スパイラル~推理の絆~

登録日:2009/12/28(月) 21:46:05
更新日:2024/03/20 Wed 20:38:22
所要時間:約 9 分で読めます




わるいがそれは『企業秘密』だ。




『スパイラル~推理の絆~』とは、
1999年から2005年の期間に月刊少年ガンガン誌上で連載されたミステリー漫画。

原作:城平京
作画:水野英多


題名に推理の絆と銘打たれているが、一般的な推理物の事件風の展開を見せたのは初めの数話のみで、
途中からは心理戦を主とした主人公達の命懸けの展開が繰り広げられる。

更に終盤に明かされたある謎がファンタジー色の強いものだった。
(原作者は「彼らの直面した『ファンタジー』という言葉を、ある言葉に置き換えると、
しばしば現実にも発生している問題に行き当たる」と発言している。恐らく宗教闘争のことを指していると思われる)

この厨二的、もとい独特の世界観や魅力的なキャラクター達は多くのファンを引き付け、人気作品となった。

たまに推理してねーじゃんって思う人も居るが、実際は犯人の行動や心理、謎などを推理しているので立派な推理物である。
読者が推理できるようにはあまりなっていないが、各キャラの行動などももっともなものである。

2002年10月から2003年3月にかけてTVアニメ版が放送され、原作漫画が連載中だったため、途中からオリジナルストーリーとなっている。


【あらすじ】
私立月臣学園高等部に通う少年、鳴海歩。
彼は放課後、屋上での昼寝から戻る途中に女子生徒が転落死した現場にたまたま居合わせてしまい、殺人容疑をかけられてしまう。

その後、真犯人を見つけることに成功するが、
歩はこの事件を境に「ブレードチルドレン」を巡る一連の事件に巻き込まれていくことになる……。


【主な登場人物】
鳴海歩
CV:鈴村健一(アニメ)/石田彰(ドラマCD)
主人公。
月臣学園高等部一年生。長いモミアゲとピアスが特徴の美少年。
冷めた性格をしている上に協調性がないため、クラスからは浮いた存在となっている(自覚はない)。
詳細は本人項目に記載するが、実は何気にド鬱な人物設定の持ち主である。

実はやろうと思えばどんなことでも並以上にこなせる高い才覚を持っているのだが、
自分を遥かに超える能力を持った清隆を間近に見て育ったために自信を持てず、
むしろ何か好きなことを見つけ、打ち込む度に兄との差を痛感して挫折することを繰り返してきたため、非常に後ろ向き。
そのために初期はかなり頼りなかったが、幾度とない死地を乗り越えて成長し、
『神ではないが、神の如き力を持つ者』としてブレード・チルドレンの希望となる。
特技はピアノと料理。
ちなみに月臣学園には偏差値などではなく、家から近いからという理由だけで入学している。


結崎ひよの
CV:浅野真澄(アニメ)/川澄綾子(ドラマCD)
ヒロイン。
月臣学園高等部二年生。
ゆるゆるの大きなおさげ髪が特徴の、自称、恋に夢見る美少女。
高校生なのにくまさんパンツを穿いていたりする。
歩とは歩が殺人事件の容疑者にされた時に取材したことで知り合った。

天真爛漫で(表面上は)礼儀正しい性格だが、中身はかなり男前。
新聞部部長としての脅威的、もとい明らかに驚異の情報網を校内にも外にも持っており、それにより歩をサポートする。
物語前半の頼りない歩の火付け役にして、後半の歩を支える相棒。


◆鳴海まどか
CV:三石琴乃(共通)
可愛いお姉さんその1。

警視庁で警部補を勤める歩の義姉。
実は歩の初恋相手でもある。

機嫌が悪い時は歩に理不尽な暴力を振るったりもするが、それは親愛の裏返し。
本来は真面目で優しく、歩の良き理解者である。
ちなみに、仕事はできるが家事は壊滅的に下手で、家事は失踪前は基本的に清隆が担当しており、
彼が失踪した現在も、まどかを心配して同居した歩が担当している。
次回予告でサービスサービスゥ♪とは言ってくれない。
必殺技はスーパーイナズマキック。


鳴海清隆
CV:井上和彦
『神』と呼ばれる人物。歩の実の兄であり、まどかの夫。
かつて「警視庁の名探偵」と呼ばれるほど神がかった推理力と事件解決力から異例の若さ、かつノンキャリアで警部になったが、
その性格は変人そのものであり、その行動や言動で周囲を引っ掻き回すトラブルメーカーであった。
あらゆる物事を完璧にこなす超人で、母の影響もあって刑事になる前は天才ピアニストとして名を馳せており、
本人曰く「その時に荒稼ぎした」こともあって、まどかと結婚する前の話である『小日向くるみの挑戦』時点でかなりの資産を持っている様子。
二年前に「ブレードチルドレンの謎を追う」という言葉だけを残して失踪している。


◆アイズ・ラザフォード
CV:石田彰(アニメ)/佐々木望(ドラマCD)
主要人物として最初に登場した、ブレード・チルドレン(以下ブレチル)と呼ばれる子供達の一人。
セミロングの銀髪が特徴。
クールな性格をしており、表情をあまり変えないが、心の中では誰よりも仲間想いで皆が希望を捨てないことを祈っている。
ブレチルの中では数少ないある真実を知っていてブレチルに未来がないと知っているが、仲間の為にも自暴自棄にはなっておらず、芯が強い。
表の顔は世界的に有名な天才少年ピアニスト。裏の顔は作中に登場するブレチル達のリーダー格でもある(※ブレチルも派閥があるらしく、全てのブレチルをまとめている訳ではない)。
一見ライバルキャラクターのようにも見えるが、実は歩と対決した場面は最初に試した時のみ。
というよりもそれ以降は仲間を心身共に守ろうとしていたり、事件に巻き込まれたりととても忙しくてそれどころではなかった。
仲間から狙われつつも誰一人死なせることなく対決を制した結果、
歩に信仰に近い信頼を向けていた理緒は別格としても、それ以外の仲間からも歩がそれなりに信頼されたことを受け、
アイズ自身も少なくとも彼を敵視することは止め、一応味方として認識を改めたのだろう*1
登場初期と性格が違うのはきっと気のせい。


浅月香介
CV:草尾毅
二番目に登場したブレチル。メガネと胡散臭い雰囲気が特徴。
残虐で挑発的な性格をしているが、仲間に対しては思いやりがある。
本人曰く、ウソはつかないが約束は守らない主義。
知力・戦闘力は共にあまり高くない(ブレチルの中では)が、ピッキングなどの多くの技術を覚えている。……器用貧乏とか言わない。
そのため、他の連中と比べるとあっさり歩達にやりこめられている(ただし、ある事情から一方的な優位にはならないようにルールが決められていたためでもある)
グループ内ではムードメーカーの役割を果たす。
カノン来日にあたり、月臣学園に編入してくる。
幼なじみの亮子には尻にしかれているが、彼女のことを特に大切に想っている。
アライヴでは後期主人公を務める。この頃は自分への自信のなさから、本編よりヘタれた性格になっており、自身のこともウソつきと称していた。


竹内理緒
CV:堀江由衣(共通)
三番目に登場したブレチル。ロリ。
月臣学園高等部二年生だが、どこからどう見ても小学生にしか見えない。
ドジで無邪気な性格が目立つが、実際は歩並の頭のキレを持ち、有事の際の判断能力もピカイチな超人。
意思も強く、歩に追い詰められた際には自爆することで証拠隠滅をはかった(このことが当時意思の弱かった歩を更に惑わせた)。
爆弾作りのエキスパートで通称「爆裂ロリータ」。
幾度となく他人から命を狙われて来たために清隆の身内であっても歩を信頼できず、命懸けの勝負を挑むも歩に敗北。
以降はブレチルの中では一番歩を信頼し、『貴方の楯にも矛にもなる』と歩に笑顔で言うほど。
若干歩とフラグが立っている気がしないでもない。


◆高町亮子
CV:加藤ひとみ
四番目に登場したブレチル。ツンデレ
月臣学園高等部二年生で女子陸上部のエース。
姐御肌でサバサバとした性格をしており、そのためか後輩の女子に人気。
「人を殺るぐらいなら殺られる方がマシ」という信条を持つのでアイズとは互いに干渉しあわないことを約束していたが、
カノンが自分も含めてブレチルを殺すために来日した際に協力することになる。
運動神経が良い上にカノンから直接手ほどきを受けたこともあり、単純な戦闘力はカノンには劣るが浅月よりは上。
幼なじみの浅月に惚れているが、素直になれずによく殴っている。
登場の遅さや活躍ぶりなどから地味だが、これは仕方ないだろう。
特技は熊殺し。


◆カノン・ヒルベルト
CV:野島健児
五番目に登場したブレチル。猫好き。
優しく物腰やわらかで、転校早々クラスの人気者に。
しかし戦闘能力は作中最強で、突然不意打ちされても反射で人が殺せる上その反射を静止させることも出来る人外じみた能力を持ち、『翼ある拳銃』の異名で恐れられている。
以前は仲間を護るためにハンターの人間を殺していたが、
ブレチルに救いの道がないと知ってからはハンター側に回り、取り返しがつかなくなる前に自分の手でブレチルを殺すことで、ブレチルを絶望から救おうとする。
無論自分も例外ではない。
最後にブレチル達と和解したのも束の間、最後は仲間達の希望のためにある行動を取ってしまう。
アイズとは幼なじみであり、互いに兄弟と呼びあうほどの仲。


◆ミズシロ・火澄
終盤に歩の前に現れた、胡散臭い関西弁を話す少年。
ミントグリーンの髪と長く伸びたモミアゲが特徴。
名前だけ登場した頃はうさんくさそうな印象だったが、実際は歩とは正反対の陽気で人当たりが良い性格をしており、他人を惹き付けるカリスマ性を持つ。
歩と早々に打ち解け、彼の親友のような立ち位置になる。能力も歩並の天才。
ただ歩がのんびり健康志向の傾向であるのに対して、火澄はある理由からか刹那的に生きている傾向にある。
『悪魔』たるミズシロ・ヤイバの実の弟であり、運命の構図では『神の弟』である歩に殺される『悪魔の弟』。
本人もそれを認めており、歩の下に現れた理由は害意があるからではなく、残された人生を自分と近い存在の歩と過ごしたかったからとしているが、
その本心は………。


◆ミズシロ・ヤイバ
『悪魔』。
あらゆる面で人間を超越した能力を示し、かつては『神』と呼ばれたが、ある日自らを造った『造物主』の天啓を受けて覚醒。
以降はそれまでの人生で培った『神』としての仮面を被りながら、『悪魔』として「人類滅亡」の使命を進めていった。
また、後述の『悪魔』としての本性が露見してからは表立って命を狙われたこともあったが、
どんな脅威も彼の命を奪えず、命を狙われる、あるいは脅かされる度にあらゆる幸運と偶然が彼を救ったという*2
ブレード・チルドレン計画を立ち上げ、『悪魔』としての自分の血統を増殖させることで現人類を駆逐しようとしていた。
当然の話だが、当初この計画の目的は隠していたらしく、当時のヤイバは『神』として協力者が大勢居たため、
順調に事が進み、一部の者が気付いた時には既に手遅れで、人類が彼とその血統によって駆逐されるのは時間の問題と思われたが、
突如としてヤイバの前に現れた鳴海清隆…『神』によって『悪魔』はあっさりと殺害され、人類の終焉は阻止された。
『悪魔』たるヤイバの死に顔は「信じられない」と言わんばかりであったという。
なお、生まれつき肋骨が一本無く、ブレードチルドレンも『ヤイバの血統』を示すために生まれてすぐに同じ場所の肋骨を切除された他、
清隆が語ったところによると、彼を造った『もう一人の造物主』が『造物主』の企みを阻止するべく掠め取り、この肋骨から清隆…『神』を造ったという。


◆土屋キリエ
可愛いお姉さんその2。
薄いピンク色のロングヘアーが特徴。
ウォッチャーの人間であり、自称「器量もよければ頭もいい27歳のお姉さん」。
クールぶっているが感情的な面もあり、火澄が勝手に月臣学園に編入した際には怒鳴りながら教室に乱入したりしている。
その性格から『性悪女』と歩に称されていたが、実際は動物に飴をあげたり、
自分を極限まで追い詰めてまでも清隆に立ち向かおうとする歩を止めようとしたりと、女性らしい(可愛い)一面もある。
要するにまどかと同じく、歩の好みに完全に合致している人。


【用語解説(ネタバレ含む)】
◆ブレード・チルドレン
『呪われた子供達』と呼ばれる16・17歳の少年少女。
その実態はミズシロ・ヤイバの血を引く子供達で、
ヤイバの超人的な能力を受け継いでおり、一人残らず普通の人間よりも高い能力と、他人を引き付けるカリスマ性を持つ。
ただしヤイバと違って不死性(致死回避)はない。
なお、偉大な血統に連なる者の証として、産まれてすぐに外科手術によって肋骨を一本取り除かれている。
いつか凶悪になると言われていて、実際早々に暴走した人物も見受けられる模様*3


騎士団(ナイツ)
現在では後述のハンター、セイバー、ウォッチャー達の総称。
元々はヤイバの元に集まった者達だが、ヤイバの目的や暗躍を察知したことでヤイバの生存中から分裂し始めた模様。


◆ハンター
ブレチルを危険視し、危険な存在となる前に絶滅させることを目的とした組織。
実際に既に何人ものブレチルを殺害しているらしく、
それだけに武闘派のブレチルも多数のハンターを殺害しているし、害意を察知したら先制攻撃も躊躇わない。


◆セイバー
ハンターとは反対に、ブレチルの可能性と能力を信じて(特にハンターから)守ることを目的とした組織。


◆ウォッチャー
セイバーにもハンターにも属さず、
ブレチルが今後どのように変化するのか監視(というか観察)するための組織。


◆月臣学園
歩の通う私立高校。
どこかの金持ちがその遺産を注ぎ込んで建てたため、設備から敷地まで高レベルな超名門校。

実は普通の学校ではなく、意図的にブレードチルドレンを集めた一種の檻。
日本にいる大半のブレチル(25名)が通学している。


最初に殺された女の子は演出。


追記・修正しないと、あの事バラしちゃいますよ~

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最終更新:2024年03月20日 20:38

*1 劇中では自分の体調を心配した歩から「何か作るか?」と言われた際に「俺にお前の手料理を食えと…?」と嫌悪とも困惑とも取れる反応を返した一方、歩の置かれた過酷な状況を知って以降は彼に同情的な反応や言動を見せている。

*2 ヤイバに自殺する理由がないので詳細は不明だが、火澄の例を見るに自ら死のうとしても死ぬことは出来なかったと思われる。

*3 ただし、作中描写においては凶暴性を見せているブレチルは基本的に劣悪な環境に置かれているので普通の人間でも同様の行動に走ってもおかしくない。そのため『神』と『悪魔』とは違い前者は未だ真偽不明で実は『絶対そうなる』と断言する根拠は乏しい。なお、ハンターはもちろんのことながらブレチルも基本的にこれを信じている。