ウソ800(エイトオーオー)

登録日:2011/04/01 Fri 23:43:31ではありません
更新日:2024/01/31 Wed 21:08:53ではありません
所要時間:約 4 分で読めません




ウソ800(エイトオーオー)」とは、『ドラえもん』のひみつ道具の一つ。

概要

『帰ってきたドラえもん』というエピソードで登場。ドラえもんが未来に帰る時にのび太にあげた、ドラえもんを象ったような箱に入っていた。

この箱は、「どうしても困ったことがあったら開けろ」と渡されたもので、その時本人に一番必要な道具が出てくる仕組みである。


この道具の特徴は中身を飲んでから75分間、その人の言ったことが全てウソになることである。つまり劇中(後述)でもあったように『今日はいい天気だ』と言えば雨が降る。
つまり「あの子と付き合ってない」と言えばあらビックリ! リア充にもなれる。
更に言うと「君は今日も死なない」と言えばあらかじめ日記と同様に某ノートの如く、相手を合法的かつ容易く殺せたりも出来ると言う作中最恐のひみつ道具にもなりえる。
だからこそうっかり変なことを言わないようにしないといけないし、そういった意味でも、後々この道具で仕返しされたジャイアンスネ夫も扱いを自粛してくれたのび太には感謝するべきとも言える。
ちなみにこの道具の主成分は森羅万象強制逆転エキスというらしい。

総じて、ドラえもんの出したひみつ道具の数々の中でもトップクラスの強力さと万能さを持つ。
似た道具にソノウソホント&アトカラホントスピーカーという道具もある。

なお名前の由来は、だらけであることを表す「嘘八百」。

劇中の活躍

この話は小学四年生の1974年4月号に掲載された作品。そして前号にあたる小学三年生の1974年3月号に『さようなら、ドラえもん』が掲載されていた。
年度を跨いで話が直接続いている事がこのエピソード最大の特徴。
小学館の学年誌では読者が次学年誌へと移行する3月号に伴って、次学年誌に掲載されない漫画最終回が描かれる事が多かった。
事実、小学五年生・六年生にドラえもんの連載がまだなかった頃、小学四年生で二回ドラえもんが未来へ帰ってのび太と別れる作品が最終回として描かれている。
アニメスペシャルや映画だとこの二つのエピソードは一本に纏められている。

おっ、のび太、ここにいたか。お、お、おまえ…………、お、お、おちついて聞けよ。い、いまそこで、だ、だれにあったと思う。
ド、ラ、え、も、ん。

ドラえもん!?

大はしゃぎして家に帰るのび太。しかし、ドラえもんはどこにもいない。
のび太はドラえもんが照れくさく、どこかに隠れているのだと思い、貯金を全部下ろしてドラえもんの大好きなどら焼きを買いに行く。
しかし、これは「四月バカ(エイプリルフール)」。まんまとジャイアンのウソに引っかかったのだった。あまりにも酷い仕打ちである。
ドラえもんが帰ってきたなんてもちろんウソ。
のび太はしかえしにと、ジャイアンやスネ夫に一生懸命ウソをつくがバカにされる。

思いだした!!

ぼくが行ったあとで……。がまんできないことがあったらこれをひらけ。
そのとき、きみに必要なものが、出てくる。

とドラえもんが残した最後の道具を開いた。
出てきた道具は「ウソ800」。
これを飲んで、のび太はジャイアンに『君はお母さんに怒られない*1』といい、スネ夫には『君はに襲われない』と言って仕返しをする。
(劇場版ではその後虚しい気持ちになり、「今のはほんと!」と叫んで制裁をやめている)

でも、家に帰るとのび太は「ドラえもんはやはり帰っては来ない」と言う現実を改めて思い知りしょんぼりして、ママの「ドラちゃんいた?」という問いに、

ドラえもんは帰ってこないよ。もう、二度とあえないんだから

しかし、部屋に戻ると、そこにはドラえもんがいた。

のび太くん

そう、彼はウソ800を飲んでいたので、しゃべった言葉がウソになってドラえもんが帰ってきたのだ。
ウソ800を見つけてその事実に気付いたドラえもんはのび太に問い質すが、のび太はひたすらそれを否定し、号泣しながらドラえもんに抱きつくのであった。

うれしくない。これからまた、ずうっとドラえもんといっしょにくらさない。
(うれしい。これからまた、ずうっとドラえもんといっしょにくらしたい)

名シーンである。

劇場版ではさらに「ドラえもんなんて大嫌い(ドラえもん大好き)」と続き、最後にはいつもの仲間たちが集結、ジャイアンとスネ夫からも謝罪を受けて和解し、感動さを増している。

もし、のび太が最後にあまりの嬉しさにうっかり「これからはずっと一緒だ」なんていったら大変なことになっていただろう。
相変わらず、のび太はひみつ道具の使い方の達者さと強靭な精神力に定評がある。

ちなみに、小学六年生1985年9月号に掲載された『45年後…』では、現代に来た45年後ののび太が、ドラえもんと会話するシーンがあるが、ごく普通に接している。
どうやらドラえもんが未来に帰ったあとも、ドラえもんとは交流は続いているようだ。

劇場版

この話は、1998年3月7日に『ドラえもん のび太の南海大冒険』の同時上映として短編映画化されている。
こちらでは、
  • スネ夫が犬を使った嘘をつかずに、ドラえもんのコスプレを着てジャイアンの嘘に手を貸す
  • ジャイアンが自分の嘘を「ドラえもんが帰った夜の時の仕返し」と話す
  • 2人の嘘で傷ついたのび太をしずかが気遣う
  • 仕返しを達成したのび太が「今のは全部、本当」と言ってジャイアン達を解放する
  • ラストで再会を1階からママとパパが見届け、ママが3人分あった夕飯のハンバーグの肉をもう1個用意する
  • のび太を心配したしずかと、反省したスネ夫とジャイアンが野比家にやって来て、ドラえもんとの再会を喜ぶ
といった変更が見られる。

余談

この道具が使われた「さようならドラえもん」と「帰ってきたドラえもん」は感動的なエピソードとして有名であり、それと同時に「いくら何でものび太に対するジャイアン達の仕打ちは無神経すぎないか」と度々指摘されるが、これには少し訳がある。
このエピソードが掲載されたのは『小学四年生』の1974年4月号で、ドラえもんの連載期間が1969年~1996年であることを考えると、序盤も序盤。
当時のドラえもんはアニメはおろか、まだ単行本化の予定すらなかった時期である*2
ジャイアン達の「質の悪いいじめっ子ではあるけど苦楽を共にした友達でもある」といった方向性が本格的に固まっていくのは1979年に大長編・映画がシリーズ化して以降の話であり、当時の彼らはただ単に「質の悪いいじめっ子」として扱われることが殆どだった*3
要するに「あんなひどい仕打ちをするなんてのび太とドラえもんに対する友情はないんですか!?」という問いに対しては「当時はまだそんなに友情を感じているわけではなかった」というのが答えとなる。
そして面倒なことに「帰ってきたドラえもん」が先生の没後の1998年に原作エピソードを再構築する形で映画化されたせいで、
元々漫画だけ見れば原作序盤でそこまで違和感がなかった話だったものを、ドラえもん全体の展開で見ると中期ごろに持ってくる形になってしまったため、
「苦楽を共にした姿を読者・視聴者に見せてきたジャイアン達が原作序盤だから許されたような悪さをする」という絵面になってしまったのである。
同映画でも原作と違って最後にジャイアンとスネ夫がのび太の元に申し訳なさそうに謝罪に赴くのもその辺のフォローを込めての事なのだと思われる。
まぁスネ夫の着ぐるみはいくら何でも嫌がらせに気合が入りすぎているが。


うれしくない。これからまた、ずうっとドラえもんといっしょに追記・修正しない。

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最終更新:2024年01月31日 21:08

*1 単行本では「お母さんに褒められるね、いやというほど」になっている

*2 一応日テレ版のアニメは放送された後ではある

*3 「のび太が引っ越すと聞いたスネ夫が涙ながらに今までの仕打ちを謝罪する回」等は80年代に入ってからのエピソードである