ラピュタ

登録日:2011/08/12(金) 04:30:42
更新日:2023/08/31 Thu 20:06:12
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①【ジョナサン・スウィフトの小説「ガリバー旅行記」に登場する都市の名前】

小人の国「リリパット」、巨人の国「ブロブディンナグ」に続いてガリバーが訪れた、日本より東に位置する「バルニバービ国」の首都。

元々ガリバー旅行記は社会批判や風刺が強い作品だが、前の2国に比べると思想的な部分が強くなり、
娯楽性が失われるため、多くの児童向けに訳されたガリバー旅行記ではこの国以降はカットされることが多い。


この都市の特徴はまず空を飛んでいることであり、
それは都市の底部にある天然磁石と、バルニバービの地質が磁鉄鉱が多いことを利用したもの。

この都市に住む人々は皆が科学者であり、常に科学のことだけを考えて生活している。
しかし科学のことしか考えないため、通常の生活に支障が出ないように叩いて我に戻らせる叩き役という召使いを随伴させている。

ラピュタの人々は科学のことだけを考え、
その科学を生活の向上のために用いようとしないため、顧みられない地上のバルニバービは荒廃している。
それに対し反乱も起きるが、反乱が起きた都市の上空にラピュタを移動させて日光を遮ってしまい常に暗くしてしまう。
また石をラピュタから落として反乱者を滅ぼすこともする。


ラピュタはスペイン語で「売春婦」の意味であり、
その意味通りこの国に対してはかなり侮蔑的な蔑みの目で書かれている。
(その後のフウイヌム国がえらくヨイショされすぎなのもあって余計に目立つ)

「叩き役」の件や、誤植で桁を間違えて非常識な服が出来上がる件はアイザック・ニュートンの風刺と考えられている。



②【スタジオジブリの劇場アニメ、天空の城ラピュタに登場する国家】

かつて強大な科学力をもって世界を支配した帝国。
王は天帝と呼ばれ、聖なる光によってラピュタの全機能を掌握する。

ラピュタ人は古来より岩石に含まれる飛行石を結晶化する技術を持ち、巨大な飛行石の結晶を用いた科学力によって空中に都市を浮かべていた。
作中で登場するのは王都と思われるもの1つだけだが、
OPを見る限り全盛期にはかなりの空中都市が空を飛んでいたと思われる。

彼らの科学力は劇中の時代どころか現在でもオーバーテクノロジーであり、
  • 持ち主を転落死しないように浮かばせる飛行石(人物認識機能、ラピュタの起動キー機能付き)
  • 銃弾や多少の砲弾をものともしない解析不能な材質で作られた装甲を持ち、
    戦艦も破壊するビーム兵器を搭載、片足を破損しても2足歩行が可能なバランサーを持つロボット
  • 気象操作
  • 外から見ると普通の壁だが、中からだとガラスのように透けて見える壁
  • 特定の空間を消滅させたり元の壁に戻したりする機能
  • ホログラム
  • 一瞬にして核兵器に匹敵する爆発を起こす兵器
など圧倒的な科学力を持つ。
作中で判明しているもの以外にも、シータが教わったまじないには「病気を治す」「物探し」なども含まれている。

栄華を極めたラピュタ人は全地上を支配し、考え得る限りの贅沢の限りを尽くした。
しかし、作中より700年前、突如としてラピュタ人はその圧倒的科学力でも治せない疫病に襲われる。
その疫病はラピュタ人をささいな病でさえ死に絶える程に弱らせた。
天帝は地上に降りる事を決断、王家はその際に二つの家柄に分かれた。
そして長い月日が流れるうちにラピュタ帝国の存在は一般大衆はおろか、王族直系の末裔からも忘れられ、おとぎ話の存在となった。

しかし劇中の世界の科学力は、機動力の高い小型飛行艇や、巨大飛行戦艦など、明らかに現実の世界より進んでおり、
ラピュタ人の遺したものが地上でも根付いているのかもしれない。

碑文や黒い石を見る限り、楔型文字を使う文明だったらしい。

なお、作中でも現実と同じく①のスウィフトが書いたガリバー旅行記のラピュタは創作扱いされており、こちらとは別物。



③【②のラピュタ人が作り上げた天空の城】

恐らく唯一今でも飛び続けている空中都市であり、ラピュタ人の科学力の結晶でもある。
帝国の聖都。かつては地上にあった。
往年は文字通り城の姿をしていたが、劇中では中心に位置する大樹が、ドームを突き破って外に広がるほど非常に大きく成長しているため、空飛ぶ森のようにも見える。
本来は、頂点・神殿、第一界・天帝、第二界・騎士及び十二神将の塔、第三界・エデンの園、第四界・人民、最下部・門(地上にあった頃に使われた門)という構造になっている。
作中でパズーたちがいた庭園は第三界にあるエデンの園。財宝だらけの場所は第四界にある人民。全地上を支配した帝国の聖都だけあって、人民も考えられないほど裕福だったようである。
作中では下部が崩れ落ち内部にあった半球体がむき出しになっており、第二界より上は飛行石の力で肥大化した巨大樹により崩落している。

普段は竜の巣と呼ばれる嵐の雲に覆われており、
竜のように見える雷の中をくぐり抜けていかなければ到達できない。
しかし、飛行石を持つ者が近づけば、嵐は嘘のように晴れ渡り容易に到着することができる。

存在自体は竜の巣を抜けて、雲の切れ目からの撮影に成功したパズーの父親によって発見されていたが、
世間的には作り話扱いされており認知されていない。
が、墜落したロボットを回収した政府と軍はラピュタの存在を知っており、極秘にラピュタを掌握しようと目論んでいる。



この大樹の根は城の下部をも侵食しており、各所では崩落も起きている。

キツネリスなど地上では見られない独特の生態系も確認されている。


【主な施設】

◆第三界・エデンの園

  • 庭園
パズーとシータを乗せた凧が不時着した庭園。
園丁のロボットがこまめに見回り手入れをしているため、
破損した彫刻や石柱を除けば比較的荒れた印象はない。

便宜上、「城」と呼ぶが本来の用途は不明。
前庭の水中都市や、内側からはガラスのように向こうが透けて見える壁など高い科学力をうかがわせるが、
内部はかなり木や植物が生い茂っており、かつての姿はうかがい知れない。

  • 碑文
中心の大樹と共にある巨大な碑文。
近くには壊れて機能停止した園丁ロボたちがつっ立っていたり転がったりしている。
碑文に書いてある内容は不明だが、
園丁ロボは墓と認識しているらしく、献花のための花を持ってきていた。

◆第四界・人民

  • 都市
外壁は根によって崩落が進んでいるが、内部は比較的根の侵食は少ない様子。
中は金銀宝石で作られた像や装飾品や調度品が大量に残されていた。

◆下部半球体

  • 中枢
下部半円球(通称:釜の底)の内部。
藍色の外壁は爆薬でもびくともしないほど頑丈だが、
壁にある王家の印に飛行石をかざすことで、壁が消滅して通路が現れ内部に入ることができる。
ここではブロックがビリヤードのごとく自律的に稼働している。
ムスカがラピュタの雷を起動した際にはブロックが激しく移動し、置き去りにされたヤザンとバニングが犠牲となった。

  • 聖域
王族しか入ることを許されないとされるエリア。
中は根が大きく入り込んでおり、かなり荒れている。
回廊にはロボットが転がっているが、飾りか本物かは不明。

  • 巨大飛行石
ラピュタの中心部で恐らく中枢の真下にあると思われる。
大樹の根が飛行石を包むように覆っており、あたりは水棲植物が生い茂り、床には水も溜まっていると、もはや沼地。
近くには黒い石があり、飛行石をかざすことでラピュタの各機能を起動させることができる。

  • 謁見の間(仮称)
ムスカが将軍たちを案内した部屋。
釜が下部に移動するのと連動して底に現れる展望台のような空間。
床を開くことができ、将軍を含む多くの兵士たちが開いた穴に落ちて死亡した。
ここに至るまでの通路は実はロボット兵の格納庫である。
また外周にはロボット兵の射出口が付いており、パズーはここからラピュタ内部に侵入した。

  • ラピュタの雷
釜の底に六角柱の電極のようなものが複数現れ、各柱の間をエネルギーが走った後、真下に発射する。
その威力は核爆発に匹敵する大爆発を起こすほどで、
ムスカは旧約聖書やラーマヤナに書かれた、天からの火の災厄の正体と語っている。

  • 玉座
大きなホールのような部屋で、
部屋の周囲には石窟仏のような巨大な像が囲んでいる。


最終的にラピュタはパズーとシータが唱えた滅びの言葉であるバルスによって、巨大飛行石が暴走し、城下部は完全に崩壊した。
しかし大樹によって保持されたのか城上部は無傷で残り、
根が巨大飛行石を捉えたままだったため、釜の底が抜けて軽くなった城ごと上昇して行った。

そして高くとも成層圏あたりを浮遊し続けている(エンディングで流れ星が近くを通っているため宇宙空間までは行っていない)。
動物たちがどうなっているか気になるところだが、
大樹が根を大きく広げて生き生きしているので、ラピュタの超科学で守られているのかもしれない。




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最終更新:2023年08月31日 20:06