遊戯王ファイブディーズ(漫画版遊戯王5D's)

登録日:2010/05/01(土) 17:22:32
更新日:2023/12/27 Wed 06:12:44
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アニメ『遊戯王5D's』のコミカライズ作品。Vジャンプにて2015年3月号まで連載していた。
通称は「フィール」「ファイブフィール」(後述)。

●目次

【概要】

ストーリーは彦久保雅博、漫画は佐藤雅史が担当。
彦久保雅博氏はDM時代からずっとデュエル展開を担当しておりアニメ本編の脚本も何度か描いている。
佐藤雅史氏は遊戯王5D'sのアニメオリジナルモンスターを手がけている。手塚賞準入選らしい。「僕たちずっと友達だよね」ではない。

また遊戯王Rや漫画版GXでは、原案・監修:高橋和希となっているのに対し、
協力:スタジオ・ダイスと書かれているだけで本作では名前が全く載っていないのが目を引く。
完全にノータッチではないにしろ、原作者の手を離れた作品がどう展開していくかが気になるところである。

同じアニメのコミカライズである遊戯王GXや遊戯王ZEXALと比べると、
アニメと設定が違うパラレルワールドであることを一番強調している作品とみることができる。

余談だが、最終回の載った3月号にはカオスの終わりに相応しいカードがついていた。


【決闘】

作中で行われたデュエルの全てがライディングデュエルである。
ちなみに、『決闘疾走』と書いてライディングデュエルと読む。

また、これに限らずカタカナの長い用語は漢字の造語にルビを振られることが多い。
これはスペース短縮のためだが、絶対王者(キング)のように長くなっているものもある。

今まで登場し実際に決闘疾走した決闘疾走者(ライディングデュエリスト)は、
常にヘルメットを着用しているセクトを除く全員がノーヘルという教育衛生上よろしくない状況になっている。

まぁ、決闘疾走が行われた場所が、無法地帯っぽいサテライトか、(おそらく)個人の敷地内なので、
己のD―ホイール操縦に絶対の自信があるなら問題ないのかもしれない。

と、思いきやD1GP二回戦からネオ・ドミノシティが闘いの舞台となったので、治安知事局が主催していなければ完全にアウトである。
ちなみに刑事である牛尾さんもノーヘルだぜ!

しかも、決闘疾走で決着がつく場合、相手のフィールによって高い確率で事故が発生しているので、やっぱりヘルメットは大事かもしれない。


本作の決闘疾走では漫画という限られた長さで見せる都合上か、
スピード・ワールドやスピードスペルが存在せず、みんな普通に魔法カードや装備カードを使用する。

D1GPのルールは
1.「相手LPを0にする」
2.「指定のゴールを先に通過する」
3.「相手のDホイールを走行不能にさせる」

の3つのいずれかを満たした者が勝者となるようだ。ちなみに通常のライディングデュエルの場合は2がないだけのようだ。

おかしい言葉があったが、遊戯王ではよくあること

相手LPを0にする以外の手段も戦術に組み込めるので多様な決闘疾走が楽しめるのかもしれない。
現在遊星は3のルールのおかげで勝ったこともあるし、負けたこともある。

セカンドステージのルールは舞台となるサテライトの最古島の12ヶ所にそれぞれ存在する
1~11、そしてどの数にもなる「?」が記された星札を入口地点の決闘門に札を合計12以上にし持っていったものがステージ通過者、となっている。
つまり最大6人最小で0人通過できる。

バイクに追いつく自信があるなら馬を代わりに使用しても問題ないようだ。
ただし、対戦相手に「馬のままで決闘疾走だと!? ふざけやがって!!」と思われてもくじけてはいけない。



そして、本作の決闘疾走を語る上で外せないのが、『フィール』である。
アキさんによるとフィールとは

●仮想立体触感(バーチャルソリッドフィール)、通称「フィール」。
●D―ホイールの速度と連動し、フィール現実(リアル)化しその威力を高める。
フィールは速度だけじゃなくタイミングや間合いによってもその威力を何倍にも高めることができる。
●しかし、ただがむしゃらに速度を上げるだけではフィール力は上がらず、勝てない。


と、説明されている。
なおこの説明が行われたのは作品の中盤で、それまでは一切何の説明もなくフィールという言葉が飛び交っていた。

現実化に関してはアキさんがどんな意味で言ったのかは不明だが、
ジャックがブラック・ハイランダーを使いフィールで決闘疾走者を襲っていた(コンクリートを破砕)ことから、マジに実体化しているのかも。

実体化は遊戯王ではよくある事

元々はサテライトの北部にある最古島に存在した「仮想立体触感研究所」(本作のジャック・鬼柳はここの出身)で研究されていたもので、
その裏にはレクス・ゴドウィンによる決闘竜の力に耐えうる装置の開発と、その先にある究極神復活の目的があった。

源流自体は5000年前には既に存在しており、セイバルのオーパーツの中には明らかに当時は使い道のない、
現在の「カードゲーム」に対応したDホイールが存在する。

フィールというものもあるらしく、
vs骸骨騎士戦においてゴースト・ランサーの攻撃で遊星の肩アーマーがフィールで砕け散ったり、
冥界竜ドラゴネクロが噛みついたパイプにフィールによって歯形がついたりと確実にフィールによって実体化している。

だが同決闘中には遊星の渾身のフィールにより、
罠カードでデカい鉄パイプを2本ほどぶち抜いたりしているので、闇とか関係なく普通に実体化する可能性も大いにある。

実際、ボマーのDホイールが遊星のフィールでスクラップになっているし、
当のボマーもフィールプレッシャーを使用しリアル爆撃を繰り広げた。

さらにセクト・遊星・ジャックはフィールで飛行可能。


結論:使い方によってはフィールは実体化します。取り扱いには十分注意して楽しい決闘疾走をしようぜ!!


王の記憶編もかくやと言ったところだが、本作ではまだフィールによって実体化したダイレクト・アタックの描写がない。
フィールによるダイレクト・アタックを受けたらどうなるのだろうか…………。

実体化した攻撃を生身に受けるということは、すなわちを意味するだろうが、
鬼柳さんから2000ポイントものダイレクトアタック(勿論フィールも)を受けたアキさんに外傷らしい外傷が見られなかったことから、
普通に決闘疾走する程度では攻撃を実体化させる程のフィールを生み出すことは出来ないと考えられる。

ただ、やはりダイレクトアタックは、モンスターが破壊されてのダメージよりも相手のフィールの影響を受けやすいようで、
ダイレクトアタックをくらうことは決闘疾走者にとって避けるべきことなのかもしれない。

ちなみに、そもそものフィールとその発生装置自体、ゴドウィンによってカード化する前の決闘竜の力を現実に再現するためのシステムとして作られたもの。
なので、少なくとも現代においては決闘竜および究極神によるフィール=闇のフィールこそが本来の姿と言える。

なお、骸骨騎士だけは発生装置もないのに身一つと馬で闇のフィールが撃てる。


◆フィールの亜種

  • フィール
骸骨騎士たちが使用したフィール。闇のカード(主に決闘竜)を使用した際に発現する。
その攻撃は実体化する、まさに魂を賭けた決闘疾走。

  • フィールプレッシャー
ボマーが対ジャック用に編み出したフィール。どういう理論かは不明だが、
フィールを高めることで攻撃や効果によるダメージを実体化させる。
リアル爆撃によってコースを穴だらけにした。一発くらえば走行不能になる可能性が高い。
遊星が骸骨騎士戦で見せたフィールもこれに近いかもしれない。

  • クロスフィール
ジャックに敗れ、アキさんからフィールについて教授された遊星がセクトとの特訓の末編み出した。
相手のDホイールの真後ろにつき、大好きブルーノちゃんストリーム……もといスリップストリームによって加速(作中では激流疾走(ライディングストリーム)と呼称)。
相手のフィールを最大限に利用しカウンターのフィールを叩き込む大技である。
ただ発動条件が、相手の真後ろ、カウンター、と自身が追い込まれている場合が多い。

  • ダブル・クロスフィール
セイバルでのセクト戦で遊星が繰り出した新技。クロス・フィールの弱点である「相手に減速されると威力が出ない」を補うため、フィールで造り出した分身を先行させて一人でクロス・フィールを放つ。
ストーリー担当の彦久保氏の暴走で生まれた荒技で、原案では「分身して殴る」というもの。セクトの「漆黒激翼」はこの前振りとして用意されていた。

  • フィールバニッシュ
ジャックが使用するフィールを相殺するフィール。
闇のフィールもある程度は防げるらしい。

  • 真光激翼(シャイニング・アーマード・フィール)
セイバルでの決闘疾走で遊星がセクトのフィール「漆黒激翼(ヘル・アーマード・フィール)」をモデルに造り上げた白銀のフィール。
フィールを実体化させた双翼で空を飛ぶ。後にジャックは独力でこれを会得しており、彼の場合真紅になる。


同じ攻撃力のモンスターを使用し、純粋に自分のフィールの力のみを競う、一撃疾走(ワンショット・ラン)という戦い方も存在する。
ただしこれはどうもアカデミアでのルールらしく、実戦では「正面からすれ違いつつフィールの力をぶつけ合う」ことをこう呼称しているらしい。


【主な登場人物】



【独自の用語など】


  • フィール
特性などは上記参照。最古島にあった研究所で決闘竜の力を再現するための研究がおこなわれていた。

  • 決闘疾走(ライディングデュエル)
本作で行われる対戦方式。D・ホイールに乗ってデュエルする。
アニメと異なり、スピード・ワールドのルールはない。またこれに伴い、対戦者も「D・ホイーラー」ではなく「決闘疾走者(ライディング・デュエリスト)」と呼称される。

  • 決闘竜
アニメでの「シグナーの竜」に本作オリジナルのモンスターを加えたドラゴン族カード。
1体を除き全てシンクロモンスターで、決闘神官の従える「神官の五竜」、決闘巫女の従える「巫女の竜」、骸骨騎士が儀式の進行のために用意した「闇の竜」、南天・北天の大神官が従える「陰陽の竜」の4種に分かれる。

  • 決闘神官(ディアク・ウム)
5000年前の時代、力ある竜の精霊を従え魔と戦っていた魔術師たちの称号。
光と闇の二種類に分かれるが、当時は闇の神官は存在しなかった。現代においては遊星、セクトが該当。

  • 決闘巫女(デュエル・シスター)
決闘神官を束ねる女性決闘疾走者の称号。一世代に一人が選ばれ、証として「月華竜 ブラック・ローズ」を従える。
陰陽祭においては究極神を封じる役割を担う。
現代においてはアキが該当。

  • サテライト
工場跡などが立ち並ぶネオ・ドミノシティの一角。
アニメと異なりゼロ・リバース関連の設定はなく、決闘疾走者の溜まり場と言った趣が強い。
本作ではD・ホイールと決闘疾走の発祥の地でもある。

  • D1GP
決闘疾走者の頂点「統一皇帝(エンペラー)」を決定するためにレクス・ゴドウィンの肝煎りで開催された大会。
ネオ・ドミノシティ都市部でのシークレット・トーナメントを経てサテライトでの決勝に進む。
サテライトでは各所に設置された「決闘星宿(デュエル・ゾディアック)」を巡り、レベル1~11と任意の数字になる「?」の「星札(スター・チケット)」を奪い合い、レベル合計を12にしてゲートを突破。勝ち上がった者で決勝を行う。
……という建前だが、実際にはゲートを突破した先には工場の迷宮があり、待ち構えているイェーガーにより突破者は次々とカードに封印される。*1
この大会の正体は後述の陰陽際の準備であり、究極神の完全封印を狙う骸骨騎士=ルドガー・ゴドウィンの介入を利用し、決闘竜に選ばれた決闘疾走者の戦いを演出。彼らの戦いで発生するエネルギーを究極神に送り活性化させ、最終的にはセカンドステージを突破した者とファーストステージの敗者および関係者を全てカード化して生贄にする、という手はずだった。

  • 陰陽祭
純粋なる力の化身「究極神」を降臨させるための儀式。5000年前に失敗して以来行われていなかったが、レクス・ゴドウィンによってD1GPという大会の皮を被せる形で執行された。
手順はまず、最古島中心部の祭壇にて「天空城セイバル」への道となる光の柱を立て、その中で決闘神官と決闘巫女による対戦を行う。
絶対条件としてここで神官が勝たねばならず、巫女が勝った場合道が開かれずそこで終了となる。

神官が勝利し道が開かれた場合、その神官が「地錠覇王」となって封印の間に移動。
その後、南天・北天の大神官二名がセイバルの両翼から中心部へ伸びる「北天回廊」「南天回廊」を突破し、究極神を封印する塔の真正面に位置する「天錠台(てんじょううてな)*2にて決闘疾走を行い、勝者が「天錠覇王」となる。
そのまま天錠台において天錠覇王と地錠覇王の決闘疾走が行われ、その勝者が究極神の力を行使する「解錠覇王」として、願いを一つだけ叶えることができる。

ゴドウィン兄弟によって現代で行われた際は、決闘巫女の記憶を得たアキと闇の決闘神官となったセクトによって第一段階が執行され、セクトが勝利したことでセイバルヘの道が開通。
両大神官は追ってきた遊星・ジャックと対戦するもいずれも敗北、天錠台では遊星の意志によりジャックが退く形で天錠覇王が決定する。
その後の解錠覇王を決める決戦では遊星が勝利するが、究極神復活の阻止は失敗、さらに割り込んできたレクスに究極神の力を奪取されたことで、真の最終決戦にもつれ込むこととなる。





【余談】

「フィール」という用語がどうしても印象に残ってしまうため、TFシリーズの遊星ルートでパロディされている。

一部のファンからは遊星がトップス出身ではなくサテライト出身だったりとアニメと違う点が多いことから、
イリアステルが歴史の改変する前の世界」或いは「改変に失敗した世界」ではないかと囁かれていた。

最終巻に収録されたインタビューにより、この世界は「アニメ版に直接繋がらないが、時間軸の上ではアニメ版よりも前の話」とされていることが示唆されている。
最終的に遊星が究極神に何を願ったかで最終決戦後の未来が分岐しており、それ次第ではアニメ版の物語に繋がるらしい*3

設定が他のコミカライズ(GX、ZEXAL)と比べてアニメ版と大きく異なるのはこの構想が理由で、
「アニメのファンが違和感を覚えるくらいキャラクターや世界観にアレンジを加える」というコンセプトのもとに物語が作られている。
ちなみにその筆頭がフィール


追記、修正は、キミの最高のフィールで頼むぜ!!

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最終更新:2023年12月27日 06:12

*1 ARC-Vのものとは異なり、肉体ごと実際に封印される。

*2 このブロックは元々街だったらしく、家らしき建造物が散見される

*3 ちなみに作中提示された可能性は「未来王(Z-ONE)」「サテライトの英雄(別未来の遊星)」「遊戯・十代との共闘(劇場版、つまりアニメ版遊星)」の三つだった