夢幻伝説タカマガハラ

登録日:2012/10/29(月) 19:56:57
更新日:2022/05/11 Wed 22:42:08
所要時間:約 7 分で読めます



高天の原に

神々の黄昏<ラグナレク>のおとずれし時

地平線の少女<ホル・アクティ>

五つの宝珠とともに

昼と夜との間におり立つなり



『夢幻伝説タカマガハラ』とは、少女向け漫画誌・なかよしにて1997?1999年にかけて掲載された作品。KCなかよし全5巻。
作者は『熱烈台風娘』『怪盗セイント・テール』等で人気を博した漫画家・立川恵。

本作は日本神話「天の岩戸」伝説と滝沢馬琴の著作「南総里見八犬伝」をモチーフに、世界の命運を託された少女・結姫と、頼もしくも愉快な仲間達の旅路を描いたファンタジー作品となっている。

実は「人間の活動」に伴う「環境破壊」や「人間の業・原罪」がテーマであり、作品が訴えているメッセージは少女漫画とは思えぬほど重い。

なお本作を補完する続編が存在する。


【ストーリー】
なんだかすっきりしない天気が続く、そんな毎日。しっかり者の小学生・若狭結姫の前に現れたのは、光を放つ不思議な石「勾玉」と「幽霊みたいな女の人」。
鳴女という名のその女性は、高天原と中ツ国の太陽を助けて欲しい、4人の天神(アマツカミ)と共に2つの世界を救って欲しいと結姫に告げる……が、


「まって 結姫 ねむってはダメ」


難しい話にうっかり寝オチした結姫は、眠りを通じて(説明途中で)夢の世界「高天原」へと飛ばされてしまう。

そんな彼女が目覚めた場所は、なんと砂漠のど真ん中。「夢……?」「やだー なに この服」と笑っていられたのも少しの間。
盗賊にぐるりと囲まれ、しかも彼らのお頭は……大好きな「隆臣くん」?

右も左もわけも分からないこの状況のなか、少女は4人の仲間を見つけ出し、2つの世界を照らす太陽・天照を、そして世界を救うことができるのだろうか。


【用語】

◇中ツ国(ナカツクニ)
主人公・結姫達が暮らす現実世界。高天原とは表裏一体であり、夢でつながる間柄。
中ツ国で眠ると高天原の自分が目覚め、活動を開始する→高天原で眠ると中ツ国の自分が目覚め、活動を開始する→中ツ国で……といった流れを人々は知らず知らずのうちに繰り返している。

◇高天原(タカマガハラ)
もう1人の自分が生きる夢の世界で、中ツ国から見た「神の領域」。アジアンテイストな光景が、見るものを楽しませる。
「中ツ国の自分」が見ている夢が「高天原の自分」ということになり、逆に高天原から見れば中ツ国が夢の世界にあたる。

勾玉を持たない普通の人間は、中ツ国と高天原を行き来する間に記憶の切り替えが行われることになる。

◇神獣鏡
鳴女が結姫に託した鏡。これをなくすと鳴女とコンタクトをとることができなくなってしまう。誰かが悲しむことだろう。
天照のもとへ向かう際に、神王家の巫女姫が持つ神華鏡と併せて必要となる。

◇勾玉
伝説の少女・結姫と、彼女を天照のもとへ誘う4人の天神に与えられた不思議な石。
結姫には自然と心を通わす力が、天神には刻まれた文字に応じた力がもたらされる。
更にこれらの所有者には、中ツ国と高天原、両方の記憶を忘れずに持つことができるという特典までも付いてくる。


【登場人物】

■若狭結姫
神代小学校5年1組。物語の主人公。4人姉弟(弟3人)の長女ということもあって、物怖じしないオカン的な性格をしている。
趣味は節約、必殺技は強制正座とお説教。水泳だけは少々苦手のようだ。
小3の頃から隆臣を想い続けているが、気持ちを伝えることができずにいる。

  • 結姫(ユウキ)
高天原での結姫。「地平線の少女」と呼ばれる伝説の少女。赤い勾玉を所有する。
中ツ国と高天原で外見や年齢が違っている仲間達とは異なり、その見た目は中ツ国の若狭結姫そのもの(※服装は除く)。
伝説の少女である彼女のみが使える力「宝珠解放<アルフォー・クロア>」によって、様々な生物や精霊と心を通わせていく。


■甲斐隆臣
5年1組。優しい笑顔が印象的な男の子。穏やかで優しい性格の持ち主で、結姫と那智の2人から同時に想いを寄せられている。
結姫と同じ班になるのは久々のことであり、互いに喜び合っていたのだが……。

  • 隆臣(タカオミ)
盗賊団の元首領。俺様気質で荒っぽく、出会った女を片っ端から口説くなど、中ツ国の隆臣とは色んな意味で正反対の15歳。
額には何かを隠すように包帯が巻かれ、その首には莫大な賞金がかけられている。
勾玉を持たない彼には中ツ国での記憶もなく、結姫達の知る「隆臣くん」なのかどうかもあやふやだった。


■因幡颯太
5年1組の問題児と言われる、協調性皆無の神経質なメガネ男子。成績はクラス1。
幽霊が苦手で胃痛持ち(との噂)でカナヅチでもあるこの少年。脇役一番人気の座を掴み、作者を驚かせた逸話を持つ。

  • 颯太(ソウタ)
高天原での颯太。「布<サリヤス>」の勾玉を持つ長髪の透視人(占い師+神官)で、一行の稼ぎ頭。高天原に伝わる「終末の伝説」について研究を行っていた。14歳。
あるお姉さんに髪を弄くり回されている。


■日向泰造
鼻の絆創膏が目印の5年5組のガキ大将。ケンカ上等な熱血単純バカ少年で、中学生相手にケンカして勝利したとの噂もある。
鏡池での初コンタクトの際、鳴女に密かに一目惚れした。純情である。

  • 泰造(タイゾー)
高天原での泰造。賞金稼ぎに奔走する、かなりがめつい17歳。読み書きはてんでダメだが、賞金首の顔は全て頭に入っている。
勾玉「力<アグマ>」がもたらしたその拳の前には、厚い岩壁さえも砕け散るという。


■相模圭麻
ゴミ袋の中身を勢いよくぶちまけるという迷惑行為と共に登場した5年5組の少年。
リサイクルを趣味に持ち、ゴミへの愛を語る純粋さと、唐突な与太話で周囲の不安を煽って喜ぶという困った一面を併せ持つ。

  • 圭麻(ケイマ)
高天原での圭麻。リューシャーの都でゴミと一緒に楽しく暮らす発明マニア。15歳。
飛空船「ブルースカイブルー号」を始め、勾玉「理<リウナ>」の力で作り出す様々な発明品を用いて仲間達のサポートを行う。


■和泉那智
5年1組の問題児A兼、結姫の恋のライバル。積極性では結姫を大きく上回っている。
大企業の社長令息でもある彼の性格は、颯太曰く「ガサツでわがまま」。当初この問題児2人は対立関係にあった。のだが後に颯太の嫁になる(公式です!)

  • 那智(ナチ)
高天原での那智。リューシャーにある月読の社「神王宮」の女官をしていた。16歳。
「宇<フーア>」の勾玉、そして都で一番の踊り子になる夢を持つワガママ娘は、ここ高天原でも結姫の恋のライバル。だった。


■鳴女(ナキメ)
高天原の人物。思兼神(オモヒカネノカミ)という役職についている、天照の側近。
諸事情により天空の神殿「天珠宮」を離れることができず、結姫に渡した神獣鏡を通じて彼女達とコンタクトをとっている。
基本的には優秀ながら、抜けた面も目立つおっとりお姉さん。泰造の嫁。_
中ツ国ではロリ。連載時は5歳程度。自身の能力により鳴女の記憶を持つ(記憶共有ではない)

■ビンガ
伝説の少女の前に現れると伝えられる聖獣「迦陵頻伽(カリョウビンガ)」。「ビンガ」というのは結姫が付けたニックネーム。
少しおしゃべりな彼女(鳥)は、結姫にとってよき友人と呼べる存在。勾玉の所有者に限り、ビンガと会話を行うことができる。
普段は可愛いミニサイズ。

■月読(ツクヨミ)
高天原の人物。高天原の最高位にある神王家の当主で天照の兄。壮絶な野心家で高天原の公害騒動の原因。
リューシャーを訪れた結姫達一行を神王宮に招き入れる。
かつて「十三号」として監視下に置いた隆臣を再び手中に収めんと画策する。

■伽耶(カヤ)
高天原の人物。幼少の頃から「サンちゃん」こと隆臣を慕っていた天真爛漫な少女。
あまり似ていないが神王家の当主・月読の実子であり、ゆくゆくは天照の跡を継ぎ、高天原を守る巫女になると言われている。

■天照(アマテラス)
高天原と中ツ国を照らす太陽。象徴的な意味ではなく本物の太陽なので、彼女の力が弱ると2つの世界がどえらいことになる。
本体は高天原の天珠宮にて、自然界の怒りと孤独な戦いを続けている。


日本神話に目を通すと物語をより楽しむことができるとのこと。本作と併せて一読してみるのもいいかもしれない。



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最終更新:2022年05月11日 22:42