フライマンタ(機動戦士ガンダム)

登録日:2011/07/24 Sun 06:11:57
更新日:2023/11/21 Tue 15:08:01
所要時間:約 3 分で読めます






フライマンタとはアニメ『機動戦士ガンダム』に登場する架空の戦闘爆撃機。
名前については「フライ・マンタ」と「・」がつくこともある。
マンタとはサメの仲間のエイのことで、胴体と翼が一体化したような扁平な形状が由来だろうか。



【諸元】

◆フライマンタ
FRY MANTA

所属:地球連邦空軍
全長:17m
全幅:13m
全高: 6m(着陸脚含む)
全備重量:11.7t
最高速度:マッハ3.6
装甲材質:ユニバーサル・ジュラルミン
乗員:1~2名
《兵装》
自動追尾型高速30mm砲 ×2門
3連装多目的ミサイルランチャー ×2基
各種爆弾・ミサイル ×数発
25mm機関砲 ×4門



【概要】

地球連邦軍が使用している単座式*1戦闘爆撃機である。

自動追尾型高速30mm砲、3連装多目的ミサイルランチャー2基、スマート爆弾、対地ミサイルと豊富な武装を備え、後付け設定ではあるがエアインテーク脇に25mm機関砲4門も装備しており、対空、対地戦闘どちらにも対応できる優秀な機体となっている。
また、これだけの重武装でありながらも大型の主翼と大出力の双発エンジンによって軽快な機動力を発揮し、ジオン公国軍のMSやドップにとっても大きな脅威であった。

しかし対空戦闘能力ではTINコッドセイバーフィッシュ、対地攻撃能力では重爆撃機デプ・ロッグなどの、より専門的かつ優秀な機体には及ばないため、もとから器用貧乏な面があった。

そのうえ、一年戦争を期に戦場での主力兵器はモビルスーツ(以下MS)へと移項してしまう。
一年戦争中はまだ満足に空を飛べるMSはなく、大ジャンプをすれば着地の際に脚部関節に多大な負荷がかかるので非推奨*2、そもそも空中の戦闘機を迎撃できるようなパイロットもごくわずか*3ということもあり、
本機も高高度からの爆撃や空挺部隊の迎撃などでそれなり以上に戦果を挙げていたのだが、
サブフライト・ユニットでMSが長距離移動を可能としたことや、ガンダムMk-Ⅱ百式などの短時間なら高高度で戦闘できる最新型MS、アッシマーΖなどの可変型MSの登場など、
MSが爆発的な進化を遂げていくなか、中途半端な能力を持つフライマンタは完全に時代に取り残されたためか、
戦車と違い戦闘機の新規開発や需要がまだそれなりにあった0080~0090年代であってもその存在は完全に消えてしまっていた。

後継機としてより強力なジェット・コア・ブースターも開発・配備されていたのでフライマンタはどのみち消えていく運命にあったが、
それは戦闘爆撃機という機種全体に広がっていた。
後継機だったはずのジェット・コア・ブースターも一年戦争の終結と共に生産が停止され、航空機は制空専門へとシフト。
セイバーフィッシュやTINコッドはU.C.0087年ごろや0096年頃にも拠点防空用に配備されていたが、フライマンタやその子孫達の居場所はもう何処にもなかったのである。



【派生作品やゲームにおける活躍】

◆『機動戦士ガンダム
オデッサ攻略作戦で多数が登場。ジオン基地に対する絨毯爆撃や、他の爆撃機の護衛などに当たった。集中攻撃でガウを撃墜したらしい描写もある。
ジオン軍によるジャブロー降下作戦時には偽装カタパルトから次々とスクランブルし、ドップと空戦を繰り広げている。
また、TV版ではガウ攻撃空母から次々と降下してくるザクⅡの頭部やドムの胴体を、機銃掃射やミサイルで破壊して撃墜する描写もある。

このように一年戦争時点ではまだ成果を上げていたものの、性能面の限界はすでに連邦軍上層部にも認識されていたようで、
前大戦から七年が経過した機動戦士Ζガンダムでは「いらない旧式の寄せ集め」がジャブローの防衛隊に回されていたが、セイバーフィッシュはいてもフライマンタはいなかった…。


◆『小説版機動戦士ガンダム
宇宙戦闘機として登場しているが、モビルスーツに対して十分に対抗することは出来なかったという旨の文面と「連邦軍のフライマンタなんて目じゃない」というジオン兵の台詞から察するに、正史におけるトリアーエズやセイバーフィッシュのように屑鉄にされてしまったのだろう。合掌。
戦中の主力も、フライマンタではなくトマホークに移っている。
ただ、フライマンタではなくトマホークの記述だが、宇宙戦闘機の加速力はMSにも引けを取るものではなく、特に対艦攻撃能力に掛けてはMSよりも優れているとのこと。
カイの「今さら宇宙戦闘機かよ」という発言はMS乗りの傲慢と地の文で切り捨てられた


◆『機動戦士ガンダム THE ORIGIN
オデッサ攻略戦で締めの絨毯爆撃に使われたが、ギャンのニードルミサイルで撃墜されている機体もあった。


◆『MS戦記 機動戦士ガンダム0079外伝
出番はわずかだが、発射したミサイルによってドダイ+グフを撃墜している。
同作で重装甲と評価されたグフを破壊するほどの威力と考えれば、こんなものが物量で押し寄せたらひとたまりもない。
ジオン側視点の物語という事もあって無視できない脅威として描かれている。
(実際TV版でもドムの胸部装甲を破壊する場面もあった)


◆『ギレンの野望シリーズ』
初代(SS版)では連邦連邦編序盤の主力兵器である。序盤の地上戦は制圧担当の61式戦車と戦闘要員のフライマンタ*4と輸送&補給要員のミデアを作っているだけでなんとかなると言っても過言ではない。
但し、対航空・対MS戦力としては中途半端な事とシリーズが最新の物になればなるほど弱体化&システムやゲームルールの微妙な変更の逆風をモロに受けており、脅威Vや新で初代や系譜の頃のようにマンタでごり押し等しようとすると無駄に撃墜されるのがオチとなっている。
これらの作品ではセイバーフィッシュやデプロックを安定して作れるようになるまでの間、むやみに生産せずに現存機体を上手く用いて頑張ってもらおう。

「君も連邦でプレイして怪獣にやられる軍隊の気持ちを楽しもう!」


◆『SDガンダムGジェネレーションシリーズ
PSの初期のシリーズの一年戦争編で、マチルダ隊が引き連れている物を使うのが大体の人のファーストコンタクトになるだろう。最初から生産リストに入っているが生産するのは趣味の趣味である。
脅威のマップ間爆撃でザクだろうがグフだろうが一方的に蹂躙することが出来る、史実とはなんだったのか。
最近は参戦すらしていない(仮に参戦したところで縛りプレイくらいしか使い道はないのだろうが)。
ただ「ジェネシス」ではジェット・コア・ブースターのスマート爆弾に「地上の敵にはダメージ30%up」という効果がついているので、ザクぐらいなら互角に渡り合えたりする。
対地爆弾と一緒に採用されれば意外とそこそこいけるかも。


【ガンプラ】


そんなものは無い。

かつて森永ミルクキャラメルのおまけ(いわゆる食玩)として販売されたのがマス・プロダクト品としては唯一。
またB-CLUBからポリストーン完成品が販売されていたが、現在は入手困難。

旧MSVザクキャノンのパッケージアートでは対空戦闘を行う主役のザクキャノンの見上げる先に多数のフライマンタが飛んでいる。
構図が似たMGザクキャノンのパッケージアートではフライマンタに代わりガンペリーが飛んでおりジムやジムキャノンが降下しているが、これはフライマンタの立場が乗っ取られたのではなく「ドップとTINコッド/セイバーフィッシュの航空戦」→「制空権を確保した連邦がフライマンタで爆撃」→「本命のジム部隊を投入」という戦闘の流れを描いているものと思われる。


【余談】

実は第08MS小隊で登場が検討されたらしく、山根公利氏デザインのものを氏の画集で確認出来る。
が、ジェット・コア・ブースターにその座を奪われる形で没になった様子。






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最終更新:2023年11月21日 15:08

*1 ゲーム『機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオン独立戦争記』では複座式の描写もある

*2 「MSの稼働時間は燃料の残量ではなく脚部関節が壊れるまで」とは小説版ブルーディスティニーの記述。

*3 アムロやノリスなどやった人はいるが、一般兵士にはまずムリ。

*4 一部を除いてMSは対空攻撃が苦手&格闘戦を回避できるのでこちらの損害が少なくなる