スーパーヒーロー作戦

登録日:2012/03/15 Thu 18:04:01
更新日:2023/04/15 Sat 22:17:26
所要時間:約 7 分で読めます




『スーパーヒーロー作戦』とは、1999年にバンプレストから発売されたプレイステーションゲーム
ウルトラマンやキカイダー、宇宙刑事ギャバンなどの特撮ヒーロー、果てにはガンダムや、
スパロボシリーズのオリジナルキャラクターであるSRXチームまで入り混じった、クロスオーバーRPGである。
コンパチ三本柱の一角である仮面ライダーがいない事を突っ込まれるが、プロデューサー曰く、他の特撮が飲まれそうだから敢えて参戦させなかったとの事。
後に仮面ライダーシリーズのいないこの作品もコンパチヒーローシリーズとして組み込まれている。


■ストーリー


新西暦155年、人類を襲った驚異、怪獣や異星人、悪の組織達の暗躍から人々を守るべき結成されたTDF(地球防衛軍)。
彼らと、この時代にのみ姿を見せた伝説の光の巨人、そして最強を謳われた部隊、ガイアセイバーズの活躍により、地球は救われた。

時は流れ、新西暦195年。
TDFは、増えすぎたコロニーの人々を弾圧するだけの組織と成り果てていた。

反TDF組織「ピースクラフト」所属の青年、イングラム・プリスケン(ヴィレッタ・プリスケン)は、
コロニー「ネオジャパン」が開発したと言う最強のガンダム、「アルティメットガンダム」の調査のため、
パーソナルトルーパー「アールガン」に乗り込み、ネオジャパンへ向かう
そこで、アルティメットガンダムを兵器として接収しようとするネオジャパン軍に対し、
自らがアルティメットガンダムに乗り込む開発者ライゾウ・カッシュの息子、キョウジ・カッシュと言う場面に立ち会ったイングラムは、
地球に降下したアルティメットガンダムを追う。

そして、不思議な光を放つアルティメットガンダム…。

気がついた時、イングラムはなんと、40年前、怪獣や光の巨人がいた世界、「混乱の時代」にいた。

なぜか、「科学特捜隊」の新人隊員にされてしまったイングラムは、数多くのヒーロー達との出会いを経て、
世界の危機、そして、自らの数奇な運命に立ち向かっていく…。

■参戦作品


メインとなるのはウルトラマン、セブン、ギャバン、キカイダー、メタルダー、Gガンダム、ガンダムW。
他は各作品が少しずつ再現される程度で、A~レオは事実上いるだけ参戦に近い。


■世界観


前述の通り、ウルトラマンベースの過去世界と、平成ガンダムベースの未来世界の二つが主な舞台。

過去世界は、怪獣や宇宙人、悪の組織と、それに立ち向かう科学特捜隊ウルトラ警備隊と、
それを助ける光の巨人(ウルトラマン達)、宇宙刑事達が属する銀河連邦警察などが存在する。

未来世界は、ガンダムWをベースに、Gガンダムがちょくちょく話に絡んでくる。


■登場キャラクター


数が多いので、参戦作品の主人公格を中心に紹介する。

◆バンプレストオリジナル
主人公。男女選択化。
記憶を失い宇宙をさ迷っていたところをピースクラフトに救われた。
乗機はパーソナルトルーパー「アールガン」。
言動はクールだが、正義感が強く仲間思いな性格。
イングラム、ヴィレッタはそれぞれ別キャラとしてスパロボαに再登場したが、キャラ設定が変わってしまい、いきなり裏切り者と化すその展開は本作をプレイ済みのプレイヤーを驚かせた。

SRXチーム所属。後にイングラムのチームメイトに。
相変わらずスーパーロボット大好きだが、ヒーロー達には興味無かったようで思ったより反応しない。
本作に登場すらしていないヒーローやロボットの小ネタを唐突に会話の節々に話してくる。

銀河連邦警察の科学アカデミーの科学者。詳細はリンク先参照
本作にはサウンドテストの機能が無いので分かりにくいが、彼が暗躍するときにいつも掛かっているBGMは「宇宙刑事シャリバン」のもの。

ネオジャパンのガンダムファイター。キョウジを追って過去世界へ行き、怪獣や宇宙人相手にファイトする。
なおWの5人と違い、シャッフル同盟は存在すらしない(当時のスパロボではよくあることだったが…)。

アルティメットガンダム破壊の任務を帯び、やはり過去世界へ。
メインの5人が全員登場。ガンダムW勢は彼も含め、よくレッドキングキングジョーなどと戦い脅威に陥る。

科学特捜隊のメンバーで、ウルトラマンと融合した地球人。
皆の目前で変身してもバレないのは相変わらず。
ガイアセイバーズの隊長にもなった。

ウルトラセブンが地球人に変身した姿。
謎の風来坊としての初登場からアンヌとの別れまで、しっかり再現されている。
目前で変身してもバレないのはハヤタと同じ。

◆帰ってきたウルトラマン
ウルトラマンジャックと融合した青年。
一応、原作同様にMATの隊員だが、彼以外のメンバーは岸田隊員しか出てこない*1
再登場時だといつの間にか坂田兄妹がナックル星人に殺害されている。次郎君は登場すらしない。

◆ウルトラマンA
エースキラーと戦うが、ほぼいるだけ参戦。
本来の表記は「星司」のはずだか、堂々「星児」と誤植されてしまっている。
南夕子もTACも出てこないため、タロウ時に客演した時の服装で登場。
OP冒頭のBGMは流れるが、主題歌は流れない。
スペースQ発動イベントもあることはあるが、どう見てもメタリウム光線。バグかスタッフがCGを作らなかったのかは定かではない。

完全にいるだけZATも登場せず。
北斗と同じ服装だが、実は本編ではこの服は着ていない。
タイラントもザコ扱いな上に、主題歌はおろか、OPの効果音すら流れない不遇さ。
ある意味本作で一番不遇なキャラといえる。

  • おおとりゲン
加入順はエースとタロウよりも早く、マグマ星人に苦戦するセブンを助ける形で参上。
他の2人同様、またしてもMACが存在しないので終始私服姿だった。
アストラも戦闘時に召喚されるのみ。
専用BGMは後期の「戦え!ウルトラマンレオ」。

宇宙刑事ギャバンに蒸着する人。メインキャラの一人で早い内から登場。マクーは本編開始前に壊滅したらしい。光の巨人の調査のため地球に訪れた。
原作に比べて言動のノリが軽く、陽気な三枚目風のキャラクターになっており、不謹慎な発言でカトルに怒られることも……。

  • 伊賀電
シャリバンに赤射する人。最初は森林保安官として登場。烈に命を救われた後、宇宙刑事に。奇星伝は残念ながら再現されず。
本来の敵、マドーは彼が就任する壊滅したらしく、リリィもベル・ヘレンも出てこないため、前後の2人と比べると扱いがやや不遇である。

  • 沢村大
宇宙刑事シャイダーに焼結する人。フーマは序盤からよく出るが、彼の登場は終盤。
が、ガイアセイバーズは宇宙刑事の戦艦を母艦にするので存在感はある。
パートナーのアニーは残念ながら顔グラなし*2

メタルダーに瞬転する人。
同じ人造人間仲間のジローと仲良くなるが、最後に引導を渡すように頼んだ「友」はなぜかイングラムだった。
トップガンダーは最後まで生存するが、仰木舞と北八荒の存在はなかったことになっている。

  • ジロー
キカイダーの人間体。今回、寺田Pが「人造人間」のことを広めたかったらしく、結構目立つ。
ちなみにハカイダー(光明寺版)の出番は寺田Pが思い入れを語ったわりに、イベント戦闘ばかりで出番も短かったが、それでもあの曲がちゃんと流れるのはポイント。

  • イチロー
ジローの兄。出番は終盤だが、なかなか存在感はある。
ずっと不動明王の中で寝ていたらしい。

  • 早川健
日本一の私立探偵。当初は隠しキャラにされる予定だったが、出してみたら一番目立ってしまった
フーマの不思議獣と腕比べ、リリーナの居所を推測、烈から宇宙刑事アランに間違われるなど出番は多い。
序盤は通りすがりの私立探偵として暗躍していた。
相変わらず、色々な人に飛鳥を殺した犯人だと濡れ衣をかけている。
「この男、〇×△□」でおなじみのズバットカードももちろん再現されている。

おなじみのくだりをこのゲームのCMで知った若い層は多いと思われる。
「おい、君のそのゲーム、日本じゃあ二番目だ」
「じゃあ日本一は?」
「スーパーヒーロー作戦‼︎」

登場組織

  • TDF (Terrestrial Defense Force)
所謂地球防衛軍であり、ガンダムWで言うところの地球圏統一連合(OZ含む)である。
新西暦155年当時は科学特捜隊などの上部組織であるが、物語開始時点の新西暦195年には度重なる地球侵略やテロにより完全にタカ派に転向、
それに異を唱えるスペースノイドを弾圧する。そのため、主人公も所属するピースミリオンからは敵視されている。

  • ガイアセイバーズ
所謂自軍部隊。TDFの下部組織である科学特捜隊、ウルトラ警備隊、MAT等に、宇宙刑事や未来からやってきた主人公たちが加わった独立遊軍。

  • ETF (Extra Terrestrial Force)
宇宙刑務所の脱獄囚たちが主体となって結成した、地球侵略の為の犯罪シンジゲート。要するにウルトラ怪獣は殆どここ所属と見てよい。
幹部となるのはメフィラス星人ヤプールで、卑怯な作戦も厭わず、地球を銀河連邦警察や光の国から見捨てられるよう仕向ける。
悉く作戦をガイアセイバーズに阻止され続けた挙句、最後はアジトをデビルガンダムに襲撃され逃亡。
改めて宇宙で残党が集まり、最後の決戦に挑む。

敵組織の中で最初に壊滅するが、プロフェッサー・ギルは脳髄をギルハカイダーに移植してネロス帝国に加わった。

  • ネロス帝国
本作ではモンスター軍団と機甲軍団の代わりに、ギルハカイダーの「破壊ロボット軍団」、シャドウに変わって登場するワルダーの「暗殺ロボット軍団」が登場。
異次元から侵略の魔手を伸ばすフーマと結託した。

  • 不思議界フーマ
既に壊滅したマクー、マドー両組織を併合している。

  • ネオバディム
新西暦195年における反TDFを掲げた武装勢力。
このように書くと一見圧政に反旗を翻すレジスタンスみたいに思えるが、実際は上記の悪の組織全ての技術を保有し、コロニーにすら被害を及ぼす最悪の組織
度重なる歴史改変により、遂に宇宙人や不思議界とすら結託、全宇宙支配に向けて動き出す、本作最強にして最後の敵勢力。


評価

■評価点

力を入れたと言う戦闘シーンや音楽の再現率は高く、評価は高い。
スパロボでは使われないBGMも採用されているのが特徴。

ストーリー自体も下記の優遇等を除けば中々良い出来となっており、シナリオの再現やファンならニヤリとするイベントがある。

宇宙刑事やキカイダーなどの変身シーン、ズバットのあの名台詞など、一部のムービーは原作の実写映像が使われている
また、CGだが、ジェットビートルウルトラホークの発進ムービーは、わざわざ吊り線が薄く見えるところまで再現されている。

■ゲームバランスは全体的に凄くヌルい

発売前インタビューで「必殺技が強すぎてどんな敵も一撃で倒せる(笑)」などと言っていたが、
製品版になっても改善された様子は無く、とりあえず必殺技を撃っておけば、どんな敵もほぼ一撃で片がつく
登場キャラは使い勝手の良い全体攻撃技を持っていることが多く、ガンダムであればバルカン、宇宙刑事やキカイダーはバイクで体当たりする技があるので、
それを惜しみなく使っていれば良い(特に後者はプレイヤーに強い印象を残し、“轢き逃げ”と揶揄された)。
特に主人公機アールガンは必殺技のスラッシュブーメランが全体攻撃なので、これさえあれば一瞬で戦闘は終わる

キャラゲーとして考えると好きなキャラ使っても困らない難易度なのでこれは良いとも悪いとも言えない。
ちょっとヌル過ぎるとは言われるが。
ただ、ウルトラ系は装備がロクなものがない、全体攻撃技も使えない、変身に1ターン使う必要もあるなど使いづらさが目立つので、ウルトラファンは涙目。
あと、一部のイベント戦はやたら難易度が高いものがあるので、その点だけはよく突っ込まれる。

■問題点

ここまで述べた反面、問題点もあり、特に原作の改悪要素は大きく原作ファンから非難されてしまった。

◆銀河連邦警察の腐敗
原作では正義の組織だった宇宙刑事の本拠「銀河連邦警察」の設定が矮小化されている。
  • 麻宮騎亜氏がバンダイから出版された『サイバーコミック』で執筆した漫画版『宇宙刑事シャリバン』よろしく地球を見捨てて宇宙犯罪者達の牢獄にしようとする*3
  • 第二第三のマクー・マドー・フーマを生み出さないための措置としてボイサーが命がけで守ったホシノスペースカノンを全宇宙に配備し目を光らせる*4
  • ウルトラマン達が「宇宙警備隊」を組織している事さえも認識出来ていない
など、小悪党のような扱いにされている。
「志を持って作られた組織でもいずれ腐敗する」というのが作品内で散見される事から、そのテーマに沿っての改変だったのだろうが、原作ファンからすれば腐った警察組織扱いされて嬉しいわけもなく。

……もっとも2010年代以降、東映公式サイドでも『スーパーヒーロー大戦Z』『宇宙刑事シャリバン・シャイダー NEXT GENERATION』等で
銀河連邦警察の描写が必ずしも絶対的正義とは言い難くなってきたという側面もあり*5
この点に限れば「むしろスタッフに先見の明があったのでは?」という声もチラホラ聞こえるようにはなっている。

◆ウルトラマン関係のシナリオの扱いの雑さ
マンとセブン以外は原作再現要素が薄く、前述の通り、性能面でも使いづらい事もあってウルトラファンからは非難される事も多く、その延長で一部のクロスオーバー展開についても文句が出やすい(以下はその主な例)。
  • ゼットンパンドンなどの原作の強敵をオリジナルキャラクターが倒す展開*6
  • DG細胞でウルトラ怪獣たちがデビルガンダムの傀儡にされる
  • 特にタロウ関連はテンペラー星人がウルトラ兄弟の偽物として登場する、タイラントマグマ星人のペット扱いされるなど一番乱雑なレベル
さらには退場時に目立ちはするものの、ラストバトルでウルトラマン関係が全員使えないのもキャラゲーとして如何な物か…。



その後

ストーリーへの非難がよほど堪えたのか、次回作の『ダイダルの野望』や同じ特撮クロスオーバーの『スーパー特撮大戦2001』等ではシナリオの作り方の意識を変えたようだが、
「設定や描写をミックスしない=各作品が平行線でクロスせずストーリー展開する」という方向に行ってしまい、逆に評価を下げた。

寺田P曰く続編も考えており過去編と未来編の間が舞台で、そこでは5人一組のチームバイクに乗った改造人間
遺跡の石像から蘇った新たな光の巨人や名前に数字が入った巨大ロボットが活躍したらしいが、結局実現はしなかった。

寺田Pは2022年頃に自身のSNSにおいて、前述した本作のシナリオ面における問題点について振り返っており、
当時の開発スタッフも頑張ってくれたが反省部分も色々あり、今となってはプロデューサーとシナリオ書いた人(=いずれも当時の寺田P自身)を数時間説教したい
流石にリメイクは難しいが、仮に作り直すとしたらストーリーは骨子を残してかなり変えると思う
という旨のコメントを出している。



追記、修正は、新生コンパチヒーローシリーズに期待しながらお願いします。

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最終更新:2023年04月15日 22:17

*1 せめて南隊員がいれば、中の人つながりでキカイダー01のイチローとの絡みが見られたはずなのだが、逆にギャバンの敵である岸田隊員そっくりのサン・ドルバは本作には不在である

*2 もっとも、彼女に限らず、プレイアブルキャラのビジンダーやトップガンダーなども顔グラなしなのだが……

*3 元宇宙刑事のハンターキラーはそれが原因で裏切った事にされている。

*4 ホシノスペースカノンのくだりは当時Vシネマで展開されていた『平成ウルトラセブン』シリーズのフレンドシップ計画を思わせるが、意図してやったものか否かは不明。

*5 『スーパーヒーロー大戦Z』では宇宙の平和を守るための苦渋の決断とはいえ、ギャバンこと烈が地球破壊作戦の実行者として描写される有様であった。

*6 ただ、ゼットンに関しては科特隊の役目を引き継いだだけなので、お祭りゲーのクロスオーバーとして考えれば妥当な改変とも言われている。