ソイレントシステム

登録日:2011/12/27(火) 14:38:18
更新日:2019/06/13 Thu 12:59:38
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ソイレントシステムとは『ゼノギアス』で登場する国、ソラリス国で開発された、画期的な循環リサイクルシステムである。

これはニンジンの皮やジャガイモの皮、魚骨といった普通なら捨ててしまうような部位を完全滅菌して加工、新たに缶詰めとして再利用したり、はたまた薬品までも作ってしまうシステム。


ソラリスは他の国と比べて超高度な科学力を持ちながらも、他国の干渉を避けるべく空中に都市を築いた。
しかし浮遊都市である為、自分達では食糧を生産出来ない問題があった。
それ故、地上の国から輸入して買うしかない食糧を、廃棄などで無駄にしないという観点から生まれた技術である。
その為、このソイレントシステムは国を支える一大事業となっている。

また薬や食品だけでなく、なんとバイオサンプリングで無くなった体の一部などさえ作れるという、まさに夢のような科学技術である。


貧困に喘ぐ労働者階級の人々にも缶詰めとして配給され、ダストシュートに捨てられたゴミも全て有効利用されている。
某超弩級宇宙戦艦にも似たようなシステムが搭載されているとか。

もし良ければアニヲタwiki諸兄もこちらの試食用の缶詰を御賞味頂ければ、いかに優れた技術か分かってもらえるだろう。
いいえ、私は遠慮しておきます。晩御飯が食べられなくなるといけないので。
どうです、美味しいでしょう?

なんにせよ、都市レベルの生活環境を単独で限りなく永続させることができる、究極のエコロジーと言えるだろう。


エコロジー活動に興味のある方は追記・修正をお願いします。













 _, ,_  
(-ノoдo-)<食べましたね?






   *   *
 *    +  う そ で す
  n ∧_∧ n
+ (ヨ(-o芏o)E)
  Y   Y  *







「先生……こんなのって…ないよ…」






以下、ネタバレ





ソイレントシステムとは神聖ソラリス帝国が開発したリサイクルシステムである。



ソラリス帝国は家畜、奴隷同然である地上人を下部組織である「教会」から定期的に送ってもらう。
(「教会」には救いを求めて、行く当てのない地上人が自らやって来る)


その際、労働力として適正のある者は洗脳し、それ以外の者は人体実験の為に施設に送られる事になる。
この人体実験において人は強烈な実験の末に人ではなく<死霊>と呼ばれる「ウェルス」という怪物になってしまう。

ウェルスになってしまうと身体が異形化したり、知能が低下し狂乱状態となり、そして何より食人欲にかられる。
このウェルスとなってしまった者達を食品、薬品として加工し、再利用するシステムがソイレントシステムの全貌である。

要するに人間を食材としてしまうシステムなのだ。
(ウェルスは元々人間である)

生体実験場とその処理施設であると同時に、地上人に施した刻印<リミッター>*1維持の為の食料、薬品の生産施設でもある。

尚、ウェルスを「神の怒りに触れた罪深き塔バベルタワーから降ってくる死霊」として教会は退治しているが、
教会から派遣される退治人(エトーン)は、上記の労働力と人体実験の選別で労働力に選ばれた方の地上人である。


これは実験の結果「不良品」と見做されたウェルスを地上に放ち、それをエトーンに始末させる事で、
人々にとって恐怖の対象であるウェルスの駆逐によって「教会」が民衆の人心を掌握し、ソラリスの間接的地上支配を安定させながら原材料採集の一挙両得を得る為のもの。

地上人はウェルスの正体や真実を知る由もなく、「教会」の言うこと*2をそのまま信じている。
そしてウェルスに生活を脅かされると教会に救いを求め…という悪夢のようなループが完成しているのである。
尚、エトーンの適正がない者は「働き蜂」と呼ばれる単純労働者層の第3階級市民(という名の奴隷)になる。



ちなみに人体実験で良い結果が出た個体は自由に…なれるわけではなく生体部品使用型ギアの材料にされる。どうあがいても絶望。
このギアは人機融合ギアと呼ばれ、主人公メンバーのマリアの愛機ゼプツェンはこれで作られたものだった。


劇中では生産ラインに侵入した際にフェイ、エリィが腹拵えの為にこの人肉缶詰めを発見、食した直後に加工現場を見て吐いている。
(パイプから人の形をしたものがベルトコンベアにボトボト落ちていき、その先のミンチマシンから生々しい音と悲鳴が聞こえる)

また、フェイはシタン先生にも缶詰めを進めたが、全てを知っている先生は拒否。
それに加え、加工現場に入る前に「アナタ達はあれを食べましたね?」と再確認させる鬼畜っぷりを披露している。


更にこの奥に進むと人体実験の工程やウェルス化した人達が檻に閉じ込められているという現場を見る。
この際劇中で出会った人もおり、ウェルス化後も唯一理性を保っていて「檻を開けるな。」と忠告してくれる。

これを開けてしまうと「だから開けるなと言ったのに…」と理性をなくして襲いかかってくる。



この他にも檻に入ってるウェルスが沢山出てくるが、この時の彼等のセリフや、
フェイに凄まじいスピードで向かってくる事に対してトラウマを持った人もいたのではないだろうか。






「追記、修正してくれてありがとう。」



「お礼に………」



「食べちゃうゾ!」











ヒトが地に満ちたとき

神はその永き眠りから目醒める……

そして天空の楽園マハノンも目醒める……





以下、更なるネタバレなので注意


ネット上で「後味の悪い話」として流布されているのは人肉缶詰の下りまでだが、それすらまだ入り口でしかない。
本当の地獄は後に判明してくる。




実はウェルスは「ヒトの本来の能力が開花された姿」又は「本質的なヒトの姿」を実験的に再現したもの。

そう、こっち(ウェルス)がこの世界のヒトの正体。*3

ナノマシン技術によって人々にリミッターを組み込み、本来の能力を封じられたのがこの世界の『人間』。
しかしウェルスになってしまうと急激な分子変化が伴うので非常に短命になり、更に常に苦痛を伴う体になってしまう。
ただし『人間』の血肉を得ると苦痛を和らげ、多少命を延ばす事が出来る。

そのため結果としてウェルスは人食、果てはウェルスとして軽度な変異体すらも食べるようになってしまうのである。


もうお分かり頂けただろうか?


ソイレントシステムで生み出した食糧の原材料は、先述の通り「ウェルス化した人間」である。

ソラリスはナノマシン技術によってヒトの遺伝子プログラムを書き換え、生まれながらに『刻印』と呼ばれる、
「身体能力を抑制し、ソラリスを盲信し、ウェルスに戻さない為のリミッター」をつけた。
しかしヒトは一万年の歴史で遺伝子がかなり変化しており、ナノマシン自体もマシンである以上経年劣化は避けられない。
刻印の効果が薄れないようにするには、ナノマシンの追加補充による交換と、本能的に遺伝子を抑え込む必要がある。

その効果を持続、強化させる為には…ナノマシン付きの人間を食べればいいのだ。*4

尚、ソラリス市民の薬などもこれで作られており、もちろん摂取することでナノマシンを取り込んでいる。
ちなみに主人公達もナノマシンを取り込んでいるが、主人公達は超越した心身により無意識に自力でリミッターを外しているので、ウェルス化する事もない。*5

だがなぜウェルスが『本来の姿』ならば、わざわざ封印を施さないと生きられないという、生物として矛盾した性質があるのか?
それは全ては後述の一万年かけた計画の為である。

ソイレントシステムは、もともとは一万年前に原初のヒトである天帝を頂点としたガゼル法院の延命研究と、神の復活準備を兼ねた施設だった。
崩壊の日の後、死んだ法院のガゼル達は復活を望み、それに相応しい生体を創り出す為、単に天帝と法院の延命処置をするだけにとどまらず
アニムスや生物兵器を創り出す為の人体実験の副産物として生まれた失敗作、ウェルスを有効活用する為に民意統制用の薬品や食料、生物兵器に転用した。

そしてこのソイレントシステムのある施設は実は地上にも多数存在し、その一端として上述の人肉缶詰めがあるのだが、本来の目的は「M計画」を遂行する為の装置である。


この計画とはウェルス(正確には後述する構築人種スファラディー)化した人間を分子レベルで分解、融合。
嘗て地球人により創り出されたより完璧な「一個の兵器」として生成する機械であった。


そう、要するにこの世界の『人間』とは元々『一つの超巨大兵器を造る為の生体パーツ』として、一万年前に“地球人を模して”創られた存在なのだ。

人体実験はそのパーツ個々の精度を上げる為のもの。
地上に住む亜人達も、実は一万年に渡るこの人体実験の際に生み出された種族であった。

ギアサイズのアニキ巨大ウェルスもこの目的を達成する過程で作られたのだと思われる。


地上に各地にあるメモリーキューブ(セーブポイント)も、この目的の為の地上人のデータを収集、分析する為のものだった。

人間とは全ては神………恒星間戦略統合兵器『デウス・システム』を作る為の生体部品として
一万年間「必要な数と性能になるまで生かされていただけ」という絶望的な事実が明らかになる。
あえて単体では短命且つ地獄の苦しみを受けるように作られ、必要数に繁殖するまでその事実を封じられ
“そうなるように”不完全な状態のまま、生かされているだけなのだ……。



ソイレントシステムとは、いわば一万年間放牧した人間を採集・材料に人造神を造る為のパーツ工場なのだった。



劇中ではdisc2にてフェイ達が世界中にナノマシンを散布する事でソラリスの刻印から解放しようとしたが、その前にカレルレンが先手を打ってナノマシンウィルスを地上に散布、
リミッターが外れるのと同時に多数の人々が、デウスを構築する部品として適したヒト本来の姿「スファル人(構築人種スファラディー)」と化してしまう事になってしまう。
※ただし『福音の却』が近づくと自動的にヒトはスファラディーになる為、この変化自体はほぼ時間の問題であった。



この影響でスファル人化してしまった人達は実験的に遺伝子改造されたウェルスと違って理性が残っているのか、
いつしか広まった「ソイレントシステムのある施設に行けば苦痛は取り除かれる」という情報から
救いを求める為に自ら進んで施設に向かい、一列に並んで順番を待つという事態を引き起こした
因みにこの列にはソラリスの兵士も混じっていて、地上任務の者は通達もなく巻き込まれた模様。
これも遺伝子自体に組み込まれたプログラムに従い、デウス復活の計画の為に仕組まれたものである。
もっとも後述のナノリアクターがなければ気が狂うほどの生き地獄の末の死しか待っていないので、選択肢はほぼない。


スファル人もソイレントシステムで巨大なスファル人に融合されたりしている。ウェルスもスファル人も本質的には同じ生体パーツなので当然か。
ただしウェルスもスファル人も変異の進行が浅い者は、カレルレンの師であるトーラのナノリアクターで体を原始単位で再構築する技術により、体組成を修復して元の体へと戻る事が出来た。
進行が深く元に戻れないヒトも、治療により苦痛を取り除くことができ、エリィの身を挺した説得もあって争いはなくなった。


…しかしその後、ヒトをスファル人に戻すための本来の手段である「ゲーティアの小鍵」が発動して、ナノマシンウィルスでは変異しなかった人々も大勢がスファル人になった。
この際に何も知らないソラリスの人々も全てスファル人と化し、ガゼル法院によってスファルギア(巨大スファル人)に改造された。


そしてデウスが目覚めた際に多くのスファル人がデウスを形成する部品となり、またデウスが宇宙に出る為の母艦メルカバー本体や、エーテル能力を持った機動端末兵器群アイオーンの部品にもなった。
これによりシェバトなどの一部を除き、惑星のほとんどのヒトがデウスとその兵器に融合して消えた。


しかし実はスファル人は最初からデウスの部品として組み込まれた際、デウスを乗っ取れるようカレルレンがナノマシンを仕込んでいたのだった…。
それは『福音の却』が来た際に、ヒトがデウス復活に適正でなかったら問答無用で絶滅、適正であってもデウスのパーツになるしかない運命だったからであった。

カレルレン曰く「ヒトの未来の為に、ヒトを生き長らえさせる為に導いた」*6という事だが……どこまでも救いがない話である。
もっともカレルレンも人間を愛し、運命に翻弄された一人の犠牲者だったのだが。

余談

  • 味方側でこのシステムに翻弄された「普通の人」の代表がハマーである。
    真実を知っても立ち向かうフェイらと違って、力も知恵もない『普通』の弱さをカレルレンに付け込まれ、ウェルスになりたくない一心で取引をし
    エリィを連れ去ろうとするが失敗、錯乱し誤射でエリィの母を射殺してしまい逃走。
    後に人機融合ギアという変わり果てた姿でフェイ等の前に立ちふさがる。

  • システムの名前はハリイ・ハリスンの小説「人間がいっぱい」を原作とする映画「ソイレント・グリーン」が元ネタと思われる。
    ソイレント自体はこれらの作品中で登場するソイレント社が製造している合成食料。
    「Soybean(大豆)」と「Lentil(レンズ豆)」を合わせた造語であり、小説ではその名の通り大豆とレンズ豆から作られている。
    映画では海のプランクトンから製造されており、人間を材料にした新製品の「ソイレント・グリーン」も登場する。

  • 2013年に米国のベンチャー企業が開発した完全栄養食品「ソイレント」が発売されている。
    生存に必要なすべての栄養素が含まれた粉で、水に溶かして豆乳っぽいドリンクにして摂取する。
    材料はオーツ麦や食用油脂で、もちろん本項目のソイレントシステムと直接の関係はない。
    開発者曰く、「このソイレントはヒューマン・フリー(人間不使用)ですよ」とのこと。誰がうまいことを言えと。


シタン先生「アニヲタ達はこの項目を追記しました。そのことをよく認識して、その修正ページを開けなさい」


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