バットマン ビギンズ(映画)

登録日:2011/01/07(金) 14:44:43
更新日:2024/03/11 Mon 21:05:50
所要時間:約 6 分で読めます




◆バットマン ビギンズ◆

『バットマン ビギンズ(BATMAN BEGINS)』は05年の米映画。
89年の『バットマン』から始まるバットマンの映画作品で、設定を一旦リセットして開始された新シリーズの1作目である。
監督、脚本はクリストファー・ノーラン、共同脚本にデヴィッド・S・ゴイヤー。
主演のクリスチャン・ベールを始め演技派の役者陣を揃えた重厚な作りとなっているのが特徴で、以前のシリーズに比べるとリアリティを重視した演出になっている。
フランク・ミラーの傑作コミックである『バットマン:ダークナイト・リターンズ』の姉妹編であり、現在までの『バットマン』の起点となった『バットマン:イヤーワン』を事実上の原作とするが、コミックと映画では作品の見せ方が異なる為に印象的な場面のみを物語の中で繋ぐ……と云う手法が取られている。

日本では俳優・渡辺謙が敵役として出演した事も話題になった。



【物語】

全米屈指の繁栄を誇りながらも、腐敗により“それ”とは相反する貧困を抱える犯罪都市ゴッサムシティ。

……古くからの名家の御曹司であるブルース・ウェインは、両親が犯罪の犠牲となり眼前で拳銃によって殺害された経験から自らが悪と戦う手段を得るべく世界を放浪し力を求めるのだった。

ヒマラヤ奥地の「影の同盟」との出会いに自らが求める力を得ながらも、方法論の違いから同盟を崩壊させたブルースは、遂にゴッサムへと戻り自らが畏れる蝙蝠の姿を纏い暗黒街への攻撃を開始する。

……しかし、戦いを開始したブルースの知らない所で、ゴッサムには未曾有の危機が迫っていたのであった。



【主要登場人物】

  • ブルース・ウェイン
本作の主人公。
6代続くウェイン家の御曹司だが、両親を奪われた経験により悪と戦う力を求める。当然ながら彼には『ウェイン家の御曹司』という肩書きが生まれた時から付いて回る事となり、放浪時代はその肩書きが枷となる時もあった。
設定のリセットにより、基本設定が原作版に準拠した物に変更となった他、何よりもクリスチャン・ベールのイメージが過去のブルース・ウェイン役よりも原作に近い事がファンに喜ばれた。


  • アルフレッド・ペニーワース
ウェイン家の執事で、ブルースの後見人。
ブルースを見守ると共に、助言も与える頼れる存在。


  • レイチェル・ドーズ
検事局に勤めるブルースの幼馴染み。
ブルースに想いを寄せているが、現在の彼の姿には少なからずショックを受けている。
正義の為に戦う信念は、ブルースと共通する思い出によるものだろう。


  • ルーシャス・フォックス
ウェイン産業の応用科学部の室長。
かつては役員だったが、経営方針が利益を重視した物に変わった事で、現在の閑職に追いやられた。


  • ジム・ゴードン
ゴッサム市警の刑事。
ゴッサムでは珍しい汚職とは縁の無い警官。
街に絶望しつつも不器用に生きて来たが、思わぬ協力者を得る事になる。


  • トーマス・ウェイン
  • マーサ・ウェイン
ブルースの両親。
父、トーマスは旧家の資産家ながら無償医師として働いた高潔な人物で、その信念は多くの人間に影響を与えている。


  • アーノルド・フラス
ゴードンの相棒。
…太った汚職警官。当然ながらゴードンからは軽蔑されているが、ゴッサム市警全体が汚職にまみれている故に完全に黙認状態である。


  • ジリアン・B・ローブ
ゴッサム市警本部長。
…暗黒街と癒着している。


  • リチャード・アール
現在のウェイン産業の代表で、利益重視の酷薄な実業家。


  • ジョー・チル
ブルースの両親を殺害したチンピラ。
監房で一緒になったファルコーニの情報を売る事を条件に司法取引に応じるが…。


  • カーマイン・ファルコーニ
暗黒街を支配するマフィアのボス。
極めて邪悪な人物で、癒着と暴力により街を支配していたが、登場を予想もしていなかった超然的な存在の前に退場を迫られる運命にあった。


  • ジョナサン・クレイン博士
アーカム精神病院の医師。
暗黒街と癒着しており、偽の診断書をでっち上げ犯罪者を保護していた。
ファルコーニと協力関係にあるが、実はより強大な存在に仕える身であった。
かつて自身が遭遇したイギリスのレイジウイルス騒動の恐怖を広めようとしているらしい


  • ビクター・ザーズ
序盤でクレインが弁護した犯罪者の1人。
原作のザーズはナイフ使いのヴィランであるが、本作ではモブキャラに近い扱いでいつの間にかフェードアウトした。


  • フェイデン判事
検事局のトップである判事。
法の番人でありながら、本来裁くべき犯罪者であるファルコーニと癒着している等、ゴッサムにおける司法を象徴したような人物と言える。


  • ヘンリー・デュカード
「影の同盟」の一員で、ブルースを指導した存在。
ブルースが同盟を崩壊させた際に彼によって命を救われるが…。



【登場キャラクター】

ブルースが恐怖の象徴となるべく、自らが畏れる蝙蝠の姿を纏い姿を変えた存在。
ブルースが習い覚えた技と、ウェイン産業に残されていた、バットランなどの数々の特殊技術を応用した装備を持つ。
今作では、如何にもヒーロー活劇風だった前作までとは違い、闇に紛れて敵を討つと云う、原作での描写に近い演出がされている。


  • スケアクロウ
ジョナサン・クレインが“マスク”を身に付けた姿。これにはガスマスクの効果もある。
人が抱える恐怖をあたかも現実の様に体感させる恐怖ガスを武器にする。


  • ラーズ・アル・グール
「影の同盟」の支配者。
全ての教えを極めたブルースを後継者にしようとするも、断られる。
一騎打ちに敗れ死亡したと思われていたが…?
原作では、不思議な泉の力により数百年を生きる超然的な存在だが、本作では別の描写により不死を表現していた。



【メカニック】

  • バットスーツ
応用化学部に残されていた米軍特殊部隊用スーツを元に改良を加えられた特殊戦闘服。
正面方向で無ければ銃弾をも防ぐ他、かなりの衝撃も吸収出来る高性能スーツだが、隊員の命よりコストを重視した方針により封印されていた。*1


電流を流す事で、様々なパターンに変化させる事が可能で、主に飛行(滑空)に使用される。


  • バットモービル(タンブラー)
応用化学部が軍用に開発していた特殊装甲車。
元は峡谷に橋を架ける為に開発された車両で、高い出力と頑丈さ、かなりの長距離をジャンプ出来る等、常識外れの能力を誇る。



【用語】

  • ウェイン産業
ウェイン家が代々経営している大企業。
トーマスの代では、病院やモノレールといった市民のためのインフラ整備に力を注いでいた。
現在はアールが実権を握っており、トーマス時代には手を出さなかった武器ビジネスや株式公開を行おうとしており、それに反対するフォックスを役員から外して応用科学部の1人だけの部員に降格させていた。

  • 影の同盟
ラーズ・アル・グール率いる謎の集団。
本部はヒマラヤの山奥であり、世界の調和のために数千年に渡り古代ローマなどの腐敗した都市を滅亡に導いてきた。
思想はともかく行動は完全にテロリストのそれであるが、数世紀も歴史の裏で暗躍していたあたり、並みの過激派ではない事がうかがえる。


【余談】

●スケアクロウ役には後にMCUアイアンマン役で大ブレイクするロバート・ダウニーJrがラブコールを送っていた。もっとも監督のクリストファー・ノーランは乗り気ではなく、スケアクロウ役は当初ブルース・ウェイン役でオーディションに参加していたキリアン・マーフィに決まる。
ちなみにこの3人の仕事は映画「オッペンハイマー」で実現し、3人揃ってアカデミー賞を受賞した。
●主演のクリスチャン・ベールは本作の撮影前までは、映画『マシニスト』出演の為にガリガリになるまで身体を絞っていた。
本作の撮影の為に体重を戻すべくアイス等を食べまくった所、今度は太り過ぎてしまいバットスーツが入らなくなったと云う。
…その後はウェイトトレーニングにより、現在の様な筋肉質の体型を作り上げたとの事。
●原作では幼いブルースが両親と見に行ったのは映画「快傑ゾロ」だが、本作ではオペラに変更されている。
これは、クリストファー・ノーラン曰く、自身の映画版がバットマン以前にはヒーローの存在しない世界観にある為である。この設定は後々重要な意味を持つ。


●クリスチャン・ベールは、撮影に使用したバットモービルを大変に気に入り、ノーランに買い取りを申し出たが「次回の撮影に使用する」事を理由に断られている。
……三部作が完結した今、この話がどうなったのかは……まだ不明。



【主要キャスト】

  • ブルース・ウェイン/バットマン
クリスチャン・ベール(檀臣幸)

  • アルフレッド・ペニーワース
マイケル・ケイン(小川真司)

  • ジム・ゴードン
ゲイリー・オールドマン(納谷六朗)

  • ルーシャス・フォックス
モーガン・フリーマン(池田勝)

  • レイチェル・ドーズ
ケイティ・ホームズ(小島幸子)

  • ヘンリー・デュカード
リーアム・ニーソン(佐々木勝彦)

  • ラーズ・アル・グール
渡辺謙(大川透)








人の心は判らない、だが本性は行動(追記、修正)に顕れる

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最終更新:2024年03月11日 21:05

*1 商品化した場合はスーツの値段が30万ドルとなる。