ザ☆ウルトラマン

登録日:2011/11/27 Sun 11:02:22
更新日:2023/12/02 Sat 17:14:08
所要時間:約 5 分で読めます






緑の地球を 汚したやつらは


決して許しておけないと ウルトラマン



『ザ☆ウルトラマン』とは、1979年4月4日から1980年3月26日までTBS系で放送された、円谷プロダクションのウルトラシリーズ8番目の作品にして、シリーズ初のアニメによるテレビシリーズである。


【製作】

ウルトラシリーズは『ウルトラマンレオ』で一旦終了したものの、フィギュアの展開や再放送により、一定の人気を継続していた。
そのため新作が製作されることになったが、予算の都合や新しい表現を求めた結果、アニメによる製作となった。
製作にあたっては円谷プロにはアニメの製作体制がなかったため、『恐竜探検隊 ボーンフリー』のアニメパートで繋がりのあったサンライズへと委託された。

スタッフは非常に豪華で、監督は前半はタツノコプロの鳥海永行、後半はサンライズの神田武幸が務めた。
脚本はアニメ畑からはベテランの吉川惣司や星山博之、従来からのシリーズからは若槻文三、藤川桂介が参加している。

音楽では初代『ウルトラマン』の宮内國郎、『ウルトラセブン』の冬木透が両名とも参加している上に、海外のスタジオでオーケストラが演奏している。

余談だが、数話限りではあるが同じサンライズ作品ということからか、富野由悠季監督や高橋良輔も絵コンテで参加している。
メカニックデザインは大河原邦男と若手だった河森正治が担当。


【特徴】

他のシリーズとは関係のない独立した世界観となっており、それまでになかった設定や展開がされた。
また、歴代のウルトラマン(というより正体を隠したヒーロー)のお約束に踏み込んでいるのもある。

例としては
  • ウルトラマンと主人公はそれぞれ独立した人格を持っており、要所要所で(精神世界で)会話・相談する。
  • ウルトラマンがいる間は主人公がいないことへの疑問と、そこからの主人公=ウルトラマンではないかという疑惑。
  • 同種の怪獣が複数同時に登場したり、実写では再現困難な個性的な怪獣が出現したりする。
 例としては、軍団レベルでの宇宙人や独特なバランスのバルタン、竜巻や液体そのものの怪獣、ウルトラマンを片手で掴むほど巨体の怪獣など。
  • 防衛隊に本格的な宇宙戦艦が登場。
  • ウルトラの星の住民と地球人の交流。
  • 宇宙や違う星を舞台にした最終決戦。
……といった特徴があり、いくつかは後の作品にも取り入れられている。
これらはアニメだからこそ描けた点や、新規スタッフの参入、当時の『スターウォーズ』などのSF映画・『宇宙戦艦ヤマト』『機動戦士ガンダム』などのアニメブームの影響によるものである。

反面当時のアニメということもあって作画のクオリティにバラつきがあり、長らくテレビシリーズ唯一のアニメだった事が逆に枷となったのか、再放送やソフト化に恵まれていなかった。
書籍でも本作の怪獣の紹介は稀(あったとしても実写のへドランぐらい)で『大怪獣バトル』のゲームでも一体も参戦していないなど扱いが不遇な傾向にある。
最近はCSでの放送やDVDの発売、レンタル化によって状況は良くなってきている*1

そして昭和・平成を過ぎて令和元年を迎えた2019年、『ウルトラマンタイガ』において本作の設定を引き継いだ新戦士「ウルトラマンタイタス」の登場が発表。
それに併せて先んじて配信がなされていた『ウルトラマンガイア』に引き続き、本作も2019年5月23日から翌2020年5月8日にかけてYouTube公式チャンネルにおける期間限定無料配信がなされた。


ヘラー軍団編

作品終盤に展開されたシリーズ。ウルトラの星を侵略したヘラー軍団との戦いを描いた。

世界や宇宙を舞台にしたスペースオペラともいえる展開や演出、ウルトラマンによる宇宙戦争といったアニメならではの表現を特に打ち出したシリーズになっている。

また、ヘラー軍団はウルトラ人の反逆者が母体で、ウルトラの力を捨てた代わりに長い命を得て宇宙の侵略に乗り出した…
…つまり悪のウルトラ人ではあっても悪のウルトラマンではないという珍しい設定の侵略者である。

前述のアニメの良さを活かした部分はシリーズでも好評で、近年のCG技術向上でウルトラマンゼロにこれらの要素が取り込まれているように思える。

一方でシリーズ中でも設定などの独立性が強く、M78星雲出身ではない上、ネタが乏しい事に加えて、
前述の通り再放送やソフト化になかなか恵まれなかった事もあって、いまだ知名度は低い方にあたる。
……誰もが知ってるウルトラの戦士。


【物語】

世界中で異常気象が観測され、また空には謎の言語によるメッセージが輝いた。
それを受けて地球防衛軍では怪事件調査を主とする科学警備隊を創設した。

宇宙ステーション勤務のヒカリ超一郎もメンバーに選ばれ地球へ帰還するが、その最中に謎の光と接触する。

その光=ウルトラマンとの会話の末ヒカリは一体化しウルトラマンへと変身出来るようになり、
地球を襲う怪獣や宇宙人との戦いが始まるのだった。


【登場人物】

科学警備隊
主人公のヒカリ超一郎を含む隊員は項目を参照。


●ウルトラの星U40
本作におけるウルトラの星。
映画『ウルトラマン怪獣大決戦』で共演した事から、U40もM78星雲内であるという説が語られる事もある…のだが、
『ザ』第20話で「U40は夏の日本の夜空で観測できる」「地球からの距離は200万光年」と語られたため、
オリオン座(日本の冬の星座)の方角300万光年先にあるM78星雲とはどう考えても真逆の位置にあることになる。

公式に語られたM78星雲とU40の関係は、2022年の時点では漫画『ウルトラマン超闘士激伝』にて両者が友好国であると語られたのみである。
また前掲の通りU40のタイタスがM78出身のタイガやO50出身のフーマとトライスクワッドを結成ているほか、
ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』ではU40をウルトラマンゼロが訪れており、全くの音信不通というわけでは無いようである。

U40でもウルトラマンキングの存在は伝説になっている。

他のシリーズとは違い住民の見た目は地球人と変わりなく、古代ギリシャをモチーフとした服装である。
優れた科学技術を持ち、いかにもな超未来的都市で溢れているM78ウルトラの星とは異なり、星の表面は自然を残しながら、地下に都市を建設している。

ウルトラマンはもちろんのこと、本作のキーになる存在を多く排出している。

ビームフラッシャーを使うことで誰でもウルトラマンの姿になれるが、巨大化や数々の超能力をフルに使えるのは勇者の証「スターシンボル」を持つ8人のみである。
あ、タイタスがいるから今は9人か。

ウルトラマンジョーニアス
本作にメインで登場するウルトラマン。U40最強の戦士である。
地球人からは「ウルトラマン」としか呼ばれないが、U40の人々からは「ジョーニアス」と呼ばれる。通称は「ウルトラマンJ(ジョー)」。
誰もが知っているかは不明だが、ダークネスファイブの面々にはかなり気に入られた。
詳しくは項目で。

◆アミア
ジョーニアスので、ある意味真のヒロイン。
ヒカリに恋してしまい、会うためにスターシンボルを盗んで地球に行ったことも。

◆エレク
U40に残ってる勇者のリーダー的存在で、度々ジョーニアスやロトと共闘し活躍した。
ヘラー軍団編ではウルトラ艦隊の代表として戦った。

◆ロト
エレクの相方的存在。やはりジョーニアスやエレクとの共闘で活躍した。

◆残り5人の勇者
5人のうち3人はノア、メレグ、ミゲルという名前が設定されているが、
本編ではメレグの名前以外は出てこなかった上に、全員姿が同じおそ松くん/おそ松さん兄弟状態の為、区別がつかない。

◆大賢者
U40の指導者の一人であり、その知識と人柄から慕われている。終盤では悲惨な目に遭う。


【余談】

本作の前に、内山まもる氏によって執筆された漫画作品の『ザ・ウルトラマン』があるが、内容に直接の関係はない。
しかし、タイトルや宇宙を中心にした展開、宇宙戦争で活躍するウルトラマンといった部分で影響を与えているようである。
実際、『ザ・ウルトラマン』の方もアニメ化の企画は存在していたが、それが頓挫してこちらに繋がった経緯もあるらしい。
実際『ザ・』そのものの映像化は2017年の『日本アニメ(ーター)見本市』まで待たなければならなかった。

キャラデザや声優、展開等から松本零士作品の影響を考察する人もいる。

ショーや全員集合企画用にジョーニアスの着ぐるみは存在するが、初期のものはいわゆるアニメ体型を実写にする違和感と独特な顔のデザインが影響してか、アニメと比べてカッコ悪い。
新世紀ウルトラマン伝説』の登場に際してマスクの造型が若干手直しされ、多少改善された。
そして2019年、ウルトラマンフェスティバルにおいてアニメ基調デザインに制作された完全新規のジョーニアスのスーツがお披露目。
続く2020年には『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』にて、アニメ基準スーツのジョーニアスが参戦し、「U40最強の戦士」としての実力を遺憾なく発揮。
名実共に「誰もが知ってるウルトラの戦士」となった事に多くのファンが歓喜する事となった。

本作がそれなりの人気を博したことでウルトラシリーズは再び息を吹き返し、続編の製作が決定されたが、
次作の『ウルトラマン80』以降は以前のように実写作品となった。

「緑の地球を穢した奴らは決して許しておけない(1番)」「この世のルールを乱した奴らは宇宙の果てまで運び去る(2番)」と、
OPの歌詞が割と過激。特に2番のやり方は普通に光線で爆殺された方がマシなくらい過酷な倒され方である。

ウルトラマン列伝』では新列伝第49話「覇道への道!ダークネスファイブ出陣!!」のバルタン総集編の他、無印でも我らが記念すべき第100話なのでこの作品が取り上げられた。
いずれもダークネスファイブのメンバーやウルトラマンベリアルにはかなり気に入られており、ベリアルとダークネスファイブ一同は総じて高評価を下していた。
この調子なので伏井出先生も多分本作は好きだと思われる。

さらに『新ウルトラマン列伝』最終回でもゼロにより、「とっておきの戦士」「滅多に見られない秘蔵映像」として、実写版での数少ない戦闘シーンであるベドランとの戦いが紹介された。
「俺たちとは故郷が違うが、その心は同じなんだ」との台詞から、M78星雲とは違う国の出身(ウルトラの星U40出身)なのは現在でも公式設定である模様。
ウルトラマンエックスやさまざまなマルチバースを渡り歩いてきたウルトラマンギンガもどうやら知らなかったらしい。



追記・修正をしない者は決して許しておけないと宇宙の果てまで運び去られるのでお願いします。

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最終更新:2023年12月02日 17:14

*1 再放送やソフト化の機会がほぼ皆無だった事が逆に幸いしてか、DVD化に際して映像を比較的高品質な状態で提供する事ができたというメリットもあった模様。