リトルマーメイド(ディズニー映画)

登録日:2012/09/16 Sun 14:57:16
更新日:2024/02/13 Tue 14:17:05
所要時間:約 4 分で読めます




リトルマーメイド(The Little Mermaid)とはディズニー映画の一つ。
1989年11月17日公開(日本公開は1991年7月21日)。


原作はアンデルセンの『人魚姫』。
ディズニー映画の第二黄金期(ディズニー・ルネッサンス)の原点と言われている。
当時ディズニーは、アニメーション部門そのもののの撤廃すら囁かれていたほどの暗黒時代であり、そこからの復活という、歴史的に見ても大変重要な意義を持つ作品でもある。
また、ディズニー最後の劇場版セルアニメーションでもある。

その後OVA作品として続編である『リトル・マーメイドII Return to The Sea』、さらに本作の過去を描いた『リトル・マーメイドIII はじまりの物語』が制作された。

2008年に舞台化し、ブロードウェイを皮切りに各国で上演された。
日本でも劇団四季が2013年に上演している。2023年に実写映画版が公開予定。

【あらすじ】

地上に憧れる人魚姫アリエルはある日、航海中の船に乗っていた王子エリックに一目惚れをしてしまう。
しかし船は嵐に襲われて沈没し、アリエルは海に投げ出されたエリックを助ける。
エリックを忘れられないアリエルに目を付けたのが、海の魔女アースラだった。
アースラはアリエルに“声と引き換えに3日間だけ人間にする”ということを持ち出す。
しかしその3日以内にアリエルがエリックとキスを交わすことが出来なければ、彼女の身柄は一切アースラのものとなってしまうというのだ。
それでもアリエルはアースラと契約し、声を失い人間となって地上へ向かうが…


【登場人物】

  • アリエル
海の王トリトンの末娘で、人間界に憧れる16歳の人魚姫。可愛らしい容姿と美しい声を持つ。
好奇心旺盛で、洞窟の中に地上の物を秘密にコレクションしている。
ねえ、これ欲しい? 20個もあるの
彼女の歌う「パート・オブ・ユア・ワールド」は名曲。
物語の進行によって歌詞が少しずつ変わっていき、ちょっと感動する。
だが地上の知識に関しては、いい加減なカモメのスカットルから教えられた為誤解や偏ったものばかり。
フォークで髪を梳かしながら笑顔を向けるアリエルは超可愛い。
因みにアリエルは実在の女優シェルリ・リン・ストナーをモデルとしている。
作中で下半身裸なシーンがあるが映してもらえない…畜生

  • エリック
アリエルが想いを寄せる海辺の王国の王子。
ラフな服装を好み、飾り気のない黒髪のハンサム。
自分を助けた恩人であるアリエルの朧げな記憶から、彼女へ惹かれていたが…

  • フランダー
アリエルの親友の魚で、いつも行動を共にしている。彼女の地上への関心に理解がある。
ちょっと臆病。

  • セバスチャン
海の宮殿の音楽隊長。
故郷のカリブ海から移住した後にトリトン王に召し抱えられた、優れた音楽家*1
…だったのだが、アリエルへの躾で悩むトリトン王に偉そうな助言をしてしまったがためにアリエルのお目付け役に任命され、アリエルとトリトン王の間でやきもきするハメとなった哀れなカニ。
彼の歌う「アンダー・ザ・シー」もまた名曲で、米アカデミー歌曲賞を受賞し、作曲家アラン・メンケンがアカデミー作曲賞を受賞した。
なお実写化された際に歌唱を担当したのはジャイアン木村昴氏だった。

  • トリトン
アトランティカを治める海の王で、アリエルの父。
アリエルをとても可愛がっているが陸の世界を良く思っておらず、アリエルが人間に興味を持つことに神経を尖らせている。

  • アースラ
タコのような下半身を持つグロテスクな海の魔女。この作品のヴィラン。かつて王宮を追放された事からトリトンを恨んでいる。
当初は声を失ったアリエルがたった3日でエリックとキスを交わすなど無理と高を括っていたが、セバスチャンらの協力もありとんとん拍子にエリックとの仲を深めていくアリエルに焦り、終盤ではアリエルから奪った声で歌う美女ヴァネッサに変身して地上に現れ、エリックを惑わす。なかなか可愛い。
吹き替え版の中の人が森久美子な為か*2歌がうまい。乳揺れシーンもある…が全く嬉しくない。
実はトリトンの姉妹である。続編ではモルガナという彼女の妹が登場した。そのモルガナの中の人は必須アモト酸。

  • スカットル
アリエルと仲のいい陽気なカモメ。人間界のことなら何でも知っているというが、殆どデタラメ。歌は非常に下手。

  • グリムズビー
エリックの執事。
船酔いし易いらしく、海に入るのは嫌い。夢見がちなエリックの将来を心配している。

  • ルイ
歌いながら料理をするエリックの城のシェフ。
楽しそうに魚を調理するシーンはセバスチャンにこれ以上ない恐怖を与えた。トリトン王が人間を敵視するのも当然である。
迷い込んで来たセバスチャンを調理しようとするが失敗し、以後セバスチャンが天敵になるが、逃げられてばかり。

  • フロットサムジェットサム
アースラに仕える双子のウツボ。2匹並ぶと鏡のように対照にオッドアイ状に光る目をしている。
狡猾な性格で、アリエルをアースラの元へ導く。
ディズニーヴィランの部下は間抜けなキャラが多いが、この2匹はそういった面が見られず、かなり優秀。
アースラはそんな2匹を可愛がっていたが…。

  • マックス
大型で毛の長い、エリックの愛犬。犬種はオールド・イングリッシュ・シープドッグらしい。
浜辺に上げられたエリックを見付けたり、アリエルの匂いを覚えていたり、アースラの変身を見破る等、なかなか賢い犬。

【余談】

〇元々悲劇で終わる原作『人魚姫』。
作者アンデルセンの母国デンマークでは当時、ハッピーエンドに改変されたことで批判の声があった。
これに対して作品を擁護したのは、何とデンマークの女王マルグレーテ2世。
彼女は映画の製作者たちに対し「アンデルセンは物語の終わらせ方を知らなかっただけよ」と伝えたという。
さすが女王陛下、言うことが違う。

〇本作屈指の名曲「パート・オブ・ユア・ワールド」。
しかしこの曲は、試写で子供が暇そうにしてたからという理由であわやカットの危機に立たされていた
これにスタッフたちは全力で猛反対。作詞担当のハワード・アッシュマンは「そんなことは絶対させねぇ、絞め殺すぞ」と脅迫、
アニメーターのグレン・キーンはセバスチャンのギャグシーンを挟んでこの曲を守り抜いた。

○建築様式等随所に地中海の文化が見られる割に作中の音楽がカリブ海を主とするカリプソなのは、セバスチャンがジャマイカ出身の移民としたハワード・アッシュマンの拘りによるもの。
アースラの曲を映えさせるために敢えてアースラを大柄で恰幅の良いキャラクターにすることを進言したり、彼のインスピレーションがこの映画に色濃く反映された様子は、ドキュメンタリー「ハワード -ディズニー音楽に込めた物語-」等で窺うことが出来る。

〇アリエルの姉たちはそれぞれアティーナ(Atina)*3アラーナ(Allana)*4アデーラ(Adella)アクアータ(Aquata)アリスタ(Arista)アンドリーナ(Andrina)*5と、
全員「a」で始まって「a」で終わる名前になっている。
アリエル(ariel)だけ「a」で終わらない名前なのは、意図的に目立つようにしたとのこと。

〇アースラのキャラデザのモデルは、ジョン・ウォーターズ監督作品の常連である怪優ディヴァイン。
出演作は伝説のカルト映画『ピンク・フラミンゴ』、ミュージカル映画『ヘアスプレー』など。
特に前者は究極の悪趣味を売りにした作品だけに、視聴にはかなりの覚悟が必要な作品となっている。

東京ディズニーシーには、本作をモチーフとしたテーマポート「マーメイドラグーン」がある。


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最終更新:2024年02月13日 14:17

*1 「ディズニーアニメーション大全集」によれば

*2 因みになぜ森久美子がアースラ役に選ばれたのかというと、適任がなかなか決まらず悩んでいた監督がテレビをつけたら偶然放送されていた番組に彼女が出演しており、アースラに似ている風貌だったことから起用を決めた、という裏話があるのだ。

*3 由来はメンケンの書いたミュージカル“Atina: Evil Queen of the Galaxy”から。

*4 由来はアラン・メンケンから。

*5 由来はロン・クレメンツ監督のエアロビの先生の名前から。