ジャン・クローチェ(GUNSLINGER GIRL)

登録日:2012/07/14 (土) 20:49:46
更新日:2024/01/18 Thu 22:57:39
所要時間:約 7 分で読めます





「お前を殺せる理由は二つある」

「一つ、俺は警官じゃない」

「二つ、俺は殺し屋もパダーニャも大嫌いだ」






漫画「GUNSLINGER GIRL」の登場人物の1人。
CV:宮本充(アニメ1期)
子安武人(アニメ2期)


社会福祉公社作戦二課に勤める義体(サイボーグ)担当官の1人で担当官達のリーダーも兼任。フラテッロはリコ。リコと同じ金髪のショートヘアーとがっしりした体型が特徴。
担当官のリーダーであるが故に作戦進行の説明役等も彼が勤めることが多く、立場上作戦二課のロレンツォとの面識も深い。
また軍人時代からの縁があるのかクラエスの担当官だったラバロ大尉とも懇意だったらしく、足の故障によって退職させられた彼を
「公社で3年間勤め上げれば軍警察復帰の根回しをする」という条件で所属するよう口説いたのもジャンである。


過去に起きたクローチェ事件によって弟のジョゼ以外の家族と、婚約者であるソフィアを亡くしており、その主犯であるジャコモと五共和国派への復讐の為に社会福祉公社へと身を置いている。


婚約者を失ったことによる憎悪は凄まじいもので、一見冷静に取り繕っていながらも担当官の中で誰よりも五共和国派を憎んでいると言える。その為、目的を達成する為なら手段を選ばないことも多く
2巻では情報を聞き出すのに捕らえた活動家の右耳をナイフで削ぎ落としたり、4巻では同じく情報を吐かせるのにリコに命じて活動家をフルボッコにさせたり、
7巻でもマーク人物のルチャーノを捕らえるのにかなり強引な方法を使ったらしく、更には別の活動家を自らの手でボコボコにして拷問する・情報を吐かせる為に非抑制型自白剤の使用を進言する等、兎に角五共和国派に対して一切の容赦が無い。


パートナーのリコも復讐の為の道具としか見なしておらず他の担当官が義体との接し方に悩む中、躊躇いなく条件付けをかなり重度のレベルでリコに施したりもしている。
原作序盤でも射撃訓練の際にリコに対して全然ダメだと苦言を呈したり、血が出るくらいに思いっきり殴打する等している。
(リコは元来の性格や条件付け等もあり、殴られることにすら喜びを浮かべている)


とはいえ6巻辺りから段々と態度が軟化してきて任務中に足を滑らせて海に落ちたリコを見て撃たれたと思い慌てて飛び込んだり、
9巻では射撃の腕前が上がったリコに対して「よく上達したな」と誉めたり、6巻ではジョゼと共に休暇を取ってタオルミーナの別荘にリコを招待し、12巻では抱き枕をプレゼントしたりと明らかにデレ期に突入している。
おまけに読者からは、「復讐の道具として扱っている割にリコの名前の由来に未練が表れている」と突っ込まれていた。


任務の際の使用武器は自動拳銃のFN ハイパワー、FN ファイブセブン等。過去の経歴の関係から戦闘能力は非常に高く銃の扱いは勿論、白兵戦でも高い実力を発揮しリコと共に活躍する。
とはいえ担当官のリーダーであるという立場上、彼自身が戦闘に参加するのは結構稀なケースだったりもするが。
必要ならば簡単な話術も用い、2巻で五共和国派の会計士であるフィリッポ・アダーニに接近した時は、彼の素を知ってる読者からすれば滅茶苦茶胡散臭すぎる丁寧語と柔らかな表情で会話を行っていた。
リコが「優しいお兄さんです」と言った直後に活動家に対する耳削ぎシーンが出てくるのは最早一種のギャグである。


弟のジョゼに対してはヘンリエッタの条件付けを強化するべき等といった苦言を呈することもあるが、同じ痛みを抱える家族同士なんやかんやで大切に思っているようである。
が、ジョゼがヘンリエッタと妹のエンリカを重ねていることを危険視しており6巻でヘンリエッタにエンリカの服を着せていたのを見た際にはいくらなんでもやりすぎだと1人で愚痴っている。
同時に、彼自身も婚約者のソフィアが最優先であるとはいえエンリカのことでも思い悩む面があるようで、彼の前に現れたエンリカの幻影に対し珍しく感情的なって「生きている人間は弱い」と言うことや、「ジョゼがああなってしまったのは自分の所為である」ということ等を叫んでいた。





社会福祉公社に来る前は軍警察第1パラシュート連隊に所属する本部付きの情報参謀であった。階級は中尉。
幼い頃から大戦の英雄だった祖父の姿を見て育ち「男にとって最高の名誉は兵士となり国に貢献することだ」と教えられた。
ジャン自身もそんな祖父を尊敬しており、逆に「今は兵士が名誉を受ける時代ではない」と自分の生き方に反対し、仕事ばかりで殆ど家族を顧みてこなかった父親の事は嫌っており、祖父に反発して検事になった父と同じように、自分も父に反発して軍人となった。


自分が人を愛したり愛されたりしない情の薄い人間と思っており、ジョゼが自分よりお人好しであると見抜いて幼いエンリカを押し付けたりもした。
ただ、彼女が出場するサッカーの試合に応援に行った事があるなど完全にジョゼに押し付けて放置していたわけではない。
パラシュート連隊も元々は踏み台に過ぎず、就任当日に上官に対しゆくゆくは隊内選抜で特殊部隊(GIS)を目指すと宣言している。
一方で連隊内の女性陣からは憧れの的として王子様扱いを受けていたが、同時にそのエリート振りから高嶺の花としても扱われ近寄り難い状態となっていた。


が、連隊内で補給隊伍長を勤めていたソフィア・ドゥランテとの出会いがきっかけでジャンの運命は大きく変わっていく。
邪険に扱い、自分が情の薄い人間だと語っても決して距離を置くことなく、自分を優しい人間であるとするソフィアの真っ直ぐな姿勢に惹かれ、あっという間に婚約者になるまでに愛するようになる。
そんな2人をみたジャンの両親*1も、「ソフィアのお陰でジャンは変われた」と評するほど仲睦まじい様子だった。
愛犬のフォルゴーレを亡くし、家族全員が家を空ける事が多く自宅に1人取り残される事が多いエンリカの傍にいてやるようソフィアに頼み込む等、完全に彼女を信頼していた。
婚約に伴い部隊内でのジャンの対面を気遣うのと同時に「ジャンに文民として守ってもらうため」に軍を退役したソフィアもそれを快諾するが、いきなり現れた婚約者である彼女をエンリカは「籠絡しにきたんだ」と思い込み一方的に邪険に扱ってしまう。
一時はソフィアの心が折れそうになるも励まし、エンリカも次第にその優しさと前向きな性格に打ち解けるようになり、料理を教わるなどある意味では冷めつつあったクローチェ一家に温もりを齎していた。


だが、上述したクローチェ事件に巻き込まれてエンリカとソフィアも死亡。ソフィアはジャン達が駆け付ける直前までは生存していたが息絶え、エンリカはシートベルトを締めていなかった事が災いし、首の骨が折れ即死していた。
ジョゼと共に現場へ真っ先に駆け付けたジャンが見たのは、窓から垂れ下がる結婚指輪を嵌めた婚約者の左手だった。
葬儀を終えたその日、家の自室で項垂れる彼の顔には凄まじい憎悪が刻まれていた。
そして、当時は内務省民生治安情報部に勤めていたロレンツォの誘いを受けて公社職員の一員となり、自宅で自暴自棄になり廃人同然となっていたジョゼも半ば強引に引き込んだ。
そしてパートナーのリコを選び出して本編に至るというわけである。


以下、終盤でのネタバレ含む。



















13巻で最大の仇であるジャコモ・ダンテが原発を占拠した際には彼の要求通りに社会福祉公社の戦力を引き連れて五共和国派の残党達と激戦を繰り広げる。
(なお、出発直前にクラエスに謝罪をし、心の中でもラバロ大尉に対してすまなかったと発言している。やはりラバロ死亡の件に関わっていたのだろうか?詳しくはクラエスの項目を参照)


原発に到着した際に、現地の警備隊の生き残りであるアプレア一等兵の「自分も友人を殺された恨みがあるから作戦に参加させてほしい」という頼みに対し、「若者が死にに行く必要は無い」と優しく諭している。


そして14巻ではリコと共に原発の深部へと足を進め、遂にジャコモ・ダンテと相対。これまで抑え込んでいた自身の復讐心を全開にして剥き出しにし、本気の戦いを心の底から楽しむジャコモと一進一退の攻防を展開する。
しかし、ジャコモに隙を突かれて左胸をナイフで刺されてしまいそのまま捕らわれて盾にされてしまう。
自身が人質になったことで迷うリコに対し、ジャンは自分ごとジャコモを撃てと命令。命令とはいえ担当官を撃つという義体にとっての最大の禁忌をリコは犯せないと呆然とするが、
事前にジャンから聞かされていた「ジャコモと刺し違え、自身の復讐を果たすのが最大の目的である」という話を思い出し、ジャン諸共ジャコモを対物ライフルで撃ち抜く。


リコが放った対物ライフルの弾丸によって内臓が飛び出すほどの重傷を負うも、仇を討ったことでもう生きる理由は無いとしてソフィアの下へと行こうとする。
が、そんな自分の姿を見てリコが涙を流しながら発した「私のために生きて!!」という心の底からの叫びに動揺を浮かべた。
そして陸軍の強襲により原発内部で生存していた要員が全員捕縛された際虫の息だったが、「クローチェ兄弟に死なれるとまずい」という陸軍の判断で病院へ緊急搬送され辛くも生存する。
病院で意識を取り戻した時、かつてのリコの出会いとは真逆に今度はリコが自分を見下ろしていた。そしてジャンの目が開いた事にリコは涙を流した。

後処理も終了した後アプレアに肩を貸され杖をつきながら墓参りをした時、彼女がエンリカの所属していたサッカーチームのチームメイトという事にようやく気付く。

ジャコモとの戦いの1年後にリコは義体の寿命でこの世を去ったが、最終話で彼のデスクにリコの写真が飾られており、ただ復讐の道具として接していたわけではないという事をうかがわせる。

左手の薬指に指輪をはめている描写があり、結婚しているのがうかがえる。(ジャコモの捕縛により過去と決別したのかもしれない?)


◆作中での主なセリフ
「…全然駄目だ。もっと自由に自分の体を使えるようにしろ」

「減らせる数は減らす、それが俺の方針だ」

「何かと融通の利く今の職場が気に入っているんだ。そう簡単に取り潰されたくない。こうして色々な仕事に顔を突っ込んでおけば後々役に立つだろう?」

「ソフィア…俺はこの2年で56人の五共和国派を殺した…奴らがこの世からいなくなるまで、俺は奴らを殺し続ける」

「あいつがこうなったのは俺のせいだ…謗るなら俺を謗れ!」

「いいだろう…満点だ、よく上達したな」

「それでこそ俺の義体。俺の復讐の道具」

「待ってろソフィア、俺ももうすぐ…」

「リコ…撃て。望みを…」

「リコ…ありがとう。もういいんだ、先に逝かせてもらうよ」









…全然駄目だ。もっと自由に自分の項目を追記・修正できるようにしろ。

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最終更新:2024年01月18日 22:57

*1 しかも父の方は最初ソフィアが「シチリア島出身」なことへの偏見を持っており、ロレンツォに命じて彼女の両親を含めた身辺調査を極秘に行うほど警戒しており、当初ロレンツォもジャンに近付いてきた極右スパイの疑惑を掛けていた