ウェディングピーチ

登録日: 2012/03/15(木) 01:00:43
更新日:2023/10/22 Sun 04:25:06
所要時間:約 5 分で読めます




『ウェディングピーチ』とは、富田祐弘の原案を元にKSS・小学館・トミー(現在のタカラトミー)・日本アドシステムによって設立された製作委員会「テンユウ」によって企画されたメディアミックスプロジェクト作品である。

なお『愛天使伝説ウェディングピーチ』とした場合はテレビアニメ版のみを指し、プロジェクトネーム(および原作漫画)を指す場合には「愛天使伝説」のサブタイトルはつかない。
小学館の学年雑誌で掲載されていた漫画には、アニメと同じ名前の方が子どもたちにわかりやすいのか、つくことがある。



【概要】

富田祐弘の脚本によって谷沢直が作画執筆した漫画版(小学館『ちゃお』連載分)を原作とする。
また世に出たのもこれが最初である。

連載期間は1994年3月号から1996年4月号。同時期に小学館の幼年誌および学年誌でも連載された。
学年誌版の作画者は幼年誌と一年生が此路あゆみ、二年生が藤井みどり、四年生がたちばな真未。三年生のみ原作者である谷沢が担当している。
これらは基本的にコミックスに収録されていないが、谷沢版は海外版コミックスの7巻に収録されている。


テレビアニメ版は1995年4月5日から1996年3月27日まで放映。
後にポケモンで知られる湯山邦彦を監督としOLM(TEAM OTA)によって実制作が成された。いわゆる初代ポケモン無印チームとほぼ同じ体制である。
ただしKSSによるPB外注扱いの作品であるためOLMはノークレジットとなっている。
なのでエリカ(CV氷上)の登場回には本作の4人がジムトレーナーとして登場している。

メイン脚本は原作を務めた富田祐弘、キャラデザは只野和子と同ジャンルの先行作品であった『美少女戦士セーラームーン』を意識したスタッフ構成にもなっていたが、これが当時のアニヲタ層の中核を成していたセラムンファンには受け入れがたく、正当な評価に繋がらなかった。
雰囲気もセーラームーンにそっくりであるが、これはあくまで「子供向けに忠実」に作った結果である。
また海外ではセーラームーンの後に放映された地域もあり、そこでは「同じスタッフの後継作」として評価、セーラームーンが終わってしまい悲しむ子供たちを救った事実もある。

そして熱心なファンの一応の好評を得たため後にOVA版『ウェディングピーチDX』が作られた。
尤も本来の視聴者である当時の子供たちが視聴するのにOVAは難易度が高い上、お色気要素を重視したり等の迷走のせいか4巻でほぼ打ち切りのような終わり方になってしまったが…。

ただ作品のレベルは非常に高く、特に作画はとても安定しており高クオリティな作品に仕上がっている。
強いて問題点を言えば登場人物がいわゆる「恋愛脳」過ぎるのだが、当時の少女たちにはこれが好評だったので仕方がない。タイトルからして恋愛がメインだし。
また、「セーラームーンシリーズ」とは違い「主役以外の戦士の恋愛物語も成立させる」という面で差別化出来たとも言える。



【あらすじ】

花咲ももこ・谷間ゆり・球野ひなぎくの3人は聖花園学園の新聞部員。
ある日ももこの持つ母の形見の指輪が悪魔プリュイに狙われ、そして襲われる事に。

ももこたちは愛と美の女神アフロディーテの遣わしたイケメン天使リモーネの導きのままに愛天使となり、人間界の愛を消し去ろうとする悪魔と、世の愛を護るために戦う事となる。

愛を護るために必要な事はただ一つ。
人間界に散らばった愛を守護するアミュレット「セント・サムシング・フォー」を悪魔たちよりも先に見つけ出し、その力を完全発動させる事ー!


【登場人物】


◆愛天使達

「愛天使ウェディングピーチは、とってもごきげんななめだわ!」
花咲ももこ/ウェディングピーチ
CV:氷上恭子
主人公。この手の作品の伝統的主人公にありがちなドジで泣き虫なアホの子。
勉強もスポーツもからっきしだが両親が留守がちなこともあり家事はできる。
またメンタルは割と強く、一旦覚悟が決まればテコでも動かない頑固な一面も存在する。
…しかし母親を早くに亡くしている為か「普遍的な家庭」に情景を抱いており、そのためか素敵な男性との結婚を夢見ている。


「清純と言われしリリィの花言葉。咲かせて愛を授けます!」
谷間ゆり/エンジェルリリィ
CV:ゆかな
しっかり者のお嬢さま。しかし少し腹黒い一面も。
趣味はピアノで成績優秀という典型的なお嬢様だが、どこかナルシストな一面を持っている。
活躍の機会はあんまりなかったが、一応予知能力持ち。
学年誌漫画では基本的にリモーネに夢中になりがち。
苗字が谷間だが胸の谷間は中1なのにバスト80なのでしっかりあります。
中の人は後にも女児アニメの金字塔にてお嬢様を演じる事に


「デイジーは無邪気な心の象徴だ! 邪悪な風なんて吹き飛ばしてやるぜ!」
珠野ひなぎく/エンジェルデイジー
CV:宮村優子
スポーツ万能の体力バカ。単純で姐御肌かつ男勝り。
一人称が俺でガサツであるが、作中最も「男女の差」というものを認識しており、またむっつりすけべなところもある。
なお運動が得意であるがあくまで「普通の人間の範疇」らしく、変身後には特に活かされていない。
ちなみに家は花屋さん、父親を演じるのは若本御大。


「燃える心はサルビアの花言葉。闇に蠢く悪魔ども、汚れた魂を消し去ってやる!」
スカーレット小原/エンジェルサルビア
CV:今井由香
中盤から登場。苛烈な潔癖主義者。行き過ぎた善の執行者。
名前の元ネタは多分マーガレット・ミッチェルの長編小説『風と共に去りぬ』
原作と漫画版でかなり設定が違うものの、戦いにシビアで悪魔族に対して容赦がない事は変わらない。
アニメ版では4人中1人だけ独り身。しかし続編のDXで恋人ができたが……。
ちなみに帰国子女なんで国語が苦手な設定だがあくまで授業が苦手なだけで日常会話での意思疎通には問題な無い。


◆愛天使を支える少年達


風摩ようすけ
CV:うえだゆうじ
生意気な同級生。サッカー部の補欠GK。補欠だが公式試合のベンチ要員。
巻き込まれ体質。しょっちゅうももこたちに巻き込まれては記憶を消されまくる
本作の真のヒロインにして裏主人公。


柳葉和也/リモーネ
CV:三木眞一郎
サッカー部の完璧超人。ももこたちの憧れでようすけの良き先輩。


リモーネ
CV:??
女神アフロディーテにより愛天使と聖サムシング・フォー探索のため人間界に遣わされた天使。イケメン。
基本的にかっこいい正統派イケメンであるが、学年誌漫画では急激なキャラ崩壊を起こしている。


雨野たくろう
CV:山口勝平
ひなぎくの幼なじみ。インドア派のパソヲタ。
頭の悪い人間を見下す嫌味なやつだが、その奥底には体育会系に対する強烈なトラウマがある。
優しくされてももこに日和る。
ヲタゆえの根暗にコンプレックスを抱いた心の隙を悪魔イグニスにつけ込まれる。
一度だけだがピーチの見せ場をコスプレで奪った。
学年誌漫画では基本的に出番を省かれる。


ディーン・バトラー
原作のみの登場。
スカーレットの幼なじみ。
西海岸ノリかつナポレターナなナンパ野郎。バスケットが得意。
誤解され易いが芯はしっかりしておりスカーレットに一途。


◆悪魔達


プリュイ
CV:矢尾一樹
最初の敵。学年雑誌に出てたので敵でこいつだけは知ってるという人もいるだろう。
種族は風魔ガスト族、幹部格だが、怪人格であるじゃ魔ピー以外のお邪魔族を使いだしたのは結構後の方。
イロイロ気づいていた節があり、加えてようすけに目をつけ一度は連れ去るものの、結局は奪還され
レインデビラに見限られ、処刑用として生み出された消滅の渦にピーチを道連れにしようとするも、詰めを謝り失敗した上
それでもなお救おうとするピーチの行動に改心したらしく、自ら手を放しで渦の中に消えて行った。
番外編ではサイボーグにされたり、格下げされておじゃ魔族にされたりと、もはや立ち回りがお笑いキャラに……
「やってやるぜ!」と叫んだことも。

「なんですと!?」

アクエルダ
CV:深見梨加
水魔アクア族、プリュイ同様の幹部格だが、先に退場したので2人目とは言い難い立場。
失敗続きのプリュイに変わり作戦を展開するが、金銭に目が無く、それと並行して
ぼったくりの占いやダフ行為で金稼ぎにも励んでいた。
こっちも失敗続きでレインデビラに処刑されそうになったが、プリュイが利用価値があると身を挺してかばい
直後にももこから指輪の強奪に成功して借りを返し、今度は貸し借り無しでピーチを狙うも
今度は自信がプリュイをかばう形で攻撃を食らい浄化され、プリュイに感謝の言葉を述べながら消えて行った。
なお、彼女の散り方に思う所があったのか、プリュイは指輪をレインデビラに献上することはせず
上記の最後の瞬間にピーチへと指輪を返した。
ちなみに、こっちの中の人はセーラーヴィーナスと同じ。

サンドラ
火魔ピュール族、2番目の幹部格。
マスコット枠のドンナと共に、、音を操るノイーズ、雷を操る火魔ピュール族のブリッツ、雲を操るクラウドを引き連れ
聖サムシングフォー探索を行う。
ノイーズがピーチ、ブリッツがリリィ、クラウドがデイジーの聖サムシングフォー覚醒に関わるが
実力はあった物の、部下のコンビネーションは最悪で単独行動していたため、
それが原因で失敗し、自身も浄化されていった。
なお、他の幹部と比べると原作に居ない為か出番はだいぶ短かった。

イグニス
またも火魔ピュール族、3番目の幹部格。たくろうに取り憑くが逆に彼の本質であった優しさに感化され「のびドラ」状態に。
愛天使三人の正体を掴むも浄化をされて邪悪さを失い、戦意を失うが、それをポタモスに気取られて粛清される。
そしていまわの際にたくろうの契約を解除して消滅していった。

ポタモス
CV:三石琴乃
水魔アクア族、元々はイグニスを慕っており、押しかけてくる感じでサポートにやってきたが、
邪悪さを失ったイグニスに悲観し、抱きつくしぐさからそのまま刺して粛清し、イグニスの役を引き継いで4番目の幹部格へとなる。
気分屋の現代っ娘。声はセーラームーン
ようすけに惚れた挙げ句ももこと女の戦いを繰り広げるが、その感情が愛だった為に自信も変わっていったため
悪魔族から粛清されかけるも愛天使に助けられ、悪魔族に見切りをつけて戦線離脱。
おまけの特典映像ではまさかの愛天使化する。正規設定ではなくあくまで楽屋オチのメタネタである。


ペトラー
石魔ファルゼン族、5番目の幹部格。
あまりにも興棒過ぎて、レインデビラから石に封じ込められていたが、他に人材がいなかったのかレインデビラ直々に開放された。
だが、長い事封印されていたせいで身体が鈍りまくり、力が人間以下になっており、
使い魔達に作戦を実行させる一方で、力を取り戻すために邪気を吸収していく。
性格はひなぎくを超える筋肉バカ……と言うか脳筋。
花園学園に教師として入り込み、部下の使い魔からもでたらめな校則と評される時代錯誤的な指導を行うも
本人にとっては、健全な精神は健全な肉体に宿ると、教育者として至極真面目にやっていた模様。
終盤レインデビラが再び生み出した消滅の渦で、愛天使達を葬ろうとするも、リモーネの捨て身の行動で自身が消滅。
この後、リモーネ自身は天使としての記憶を失いつつもアフロディーテに助け出されていたため
やや無駄死にっぽい最期を迎えてしまった。


ウラガーノ
悪魔族最強と名高い風魔ラファール族の最強の戦士。
かつての最終決戦でセレーソ達と戦い、行方が分からなくなっていた。
アニメ版と原作版で設定はだいぶ同じだが、出番や結末が大きく異なる。

レインデビラ
CV:土井美加
本名アヴェルス、悪魔界を支配するラスボス……というか正体はしっとマスク
元々悪魔族にとっては他種族に対して不干渉とする暗黙の掟があったが、
とある二人に対する自身の嫉妬、杞憂、逆恨み、そしてとりついた魔の樹によって
素朴な悪魔族の美少女だったアヴェルスがラスボス化し、各悪魔族を配下に加えて行ったため
侵攻を仕掛けられた天使族はおろか、悪魔族もとんだとばっちりであった。

ジュラ、ヘイトリッド、オディオ、オーロス
レインデビラの憎しみから生み出された最後の幹部格4人集。
名前は恐らくジェラシー(英語で嫉妬)、ヘイト(英語で憎悪)、オディオ(ラテン語で憎悪)だろうが
オーロスは……堕胎から来てるんだろうか?

アフロディーテ
天使界を治める愛と美の女神。
悪魔の侵攻を抑えるために妹と共に結界を張る。


セレーソ/花咲さくら
アフロディーテの妹。アフロディーテと共に古き愛の女神の血を引く存在で「神に等しき最強の天使」たる者。姉と共に結界を張り、これを維持する。ももこの実母である。



【余談】

この時期のお約束として女児向けアニメなのにゲームが出ている。
  • 目押しでは絶対に間に合わないもぐら叩きを初めとした超難易度ミニゲーム集のSFC版
  • ゲームボーイにしてはかなりグラフィックが頑張っているアクションパズルゲームGB版「ウェディングピーチ 〜じゃ魔ピーパニック〜」
  • 明らかに俺たちを対象としたPS版「ウェディングピーチ ドキドキお色直し」
  • オリジナルストーリーで展開するPC-98VX版
の4つ。出来はピンキリであるが全体的にグラフィックはいい感じである。



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最終更新:2023年10月22日 04:25