虹村億泰(ジョジョの奇妙な冒険)

登録日:2012/07/20 Fri 18:29:30
更新日:2024/04/12 Fri 12:53:40
所要時間:約 13 分で読めます





おれはバカだからよぉ~ 心の中に思ったことだけをする
一回だけだ 一回だけ借りを返すッ!
あとは何にもしねえ! 兄貴も手伝わねえ!おめーにも何もしねえ これでおわりだ




グレートだぜ……億泰!







CV:高木渉(オールスターバトル・TVアニメ版)/齋藤小浪(TVアニメ版:少年時代)
演:新田真剣佑




【人物】

年齢15歳(満年齢16歳)。*1
仗助康一と同じぶどうヶ丘高校の1年生だがクラスは違う。
『億』『BILLION』『$』『¥』等の装飾を施した改造学ランを着ている。仗助や3部の承太郎が長ランなのに対し彼は短ラン。
東京都出身で、元は実家のある東京の高校に在籍していた(これは兄・形兆も同じ)ようだが、
仗助との戦いの後に別荘である杜王町の館に正式に引っ越し、ぶどうヶ丘高校に転校した。*2

身長178cm・体重80kgのがっしりとした長身。
絵に描いたようなヤンキーであり、頭の両側面を刈り上げ、銀色に染め上げたヘアスタイルと三白眼も相まってかなりのコワモテ。
顔の真正面に×の字のような皺(キズ?)がある。
特に外伝小説『The Book』では地の文で、
「品の悪い面構え」「頭の悪い三枚目という印象」「知能のかけらもなさそうな顔」「狂犬(犬種は土佐犬)を思わせる」「は虫類のような目をした」
などと散々な表現をされている。
無論非モテで、康一が由花子とくっついてリア充化した時は泣いて悔しがっていた。
(仗助は現在彼女はいない癖に女性にとてもモテるので、そのせいもあるだろう)
某イラストサイトでは「億ちゃんマジ天使」タグが付けられるほど女性人気が高いのは皮肉である…
自他共に認める程頭も悪く(本人曰く物事を深く考えると頭痛を起こすらしい)、
成績は学校始まって以来の歴史的不毛の大地と例えられるほどで、一時は進級すら危ぶまれていた。

性格は頭に血が上りやすく単細胞。単刀直入に言ってしまえば、バカ
喜怒哀楽の落差が激しく、感情が昂ぶるとすぐ手が出てしまう乱暴者だが、本質的には気の良い若者で単純故にお人好しの一面もある。
自身が不幸な半生を送ってきたこともあってか義理人情には篤く、実はけっこう涙もろい。

仗助とは諍いが終わった後は早々に親友になり、仗助曰く「こいつとは気が合う」との事。
学校では仗助・康一と一緒にトリオで行動している事が多く、登下校の時は家が近所な事からか仗助とコンビでいる事が多い。
また登下校の最中にスタンド使いと会い、戦いに発展する事がある。

これまで重要な『決断』を全て兄の形兆に頼って生きてきたため、二者択一の状況に追い込まれると優柔不断。
一応戦いの際に、懸念材料に自力で思い当たって悩む程度の思考力はある。
ただし、理詰めの選択をする前に当人が思案するという行為に耐えきれなくなってしまい、直観的に思ったことを実行しようとするが大抵裏目に出てしまう。
単純に知能が低いと言うよりは、悩み決断することを兄に丸投げして依存し切ってきた所為で思考における忍耐力が不足している人間である。
このため兄へは信頼・尊敬の念と同じくらいコンプレックスを抱いている。
しかし、第4部終盤、生死の境を彷徨った時、形兆の亡霊に対して己の決断を告げ、生への道をつかみ取った。




【主な活躍】

当初は兄・形兆の手助けをする過程で遭遇した仗助・康一と敵対していたが、敗れてなお命を助けられたことで改心。
兄を『レッド・ホット・チリ・ペッパー』に殺害されたことへの復讐心もあり、『奪われた矢を奪回する』という共通の目的のため、仗助たちに協力。
使命とは別にプライベートでも大親友になっていき、常日頃から連れ立って行動するようになる。

一度は『チリ・ペッパー』の挑発に乗り惨敗してしまうが、康一に諭され『街を護る』・『兄貴を超える』事を心に誓い再起。
捜索の末追い詰めた本体・音石明を撃破。
その後は承太郎と共に音石にはキツくお灸をすえたが、命は奪わずに見事兄の仇を取った。

以降も仗助たちと行動を共にし、『スタンド使いは引かれ合う』法則から多くのスタンド使いと遭遇。
スタンド料理で健康になったりスタンド漫画家に焼身自殺させられそうになったりと奇妙な冒険を繰り広げる。
しかし、あまりに強大なスタンドを有してしまった宿命か、純粋なタイマン戦のバトルでの戦績は芳しくなく、
単細胞な性格が災いして相手の術中に簡単にはまってしまうこともしばしば。
一方で仗助とコンビを組んでいる時は仗助が主人公である事もあって無敗。
能力が凶悪なだけあってサポートに回るとめっぽう強い。
ただ致命傷クラスの深手も幾度となく負っており、仗助がいなければそのまま死んでいたり、一生障害が残るような事になりかけるという事態もよくあった。
まぁ第四部は仗助という治療役がいたからか割と瀕死になっているキャラは多く、
承太郎や康一も仗助がいなければ死んでいた場面は何度かあったりするから「致命的なダメージ=億泰」というわけでもない。

終盤、殺人鬼吉良吉影との決戦で仗助の身代わりになる形で、吉良の切り札『空気弾』の直撃を受け、死亡…。


…したかと思われたが、臨死体験を経て復活。
今一歩で力尽き吉良にトドメを刺されそうになっていた仗助を救出。
『ザ・ハンド』の能力で空気弾を完封し、『猫草』を奪取するという大手柄を立てた。
第4部終了後は父親・猫草と一緒に暮らしている。

小説『The Book』では深夜の図書館内で殺人事件の犯人・蓮見琢馬と戦闘。
惜しくも敗れるが『ザ・ハンド』の強力さや歴戦の経験を経てスタンド使いとして大幅な成長を遂げた雄姿を見せつけている。
当初は琢馬からも軽んじられていたが、戦闘を経てその認識を改めさせ、「尊敬に値する男」と言わしめた。
なお、琢馬のスタンドの名前『ザ・ブック』は、億泰の『ザ・ハンド』を参考にしたもの。
これがタイトルにまで引用されていることを考えれば、億泰は劇中での活躍以上に重要な役回りであったと言えるだろう。



【スタンド】

-   ほお~ら寄って来たァ~「瞬間移動」ってやつさあ~っ
← 空間をけずりとる! ……するとお~っ!































スタンド名:『ザ・ハンド(手)』
破壊力 - B
スピード - B
射程距離 - D
持続力 - C
精密動作性 - C
成長性 - C

近距離パワー型。ロボットを思わせる無機的なデザインの人型スタンドで、億泰の学ランと同じ『$』『¥』のマークがある。
両側面の装甲で目が半分隠されているような顔が印象的。本体の視野の狭さを暗示していたりして……
メインカラーはブルー、またはブラック。

◆能力

右手に手相のような複雑なモールドが刻印されており(ただし初登場時には見えなかった)、右手で掴んだあらゆる物や事象を空間ごと削り取ることができる。

削られた空間は自然に閉じ、間の削られたものがどこに行くのかは億泰自身にもわからないらしい。
ただ、仗助が『クレイジー・ダイヤモンド』の能力でも戻すことは出来ないと発言しており、実質完全な消滅といっても良い。
言うなればヴァニラ・アイスの『クリーム』の規模を限定した代わりに汎用性を滅茶苦茶に高めたスタンド能力。
『ガオン!』という空間を削る擬音も共通している。
吉良の放った「接触弾」を起爆させずに消したことから、右手に触れる寸前に消滅している可能性もある。
実際、空間を削る時の軌道表現は手のひらというよりは球体を動かした軌道のように見える。
能力的には体の部位を接触をして能力を発現するタイプの相手の天敵と言っても過言ではない。

『The Book』ではこの能力に対し、「人間が知覚することの困難な、もっと哲学的なもの」「言葉にするなら、それは宇宙そのもの」を削り取り、完全消失させているのではないかという考察がされている。
これが事実であれば『ザ・ハンド』が能力を振るうたびに作中の宇宙はすこしサイズを減らしていることになる。
まぁ宇宙は光速をも超える早さで膨張しているらしいから、『ザ・ハンド』で削られた程度のサイズはそれこそ光の早さで修復されているだろうが。

一撃必殺も可能なスタンドだが、近距離パワー型のスタンドではスピードがAではないという時点で無視できない弱点となる。
特に削り取る攻撃は右手でしかできない上に弧を描くモーションなので、能力を知っている相手には見切られてしまいやすい。
そのためスピードや精密動作性で億泰を凌駕すれば『ザ・ハンド』の右手に触れられずに億泰を倒す事も可能である。
ただし、空振りでも空間を削り取ることで互いの距離を詰められるほか遮蔽物も削り取れるし、何より「一発でも当たれば終わり」「右手を避ける・振らせない以外では防御できない」というプレッシャーも相まって延々逃げ続けることは容易ではない。
その気になれば右手以外(左手や脚)でも勿論攻撃出来る為、フェイントなどを混ぜられて攻撃されたら、余程のスタンドでない限りは凌げない。
長期戦になれば、いつかは疲れたりミスをして直撃を受けてしまうだろう。

仗助にとっては更に削られた部分の治癒・修理も効かず拳で触れる事で効果を発現する事から能力的にも天敵に当たる。*3
コンビを組んでからはこの対照的な能力が効を奏し、
  • 近接の格闘能力に優れる代わりに射程が短く何をするにも拳が触れる事が前提になる仗助
  • 精密動作が凡庸で能力の軌道が見切られやすい欠点がある代わりに、仗助が触れる事が危険なものを削り取り相手との距離も無意味にする億泰
と互いの欠点が埋まるベストパートナーとなる。
吉良吉影戦では完全に機能したコンビの前に『キラークイーン』を完封した。

能力の応用として、相手と自分の間の空間を削り、『瞬間移動』が可能。
相手を引き寄せるのか自分が詰めるのかは任意で操作できる模様。
また純粋に削った空間の距離だけ引き寄せるわけではなく、実際には空間が閉じる勢いで加速させているらしく、軽い物体なら慣性でそれ以上の距離を飛ぶこともある。
(この事実を把握していなかった億泰は対仗助戦で植木鉢が顔面と股間に直撃し敗れた)
アニメ版では仗助を
引き寄せてボコる→逃げてもまた引き寄せてボコる→逃げても(ry…
の極悪コンボで仗助をフルボッコにした。まぁ調子に乗りすぎてその後原作通りに負けたが
また、『チリ・ペッパー』戦では空間を削っての瞬間移動を応用させて、短い間だけ空を飛ぶ(ゲームなんかでよくある空中での連続ジャンプのアレ)という応用を見せた。
…何気に原作よりも使いこなしている気がする。

高い攻撃力と、たとえ空振りしても一瞬で間合いを詰める力から「恐ろしいスタンド」と兄・形兆や仗助に称されている。

破壊力がBとなっているが、これはあくまで純粋な格闘によるものであり、右手で触れたものを確実に消滅させることから、まともに戦えばAクラス以上の脅威である。
事実、吉良吉影の最終決戦においては相性の良さもあったとはいえ、『猫草』+『キラークイーン』の凶悪コンビをあっさり完封したほど。

スタンド名の由来はアメリカのバンド「ザ・バンド」。

第五部のナランチャ共々シンプルなスタンドを使うことから、『バカは思考がシンプルだから、スタンドもシンプルになるのでは?』というファンの考察もある。


【名言】

  • おれはバカだからよぉ~、心の中に思ったことだけをする。一回だけだ、一回だけ借りを返すッ!あとは何にもしねえ!兄貴も手伝わねえ!おめーにも何もしねえ、これでおわりだ
  • なんで康一が~ウソだろォーウソだろォーおれだってあんなこと言われたこたねーのに~
  • あっ!こりゃたまらん!ヨダレずびっ!~ツウ~よーな味だぜェ~っきっとおお~おお~っ!
  • ゥンまああ~いっ こっこれはああ~っこの味わあぁ~っ サッパリとしたチーズにトマトのジューシー部分がからみつくうまさだ!!チーズがトマトを!トマトがチーズをひき立てるッ!「ハーモニー」っつーんですかあ~「味の調和」っつーんですかあ~っ たとえるならサイモンとガーファンクルのデュエット!ウッチャンに対するナンチャン!高森朝雄の原作に対するちばてつやの「あしたのジョー」!……つうーっ感じっスよお~っ
  • いや待ちなあーっ あの野郎はよォーッ因縁的によォーッ!!この虹村億泰が仕留めるッ!
  • 「兄貴を越える」か……学ばしてもらったよ……「チリ・ペッパー」
  • ガーン!ま……また選ぶ決断かよ~ォ どっちだ!?どっちが「本体」だ!チクショー今までおれは兄貴に頼って生きてきたからなぁ~ 決断は苦手なんだよ
  • 2度もおちょくんなよッ!この虹村億泰をッ!
  • おれはくれるっつーもんは病気以外なら何でももらうかんなーコラァ!
  • いいよ……ゆるされなくとも……だがもう遅いんだぜ……スデにてめーは十分!「ザ・ハンド」の射程距離に入ったことに気づいてねーのかよ……
  • 兄貴は……「おまえが決めろ」って言うんだよ……「億泰……行先を決めるのはおまえだ」ってな……オレはちょっと考えてよぉー 「杜王町に行く」って答えたら目が醒めたんだ……とてもさびしい夢だったよ




【余談】

  • 虹村家には第4部時点で5~6年は楽に生活できる貯えがあるらしいが、これは億泰の父親がDIOの部下として活動していた頃の報酬によるものである。
    (小説『OVER HEAVEN』によるとホリィが倒れる前後の時期、空条家は虹村父によって監視されていた模様)
    虹村一家を地獄に突き落としたのはDIOだが、同時に現在の彼の生活を支えているのもDIOということになる。業の深い話である。

  • ガタイは良いが、トニオの見立てでは腸壁が荒れ下痢気味、睡眠不足に加え右足に水虫、虫歯2本、左肩の肩こりと結構不健康&不摂生。
    やはり親父の世話だとかで心労が多いのだろうか?

  • 直情的な主人公の相棒的ポジションということで一見第3部のポルナレフとの相似を思わせるが、
    独立心旺盛で即断即決・常に最短ルートを突き進むポルナレフとは実は真逆のパーソナリティの持ち主だったりする。
    しかし、初期の仗助との『親友同士なんだけど頭の悪さから実はちょっぴり見下されている』描写は、
    どことなく花京院&ポルナレフのやりとりに似たものを感じる。

  • 元はお坊ちゃん育ち故か、味覚は甘党であり、カレーライスは「バーモントカレー」の甘口しか食べられず、寿司のワサビもダメ。
    トニオの作る唐辛子入りパスタも初めは辛すぎて食べられず難色を示した(結局食べたうえで味に目覚めたが)他、
    憂鬱な月曜の朝にはストロベリー&チョコチップアイスを舐めながら登校するのが心の慰めと語っている。
    また、幕の内弁当のドリンクにミルクティーを選んだり、自販機でカルピスウォーターを買おうとするなどミルキーな飲み物が好きらしい。
    しかしプリンはトニオさんから出された時に子どもが食べるモノだと話している(結局食って感激したが)。ちなみに東京育ちなので、トンカツにはソース派。*4

  • 経済観念は割としっかりしており、大金を手に入れても真っ先に『貯金する』という発想に到っている。
    しかし、重ちーの集めた小銭をこっそりネコババしようとしたり、
    宝くじのような仗助曰く『セコイ博打』が好きだったりと単にケチくさいだけなのかもしれない。
    本人も『くれるっていうなら病気以外なら何でももらう』と涙目で叫ぶほどである。
    この信条は第7部で主人公ジャイロ・ツェペリも宣言している。

  • ジョジョ展のCMに仗助、康一とともに出演。
    ジョジョリオン(ウルトラジャンプ)を夢中で読む姿が描かれた。
    ちなみに上記の通りCV:高木渉。ファンからは前々から「億康の声は高木さんか千葉繁さんしか有り得ない」と言われただけに、この配役は絶賛された。*5
    ゲーム・アニメでも高木氏が続投している。特にアニメ版では仗助を始めとした大半の声優が交代した中続投を果たした。*6
    余談だが実写版の俳優である新田真剣佑もはまり役と評判であり、演者に異常に恵まれている。







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最終更新:2024年04月12日 12:53

*1 9/23~10/23生まれのてんびん座なので、春~夏にかけて描いた第4部ではまだ誕生日を迎えていない

*2 なお、アニメ版では仗助の祖父・良平の葬儀後に、よく見ると館の前に引っ越し業者らしきトラックが止まっている。

*3 ただ鉄塔で跳ね返され削られた部分は治癒できていた事から治癒は可能かもしれない

*4 仗助は東北人なので、トンカツにしょう油派。

*5 「億泰の声は億泰があてている」「億泰本人」「CV:億泰」等の評価がその証左

*6 他にゲーム版から続投したのは音石役の森久保祥太郎と重ちー役の山口勝平のみ