古武術

登録日:2013/02/09(日) 00:00:00
更新日:2022/07/19 Tue 01:35:43
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「日吉の奴、あの独自のフォームに変えて急に伸びてきたよな」
「アイツの実家が古武術の道場をやってるらしいわ。
日吉にとってあのフォームが自然体なんや」

古武術(古武道、古流武術)とは、一般に明治以前に成立した日本古来の格闘、戦闘術の事である。
剣術が基本になっている事が多い。
以下に主な種類を紹介する。

●剣術
ほとんどの流派で対の技法が存在しているため、前述の通り古武術の基本になっている。
脇差を扱う物は小太刀術と称される。
室町時代頃から技法が体系化され、だいたいの流派は陰流、念流、神道流、中条流から派生している(四大源流)。

居合術
タイ捨流など古い流派にも居合術は存在していたが、居合中心の流派は林崎甚助の神夢想林崎流(林崎夢想流)からである。
「剣術と柔術の間にもう一段あるべし」と膝を付き合わせた近さで一尺の脇差を扱う相手を三尺三寸の刀により制する事を目標とした。
ちなみによく「鞘に刃を滑らせる」と言うが、鞘に刃を当てて抜くと刃が鞘を切り、鞘が割れ指を切り落としてしまうので、
実際は峰を鞘に押し当てながら抜く方が良い。(鞘に刀身が当たらない様にスムーズに抜くのが一番)
体によって死角に入り易く間合いを図られ難いという利点はあるものの、抜き放って斬るというのはかなり特殊な技術なため、護身の類としての意味合いが大きい。

●柔術(組討術、小具足術)
戦場で鎧武者を転ばせ、首を取るために相撲が発展し組討術になり、脇差を用いた護身術として小具足術が発生し、
それらから素手の技法による柔術が生まれた。イメージと違い実際には蹴り技も存在する。
主に素手の技法であるが、武器を帯びている事を前提にするため空手などの徒手格闘技とは趣きが違う。
失伝した物がかなり多いが、いずれも仕留めることを前提に置いたエグい技が多い。

●薙刀術、槍術
意外だが実は薙刀のほうが歴史は古い。
戦の戦術が集団戦法に変わり、薙刀を振り回すスペースがなくなったためにに取って代わられた。
また薙刀は元々男のものであり、男でも薙刀を習う事はできる。
女でもとりあえず薙刀を手にして室内で振り回していれば武士でも手に負えないため、江戸時代等は女性の護身、警備用としても普及していた。

棒術、杖術
現代では六尺前後の長いものを棒、それより短い四尺前後のものをと呼ぶ。
槍など長物の穂先を落とされたときの対処法として槍術や薙刀術に併伝されている事が多い。

●その他、手裏剣術、砲術、水術、実手術、弓術など


さて、古武術の特徴に「型を用いた教授」がある。
型は英語でいう構文や数学でいう青チャートのようなものと考えると門外漢にも分かり易いのではないだろうか。
ある問題、想定に対しこう答えるというのを表しているのが型。
その中で、基本的な答え、効率的な答え、考えもしなかった奇抜な答えを学び、理論を分析するのが型稽古の意味である。
一方試合稽古はいきなり留学させられるようなもの。それでも会話は出来る様になるが、熱い議論を交わしたり、文学作品を作るには不十分だろう。
逆に理論を学んでも実践をしなければ不十分。

ここで重要なのは型を「正しく」行う事。
正しく行えていると思っていても多くは実際にはできていない。それほど型は難しい。
それを体験してみよう。

素振りの型をもっと簡単にして、ただ片腕を挙げるだけにする。
この時にもう一方の手を僧幅筋(肩凝りで揉むところ)に手を当てる。
そしてそのまま手を挙げてみよう。僧幅筋がピクリとでも動いたら正しく動けていない。
さて、ゆっくり動かしても力が入るのではなかろうか。これを刀の振り上げと思って速く動かすと絶対に動いてしまう。

次に直立、または正座をして片足を一歩踏み出してみる。
このとき身体の中心線が左右に傾いたらやはり正しく動けていない事になる。

やってみるとわかるが、ほとんどの人がこの簡単な動きさえ正しくできない。
しかし正しく動けないとそれが隙や動きの気配になり命取りとなる。
一歩出すときに片足に体重をかけたら、そこを狙われてしまう。
避けるにはまた体重をもう片方に移動させなければならずもたつく。相手は刃物だから、触られただけで致命傷になる。
だから身体を傾けるのはいけないという事。

また試合中にこんな事を一々気にしては動きが固くなり、その隙を衝かれて負けてしまう。
つまり、意識せずとも型通りの動きができるまで反復し、またその型が持つ意味を理解する必要があるのだ。
型の意味が理解できれば、それを応用して様々な状況に対応できるようになる訳である。
こう考えれば型稽古が重要になってくるのも解るのではないだろうか。

ボクシング等近代格闘技で超簡単に例えれば、「恐ろしく綺麗なジャブなので初動も軌道も読み難い」という奴と一緒。

ところでよく創作作品で「型があるから動きが読み易い~」的な発言があるが、
それは動きを読む側がそれなりの実力の持ち主で、尚且つ読まれる側の実力が相手より低くなければ起きないことである。
また「我流故に型が無い」という展開もあるが、ぶっちゃけ個人の発想には限界があるので、むしろその人の型(クセ)がモロに出ている場合も。




さてこの項目の読んで古武術に興味が湧いた人は早速入門してみよう
道場の探し方は
1、ネット
2、近くの体育館などを調べる
3、武術系の本、雑誌
4、人の紹介

などが一般的。

道場を選ぶ際の注意は、
●距離や月謝など通うのに無理はないか
●雰囲気は悪くないか
●自分の目的(ガチで強くなりたい、好きなキャラと同じ流派)に合うか

などなど。できたら一度見学をするのが良いだろう。
筆者の印象では、○○研究会や実戦的を売りにするところは微妙なのが多い。

日本人として、素晴らしい伝統文化を学ぼう。


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最終更新:2022年07月19日 01:35