元ネタはクトゥルフ神話を体系化したことで有名な作家のオーガスト・ダーレスではないかと思われる。
…え。元ネタ女じゃなくて男だろ、って? そうだねその通りだよ


モラン大佐
声:桜川未央
陸軍服を身に纏いMに付き従う女性。
彼女の身体はほとんど機関機械に置き換わっており、驚異的な身体能力を誇る。イメージとしては昭和ライダーたちと同じ改造人間。
しかし《怪異》に対しては数分程しか戦闘状態を保てないという。
本作の大人のシーンは彼女が大半を担っていると言っても過言ではない。そして犬属性。


シャーロック・ホームズ
世界的に有名な私立・諮問探偵にしてヴィクトリア女王直属の帝国統治組織《ディオゲネス・クラブ》の一員。
Mを毛嫌いしているが、本編にはあまり関われない。


バロン・ミュンヒハウゼン
仮面を被ったもう一人のMにして《西インド会社》の最高幹部《三博士》の一人。
各章の始まりは彼の狂言めいた言葉で幕を開ける。
尚、彼のバロンは男爵の意味ではなくジャワ島で信仰されている神獣の名である。
元ネタは実在の人物であり、かつその人物のほら吹き話から生まれた物語の主人公でもある「ミュンヒハウゼン男爵」と思われる。


ハインツ・ヘーガー
オックスフォード大学に在籍しながら王立碩学院にも通っている青年。
柔らかな物腰のイケメンで女学生のあこがれの的らしいが、メアリ達からはあまり話に上がらない。
時折メアリに接触してくるが…?
余談だが、Twitterで「ハインツ先輩フェス」なるものが開かれたことがある。内容はカオスの極みなので注意。


涙の少女(バンシー)

ハワード・フィリップス

ドナ・ワーグマン
声:中家志穂

マリー・ハドスン
声:桜川未央

ジョージ・レストレイド
教授

ヨゼフ・チャペック

ヴァイオラ・バスカヴィル
声:中家志穂

ウィンストン・チャーチル

エド・オニール

ブラム・ストーカー

ヘンリー・アーヴィング
声:かわしまりの

ジェーン・ドゥ
声:歌織

エリー・バインホルン
声:中家志穂



『私/我々は何かの発見と同調を予感している。大いなる恐怖と共に。
 暗黒。闇。深淵。夜。宇宙。幻想の果て。漆黒。そして私/我々は、黒い男と人ならざる女性、黄金瞳の少女との関連性について困惑しています。なぜあなたがこれらを連続で見せたのか。もしも、これら三者がいずれかの要素・要因により交わることがあるのだとすれば、提示された過去の事実に対して、メスメル式《例題》による再構成を求めます。
 これは重要事項です。私/我々はそれを知りたい』

「興奮するな。落ち着け」

 男は言った。
 無表情だったはずの口元を歪めて。
 浮かび上がるひとつの画面に映し出された記事を指すと──

「是なるは、遥か深淵の想いの物語。
 是なるは、明日を求めた瞳の痕跡。
 時に、空のすべてを喰らい尽くす漆黒を前にしながらも挫けず。歩みを止めず。
 お前には、恐るべき漆黒の名をこそ教えてやろう」

『漆黒の名。それは』

「──追記と修正の彼方。光なき世界。項目の名は、漆黒のシャルノス」



(画像出典)
漆黒のシャルノス-What a beautiful tomorrow-
株式会社ビジネスパートナー・Liar soft
イラストレーター AKIRA

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最終更新:2022年09月30日 15:55
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