天ぷら

登録日:2011/12/27 Tue 21:49:13
更新日:2023/01/25 Wed 08:42:26
所要時間:約 6 分で読めます





天ぷらとは、魚介類、野菜、肉等に小麦粉の衣をつけ、油で揚げた料理である。
元はヨーロッパから伝来したものという説が有力で、現在もポルトガルを始めヨーロッパの一部によく似た料理が伝わっている。
伝来の後に独自の発達を遂げ、今では日本料理を代表する一品として認知されている。

過去の文献から奈良時代には既に伝来していたことが判明しているが、その頃は主に米粉を衣に用いていた。
現代の小麦粉を使用した西洋のフリッターが原型となるものが伝わるのは、江戸時代になってから。

寿司、蕎麦と並び、江戸っ子が一家言持っている事が多い料理である。
江戸時代は屋台で食べられる庶民食として盛んであった。その頃の物は串カツのように串に刺して揚げるものだった。

また、徳川家康が鯛の天ぷらの食あたりが原因で亡くなったという俗説が有名であるが、現在の研究では末期ガン(胃ガン)だったからだと言われており、その説は非常に怪しいものとなっている。
というかこの当時は素揚げのような食べ物だったらしい。

専門店も存在するが、家庭でもよく作られる。
サクサクとした衣に包まれた、ジューシーなタネが魅力である。
ただ、サクサクした食感を再現する為には固さの原因となる小麦粉のコシを弱くする必要がある。
その為には小麦粉を練って混ぜたりせず、水は冷水を使うこと。とりあえずなんでもかんでも冷やすつもりで。
タネは油の中に少量ずつ入れること。一度に大量に入れると油の温度が下がり過ぎてタネが水っぽくなってしまう。

精進料理では、ハレの日のごちそうである。

天つゆかかはお好みで。

基本的には天ぷらは魚介を揚げたものであり、野菜を揚げたものは精進揚げ
でも今は一般的にどちらも天ぷらと呼ばれるので、そんなに気にすることではないだろう(そもそも精進揚げは精進料理のカテゴリでもあるため溶き卵を使用できないため、別物といえば別物ではある)。


■楽しみ方

◆コース料理
天ぷら専門店ではおまかせと呼ばわるコースを味わえる。
野菜、魚介類など、季節や日時に応じた天ぷらでひとしきり飲んだ後、かき揚げでご飯を食べて〆とする。
この時のご飯とかき揚げの味わいで、その店の力量を図れるとされる。

◆お座敷天ぷら
鍋料理のごとく、ガスコンロの上に天ぷら鍋をのせ、各自で揚げたてを食べると言うもの。
家庭でもできるので、人が集まったら、すき焼きやしゃぶしゃぶの感覚でやってみたらいかがだろうか。

◆天丼
丼飯に天ぷらを乗せたもの。
揚げ油、ジューシーなタネの汁、そして甘辛いつゆがご飯に絡まり……。
卵とじの天とじ丼もいける。
フルコースもいいけれど、たまには天丼も楽しもう。

フルコースの〆を小さな天丼にしてもらうのも悪くない。

◆天ぷらうどん/そば
饂飩(うどん)蕎麦に天ぷらをのせた、もしくは添えたもの。
最初はサクサクだった衣に、ジュワリジュワリとつゆがしみこんで…。
天ぷらの旨味がジワ~と染み出たつゆをすするのもまた格別。一杯で2通りもつゆを味わえるわけだ。
天ぷらのベストな状態については「全くつゆに浸かってないサクサク派」から「つゆにたっぷり浸かったフニャフニャ派」まで好みが分かれる。
それ故に店によって天ぷらにもバラつきがあり、数種類もの揚げたて薄衣天ぷらを添える処もあれば、小さいエビに極厚の衣を纏わせた天ぷらを上にのせる処もある。

立ち食いやカップ麺でもおなじみのためか、天丼より庶民派っぽい。


■魚介類のタネ

◆エビ
天ぷらの定番にして不動の王者。定番すぎて味が劣るものも出回っているが、やはり鮮度も質も上等なものを選びたい。
エビの種類も、小さなサクラエビのかき揚げから、お手頃なブラックタイガー、贅沢にイセエビ…と色々あるが
やはり天ぷらならばクルマエビをお勧めしたい。
カリカリと揚がった衣を噛むと、ジューシーなエビの中身がジュワっと……。
やはりたまらない。

◆アナゴ
ウナギより脂が少ないアナゴは、その分揚げ油によく合う。
ホクホクとした感覚がたまらない。
天丼にした際、丼からはみ出す豪快さも魅力。
あまり大きすぎない中程度の大きさが美味とされる。
旬物は尻尾は塩、腹はつゆでいただきましょう。

キス
あっさりとして淡白な魅力あるネタ。

◆メゴチ
キスと同じ釣り場で釣れる魚。
だが、メジャーなキスを全ての面で上回る旨味たっぷりのお魚なのである。
こだわりの天ぷら屋で食べられる。

◆魚肉ソーセージ
安くて美味い庶民の味方。侮るなかれ、魚肉ソーセージを一番美味しく食べる方法は天ぷらだと言って過言で無い美味しさ。
紫蘇で巻いて揚げよう。

ちくわ
衣に青のりを混ぜた磯部揚げスタイルが定番。
ちくわが苦手なチビッ子からビールが大好きなお父さんまで。そしてお弁当にも使える主婦の味方。

アユ
稚鮎の天ぷらは高級食材。骨まで食べられて、かつ淡白で力強い味わい。

◆イカ
歯ごたえと無脂肪故の淡白さが魅力的。うっかり衣をつけずに揚げるともの凄くはねるので注意しよう。

◆ゲソ
上記のイカは身を使うが、こちらは脚を使ったもの。うねる脚が若干食べづらいが、身以上の肉質を味わえる。

◆ワカサギ
丸ごと一本衣をつけて揚げる。骨も内臓も気にならず上品で淡白な味に子供もパクパク食べられる。

◆牡蠣
カキフライの「ザクッ」とは異なる「サクッ」とした食感。ねっとりとした旨味は日本酒か白ワインを合わせたくなる。

◆ホタルイカ
目と軟骨を抜いて丸々そのまま衣をつけて揚げる。天つゆに浸けて味わうと、内臓の旨味が増幅して絶品。

◆ギンポ
北海道南部から高知県・長崎県までにかけての浅瀬や浅海に生息するお魚。
食用だが、天ぷら以外ではあまりおいしくないというまさに天ぷらにされるために生まれてきた魚。(かば焼きはうまいけどね)
江戸前天ぷらのネタとしては最高のもの、そのため全国から東京へと目指して送られてくる。
さくっとした身にじわりと上品な脂が染み出してくるのがたまらない。だが調理に非常に手間がかかるという重大なデメリットが。

◆カニカマ
10個入り100円程度の細いやつでもおいしいが、1本100円程度で売ってる太いやつでぜひやってもらいたい。



■肉類のタネ

◆鶏肉(とり天・かしわ天)
大分の名産。
唐揚げとはまた違った味わいなのでお勧め。
本場では酢醤油やポン酢につけて食べる。

◆半熟卵
うどん屋さんのトッピングでおなじみ。中からトロ~リとあふれる黄身がたまらない。
家庭で作るのは難しそうだが、冷凍した生卵を使う裏ワザがあり。

◆ウインナーソーセージ
魚肉ソーセージが美味いんだからこっちだって美味い。
衣に青のりやカレー粉を混ぜたり、赤ウインナーやチーズインウインナーを揚げるのもいいだろう。破裂防止のために切り込みを入れるのを忘れずに。



■野菜のタネ

◆ナス
油と最も相性の良い野菜。
こってりとしてるのに瑞々しく美味しい。
長崎県ではフリッターのような分厚い衣をつけたナスの天ぷらにウスターソースをかけて食べる。

かぼちゃ
ホクホク甘い、子供にも人気な野菜その1。ほんとにおいしいものは焼き芋のような風味が味わえる。

サツマイモ
ホクホク甘い、子供にも人気な野菜その2。芋掘りの日の夕食は大抵これではないだろうか。

玉ねぎ
瑞々しく甘~い野菜。驚くなかれ、秘めたる糖度はイチゴと同等とされる。玉ねぎは普通に揚げるとしんなりする為、揚げるのに多少技術がいる。

◆マイタケ
油と相性の良いキノコ類は基本天ぷらに合うが、中でも一番人気はこれ。秋になったら食べたくなる一品。

しいたけ
お出汁もとれる偉大なキノコは天ぷらでも美味。

◆トウモロコシ
かなり上質なトウモロコシでなくては出来ないが、そのジュワっと広がる甘い汁はクセになる事間違い無し。

レンコン
シャキシャキ食感がクセになる。山芋や肉を挟んだはさみ揚げも良い。

◆獅子唐
辛味が口直しに最適。
油の香りと味に飽きてきた舌に鞭を入れてくれて、次の一口がもっと美味しくなる。

◆大葉(紫蘇)
夏に最適な、爽やかな風味がたまらない逸品。
パリパリサクサクの食感も楽しめるぞ。
大葉で他の具材を巻いた天ぷらも美味い。天ぷら二大バイプレーヤーの片割れ。

◆ニンジン&ゴボウ
野菜のかき揚げの定番ネタ。
博多ではうどんの具としても使われる。

◆紅生姜
大阪名物。梅酢の酸味と生姜の辛味の組み合わせが癖になる。

◆明日葉
八丈島名物。
香りがよくサクッと軽い口当たり。葉の美しい形や鮮やかな緑で見た目も楽しめる。苦味を味わいたいなら塩で。

◆アスパラガス
美味いものはトウモロコシのような甘さと瑞々しさ。切り口から水分と旨味が流れでてしまうので揚げてから食べやすい長さにカットしよう。

◆ブロッコリー>ブロッコリー(野菜)
意外かもしれないがかなり美味い。ブロッコリーの新たな一面に魅せられる。
下茹でしてから揚げれば、つぼみはトロトロ、茎はホクホク。

◆山菜
春にはやっぱり食べたい一品。
タラの芽、ふきのとう、ワラビ、こしあぶら、コゴミ、ヨモギ等といった、普段食べられないようなものに舌鼓するのはたまらない。
厳密には天ぷらではないが、苦みや渋みが抑えられる精進揚げ(衣に卵を入れない)にしてもまた美味。

基本的に毒がないものであれば、山野草は天ぷらにすれば大抵のものは食べられると思って良い。
野草の調理方法で大抵天ぷらとあるのはそれが理由である。その分、あたりを見つけられたときの感動は別格。



■その他定番

海苔
天ぷら盛り合わせや天ぷらうどんにあると嬉しい。熱々のうちにサクサクパリパリを味わおう。
具材に海苔を巻いた天ぷらも美味しい。天ぷら二大バイプレーヤーの片割れ。

チーズ
食べなくてもわかる美味さ。ミルキーなベビーチーズ、濃厚カマンベール、のびーるモッツァレラ…どれにしようか迷ってしまう。他の具材で包んで揚げるのも一興。



■変わりダネ

◆アイスクリーム
カステラに包めば冷たいままのアイスクリームがカリカリの衣に包まれる。
外はアツアツカリカリ、中はヒエヒエ甘〜い、上質なデザート。味のメドローアである。

鉛筆
豚が降る日に食べたくなる。

◆セミ
アタゴオル名物。猫たちには人気だが人にはあまり人気がない。

人魂
のっぺらぼうの得意料理。ねずみ男も夢中になる美味しさ。

忍者
ある者は自ら望んでなりたがり、ある者は幹部の身代わりとして無実を叫びながら揚げられる

◆紅葉
一年間塩漬けにし、塩抜きをしたものに衣を付けて揚げ、砂糖とゴマをまぶしていただく。
まあ早く言えば、紅葉型の揚げ菓子である。


余談だが、揚げずにレンジでチンッしてやる天ぷらという物も存在するにはする。
だが、ヘルシーかつダイエット用の天ぷらの為、あまりうまくはないので期待はせずに……。



追記、修正は、天井まで届くほど具だくさんな天丼を食べながらお願いします

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最終更新:2023年01月25日 08:42