スターシステム

登録日:2011/10/03 Mon 17:30:48
更新日:2024/02/17 Sat 11:56:30
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スターシステムとは、映画、演劇などの興行分野において知名度と人気の高い花形的人物を主軸に据えることを前提として、作品制作や宣伝、集客などの方針を組み立てていく手法のこと。
転じて、漫画やアニメ等の視覚的作品において、作者がデザインしたキャラクターを、他の作品に『別のキャラクターとして』登場させることを指す。


ここで誤解しないで欲しいのは、悟空がネコマジンに登場する等といった、
同一キャラクターが設定を引き継いだ状態で別作品に登場するのは所謂コラボレーション・クロスオーバーであり、スターシステムとは別物である。

スターシステムの代表例としては『BLACK CAT』のイヴを『To LOVEる』の金色の闇という全く別のキャラクターとして使うといった、
見た目は同じだが中身は別人物として再利用するのがスターシステムである。

簡単に例えれば、俳優(キャラクター)が同じ監督(作者)の様々な作品にそれぞれ別の役で出演するという形であり、
概要で述べた通り映画業界におけるスターシステムから派生している。


この技法は主に手塚治虫先生のように様々な雑誌で連載を持っている人、
鳥山明先生のようにゲームやオリジナルアニメのキャラクターデザインもされる人が主に利用する。

またディズニーの短篇アニメや『トムとジェリー』、『クレヨンしんちゃん』や『天才バカボン』、『おそ松くん』といった赤塚作品などのコメディ系作品では童話や古典、映画をパロディした回が度々描かれるが、
こちらも本編のキャラクターたちを別の物語のキャラクターに当てはめて演じさせるというスターシステムを活用した事例としてイメージしやすいものの一つだろう。

またスピンオフ作品も(世界観が同じの場合でも)スターシステムとして認識される場合が多い(「リリカルなのは」や「岸辺露伴は動かない」など)。

ファンサービスや作者のちょっとしたお遊びで利用される場合もあれば、
原典における人間関係やキャラクター設定が伏線として機能し、物語の重要な鍵となる事もある。

但しあまり多用しすぎると、手抜き行為と見なされ作品の評価が下がってしまう可能性もあるので注意が必要。特に絵柄がシンプルな方は尚更。

後、このシステムの中ではキャラクターを俳優として扱う為、
『自分の役に不満をこぼす』、『原典や前回登場した時のネタを引っ張る』等のメタ発言が飛び出す事もある。

遊戯王ARC-Vでスターシステムが用いられたことへのメタとして、同作含めた遊戯王各作品のキャラが登場するゲーム「遊戯王デュエルリンクス」では、「ARC-Vオリジナルのキャラが原典のキャラ達に会う」というイベントを起こすことができる。
当然原典のキャラ側はARC-Vキャラのことを全く知らず、ARC-Vキャラが「どうみても彼らなのに別人なのか?」などと驚く様子が見られる。

【スターシステムを多く利用する作家】

手塚治虫
横山光輝
藤子・F・不二雄
赤塚不二夫
鳥山明
永井豪(ダイナミックプロ)
CLAMP
蔡志忠
飯野賢治
今川泰宏
西岸良平
樫本学ヴ
弐瓶勉
日高万里
井上淳哉
伊藤勢
真島ヒロ
山口貴由
武井宏之
奈須きのこ
ブーン小説
モナー・やる夫スレ作品
MMD

漫画にスターシステムを初めて組み込んだ手塚治虫先生の場合、多数のキャラクターをスターシステムに組み込んでおり、
作品によっては悪人のアトムやら着流しのドクターキリコやらそれぞれの原典からは考えられないカオスな配役もあったりする。

スターシステムを採用した漫画家の中でもここまではっきり割りきった人は珍しい。

もちろん、ブーン系小説に見られるような人間のクズ役なら伊藤m略のように、
キャラクター自身の個性やキャラクター性を重視し、常に決まった配役に配されるキャラクターも多い。
例えば主人公を助けるおっさんならヒゲオヤジ、悪人ならロックやアセチレン・ランプというように。

星の数ほどと言っていいほどの膨大なキャラクターと、変幻自在のキャラクター作りとドラマの作劇を旨とする先生だからこその使いこなしぶりと言えるだろう。

【スターシステムによって生まれたキャラ】

美来斗利偉・拉麵男(闘将!!拉麺男)
さくら(ツバサ)
金色の闇、マジカルキョーコ、クロ(To LOVEる)
多くの鼻がでかい男達(火の鳥他手塚治虫作品)
小池さん、ゴンスケ(藤子不二雄作品)
サラリーマン山田(水木しげる作品)
黒猫(俺の妹がこんなに可愛いわけがない)
ローラ(Dシリーズ)
東方院摩智(かへたんていぶ)
神宮寺くえす(おまもりひまり)
華園みあ(アイドルタイムプリパラ
七星あいら、幸瀬なる、激川ゆい(キラッとプリ☆チャン
西園寺ゆらり、西園寺きらり(KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-
テキ屋のおっさん(そらのおとしもの)
ウィンナー(コロッケ!)
ブータン(デュエル・マスターズ ビクトリー)
タブチ先生、ヤスダ先生、広岡先生(ののちゃん)
ジェラール、フリード、プルー(FAIRY TAIL
シキ、ハッピー、エルザ(EDENS ZERO)
ラルさん(ガンダムビルドファイターズ)
ゼンカイザーブラック/五色田介人(暴太郎戦隊ドンブラザーズ)
メリル・シルバーバーグ、メタルギアMk-Ⅱ、エド&ジョナサン(メタルギアシリーズ)
ハロ(ガンダムシリーズ)


【スターシステムを用いた作品】

魔法少女リリカルなのはINNOCENT
ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日
ワイルドアームズ the Vth Vanguard
舞-乙HiME
Dシリーズ(Dの食卓、エネミー・ゼロ、Dの食卓2)
ツバサ
マブラヴ オルタネイティブ
遊戯王ARC-V
実況パワフルプロ野球(サクセスモード)
パワプロクンポケット (裏サクセス)
バイオレンスジャック他多数のダイナミックプロ作品
僕のヒーローアカデミア
ゼルダの伝説シリーズ
シャーマンキングシリーズ
Cygames製の一部ゲーム(神撃のバハムートグランブルーファンタジープリンセスコネクト!Re:Diveなど)
幻日のヨハネ
miHoYo製のゲーム(崩壊シリーズ、原神

【スターシステムをネタにしている作品】

いっしょにとれーにんぐ(主人公がスターシステム上の女優という設定)
戦星のバルジ(最終巻の描き下ろしで登場人物たちが打ち上げをやってる)


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最終更新:2024年02月17日 11:56