風の谷のナウシカ(映画)

登録日:2009/08/18 Tue 00:24:31
更新日:2024/02/25 Sun 22:50:23
所要時間:約 8 分で読めます




『風の谷のナウシカ』とは、1984年3月11日に公開された映画。
原作・脚本・監督:宮崎駿

同時上映:名探偵ホームズ 青い紅玉(ルビー)の巻/海底の財宝の巻


【概要】

制作はスタジオジブリの前身であるトップクラフトで厳密にはジブリ作品ではない。
しかし『金曜ロードショー』にて放送される際にも冒頭でトトロの描かれているブルースクリーンが表示されている*1ほか、スタジオジブリが販売したVHSビデオ「ジブリがいっぱいコレクション」シリーズにも含まれているなど、スタジオジブリ作品の一つとして幅広く認知され、スタジオジブリ側も同社のシリーズ作品の一つとして公式に扱っている*2

同名原作漫画の1巻~2巻の途中までをアニメ化したものだが、
土鬼が存在しないなど一部設定が変わった関係で全体的には反戦と自然賛歌のような作品になっており、別作品と見た方がいい。
当時、原作なしのアニメにはスポンサーが難色を示す傾向があったため、「じゃあ自分で原作を作ればいい」として宮崎駿が漫画を描いた。

監督自身「宿題が残った映画」と評している通り、細部の作りが粗く今ひとつな感は拭えない*3
しかしそれまで子どもやマニアが見るものだったアニメを一般的にした作品の一つであり、様々な賞を受賞している。

本作品が公開された1984年は他にも、圧倒的なクオリティでアニメ史上屈指の名作とされる作品「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」と、押井守の原点であり出世作である、劇場版うる星やつらの最高傑作「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」が公開されており、まさにアニメ映画元年と呼ぶに相応しい年だった。


【あらすじ】

かつて「火の七日間」と呼ばれる大破壊で文明が滅んでから千年、世界は瘴気を出す森「腐海」に包まれようとしていた。
辺境の一国家、風の谷の族長の娘ナウシカは腐海に潜り込んだ際に、ユパを救い村に招待する。
しかし、その夜にトルメキアの輸送船が谷に墜落。
それは大きな動乱の始まりに過ぎなかった。


【主な登場人物】

  • ナウシカ
声:島本須美
風の谷の族長ジルの娘。
腐海に潜り込んで胞子を集め、虫と人間の共存の道を研究している。
普段は快活で村人から慕われており、人にも虫にも慈愛を注ぐ優しさを持つが、
父親を殺したトルメキア兵を前に我を忘れて逆上し杖で兵士を殴り殺したりと気性の激しさも持ち合わせている。
ジブリヒロインの中でも屈指の巨乳
はいてない疑惑有り。
ケガした足を酸の湖に突っ込んだ際の悲鳴&表情はトラウマもの。
別の世界ではある防衛チームの一人だった。

  • ユパ
声:納谷悟朗
辺境一の剣士。フルネームはユパ・ミラルダ。
ジルとは親交が深く、ナウシカにとっては先生のような存在。
腐海の存在意義を探すため旅をしている。

  • クシャナ
声:榊原良子
トルメキア軍の辺境司令官。
巨神兵の確保のために風の谷を制圧する。
原作と違い、かつて蟲によって負傷し左腕を失っており、この直後のセリフに「我が夫となる者はさらにおぞましき物を見るだろう」から、おそらくは下半身にも大きな外傷を追っていると思われる。
(逃亡する場面で、鎧は脱ぎ捨てていたのに左腕のみならず両脚も鎧のままであったため、おそらく両脚も欠損している。「我が夫となる者は」という言い回しからすると、足だけではなく腹部も傷を負っているのだろうか)
原作の設定から殿下と呼ばれるが、皇女としてのキャラクター付けはほとんどされていない。せいぜい「本国の馬鹿ども」というセリフぐらいか。原作では兄が三人おり過去に○○されかけたり母親を○○たり。
ちなみに中の人はハ○ーン様

  • アスベル
声:松田洋治
トルメキアに滅ぼされたペジテ市の長の息子。
妹ラステルを失った怨みからガンシップでトルメキア船団を襲撃するが腐海に墜落、ナウシカに助けられる。
後にタタリ神の呪いを受けることになるが、それはまた別のお話。

  • 大ババ様
声:京田尚子
族長ジルの側室。
100歳を超えているらしく目は見えないが、古くから伝わる言い伝えに詳しい。

てーれってれー うまい!

  • クロトワ
声:家弓家正
クシャナの副官。
クシャナの留守を任された際にクシャナ行方不明の報を聞き実権を握ろうとする野心家だが、クシャナ帰還の際にはあっさり諦める中間管理職。
巨神兵に「世界の終わりまで眠っていりゃあよかったんだ」といったり、巡ってきたチャンスに「幸運か、それとも破滅の罠か」と二面性を認識したり、投入された巨神兵を「腐ってやがる……早すぎたンだ」と見抜いたりと、印象的なセリフのオンパレード。
某ノースリグラサン某国代表GKと名前を間違えられるのが悩み。

  • 城オジ
腐海の毒に冒され力仕事ができなくなった代わりに城での雑用や相談役を務める老人たち。
終盤では漢と化す。

  • テト
キツネリスの子ども。
本来は気性が荒い動物だがナウシカになつく。
ナウシカの谷間に入り、ギュッてされたうらやましいヤツである。しかし原作では本当に胸の中で死んでしまった

  • 王蟲(おうむ)
腐海に巣くう蟲たちの頂点に立つ蟲。
外見は眼が多い巨大なダンゴ虫。
普段は温厚な生物で高い知性も併せ持つが、
腐海を焼き払おうとする人間に対しては怒りを表にし、集団で襲い滅ぼしてしまう。


かつて火の七日間で世界を滅ぼした生物兵器。
ほとんどは死滅し化石となったが、仮死状態で眠っているものがペジテで発掘されたのが事の発端となる。
王蟲の襲撃に際し出撃したが、復活が早すぎたため肉体が腐っており、プロトンビーム2発撃った後に崩れ落ちた。
「腐ってやがる! 早すぎたンだ!!」


【主なメカニック】

  • メーヴェ
ナウシカのエンジン搭載型グライダー。
風をとらえる性能に優れ、発進時と高速移動時以外は風に乗って飛ぶことができる(無人でもしばらく飛び続けていた)。
閃光弾を内部に搭載している。

  • 風の谷のガンシップ
風の谷が所有する複座式の戦闘用飛行艇。
銃に翼が生えたのようなデザインになっており、その火力は一発でコルベットを撃墜し、王蟲の皮の装甲はかなりの強度を持つ。
最終的に王蟲に踏みつぶされた。
もったいない…。

  • バカガラス
トルメキアの大型輸送艦。
船体各所に対空機銃を備えているほか、巨大な翼は叩きつけることで風車を粉砕するほどの強度を誇るが、
本質的には戦闘艦ではなく輸送艦であるため、防御面は脆弱・機動面は鈍重であり、戦闘には向かない。
そのぶん積載量・輸送能力はとんでもなく優れており、戦車を多数搭載したまま長距離空輸が可能なほど。

なお本編で名前を呼ばれることはない。
そもそもこんな名前で呼びたくないし呼ばれたくない。敵勢力のつけた通称ともいわれる。
原作では味方から「戦列艦」と呼ばれている。

  • 大型船
バカガラスを2台繋げたような形をした超大型輸送艦。
過積載だったらしく、巨神兵の重さに耐えられなかったうえに、腐海に落ちて蟲を殺したために無数の蟲に襲われ、墜落した。

  • コルベット
トルメキアの戦闘艦。
バカガラスに比べるとはるかに小型で、そのぶん小回りが利き機動性に長ける。そのためバカガラス艦隊の護衛や斥侯など、駆逐艦的な運用がされる。
ホバリング機能もあり、空中で停止することも出来る。その能力を応用して、兵士を敵の城や船に直接乗り込ませることさえ可能。
原作では活躍したが、劇場版ではイマイチ役立たずで目立たなかった。

  • ペジテのガンシップ
球体上のボディにH字型の翼を持つ戦闘機。ちょっとこれに近い。
その形状からスピードと小回りに優れ、ヒットアンドアウェイ戦法でバカガラスを撃墜して回ったが、ナウシカの姿に驚いたアスベルが隙を見せた一瞬、コルベットに撃墜された。

  • 飛行ガメ
ペジテが使った飛行機。
見た目は名前のまんま空飛ぶ瓶。どういう原理で飛んでるのかは不明。
原作を見る限り辺境では一般的な乗り物らしい。


【備考】

本作で作画、主に巨神兵あたりを担当した庵野秀明によるスピンオフ作品や、連載に合わせた続編のフラグはあったものの、
とことん駿によってへし折られた。

本作のテーマソングとして女優の安田成美が歌う同名の歌があったが、監督その他に却下されイメージアルバムの収録のみに終わった。
聞いてみればなぜ使われなかったか分かる気がする。
また劇中で使われた「ラン、ランララ、ランランラン」のフレーズが印象的な歌(ナウシカ・レクイエム)を歌ったのは、
本作で音楽を担当した久石譲の娘である久石麻衣(当時4歳)。
本来はその予定ではなかったが、試しに歌わせたところイメージにマッチしており、監督も気に入ったため採用された。

しかし単体で聞くとかなり不安にさせられる歌でもあり、
2008年大晦日のアニソン三昧で流れた時は2ちゃんねるの実況スレが苦しむ者たちで阿鼻叫喚の騒ぎとなった(直後にバルス祭で元気を取り戻したが)。

そんな彼女も今では四十代。ジブリのイメージソングやカバー曲を歌っています。

また巨神兵が腐って崩れる場面を描いたアニメーターは庵野秀明。崩れるスピードが速いことにはイマも後悔しているらしい。
心なしか、エヴァと巨神兵はコンセプトが近い気もする。
ちなみにこの映画で宮崎駿と一緒に仕事をしたから次は高畑勲と仕事しようと、となりのトトロの時は断って火垂るの墓に参加した。

モンスターハンターの裏設定との関連を指摘されることが多い。

2012年7月に東京都現代美術館で開催される「館長 庵野秀明 特撮博物館 -ミニチュアで見る昭和平成の技-」にて短編特撮映画「巨神兵東京に現わる」が上映された。
この映画に登場する巨神兵のfigmaも発売している。





その者、青き衣を纏って追記・修正する

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最終更新:2024年02月25日 22:50

*1 但し近年は表示されていない。

*2 同じ現象は未来少年コナンやカリオストロでも見られる。

*3 原作を読むとさらに強まる。