登録日:2011/10/05 Wed 00:17:06
更新日:2023/12/30 Sat 22:09:30
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1:
畳(たたみ)。日本を代表する伝統的な床材。和室と言えばコレ。
(たた)む」という言葉があるように、元々は「敷く・重ねる」と言う意味で敷物を指す言葉だった。
そこから今のイ草の畳を指す意味に変わっていったとされる。

イ草を敷物状に編んで畳表(たたみおもて)に加工し、畳床(たたみどこ)という板状の芯材に巻き付け、
その端を畳縁(たたみべり)という帯状の布と一緒に縫い付けて作る。

縦横比が2:1になっている長方形の一畳サイズと、これを横半分にした正方形の半畳サイズの2種類がある。

部屋の大きさを畳の枚数で表現する習慣があるように、一畳の寸法は3尺×6尺(910mm×1820mm)が基本。
……なのだが、部屋の寸法に合わせて注文生産されるのが一般的なので、サイズは必ずしも一定していない。
そのため、畳を部屋の広さの基準にすることは厳密には無理がある。そもそも畳には一畳と半畳以外の表現は無い。

その歴史は古く、平安時代までの畳は現在のものより薄っぺらく、今のゴザに近いものだった。
板床の一部に敷いてクッションや座布団のように使われていたが、室町時代に入ると、部屋全体に厚みのある畳を敷き詰める「書院造」の様式が登場。

当時始まった茶道とともに、畳を敷き詰める習慣が全国に拡大していき、
敷き方にも縁起の良い「祝儀敷き」、葬儀等の際に用いる「不祝儀敷き」といった作法ができていった。
フローリング(という名の板の間)の普及した現在では、平安時代のようにクッションとして1枚から数枚程度板間に置く、という形が復活しつつある。
元々は比較的裕福な層が使っていた贅沢品であるため、一周回って本来の形に還ったとも言えるかもしれない*1

通常、片面を使用したら裏返し、両面を使い終えたら畳表を交換するなどして長期間使い続ける。また使用後のイ草や藁は良質の肥料になる。

昔の畳は畳表がイ草、畳床が稲藁、畳縁が綿でできており、通気性に優れ、廃棄や焼却が容易であったが、
マメに掃除しないとダニやカビの温床になるという欠点があった。

近年は需要が落ちたことに加えて農薬による汚染や農業の機械化*2に伴い、藁床の材料にできる稲藁を確保するのが難しくなったことに加えて
イ草も生産量が減少しており、
それらに伴い職人が少なくなったことから、100%植物材料でできた畳は非常に珍しくなっている。
現在、国産の畳表の大部分は熊本県で生産されている。

現在は畳床に発泡スチロール、畳縁に合成繊維を使用したものが大半を占めており、
ワラ畳に比べて軽量でクッション性が良く、断熱性能や衛生面も改善したがリサイクル性は悪くなったとされる。

それ自体厚みがある事から、時代劇等では周りに何もない場所で襲われた時の防御手段として、
咄嗟に畳をひっくり返して盾代わりとし、手裏剣や刀を防いだりする「畳返し」等にも使われる。
まるで錬金術かなにかのように攻撃手段として活用する女剣士もいる。


○畳の作り方


一般的には、イ草は11月頃に作付け、翌年7月頃に刈り取りというスケジュールで栽培される。
日中に刈り取りを行うと、真夏の炎天下でイ草が急激な乾燥に晒され、著しく退色・劣化してしまい商品価値を損なうため、早朝ないし夕方に刈り取られる。
刈り取ったイ草は次に「泥染め」の工程に移る。
この泥染めによってイ草の表面を泥でコーティングし、乾燥するまでの焼け・痛みを防いで均一な状態を作る。
また畳独特の香りも、イ草そのものの香りと泥染めの香りが合わさってできるもので、そうした面でも欠かせない効果がある。

乾燥したら貯蔵、そして製織へと移る。

  • 1.畳床を作る
芯となる素材を厚さ5cmほどの板状に加工する。
乾燥した稲藁を強く圧縮して縫い止めた藁床が伝統的だが、
近年ではその入手困難さや、カビ・虫害といったデリケートさから、新素材(発泡ポリスチレン等)が利用される場合が多い。

  • 2.畳表を作る
イ草、または七島イ(しちとうい)の茎を乾燥させてゴザを織る。織り糸には主に麻糸か綿糸が使われる。
畳床と異なり現在でも天然素材が一般的だが、合成繊維を織った畳表や合成樹脂の表面に畳の目を型押しした防水畳表、和紙を撚って作られた畳表など、色々ある。

  • 3.畳縁と合わせて巻き、完成
一般的には縦(長い方)に畳表を巻き付けて裏側で畳床に縫い付けるが、横は畳床の幅に合わせて畳表を切り揃える。
そのままでは畳表が固定されないので、畳縁で切り口を隠すと同時に畳床に縫い付けて止める。


○寸法

日本家屋では畳の枚数で部屋の大きさが示されるが、
同じ一畳でも畳を基準とする「畳割り」か、それとも柱を基準とする「柱割り」かによって実際の面積は異なる。
畳割りの場合、どの部屋でも畳の寸法は同じになる。一方、柱割りの場合は、部屋の大きさや柱・敷居の寸法により、畳の寸法が微妙に異なることとなる。

一般的な規格としては、京間、中京間、江戸間、団地間の四種類が有名である。この他にも地域ごとに様々な規格が存在する。


・京間
本間、関西間とも。畳割り。
1間が6尺3寸で、畳のサイズは3尺1寸5分×6尺3寸(955mm×1910mm)となる。
主に近畿・中国・四国・九州と西日本の大部分で使用されている。

・中京間
三六間(さぶろくま)とも。畳割り。
1間が6尺で、畳のサイズは3尺×6尺(910mm×1820mm)となる。
主に愛知・岐阜県の中京地方や福島・山形・岩手の東北地方の一部、および北陸地方の一部と沖縄、奄美大島で使用されている。

・江戸間
関東間、田舎間、五八間(ごはちま)とも。柱割り。
1間が6尺で、八畳間の場合、畳のサイズはほぼ2尺9寸×5尺8寸(880mm×1760mm)となる。
関東、東北地方の一部、北海道と三重県伊勢地方の地域で使用されている。

団地間(だんちま)
公団サイズ、五六間とも。
色々あるが、2尺8寸×5尺6寸(850mm×1700mm)のサイズが中心である。
公団住宅、アパート、マンション等、共同住宅や高層住宅の殆どで使用されている。


上記のように、畳のサイズには色々なものがある。
しかし、家というのは一軒一軒が職人の手作りである以上、実際の各部屋のサイズにはどうしてもわずかな差が生じ、
それに合わせる畳の寸法も、現実には1枚ずつ微妙に異なる。そのため前述の通り、畳を部屋の広さの基準にするのは、実は正確ではない。
部屋の広さを表す目安として「寝室6.7畳」「リビング12.3畳」といった表記をする事があるが、厳密にはこの表記法は間違い。





2:
仮面ライダー剣』に登場する「オリハルコンエレメント」の通称。

画像出典:仮面ライダーディケイド 第8話『ブレイド食堂いらっしゃいませ』
放送日:2009年3月15日
©2009 石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映

仮面ライダーブレイド変身ツールである「ブレイバックル」、及び同型の「ギャレンバックル」に「CHANGE」のラウズカードを挿入後、
腰に宛がう事で、自動的にベルトが伸びて腰に装着される。
そして「変身!」の掛け声と共にバックルの横のターンアップハンドルを引く事で「Turn Up!」の音声と共にリーダーが回転。
その際前方に放出されるのが、アーマーを分解した等身大のカード型エネルギーフィールド「オリハルコンエレメント」である。

しかし、正式名称でいちいち呼ぶには長い為か、誰が呼んだかファンの間ではいつしか「畳」と呼ばれるようになった。
当たり前だが、劇中ではこんな呼ばれ方は一切されていない。
そもそも「オリハルコンエレメント」という名称自体、本編には一度も出てきていなかったりする。

この放出されたオリハルコンエレメントをくぐり抜ける事により、1/500秒の内にミスリルアーマーレザーのスーツとオリハルコンプラチナの装甲で構成された「ブレイドアーマー」(ギャレンなら「ギャレンアーマー」)が装着され、変身が完了する…
という一連の流れが『剣』での変身プロセスで、変身解除する際は逆に、背中側から自動的に通り抜ける。
バイクに乗りながらの変身が非常に映える。

しかし、その放出されたフィールドも単なる変身アイテムではなく、「適合者だけがくぐり抜けて変身できる」事を利用して、
適合者以外の触れたものを弾き飛ばす・とっさに出して変身前の無防備な状態から身を守る等、攻撃にも防御にも応用が利く便利な代物なのである。

その威力たるや、非適合者が触れただけで下手すれば片腕が吹っ飛ぶレベル。かなりの強度も兼ね備え、アンデッドの攻撃だろうと物ともしない。
事実、破壊されたのは終盤たった一度きり(最後の上級アンデッド、ギラファアンデッドによる)で、
「あの畳が破られるなんて…!」と、それだけ敵の強さを際立たせる働きを見せた。

『剣』の前作仮面ライダー555で変身する際には、アタッシュケースから取り出したベルト一式を巻いて変身コードを入力して…と長々とした手順を踏んでいた反動もあってか、
変身システムその物が簡素かつ手軽な反撃手段としても成立している*3
怪人は変身中に攻撃すれば良くね?」というアンチテーゼへの回答として生まれた、変身中を守るバリア機能の元祖と言えるシステムといえよう。

なお、次世代機である「レンゲルバックル」の場合は「スピリチアエレメント」と呼ばれ、
同様に「CHANGE」のラウズカードを挿入してバックルをスライドさせる事で、「Open Up!」の音声と共にスピリチアエレメントが装着者に向かって自動的に動く。
そのため、わざわざ自分から動かずとも変身可能。
その仕組みの都合、バックルが展開すると本人の意志とは無関係にエレメントが迫ってくる為、強制変身させる側面も持っている。

移動する畳が体を通過する事で、スピリチアエメラルド製の装甲を持つ『レンゲルクロス』が装着され変身が完了する、というのが仮面ライダーレンゲルの変身プロセス。
映画『劇場版 仮面ライダー剣 MISSING ACE』に登場する新世代ライダーのベルトはレンゲルのシステムを参考に作られ、オリハルコンエレメントも自動的に向かってくるタイプである。
走って潜っても畳は動き続ける。
時折、出現した直後に畳が回転する事もある。

ちなみに相川始仮面ライダーカリスに変身する際には畳は発生しない。
が、逆にカリスから始に戻る際には、♥2「SPIRIT」をラウズして発生する畳を通り抜ける必要がある(通常時は無色、ワイルドカリス時は赤)。
その理由については各項目参照。

また、『剣』本編でも第38話・最終話でそうだったのだが、『仮面ライダーディケイド』以降は「Turn Up!」の音声でありながらも畳の方から自動的に動くようになっている。
これは『ブレイドの世界』の彼らや、仮面ライダーディケイドカメンライドするディケイドブレイドでも同様。
この様な形になったのは恐らくこの方式でなければ同時変身での演出が非常に限られてしまうためと思われる*4

このほか、『ディケイド』最終話にて剣崎一真が登場した際は、ブレイバックルから発生した金色の畳が「Turn Up!」の音声ながらも自動的に動き、
本来ならばラウズアブゾーバーが別途必要な最強フォームであるはずのキングフォームに直接変身した。

その後、『仮面ライダーエグゼイド』の変身シーンでも、プレイヤーセレクトでタッチしたパネルが縦に伸び、
上述のオリハルコンエレメントのようにセレクトしたゲーム(ライダーorゲーマ)のパネルが変身者を通過して変身するプロセスをとっている。

そして『仮面戦隊ゴライダー』では、宝生永夢と剣崎の2人により、新旧の畳(?)によるエグゼイドとブレイドの同時変身を見せた。
その後の6人同時変身では貴利矢さんも加わり、よりバリエーションが効いた畳同時変身を見せている。

そして玩具においても、何かと細かいところに拘る事で定評のあるCOMPLETE SELECTION MODIFICATIONでブレイバックルが受注された際に「ベルトから畳が出ると小さくなる」という理由から、
外付けのプロジェクターを付属させ、無線通信で映し出すという形で再現。更に畳を出した後に台詞ボタンを押すまで潜り抜ける効果音が流れないという拘りも見せてくれた。
ギャレンバックルも同様にCSM化された際、YouTube配信のスペシャルムービーで橘朔也役の天野浩成氏は常に「畳」「畳みたいなやつ」*5、プロジェクターも「変身の映すやつ」と呼んでおり、畳発言をする度に「※オリハルコンエレメントです」と注釈が入っていた。




追記・修正はオリハルコンエレメントをくぐり抜けられる適合者にお願いします。

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最終更新:2023年12月30日 22:09
添付ファイル

*1 そのためか、板の間より畳部屋のほうが若干ながら固定資産税が高い

*2 多くのコンバインなどは刈り取った藁を即座に粉砕してしまう

*3 一応、『555』でもファイズフォンなど各種フォンが変身前でも銃として使えるが。

*4 本編でもあったように、他のライダーが変身中にその場に静止出来るのに、「Turn Up」組のライダーだけ前に突っ走らないといけなくなる。

*5 更にバラエティ番組に出演した際にも「仮面ライダーをやってた時どうだったか」を聞かれて「ベルトから畳が出てくる」と語っていた。