登録日：2009/11/15(日) 22:44:34
更新日：2023/09/03 Sun 16:46:15
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「あの子は君の目の前のあの大きな楠の木になったの」
幼い頃、仔猫の亡骸を埋めながらそう教えてくれた隣のお姉さんは、三毛猫の様な柄をした戦車に轢かれ今はその隣に眠っている
「アンダルシアの雨は気まぐれで時折平野に空き缶が降る」
奇妙なシュプレヒコールと共にいつも中身の入った空き缶を投じた向かいのお兄さんは、催涙弾の豪雨にうたれ二度と動かなくなった
明日は俺も歌うだろう
遮るもの一つ無い群青の空の彼方で
「シュレーディンガーの猫は百年経っても決して死なない」
蓋を開けるまで、勝敗は判らない
「俺達は決して死なない
魂は永遠(とわ)に引き継がれるから」
叫んだ男は昨日死んだ
俺は彼の友ではないだろう
何故なら俺は彼の魂が判らない
「私達の愛は永遠なの
変わらぬ愛を私は誓うから」
彼女が腕にぶら下がる男の背中は昨日低かった
変わらぬ愛は背を伸ばす
永遠の愛は連れ添う相手を選ばない
ならば俺も呟こう
力無き声をかき消されないように
「俺達は絶対に絶対に絶対に負けない」
言葉の時代が終わって、戦争が始まる
『
群青の空を超えて』とは、2005年9月30日に
lightより発売されたパソコン用アダルトゲーム。公式のジャンルは本格未来架空航空戦記ADV。
概要
郵政民営化により、行き詰まった日本で繰り広げられる内戦を描いた話。
シナリオライターはエロよりも政治や軍事に力を入れている事に定評のある早狩武志さんで、ぶっちゃけエロゲ成分がほとんど無い。
そして、OPムービーはまさかの戦闘機だけしか登場しないという異例のもの。
また、作中でもやたら戦闘機に力が入っているので「ヒロインは戦闘機」「真のヒロインはグリペン」等と揶揄される事も。
しかし、それでもミリオタどもを満足させるには至らず度々こきおろされている……
ストーリー自体の評価はかなり高く、点数評価だと高得点になるが、コメントが付くと残念になる作品。
また、妙にオススメしにくい作品でもある。
後日談とプロローグが描かれた小説がある。
あらすじ
郵政民営化による郵便貯金及び簡易保険の民間開放により、政府が500兆円の現金を失ってしまった日本。
借金を抱えたままの政府は国際的信用を失った上内政も行き詰ってしまい、国民もそうした現状に不満を覚えていた。
そんな中、様々な分野で実績を残した天才学者・萩野憲二が、著書の中で「円経済圏理論」を発表する。
これは、アジアの各国をいったん解体して自治政権に細分化し、新たな統一通貨「円」を使用する統一経済圏（円経済圏）を作り上げようというものだった。
様々な議論や紆余曲折の末、円経済圏理論は日本の発展的分割案として国会で承認され、日本は琉球王国、蝦夷共和国、東日本（関東政権）、西日本（関西政権）に4分割され、一種の国家連合となった。
が、政治・経済双方において実権を握る関東政権と一部政財界は円経済圏理論による既得権益喪失を恐れ、円経済圏理論を捻じ曲げ「円経済圏における自治政権は旧来の独立国家と変わらない」と主張。
反対する萩野憲二をどさくさ紛れに暗殺すると独立を宣言し、それに反発する関西政権が
自衛隊を侵攻させたことで日本は内戦状態に突入する。
当初侵攻した自衛隊によって独立は短期間で鎮圧された...かに思われたが、実力行使を伴う強硬措置を一部の占領部隊が行った結果様々な問題が発生する。
ついには萩野憲二の理論に感化された学生達による統一武装蜂起が発生し、備えが不足していた自衛隊は敗走。
国連の介入の元、関東政権・関西政権間に停戦協定が結ばれ、関東政権は（結果論とはいえ）独立に成功する。
以降、日本はアメリカが後ろ盾についた関西政権と、EU（ヨーロッパ連合）が後ろ盾についた関東政権による睨み合い状態が続くこととなる。
しかし、やがてこの状況はアメリカとEUによる代理戦争の様相を呈していき、さらに燻り続けていた中国と台湾の対立が本格化しつつあった。
そして、関東・関西間で再度の軍事衝突が避けられないことが明白化する中、関東政権の教育機関兼軍事基地である「筑波航空学校」で物語は始まる...。
登場人物
萩野社
声：小池竹蔵
主人公。筑波戦闘航空団第11飛行隊付き筑波航空学校一種飛行予備生徒。その名の通り萩野憲二の息子。
エロゲ主人公には珍しく声有りだが、オプションで消せる安心設定。
水木若菜
声：榊原ゆい
一応メインヒロイン。筑波航空学校二種管制予備生徒。
俊治の姉。
日下部加奈子
声：安玖深音
筑波航空学校付属校所属三種予備生徒。
戦死した兄の諒を追って航空団に入った。
渋沢美樹
声：上坂莉緒
関東政権軍一尉・筑波戦闘航空団第11飛行隊付き教官。
シルバリーシルフィードと呼ばれる関東政権軍の英雄にして、諒の恋人だった人物。
澤村夕紀
声：安倍有紀
報道カメラマン。
サブなためか√が異様に短い。
長田圭子
声：草柳順子
憲二の教え子で腐女子。
隠しヒロイン。
水木俊治
声：中田真沙
筑波戦闘航空団第11飛行隊付き筑波航空学校一種飛行予備生徒。
若菜の弟。社の僚機でもある。
鈴木隆史
声：富士爆発
関東政権軍一尉・筑波戦闘航空団第11飛行隊小隊長。
社や俊治の直属上官。
藤川達也
声：平井達矢
筑波航空学校校長兼筑波戦闘航空団司令。
元々はドイツ哲学を専門としていた軍とはゆかりもない人物だが、学生たちによって航空団司令にまで押し上げられた。
日下部諒
加奈子の兄にして美樹の恋人で、グリペンを誰よりも上手く操れた人物。
作中開始時点で既に亡くなっている。
設定
萩野憲二が自身の著書である『幻想の河を超えて』において唱えた理論。ある意味この物語の元凶。
元々この理論は、
- 経済圏
- 軍事圏
- 民族圏（言語）
- 政治圏（司法含む）
の四つが社会に存在し、歴史上これらが一致したりしなかったりする時期が交互に訪れるというものを基本としている。これらがほぼ一致した場合が近代史上の国家（日本の場合では明治維新以降）となる。
ちなみになぜ一致しないのかと言うと、技術発展の度合いなどにより各圏の拡張速度が異なるため。また、
- 経済圏・軍事圏は大きいほど効率的になる
- 政治圏は技術が許せば多層的で単位が小さいほど効率的になる
- 民族圏は大きさが人為的に変更できない
といったようにそれぞれの性質が異なるためでもある。
萩野憲二はこの理屈に基づき、NATOやEUが拡大したのは各圏の不一致の先駆けだと考え、国際競争力維持のためには極東アジアにも同種のシステムが必要として、日本も各圏を切り離すべきだとしていた。
この円経済圏理論においては、アジア各国はまず自治政権に細分化。それらの自治政権群はもっぱら政治運営を専門とし、政治・経済の中心地が固まらないようにする一方、共通通貨「円」を使用することによって一種の国家連合を形成し、徹底した分権化がなされた巨大勢力を作り出すことができるとされた。
ちなみに萩野憲二の考えによると、日本に加えて中国・朝鮮半島も自治政権に分割し、台湾などと共に共通通貨を使用することで北米や欧州に対抗するとのこと。
様々な議論や紆余曲折の末、この理論はまず日本で実行に移され、一種の国家連合となった。やんごとなき人達がどうなったかは触れられていない。まあタブーだからだろうね。
予備生徒制度
関東政権において設けられているシステム。先の独立の後、学生が抵抗運動を行うシステムとして考案された。
簡単に言えば学生を実質的に軍の戦力として活用するシステムで、事実上の学徒動員制度。実際に戦闘に参加する一種予備生徒とその前段階の二種予備生徒、中学生からなる三種予備生徒からなる。ちなみに志願制。
これら予備生徒は関東政権軍（関東自治独立政権治安維持軍）の指揮下に置かれる。なお、関東政権軍は元自衛官と元予備生徒で構成されており、統合軍を意識しているため陸海空軍の区別はない。
その総数は十数万人ともされる。
登場兵器
関東のみ
- JAS39 グリペン
- T-4
- T-2
- U-125
- KV-107
- CH-47
- CH-60
- OH-1
- AH-1S
- RF-4XJ
関西
関西・関東共通
その他
- A109K2：富山県警察が使用。
- F/A-18E/F：とあるルートで介入してきた米軍が使用。
ちなみに、こんな内戦状態でなぜ諸外国から介入されなかったのかと言うと、関西側についた海上自衛隊がタンカー改造の低速空母を保有しており、それと搭載機のYF-23で睨みを利かせていたかららしい。
そりゃ迂闊に介入できんわ。
その他
OP『アララト』は名曲。が、前述の通りヒロインは一切登場しない…
追記・修正お願いします
- 加奈子ルート後の俊治ってどうなったんだろ -- 名無しさん (2014-05-20 10:39:34)
最終更新：2023年09月03日 16:46
